……出すしかねえ!! ということでおまたせしました
響side
「うわあ~! すごい! すごい!」
「これは……」
「あらあら。とんでもないわね……」
“どこでもドア”をくぐった私たちをまっていたのは────すごくたくさんのロボットたちだった!
大きな広場にはたくさんのロボットたちが浮いている!
……ううん、浮いているだけじゃない! あたり一面にロボットたちが歩いていたり、走っていたりしているんだ!
「これは圧巻デス!」
「すごいですね。皆さん」
見たこともないようなすごい光景に圧巻される
それを見たクルト君はクスリと笑い、手を広げて説明を始める。
「ここは“ロボット館”。今までに作成されたすべてのロボット型ひみつ道具が集まっているんだ!」
「……なるほど。確かに、オートスコアラーらしきものも見て取れる……っ!?」
「あれ、どうかしました? サンジェルマンさん? ────って、あれは!」
サンジェルマンさんの見た方向を見ると、そこにはかつて“パヴァリア光明結社”に所属していたオートスコアラー……“ティキ”の姿がそこにあった。
こ、この娘って、アダムとの戦いで壊れちゃったはずじゃあ……。
「どうしてティキがここにいるワケだ?」
「確かに……修復不能なほど破損し、骸も俺たちのもとに回収されたはずだが……」
私達が疑問の声を上げていると、隣にいたクルト君が“ティキ”ちゃんのもとに近づいていく。あ、危ないような……。
「大丈夫。これはただのレプリカさ」
「「「「レプリカ?」」」」
レプリカ……ってことは、本物じゃないってこと? でも、何でこの娘のレプリカがこんなところにあるんだろう?
そんな疑問にクルト君は丁寧に答えてくれる。
「“パヴァリア光明結社”のティキ、そしてアダムは神代に作られたオートスコアラー────言うなれば、聖遺物と同じく、先史文明期に作られた“最古のひみつ道具”だからね。流石に現存はしてないけど、こうしてレプリカを展示しているってわけさ」
「……つまり、局長……いや、アダムのレプリカもここに展示されていると……」
「ふん、いい気味なワケだ」
「……でも、なんか気持ち悪いわね」
「あ、アハハ……あ~、アダムのレプリカならあっちのほうに展示されてるけど……見に行く?」
「「「いや、いい」」」
クルト君の言葉にサンジェルマンさん達はすごく嫌そうな顔でお断りをする。
な、なんか三人共すごい顔してるし……そ、そんなに嫌なんだ……。
ズゥゥン! ズゥゥン!
そんなふうに思っていると、何やら地響きが聞こえてくる。
「な、なんデスかあのトンデモは!?」
切歌ちゃんの指さすほうを確認すると、とても大きなロボットが悠々と歩いていた。
あ! あれって私たちが小学生の時、皆で作った……。
「わあ~“タイタニックロボ”! 懐かしい~!」
「し、知ってるのデスか?」
「うん。昔、ビッキーやドララ達と一緒に作ったんだ」
「当時はロボットアアニメが流行ってたからね。私がお願いしたんだよね」
懐かしいな~。弓美ちゃんの発案で、巨大ロボットを作ろうってなったとき、ドラえもんが出してくれたんだよね。
あの時は弓美ちゃん大興奮してたな~。あの後、学校に行くために山を越えないといけないっていう子のために、雪山にトンネルを掘ったりしたんだよね。
「しゃああああ!」
「ドラさん……また猫みたいに……」
「おいおい、大丈夫かよ……」
「プッ、ダッサ~い」
ドラえもんはタイタニックロボを見て、野良猫みたいに威嚇している。
早く鈴を見つけてあげないと……。
「さあ、行こう! この館にはまだまだたくさんの道具があるんだ」
「え、で、でも……」
た、確かにそれも気にはなるけど……私としては早くドラえもんの鈴を見つけてあげたほうが……。
「怪盗デラックスとやらが何処に潜んでいるかわからない以上、現状はすることがない。俺はもとよりひみつ道具に興味があってきたんだ」
「癪だが同感だ。とっとと案内するワケだ」
え? それでいいのかな? 私はちらりとドラえもんのほうを見る。
すると、ドラえもんは私を見て笑顔で答えてくれた。
「僕の鈴、速く見つかっってほしいけど、デラックスが持ってるんじゃわからないからね。今は楽しもう」
「ドラえもん……うん、わかった」
ドラえもんがそう言うのなら、今は楽しんだほうがいいかもしれない。
そう思いなおした私はクルト君たちの後を走って付いていった。
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「クルト君。これは?」
「これは“木こりの泉”だよ」
「“木こりの……泉”?」
調ちゃんが見ているのは水のたまった輪っかだった。ロボット館なのに、輪っかが置いてあるのが気になったみたい。
木こりの泉かぁ。懐かしいな。
「これはね。こう使うんだよ」
そう言いながら、未来はポケットに入っていたお財布からお金を抜いて、お財布を泉に投げ入れた。
「え? 未来さん、何を?」
「こ、これは不法投棄という奴デスか!?」
「違うよ。見ててね」
未来のお財布が完全に泉に沈んでいく。すると、泉からすごく眩しい光が放たれる。
ザバーンッ!
そこから現れたのは、女神様みたいな服装をしたロボットだった。女神ロボットの手には、未来が入れたお財布と、かなり豪華なお財布が握られている。
女神ロボットはにこやかにほほ笑みながら、未来に尋ねる。
「あなたが落としたのはこの古いお財布ですか? それとも、こちらの高級なお財布ですか?」
「いいえ、私が落としたのはこっちの古いお財布です」
未来の言葉を聞いた女神さまは満足げにほほ笑んで……。
「貴女は正直な方ですね。正直のご褒美にこちらの高級なお財布を差し上げましょう」
「はい。ありがとうございます」
未来が財布を受け取ると、女神さまは静かに泉へと戻っていった。
未来はもらった財布を調ちゃんたちに見せると、皆は興味深そうに見ていた。
「おお、なんとも豪華デス」
「これは……イソップ寓話の“金の斧”か?」
「そう。それをモチーフにしたひみつ道具なんだ」
「これは……どういう仕組みなんだ?」
「無から有を生み出す完全聖遺物“湯津津間櫛”に“打ち出の小槌”、対価を差し出すことで情報を閲覧できる完全聖遺物“ミーミルの泉”を後世の科学者や錬金術師が解析し、再現したのがこの泉なんだ。ロボットは────遊び心の飾りだね」
「っ!? 完全聖遺物の再現だと!?」
クルト君の説明にサンジェルマンさんは驚いたように叫ぶ。他の皆も信じられないと言った表情でクルト君を見つめている。
実際、私も凄くびっくりした! ひみつ道具と完全聖遺物って、何か関係があるってこと!?
そんな驚きなんか気にせず、クルト君は語りだす。
「そう。22世紀では、数多の聖遺物が出土し、研究も進んだことで、それらを参考にしたひみつ道具も多く作られたんだ。“四次元ポケット”だって、元を辿れば“ソロモンの杖”の亜空間“バビロニアの宝物庫”を再現したものだしね」
「っ! ソロモンの杖だと?」
クルト君の言葉にクリスちゃんが反応する。
そんなクリスちゃんにクルト君は説明を続ける。
「う、うん。でも安心してほしいんだ。かつて猛威を振るった災害“ノイズ”の生産工場だった部分は君たちの活躍によって完全に壊され、ノイズが生まれることはなくなった。ただ、宝物庫自体は健在だから、時たま宝物庫が開くことがあったらしいんだ。それを、当時の科学者や錬金術師が解析、研究をして作ったのが“四次元ポケット”なんだ。それぞれが完全独自の次元につながるこのポケットのおかげで、この時代に人達はたくさんの道具を一度に持ち運べるようになったのさ」
そう言いながら、クルト君は四次元ポケットをクリスちゃんに見せる。
「君がノイズを殲滅してくれたおかげで、これが作られた。全部、君たちのおかげなんだよ。僕のおじいちゃんや師匠も言ってたんだけど、道具そのものに罪はない。重要なのは、道具をどう扱うか……なんだよ。“ソロモンの杖”もそう。悪いのは、それを悪用した人で、君のせいじゃない。どのみち、時代が進めば、悪用する人は必ず出てきたはずだからね」
「……そうか。なんか、気ぃ使わせちまったみたいだな。でも、ありがとな……。……そう簡単に、割り切れるもんじゃねえけど、おかげで少しは気が楽になったぜ」
「ううん。このくらいなら、平気へっちゃらさ」
「……へ?」
クルト君の言葉に私は反応する。
……今の言葉って……。
「ねえ、クルトく────って、うえぇぇぇ!?」
「な、なんだ!?」
「体が!?」
「な、な、なんデス!?」
私がクルト君に質問しようとすると、突如として私達の身体が引っ張られる!
な、なにこれ!? 何かに吸い寄せられてる!?
抵抗することもできずに私達は一気にどこでもドアに吸い寄せられてしまった! せ、狭いよぅ!
「「「「「うわあ~!!」」」」」
一気にどこでもドアを潜り抜け、私は思い切り顔から地面に激突してしまう。
痛たっ……。ここは……?
顔をあげるとそこには────
カムカム
手招きをしている猫の置物が置いてあった。
な、なるほと……これに吸い寄せられてたのか……。
「な、なんだ。カムカムキャットに呼ばれてたのか……」
「こ、これもひみつ道具なのか?」
「う、うん。お店に置くと、お客さんを呼び寄せてくれるんだ……」
「あら? これって、以前サンジェルマンやプレラーティと泊まったホテルにも置いてなかったかしら?」
「そういえば見覚えが……」
「あ、そのホテルってもしかして“つづれ屋”さん?」
「そういえば、そんな名前だったと思うが……」
「そこは響やドラえもんと一緒に小学生の時にお泊りした場所なんです。当時は少し寂れてて……建て直してあげようということで貸してあげたんですけど……」
「もう電池は切れてるとは思うけど、潰れなかったんだ! よかった〜! 今度また遊びに行こうよドラえもん!」
「う、うん。そうだね……ところでここは……?」
ドラえもんに言われて当たりを見渡すと、そこにはたくさんのコピーロボットが展示されていた。
「こ、これは……」
「こ、コピーロボット……」
「な、なんでこんなところに……」
「ん? どうかしたの?」
こ、コピーロボットを見ると……つい最近起こったあの事件が脳裏に……。
……はぁ、あれは本当に大変だったな……。師匠も反省してたけど、壊れるのがあと一歩遅かったら、潜水艦が壊れてたかもっていうし……。
「ここはコピーロボットに自分をコピーして遊べるコーナーさ。“イケメンコピーロボット”や“性転換コピーロボット”なんてものもあるし、なかなか面白いよ」
「い、いえ、私達は遠慮します……あ、あははは」
クリスちゃんやS.O.N.Gの皆も見れば苦笑いしている。やっぱり、あれがトラウマになってるんだろうな……。
チリンチリン!
!?
今のって、鈴の音!?
ドラえもんも聞こえたみたいで、私と同じ方向を振り向いている。
そこにあったのは────大きな穴だ。これって、“抜け穴フープ”かな?
私とドラえもんは目を合わせ、うなずき合うと、滑り台みたいな穴へと飛び込んだ!
「ドラえもんの鈴かな?」
「わからないけど、行ってみる価値はある!」
私達はそのまま“抜け穴フープ”の通り道を抜けて顔を出す! そこにあったのは────
「すっぽん釣りはいかがだかー」
「「ご、ゴンスケさん!?」」
「ん? ああ、なんだおめえらだべ」
そこにいたのは“ギャラクシーカーレース”でお世話になった自転車屋さん────ゴンスケさんだった。えーと、こんなところで何を……?
「バイトだバイト。自転車だけじゃ火の車だべ」
な、なるほど……。確かに、言っちゃ失礼だけど、そこまで儲かってなさそうだったし……いろいろなところでアルバイトしてお金をためてるんだな。ご苦労様です。
ふと、上を見上げると、ゴンスケさんの持っているのぼりには大きな鈴があり、ゴンスケさんの挙動とともにチリンチリンと音を鳴らしている。この鈴の音だったのか……残念。
「おめえらもやるか? すっぽん釣り」
「「すっぽん?」」
「正確にはすっぽんロボだ」
あ、本当だ。カメみたいなロボットが“お座敷釣り堀”の中を悠々と泳いでいる。金魚釣りみたいで面白そう。
「すっぽんロボ釣りか……釣り上げたロボはもらっていいのか?」
「ん? あ~別に構わんべ」
「「よし、ならば俺(私も)がや(るワケだ)ろう」」
全く同じことを言うと、ギリギリとお互いをにらみ合うキャロルちゃんとプレラーティさん。仲がいいのか悪いのか……。でも、二人が釣りに興味を持つなんて珍しいな。あまり興味なさそうなのに……どうしたんだろう?
(ククク、未来のロボットを持ち帰るいい機会なワケだ。“すっぽんロボ”のような一見くだらないものでも、私たちの時代では使われない素材や回路があるかもしれないワケだ)
(それを俺の研究室で独自に研究すれば、俺の錬金術のさらなる発展につながるかもしれん)
「アラ、面白そう。じゃあ、どっちが先に釣り上げるか競走ね♡」
「「ふん! こいつには死んでも負けん(ワケだ)!!」」
カリオストロさんの言葉とほぼ同時に二人は釣竿を投げつける。二人ともただならぬ気迫を感じる。
二人は思い切り釣竿を投げつけると、すさまじい水しぶきが上がる! その水しぶきのせいで、ドラえもんがずぶぬれになっちゃった!
「わっ! 大丈夫、ドラえもん!?」
「……なんとか」
ドラえもんは少し疲れたような目をしながら四次元ポケットからハンカチを取り出す。その次の瞬間────
「「俺(私)の勝ち(なワケ)だ!」」
キャロルちゃんとプレラーティさんが釣竿を思いきり振り上げる! そこには、二つの竿に同時につかまっているすっぽんロボの姿があった!
すっぽんロボはそのまま重力に従い、ドラえもんのほうに落ちていき────
すっぽん!
ドラえもんの────四次元ポケットの中に入っちゃった!?
「あ! 勝手に……僕のポケットから出て────って、痛ったあああああああ!?」
ドラえもんはポケットに入ったすっぽんロボを追い出そうとするも、逆に手を噛みつかれてしまった! うぅ、痛そう。
「ど、ドラえもん、大丈夫!?」
「ハハハ。そんなか気に入ったんだな。しばらく飼ってやれい」
「そ、そんな! これじゃあ、ポケットが使えないよ」
ドラえもんが元凶である二人を見ると、流石にいたたまれなくなったのか、目線を合わせず知らんぷりしてしまった。
そんな二人にドラえもんは何も言わず、ため息をつくだけだ。
「アヒャヒャヒャ! 踏んだり蹴ったりですね~! そもそも痛覚みたいな無駄な機能があるからダメなんじゃないですか~?」
「ちょっと! あなたさっきから……」
「はあ~、性根の腐ったガリィらしいな。すまんなドラえもん」
ガリィちゃんを見て頭が少し冷えたのか、ドラえもんに謝るキャロルちゃん。
それを見て、サンジェルマンさんはプレラーティさんに謝るように促す。
「ほら、プレラーティ」
「ふん。すまなかったワケだ」
「あ~、うん。別にいいよ」
ドラえもんも謝られたら何も言うことなかったようで、二人を許した。
ゴンスケさん曰く、すっぽんロボは数日で電池が切れるらしいから、それまでは待つしかないらしい。
その間、ドラえもんのポケットは使えないのか……。大丈夫かな、ドラえもん?
「ねえルトルト。あれは何?」
私がドラえもんの心配をしていると、創世ちゃんが何かを指さした。
そこにあったのは、大きい球体だ。ふよふよと飛んでいて、何かを閉じ込めているようにも見える。
「ああ。あれは“ガードロボ”を閉じ込めている檻だよ。ちょっと待ってて」
クルト君はそう言うと、手元にある端末を操作して、大きい球体の建物を手元へと引き寄せた。
すると、扉が開き、階段が私たちのもとへと伸びてきた。階段をのぼり、球体の中に入っていくと、そこには大きな一つ目のロボットが鎖でがんじがらめにされていた!
「これは……」
「これは22世紀で最強とまで称されるロボット……“ガードロボ”さ!」
クルト君が紹介してくれた目の前のロボットは、鎖で縛られている。それにもかかわらず、すさまじいまでの存在感を放つのだった。