今回はお出かけ回ということで、初投稿です(安定)
あれから三日ほどの休養を挟んで、体は完全に回復した。今はルナと遊びに行く約束をしたので、二人でどこに行くかを決めていた。
「ルナはどっか行きたいとこあったりする?」
「んー、デイブレイクタウンでショップめぐりとか、噴水広場でのんびりしたりとか。あ、海行きたい海!」
「おぉ、色々あるなぁ。まあ休みはたっぷりあることだし、全部行こうぜ」
「ステラは行きたいとこないの?」
「俺はー……特にないかなぁ、あはは」
考えてもとくに思い浮かばなかったので、正直に答えた。するとルナにすごい睨まれる。
「し、強いて言うなら、噴水広場でのんびりしたいかなぁ……」
苦し紛れに絞り出したのはいつも通りの場所だった。色んな意味で俺が勝てないのは、ルナだけかもしれないな……。
「じゃあ私とほとんど同じだね。何から行く?」
「さっき言ってた、ショップめぐりしようか」
「よーし、そうと決まれば、今すぐしゅっぱーつ!」
なんかやけに元気だなぁ。まあルナ楽しそうだし、俺も楽しまなきゃ損か。
ルナについて行って着いたここは、洋服屋か。あんまりこういった店には寄らないから、ちょっと入るのに気が引ける。
「ねね、この服どう? 似合う?」
「ああ、似合ってるよ」
「ちょっと、ほんとに思ってるー? まいいや」
俺こういうとこ疎いから返し方がよく分からないな。
30分ほどルナに振り回され、買い物が終わる頃には既に俺はくたくたになっていた。
「やっぱりこういうとこは慣れないな」
「ステラはもっと服に興味持った方がいいよ?」
「いやいいよ……」
「じゃあまだ時間あるから、海行こ! 噴水広場は任務終わりにいつでも行けるし、海でのんびりお話しよ!」
「おっけー。じゃあとりあえずルナは荷物置いてこい。噴水広場で待ってるから」
海か、海ってどの辺にあるんだ? 俺行ったことないから分からないんだが。でもルナのことだから多分行先は決めてるんだろうな。
五分ほど経ってからルナが戻ってきた。
「お待たせ、それじゃあ行こっか。私、行きたい海あるんだよね」
ルナがわくわくした調子でキーブレード―スターライト―を取り出す。キーブレードは人それぞれ、という訳ではなく、皆最初は先端の突起の部分が星型の、スターライトを持たされる。もちろん俺もそうだ。ごく稀に、別のキーブレードを覚醒させる者もいるらしいが。
ルナはスターライトを突き出すような形で構え、ゲートを開いた。
「じゃ、いくよ」
ゲートをくぐるとその先には、紅い空、白い砂浜。そして、青い海が広がっていた。左の方には橋があり、渡った先には小さな島が見える。幹が座れるのではないかと思えるほどひん曲がっていた。
「ここは……」
「ディスティニーアイランド。この島自体はとても小さな島だけど、綺麗な場所でしょ?」
にこにこと微笑みながらルナが言う。
「そうだね、凄く綺麗な場所だ」
そう返事をする。
この場所はとても心地よい。目を閉じて、波の音をよく聞くと、心が安らぐ。
気付けば自然と顔が綻んでいた。
その様子を見ていたルナが、静かに口を開いた。
「こないだ、大型ハートレスの時は助けてくれてありがとう。私一人じゃ、きっと倒せなかった。ステラが助けに来てくれたから、今私はここにいる」
「礼なんかいらないよ。俺は、自分の意思でルナを助けたんだ。ルナは俺にとって、大事な人、守るべき人だからな」
「……そっか。でも、ステラも私にとって大事な人だし守りたい。だから無理はしないで欲しいし、私も強くなる。いつかは離れ離れになることもあるかもしれない。でもまたいつか、生きて逢えるように」
ルナはそう言って、ポケットからなにかを取り出し、俺に渡してくる。
「これは?」
「パオプの実を真似て作った、サラサ貝のお守り。パオプの実を食べさせあったふたりは何があっても、いつか巡り会える。そういう噂があるんだって」
「へぇ、そんな噂が」
「ほんとは実、食べさせ合い、したかったんだけどね。実がなってなかったから、前もって作ったお守り。じゃあ帰ろうか」
ルナは帰りの、デイブレイクタウンに繋がるゲートを開き、先にくぐっていく。
「ありがとう。何があっても、離れていても、必ずルナを守るから」
そう決意を決めた俺の右手には、―約束のお守り―が握られていた。
休みが明け、俺とルナはまた任務に励んでいた。任務前にイラ様には、一週間俺とルナでコンビを組んで任務にあたれと言われ、なぜ急にと疑問を抱いたが、ルナと一緒ならいいかと思って特に気にしなかった。
そういえば、今もつけているが、結局このバングルのことは気にしなくていいのかな。黒チリシィに闇を利用してると言われたが。チリシィに聞いてみるか、いや今はルナが近くにいるんだ。下手に話を聞かれればルナが巻き込まれかねない。
「ちょっとステラ? 何難しい顔してんの、ちょっとは手伝ってよ」
「ああごめん。でもこれくらいならルナでも楽勝だろ?」
今日の任務は小型ハートレスの討伐。今回は黄昏の街―トワイライトタウン―での任務だ。
「まあこいつらは弱いから問題は無いけど。そういえば、そのキーブレードどうしたの?」
「ん? ああ、これ? なんか気付いたら持ってたんだよね」
「ふーん、名前はあるの? 見たことないやつだけど、白くて綺麗な色してるね」
「たしかに、いい色してるよな。名前は……」
名前なんだったっけな。
「―約束のお守り―だよ」
え? 今俺が言ったのか? 口が勝手に動いたんだけど。こわっ。しかも、無意識で喋った割にやけに発音がしっかりしていた。
「へぇ〜、いい名前だね」
「にしてもここすごい綺麗な街だよね。夕焼けで空が紅く染まってる。まるでこないだ行った島みたいだね」
「たしかに、ちょっとにてるよな、雰囲気は」
「近くに凄いでかい時計台もあるみたいだよ、後で行ってみよー」
「全く、任務終わってからだからなー」
そんな他愛のない会話をしていると、突然物凄い地響きがした。
「これは、まさか。……ルナ!」
「うん、これは大型ハートレスかもしれない。時計台の方から聞こえたよ!」
「急いでいくぞ!」
時計台は他より高い位置にある。坂を上って間に合うか? 近くに人が居なければいいが。少し離れたところで街の人の悲鳴が聞こえてくる。
「これじゃ間に合わないな。ルナ! 俺は屋根を伝っていく! ルナは住人をなるべく早く避難させてくれ!」
「わかった! こっちが終わったらすぐ行くから!」
ルナと別れてからしばらく、ようやく騒動の中心にたどり着いた。時計台の近くは広場のようになっているのか。
人気のない広場には、一体の異様な気配を纏った大型ハートレスが佇んでいた。
執筆裏話
今回の話を書いている時、少しにやにやしながら書いてたよ。ただのヤバいやつだね!( ・∇・)
第四話は書き途中なので、完成したら投稿します。予定は夜です