ドラえもん 響と戦姫絶唱シンフォギア   作:はんたー

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映画ドラえもん 響とひみつ道具博物館⑦

 ??? side

 

 

 

 

 

 

 カンカンカンカンッ! 

 

 博物館の何処かに存在する秘密の部屋。銀髪の老人がビーカーをフォークで叩き、音を立てる。

 それを苛立ちながら、ジト目で見つめる少女。

 

「おじいちゃん。お行儀悪いわよ」

 

「まあ、ええじゃないか。皆、聞いてくれ!」

 

「なんですか、博士?」

 

 興味深そうに老人を見つめながらケーキを貪る少年────クルトは尊敬の眼差しで老人を見つめる。

 それを認識した老人は、咳払いをすると自慢げに言う。

 

「長いことグルトに手伝ってもらい、ジンジャーに家計を切り詰め、コツコツと作ってきた『ペプラーメタル製造マシン』がついに完成間近となった!」

 

「わー! どんどんパフパフ!」

 

 クルトは嬉しそうにラッパのジェスチャーをする。それに対し、少女────ジンジャーは冷ややかや目を老人に向ける。

 

「見給え! これが完成すれば、我々は悲願ともいえる夢の金属“ペプラーメタル”製造に取りかかれるのだ!」

 

「ついにここまで来たんですね! ペプラー博士!」

 

 クルトは感激の涙を流しながら、装置を作った老人────ペプラー博士を見つめる。

 ペプラー博士はそれを見て、満足気に頷きながら装置を指差し演説を始める。

 

「ハルトマンが作った“フルメタル”。こいつは聖遺物の力すらも再現する凄まじい金属だ。コイツの発見により、聖遺物の研究は大いに進み、今では“ひみつ道具”という名で大衆に親しまれるまでになった!」

 

 そう言いながらペプラーが見せるはひみつ道具と聖遺物の記録映像。

 それを微笑ましげに眺めるも、「だが」と前置きを言い映像を閉じる。

 

「この夢の金属フルメタルの元となる金属はどんどん減っている。宇宙規模での捜索も行われているが、著しい結果は出ていない。このままでは、フルメタルは尽きてしまい、ひみつ道具を作ることは不可能となるだろう……しかし、ペプラーメタルは違う! この装置を使えば、フルメタルと同等の力を持つペプラーメタルを量産できる! こいつを使えば、アルミだろうが鉄だろうが、勿論フルメタルだろうが何でもペプラーメタルに変換できるのだ!」

 

「凄すぎますよ! これがあれば、ひみつ道具は益々発展を遂げますね!」

 

「そうとも! そして、このペプラーの名は永遠に歴史に刻まれることとなるのだ!」

 

「博士────!!」

 

 ペプラーの演説に聞き入り、涙を流すクルト。しかし、相変わらずジンジャーは冷めた目で2人を見つめていた。

 

「……もう歴史に残ってるじゃない。悪い意味で」

 

 ジンジャーは呟く。しかし、興奮している2人の耳にその言葉が届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 切歌side

 

 

 

 

「はあ……はあ……む、向こう岸が遠いのデス……」

 

「当然だろう。俺達の大きさは本来の三十分の一程度……歩幅からしても違いすぎる。通常の大きさの一歩が、今の俺たちにとっては数十歩にも及ぶだろう……」

 

 流石はキャロル……計算がとても早いのデス。

 

「全く、なぜ私がこんな目に遭わないといけないワケだ……」

 

「こっちのセリフだ。先程も俺の邪魔をしやがって……お前がおとなしくしていれば、先程の係員に俺達の存在を知らせることができたものを……」

 

「それは此方のセリフなワケだ!」

 

 そう言いながら、キャロルとプレラーティはまた喧嘩を始めてしまったデス。仕方がない二人デスね……って!? 

 

「あ、危ないデスよ! 二人とも!」

 

「「む? ……って、うおっ!?」」

 

 私の叫ぶ声と同時に二人を覆う影。

 二人が上を見上げると、そこにはでっけえ巨人の大きな足が二人を踏み潰すところだったのデス。

 咄嗟に二人は足を避けて様子を見る。どうやら、あの大きな人達は私達に全く気付いてないようデスね。

 

「……ここは、沢山の人がいて危ないね……」

 

「そうですね……もしも踏み潰されたら……うう……」

 

 調がそう言いながら、ひみつ道具の陰に身を寄せている。見ると、セレナも一緒のようデスね。

 

「……なるほど。ここはひとまず、ひみつ道具を影にしながら移動をしたほうがよさそうだな」

 

 そう言いながら、キャロルとプレラーティは身近にあったひみつ道具の陰に隠れるように身を潜める。

 確かにここは危ないデスし、こんなふうに隠れながらドラえもん達と合流したほうがよさそうデスね。

 流石調! 頭が良いデス! 

 

「取り敢えずここに……」

 

 カチッ! 

 

 一番近くにあったひみつ道具の陰に隠れ、手を当てる。すると、何かスイッチを押したような音が響いてきた。

 

「え? ────って、デスゥッ!?」

 

 一瞬呆けた後、間髪入れずに足元の地面がなくなり、真っ逆さまに落ちそうになった! 

 な、なんデスこれは!? 

 

「き、切ちゃん!?」

 

「切歌さんっ!?」

 

 調とセレナが落っこちそうになってる私を助けようと、こちらに駆け寄ってくる! しかし、その後ろには大きな子どもが走り回っていて、気付かずに調達を踏み潰そうと────

 

「あ、危ないデス! 調、セレナ!」

 

 ドドドドドッ!! 

 

「「きゃあっ!」」

 

 調とセレナは子供達の足を何とか避けたものの、その風圧で吹き飛ばされてしまう! 

 そして、私もその風圧に耐えきれず、とうとう手を離してしまう! 

 

「し、調────ッ! セレナ────ッ!」

 

「うう……はっ、き、切ちゃん!!」

 

「切歌さん!」

 

 すかさずに私の手を掴む調とセレナ! 

 でも、シンフォギアを纏ってない調とセレナでは私の体を支えきることができず、諸共おっしょに穴の中に落ちてしまう! 

 

 

「「「きゃ────っ!?」」」

 

 こ、このまま地面に叩きつけられたら、一気にお陀仏デス! 

 一気に下におちていく私たち! 頭の中には今までの思い出が走馬灯のように溢れてくるのデス! 

 こ、こんなところで終わるだなんて……ああ……短い人生でした! 

 

 ゴンッ! 

 

「痛てっ!」

 

「キャッ!」

 

「うぅ……」

 

 もたれかかるように倒れる私達……そのまま力は抜けて…………ないデスね。

 アレ? あんな高さから飛び降りたのに、そんなに痛くない? 

 

「き、切ちゃん……大丈夫?」

 

「し、調────!」

 

 き、奇跡が起きたデス! シンフォギアを纏わずあんなところから飛び降りたと言うのに、無傷だなんて! 

 

「無事か? 三人共」

 

「全く、何をやっているワケだ?」

 

 そう言いながら、上からキャロルとプレラーティが見事に着地しながら落ちてきたのデス。

 あ、あんなに高いのによく着地できるデスね……一体どんな錬金術を……。

 

「錬金術など使ってない。これは今の俺たちが小さいからこそだ」

 

「デス?」

 

 小さいから大丈夫? 一体全体どういうことデスか? 

 

「落下の衝撃というのは「質量×速度の二乗」で算出される。当然、落下の衝撃が大きければダメージは凄まじくなるが、落ちるものの質量によって衝撃は変わるわけだ。つまり、普段のサイズならいざ知らず、今の俺たちの大きさならば適切に受け身が取れれば飛び降りても問題ないということだ」

 

「……つまり、どういうことデスか?」

 

「……例えば、象が高いところから落ちたら死ぬが、蟻が高いところから落ちても死なんだろう。俺達が小さいから同じ現象が起きたということだ」

 

 な、なるほど……だから私達は無事に着地できたということデスか。小さくなってることに感謝デスね。

 

「しかし、ここはどこなワケだ? いつの間にか天井の穴もふさがってしまってるしな……」

 

「整備用……もしくは展示品を交換するための穴だったのかもしれんな。それにしては、妙なところに落ちた気もするが……」

 

「……ねえ、あそこから少し、風が吹いてる感じがしない?」

 

 調の言葉を聞いて、指さす方を見る。確かに、少しだけ風が吹いてるみたいデスね。

 取り敢えず、上には戻れないので私達は先に進むことになった。

 少しだけ歩くと、すぐに開けた場所にでた。

 

「なんだここは……?」

 

 キャロルが指先から明かりを灯すと、そこは物置のような場所でした。

 一体全体ここはどこなんでしょう……。

 

「なんかたくさんのひみつ道具がありますね────っ!?」

 

 キョロキョロとあたりを見回していると、セレナは驚いたように目を見開き、何かに指をさす! 

 

「み、皆さん! あ、あれ!」

 

「ん? ……っ、これは!?」

 

「ま、まさか!?」

 

 セレナが指差した方角にいたのは、スーツ姿の巨大なロボット! 片目にだけメガネをしていて、シルクハットを被った、怪盗らしい姿! 

 あれは予告状で見た……っ! 

 

「「「「怪盗デラックス!?」」」」

 

 そう、そこにいたのは怪盗デラックスその人だったのデス! 

 でも、全然動く気配がありませんね……チョンチョンとつま先を突いてみても、反応すらない。寝ているんデスかね……? 

 

「これは……ロボット? いや、パワードスーツか?」

 

「なるほど……中には誰もいないみたいだな」

 

 ぱ、パワードスーツデスか? そうなると、ここはデラックスの物置ということなんデスかね? 

 

「ふむ。ここに来たのは偶然だが、都合がいいな」

 

「ああ。発信機でもつければ、デラックスの正体を掴めるかもしれんワケだ」

 

 そう言いながら、キャロルとプレラーティはデラックスのスーツに近づいていく。

 確かに、そうすれば一気に事件も解決デス! これで、一件落着デスね! 

 

「ん?」

 

 ここで、何かが近づいてくる気配がする。なんデスかね? 

 目を凝らしてみると、桃色の変な機械が音を立てながら、こっちに近づこうとしているのデス! 

 

『オソウジシマス! オソウジシマス!』

 

 お、お掃除? こ、このロボットは一体!? 

 

「これは……掃除機か?」

 

「どうやら、虫も潰してるな……害虫駆除も兼用しているワケだ」

 

 た、確かにこのロボット、ゴミを口で吸い込みながら、手みたいなパーツで虫をペッシャンコにしているのデス……うぅ、グロテスクな映像デース。

 

「……おい、ちょっと待て。こいつこっち見てないか?」

 

『オソウジシマス! オソウジシマス!』

 

 ガンガンッ! と、お掃除ロボットはでっかい手を叩きながら、こちらに迫ってくるのデス……。

 

「……これ、俺達を虫か何かだと認識してないか?」

 

「……ありえるな。このサイズだと、今の私達はまんま虫というワケだ」

 

 こ、これは不味い状況デース……。

 私達は皆揃って顔を青くし、くるりと背を向けて、一気に駆け出す! 

 

「「「「逃げろ────!!」」」」

 

『オソウジシマス! オソウジシマス!』

 

 ドオォォォォンッ!! 

 

 お掃除ロボットの手が、私達をペッシャンコにしようと襲いかかってくる! 

 

「くっ、やるぞ!」

 

「チッ、貴様の意見に乗るのは逆だが、やむを得んワケだ!」

 

 そう言いながら、キャロルはダウルダヴラを奏で、プレラーティはけん玉を構える。

 二人はファウストローブを身に纏うとそれぞれの攻撃でお掃除ロボットをぶっ壊そうとした! 

 

「喰らえ!」

 

「潰れるワケだっ!」

 

 ドゴォオンッ! 

 

 キャロルは錬金術で攻撃する! 

 プレラーティもでっけえけん玉でお掃除ロボットを潰そうとした! 

 

「「なっ!?」」

 

 でも、お掃除ロボットはどこ吹く風でびくともしてない! 逆に此方に攻撃をしてきたのデス! 

 

『オソウジシマス! オソウジシマス!』

 

「くっ、体が小さくなったことで、錬金術の出力も落ちているのか!」

 

「加えて、あの金属……恐らく、ひみつ道具にも使われてる特殊な合金なワケだ。感触からして相当の硬さなワケだ」

 

「二人の攻撃でびくともしないなら、私たちのユニゾンで……」

 

「で、でも、勝手に壊していいんですかね……アレ?」

 

 セレナが心配そうな顔でこちらを見てる。

 それを見たキャロルはじーっとお掃除ロボットを見つめている。

 

「……今戦うのはリスクが高いと言わざるを得んな。ここは退くのが賢い選択か」

 

「……癪だが同感なワケだ。お掃除ロボットがアレ一台とは考えられん。ここで消耗しても、サンジェルマン達と合流する体力が残るかどうかはわからんからな」

 

 た、確かにお掃除ロボットならアレ一台とは限らない……ひ、ひとまずここは退散するしかないデスね! 

 

「切ちゃん、セレナ。私達もシンフォギアを……」

 

「そ、そうデスね」

 

 私達はシンフォギアを纏い、お掃除ロボットの魔の手から逃れんと一気に駆け抜けた! 

 は、早く皆と合流したいのデース!! 

 

 

 

 

 ****************************

 

 響side

 

 

 

 

「それにしても、どこにあるんだろうね、鈴」

 

「怪盗デラックスがこの館内にいるとなると、どこかに隠してあるのかな?」

 

 私と未来、創世ちゃんに弓美ちゃん、詩織ちゃんはドラえもんと一緒に鈴を探していた。

 何処か隠してあるのかもと未来は言うけど、何処にあるんだろう? 

 

「ねえ、ビッキー。あの“ゴルゴンの首”、なんか口元光ってない?」

 

 創世ちゃんはそう言いながら、ゴルゴンの首がいくつか展示されてる方に指差した。

 

「もしかしたら、鈴かもしれないわね」

 

「鈴! 本当に!?」

 

「まあ、でも、本当にこんなところに隠すでしょうか?」

 

「わかんないわよ。アニメだと予想外なところにトリックが仕込まれてるからね……って、ドラえもん早いわね!」

 

 ドラえもんは鈴かもしれないという言葉を聞いて、直ぐ様ゴルゴンの首に駆け寄っていた。

 それを見ながら、詩織ちゃんと弓美ちゃんもゴルゴンの首に近づいていく。

 確か、光に当たると石になっちゃう怖い道具なんだよね、コレ。

 取り敢えず慎重に手を口の中に入れて……。

 

「……あれ?」

 

「どうしたの、響ちゃん?」

 

「……抜けない!」

 

 な、なんで!? 何かが引っかかってるみたいで全然抜ける気配がないんですけど!? 

 で、でも何が引っかかってるの? 

 そう思いながら、無理やりに引っこ抜こうとすると、何かスイッチが入った音がした。

 

「あ、抜けた」

 

 そう思った次の瞬間、地面に穴が開く! 

 こ、これは超空間の穴!? 

 

「「「「きゃ────!?」」」」

 

 まるで“抜け穴ボールペン”で作ったような穴は滑り台のように私たちをどこかに誘導する! 

 いっ、一体何処に行くって言うの!? 

 

 

 ドシ────ンッ! 

 

 痛た……ど、どうやら出口に来たみたい……。

 私達はキョロキョロとあたりを見渡す。何処かの通路みたいだけど、何処なの? 

 

「この感じ……展示の通路と言うよりは、係員の通路……という感じがしますわ」

 

「ちょっと! 私たち、変なところに出ちゃったんじゃない!?」

 

「裏側に来ちゃったのかな……?」

 

 た、確かに展示に続く通路と言うよりは、何処となくお固い感じの通路だね……も、戻ったほうがいいのかも。でも、超空間の穴は消えちゃったし、どうやって戻れば。

 

 ん? 

 

 そう考えていると、ドアが急に現れる。ガチャという音と共に金髪の女の子がドアからひょこっと出てきた。

 

「じゃあ、行ってくるね────ってうわぁ!?」

 

「「「「うわあっ!?」」」」

 

 女の子の大声にびっくりした私たちは思わず悲鳴をあげる! 

 女の子は私たちの姿を見るや、ドアをバタンと閉めた! そのままドアが消えたのを見る限り、どこでもドアだったのかな? 

 あの女の子は一体……そう考えながら、呆然と私達は立ちすくんでいた。

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