仮面ライダーディボーン   作:地水

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仮面ライダーディボーン・後編

「仮面ライダーディボーン、復活……なんてな」

 

暁が変身を遂げた仮面の戦士・仮面ライダーディボーン。

恐竜にも昆虫にも見えるその姿に、瀬恋奈は目を丸くして驚いていた。

 

「一体、なんなのそれ……」

 

「瀬恋奈さん、危ないから下がっていて……さぁて、いくぜぇ!」

 

瀬恋奈を下がらせると、ディボーンはパキケファロディンクルスを見据え、飛びかかっていった。

対するパキケファロも石頭恐竜を模した両腕を構え、思いっきり片足を踏み出してダッシュ。

 

「トリャァア!」

 

『ダリャアアア!!』

 

ディボーンとパキケファロ、ぶつかり合う拳と拳が衝撃波を生み、その余波が周囲へと飛んでいく。

間髪入れずパキケファロが空いた拳で振りかぶり、ディボーン目掛けてアッパーをかます。

 

『ドッセェイ!』

 

「あーらよっと!」

 

ディボーンは放たれたパキケファロのアッパーカットを避け、その際に吹き起った風をその身に浴びる。

すると、ディボーンの背部に生えているトンボの羽を模したマフラー・グライディングフェザーを展開、その身に受けた風を利用し、空へと舞い上がった。

 

「ハッ!!」

 

『なっ、飛んだ!?』

 

「飛べるんだよなぁ、これが!」

 

上空へと飛び上がったディボーンは上空を縦横無尽に駆け巡り、空中でホバリング状態になりながら見下ろす。

 

ディボーン・メガネウラクロスの固有能力である『高速飛翔』、古代の巨大昆虫・メガネウラやその子孫である昆虫・トンボの有する高い飛行能力をメガネウラクロスにて行使することができる。

大空に舞い、天空から相手を翻弄するのがこのディボーンの特徴だ。

 

ディボーンは大空から急降下、地上にいるパキケファロを翻弄し、その身軽な動きで蹴りをお見舞いしていく。

 

「そりゃそりゃそうりゃっと!!」

 

『ぐぉぉぉぉぉぉ!!』

 

空中からの飛び蹴りを放ち、その反動を利用して再び上空へ飛行。

そして身体を翻して、反転した状態で急降下しながら飛び蹴りを叩き込んだ。

 

「ドリャアアアア!!」

 

『ぐぉぉぉぉ! 貴様、これほど強いとは……あの女より先に、貴様を倒さなければ!』

 

ディボーンの繰り出す空中殺法に翻弄されるパキケファロは、手元に取り出した牙型アイテム……否、Dファングのスイッチを押す。

 

【RAPTOR-PLATOON】

 

電子音声と共に"ラプター・プラトゥーンDファング"から立体映像・ホログラフアバターが飛び出し、いくつもの恐竜人間を生み出した。

その数は十体……緑を基調とした迷彩柄の体色のボディ、手元には爪を模した湾曲した片刃のナイフ。小型恐竜・ラプトル種の特徴を兼ね備えたディノンクルスである戦闘員『ラプター・プラトゥーン』が出現。

彼らは武器のナイフを構え、身軽な動きで上空を飛ぶディボーンへと攻撃を仕掛けてくる。

 

『『シャァ!!』』

 

「あっぶなっ!?」

 

まず3体のラプターが自らの肉体で足場を作り、肩に飛び乗った他のラプター達3体が大きくジャンプ。

振りかざされた斬撃をディボーンは何とか避けつつ、地上へと着地。

だがそこへ、残ったラプター達4体によるナイフが迫る。

 

『『『『ダラッシャ!!』』』』

 

「ぐあっ!?」

 

『ラプターズ、よくやったぁ! 最後は……オレっちだぁぁぁ!!』

 

「ちょちょちょっまっ、どわぁぁぁッ!?」

 

ラプター達に翻弄されるディボーンの所へ、隙を見計らって突撃してきたパキケファロが迫る。

ディボーンが気付いたころにはラプター達が飛び退いた瞬間、パキケファロの頭突きが炸裂していた。

そのまま大きく吹っ飛び、柵を突き抜けて海の中へと突っ込んでいく。

その様子を見て、物陰に隠れていた瀬恋奈は叫んだ。

 

「暁さん!」

 

『フッハッハッハ! オレっちディノンクルスの力、どんなもんだよ!!』

 

敵であるディボーンを倒し、調子に乗っているパキケファロはボクシングのジャブを海へと向けながら言い放つ。

後は、自分にガンを飛ばした挙句見たこともない体捌きで受け流した瀬恋奈(あの女)を倒すだけ。

そう思ってラプター達と共に海へと背を向けたその時であった。

 

 

【MAMMOTH】

 

 

【D-READ…MAMMOTH】

 

 

「クロスチェンジ! マンモス!」

 

 

ディーリードライバーの電子音声と、ディボーンの声が海から響き渡る。

その直後、海から巨大な水柱が巻き上がり、パキケファロ達へと塩水を含んだ海水が降りかかる。

 

『げほげほっ、しょっぺぇ……いや、今なにがおきて……!?』

 

「―――おっりゃあああああああ!!」

 

『って、ぱきふぁろぉッッ!?』

 

人生初めての海水のしょっぱさが身を持って染みる中、水柱から現れた存在によってパキケファロは大きく吹っ飛んだ。

水飛沫と共に現れたのは、重厚な姿を変えたディボーン。

オレンジと銀色のアンダースーツの上から纏うのは鈍色の重圧な装甲、両腕には盾とも見間違うほどの巨大な籠手。

顔を覆うマスクは象牙が角のように生え、赤い瞳を持った鈍色の仮面に変わっていた。

その姿をディーリードライバーが高らかに名乗り上げる。

 

【D-BONE! MAMMOTH-CROSS】

 

「たっく、海なんかに落としやがって……」

 

『アカツキ、マンモスのフルパワーでラプターズをぶっ飛ばせ』

 

「ああ! こりゃ一つ、ド強いのお見舞いしてやるからな!」

 

剛力形態ともいうべき"ディボーン・マンモスクロス"は、両腕の籠手・ブレイクフィストを構えて、ゆっくりとした足取りで進みだす。

一歩、一歩踏み出すたびに地面は軋み、巨大な足音が響き渡る。

迫りくる重量級の戦士と化したディボーンへラプター達は襲い掛かる。

 

『『『シャッ!』』』

 

『『『ジャッ!』』』

 

『『『『ギャッ!』』』』

 

「甘い……んだよぉッ!!」

 

一斉に振り下ろされるナイフをブレイクフィストで防ぎ、そのまま耐えるディボーン。

ナイフの刃はディボーンの身体に傷つけるところか突き刺さることもなく、逆に力を込められて力任せに跳ね除けられた。

 

ディボーン・マンモスクロスの固有能力は『超剛力』、かつて恐竜亡き後にて自然界に君臨していた野生の王者・マンモスと彼らの子孫であるゾウの頑丈な肉体とタフなパワーを有している。

有り余る怪力と無尽蔵のタフネスによってどんな高い壁も打ち壊すのがこのディボーンの特徴だ。

 

ディボーンは吹っ飛ばしたラプター達を見ると、マンモスDファングを取り出して、ディーリードライバーに読みこませる。

 

【D-BITEING DYNAMIC! MAMMOTH】

 

「いくぜ、―――チェストォォォォ!!」

 

ディボーンは力強く大空へジャンプし、降下しながらエネルギーの溜めたブレイクフィストをラプターへと振り下ろす。

拳による一撃を叩き込む『マンモス・ヘビーナックル』を受けたラプター達は爆発を起こしながら消失。

取り残されたパキケファロはディボーンを歯軋りしながら睨みつける。

 

『きっさまぁ……よくもまぁラプターズを!』

 

「次はお前の番だ、ディノンクルス!」

 

『抜かせ! オレっちの高速ラッシュをお見舞いしてやらぁッッ!!!』

 

怒号を上げながらディボーンとの距離を一気に詰めたパキケファロは、両拳による連続パンチを繰り出した。目にも止まらぬ速さの一撃をマンモスクロスのタフさと防御力で防ぎながら、耐え凌ぐディボーン。

だが、パキケファロが繰り出す猛烈のラッシュは続いていく。

 

『ぶっこみ、ブッコミ、特攻(ぶっこみ)だぁぁぁぁ!!』

 

「こんのっ、一撃一撃が重すぎる!? このままじゃ……」

 

『速さには速さだ! サーベルタイガーで見切れ!』

 

「そうだ! その手があったか!」

 

ブレイクフィストで耐えるディボーンは、ディーリーの言葉に従い、新たなるDファングを取り出した。

鈍色のマンモスDファングとも違う、黄金(こがね)色のDファングをディーリードライバーに読み込む。

 

【SABER TIGER】

 

【D-READ…SABER TIGER】

 

「クロスチェンジ! サーベルタイガー!」

 

ディボーンが叫んだと同時に装甲が変化、黄金色の光が包み込み、その姿を変化させていく。

黄金色を基調とした軽装の装甲を纏い、両足に装着しているのは追加装甲・スミノドンレッグ。

顔を覆うマスクは大きく生えた剣歯が生えたサーベルタイガーを模しており、水色の瞳を持った黄金色マスクに変わっている。

 

【D-BONE! SABER TIGER-CROSS】

 

「疾風迅雷、縦横無尽の超高速でぶっちぎってやるぜ!」

 

高速形態を謳う"ディボーン・サーベルタイガークロス"となり、パキケファロの連続パンチの嵐を再び掻い潜っていく。

パキケファロは一撃一撃を魂込めて振り放つ……だが、ディボーンはメガネウラクロスの時以上にそれらを何らく避けていった。これにはパキケファロも驚く。

 

『オ、オレっちのパンチが当たらないだとォ!?』

 

「悪いな、なんたってスピードが売りだからな。コイツは」

 

自慢げに特異しながら、ディボーンはパンチのラッシュを掻い潜り、両腕による鋭いチョップを叩き込んだ。

 

ディボーン・サーベルタイガークロスの特徴は『超高速』、古代の肉食獣・サーベルタイガーとそれらを受け継いだトラやライオンといった現代の肉食獣から受け継いだ目にも止まらぬ瞬発力とどんな相手にも迎え撃つ高度な柔軟性を有している。

どんな獲物も即座に食らいつき、瞬く間に仕留めるのがこのディボーンの特徴だ。

 

両脚のスミノドンレッグから強風を噴き出し、その勢いのまま手刀を叩き込むディボーン。その一撃はパキケファロの胴体に深々と刺さった。

 

「セイヤァ!!」

 

『ぐはぁぁぁ!? や、やるなぁ……ディボーン!』

 

「そりゃどうも!」

 

敵ながら褒め讃えるパキケファロに対し、ディボーンは言葉で返すと、手刀を引き抜いて蹴り飛ばした。

空中で一回転しながら、ディボーンはメガネウラDファングを取り出し、ディーリードライバーにセットして読みこんだ。

 

【MENGANEURA】

 

【D-READ…MENGANEURA】

 

「さーて、最後はコイツだ。クロスチェンジ! メガネウラ!」

 

【D-BONE!MEGANEURA-CROSS】

 

サーベルタイガークロスからメガネウラクロスへと戻ったディボーン。

よろめくパキケファロを目の前に、再びメガネウラDファングをディーリードライバーへセット。必殺技をお見舞いするために読みこんだ。

 

【D-BITEING DYNAMIC! MENGANEURA】

 

『一気に決めろ! アカツキ!』

 

「おうよ! いくぜ、ライダーキックってやつをなぁ!!」

 

ディーリーの言葉と共に、グライディングフェザーを展開しながら上空へと飛翔。

空高く舞い上がったディボーンは飛び蹴りの態勢で急降下……突き出したその足を赤熱化させながら、パキケファロへとお見舞いする。

 

「おりゃああああああ!!!」

 

『ふおおおお!?』

 

ディボーン・メガネウラクロスの必殺キック『メガネウラ・バーニングタイフーン』を叩き込まれ、パキケファロは空高く蹴り飛ばされた。

そして、自身の敗北を悟りながらパキケファロは力強く叫んだ。

 

 

『オレッチが倒されても、他の中がいること忘れるんじゃねえぞ……夜露死苦(ヨロシク)ゥゥゥゥゥ!!!』

 

 

―――轟音。

海の中へ落ちた直後、パキケファロは巨大な水柱を上げながら消滅した。

舞い上がった海水に濡れながら、ディボーンは見据える。

 

「これで横浜に潜んでいたディノンクルスは倒したってわけか」

 

『だな、とはいえ油断はできないぞ。まだまだ強敵達は残ってるからな。慢心せずにいくぞ』

 

「ああ、ディノンクルスが何かを企んでるのは明らかだ。それまで俺達の闘いは決して終わらないか」

 

腰のドライバーから聞こえるディーリーの言葉にディボーンは背伸びをしながら答える。

 

ディノンクルス――それは、恐竜の遺伝子を用いて現代に生まれ落ちた人造の恐竜人間。

何処かの企業に所属する『とある人物』が開発に成功したというその生きる最新兵器は、この極東の国・日本を実験場に選び、何体にも及ぶディノンクルスが解き放たれた。

自分の闘争本能に従って暴れまわるディノンクルスから、無辜の人々を守るためにディーリーに選ばれた自分――暁はメガネウラといった古生物のDファングを受け取り、守ることに決めた。それが自分の中に渦巻く義勇なのか、それとも正義感なのかは未だ分からないが……。

 

ディーリーが腰部から離れ、変身を解かれると暁は海の方を向けてこの場から去ろうと背を向ける。

だが、振り向いた瞬間、そこにあったのは絶世の美女の顔――瀬恋奈がそこにいた。

 

「うわぁ!?」

 

「きゃあっ!」

 

「ひ、避難してなかったの!?」

 

「すいません、どうしても暁さんが心配でずっと見ていました!」

 

後ずさろうとする暁、だがその手を瀬恋奈の手が掴んで離さない。

無理矢理振り払おうとするが、ビクともしない。

女性の力にしても振り払えない事に驚きつつも、暁は何とか離れる様に説得を行い始める。

 

「あの、瀬恋奈さん。とりあえず逃げないから離れてもらって……」

 

「ダメです! 助けてもらった上に何もお礼できずに返すなんて私の一生の不覚です! せめてお礼だけでも受け取ってください!」

 

「ああ、本当に……ってダメだダメだ! お礼をもらうためにこんな事やってるわけじゃないんで、とりあえず近い! 近いですから!」

 

「いいえ、『はい』か『yes』までこの手は離しませんから! 離さないですからぁぁぁ!」

 

 

 

『―――おっと、あのディノンクルスのコアファングが落ちてるとは……海の中落ちてなかっただけでもコイツは重畳だぜ。おいアカツキ、コアファングが見つかった……って取り込み中だったか』

 

 

ディーリーは砂浜の渚際に流れ着いたディノンクルスの要・コアファングを見つけ、暁に報告しようとする。だがそんなディーリーの視線に映ったのは、手を握り合いながら抵抗する暁とお礼を受け取らせたい瀬恋奈の二人のやりとり。

これも一つの青春か、とディーリーは感慨深いまなざしで遠くから見ているのであった。




●大体の詳細●

・兵藤 暁
主人公、熱血漢の好青年。元々は福井県の恐竜博物館にて働いていた学芸員だったが、怪我をして倒れていた機械の小型恐竜・ディーリーと遭遇。ディーリーの境遇を聞いて一念発起し、ディノンクルスを倒すために日本を旅をしている。

・梅花 瀬恋奈
ヒロイン、優しい性格の美女。東京近郊のパン屋にてアルバイトとして働いている。幼少の頃は古い歴史を持つ拳法使いの元にいたため、腕っぷしには強いがそんな自分に嫌気が差している。姉に高校で教師として働いている"真理愛"がいる。

・ディーリー
機械の小型恐竜(ディノニクス)。元々はディノンクルス一派の元にいたのだが、疑問を抱き、ディノンクルス達の元から逃げ出した。恐竜形態の"ディノディーリー"と変身ベルトのディノドライバーに変形する。

・仮面ライダーディボーン
暁がディーリードライバーにDファングを読み込み、変身した仮面ライダー。
飛行形態のメガネウラクロス、剛力形態のマンモスクロス、俊敏形態のサーベルタイガークロスを有する。

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