でも血のバレンタインという、コロニーへの専制核攻撃というプラント擁護ポイントを思い出してしまったので、ちょっと1話だけ追加
パトリック・ザラさんは、技術者としてプラントに勤める、会社員だった。
高級技術者として、けっこうなお給料はもらっていたものの、彼には不満があった。
社員食堂のメシが、高かったのだ。
しかも会社の規則で、三食全部を社員食堂で取らねばならない。
「食事というのは、もっと自由で、豊かで… なんというか救われていなければならん!」
とうとう我慢が出来なくなった彼は、労働組合を作って黄道同盟と名付けて、会社の経営陣との交渉に乗り出した。
労働組合を作る権利。その組合で会社と交渉する権利。ストライキ(仕事放棄)などを交渉の武器にする権利。
この労働三権を使って、自分たちの(食)生活を守ろうとしたのだ。
あとちょっと一般社員たちの給料とか待遇も、上げて欲しかったし。
でもそのネーミングはどうかと思う。
ともあれ交渉は、難航した。
パトリック・ザラさんがもう面倒くさくなって、勝手に会社の敷地に家庭菜園を作って、地産地消に走るほどに難航した。
だがそれが経営陣の逆鱗に触れた!
なんとその家庭菜園、と呼ぶにはもう規模が大きく、普通に畑だったその場所に。
経営陣は、事故を装ってガソリン満載のタンクローリーを突っ込ませたのだ!
「笹寿司 絶対にゆるさねえ!」
その事故で妻を亡くしたパトリック・ザラさんは、復讐を誓った。
必ず、邪知暴虐な経営陣は許しておけぬ。
黄道同盟が、労働組合からテロ組織へと変わった瞬間である。名前もザフトとオシャレになった。
そうして徒党を組んで工場を占拠。
そのまま実効支配して、勝手に製品を作って売りさばいたり。
武器や兵器を製造して、武装集団になったり。
ちょっと暴走して、無関係な場所まで含めて超広域テロをやっちゃったり。
わりとまあ、やりたい放題だった。
無論、経営陣も黙ってはいない。対抗して武力制裁に乗り出して……
乗り出して…………ボロ負けした。
まさかのロボに完敗である。
じゃあこっちもロボ作ったらあ!
でもちょっと今、いい工場の空きが無いなあ。
オーブさん! ちょっとご相談が!
たぶんそんな感じで、善意の第三者であるオーブさんが巻き込まれた。
ロボがほぼ完成したタイミングで、ザフトにバレて工場にカチコミかけられて、爆発炎上したくらいにガッツリ巻き込まれた。
だが係わり合いになりたくなかったオーブさん。この出来事を渾身のスルー。
組織としては、抗争にノータッチを決め込んだ。
組織としては。
でも、工場にオーブの社員って、いるやん?
彼らは逃げるのに失敗した。
いや、爆発炎上からは逃げられたのだが。
逃げるために乗った船が、経営陣の船で。
襲撃から生き延びるために、ロボに乗って戦っちゃった
「志願兵だから! オーブとか関係ないから!」
まあ、そんな感じで、成り行きで戦うことに。
もちろん、雑に使いまわされた上に、使い捨てコースである。
捨てられる直前に、船ごと脱走に成功したが。
そんなこんなで戦局は進み。
お互いに後に引けなくなっていって。
もう工場ごとブッ飛ばしたらぁ! という経営陣と、国ごと焼却する! というパトリック・ザラさんの殴り合いになってしまって。
実行されたら、オオゴト過ぎて困るんだよ! という野生の自警団が、両方を成敗! して解決した。
なお自警団の内訳は、脱走に成功した船と、オーブの有志と、グレてパトリックさんから離脱した息子さん… の元婚約者のファンクラブの3つである。
ひとつオカしいのが混じっているが、よく考えたら全部オカしいので、気にしてはいけない。
最初は待遇改善の話し合いから始まったはずだったのに。
どうしてこうなった。
きっと、色んな人がそう思いながらも、戦後処理のための話し合いのテーブルへと付いた。
そのテーブルでまさか無双する人が出ようとは、誰も思っていなかっただろう。
その結果として、火種しか残らないで、数年しか平和が続かないなどという事も。
しかし息子にケジメされてしまって、この世からオタッシャしたパトリックさんにはもう、関係のない話だ。
これで合ってたっけ?と少し不安になった。