たとえ、この命に代えても   作:刹那木ヤクモ

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生存報告+新作です。


プロローグ

夢を見た

 

目の前で親友が僕を庇って死んだ

 

だが妙に生々しく、妙にリアルな夢だった

 

 

当時の僕は、何だかリアルな夢だな。ぐらいの認識だった。そう、だったのだ。

まさか2回目があるとは思いもしなかっただろう。2回目では、親友は鉄の巨人に焼かれた挙げ句、身体をその鋼鉄の腕に貫かれ吊られていた。

 

 

流石にここまで来ると現実に起こりうることなのかなと思い始めるだろう。だが、能天気な事に僕はなんか不吉だなぐらいに思ってしまっていた。

 

極めつけは3回目だ。

2回目の直前から始まったその夢は、怖いほど現実的だった。親友が僕の代わりに巨人と戦い、敗れ、死んだ。言葉にすると数秒、時間にしても数分程度だが、その時間はやけに長く感じた。ここに来てようやく、現実で起こる可能性に気づき始めた。だが、もう遅い。

 

 

親友──織斑 一夏に、IS適正があることが判明した──

 

 

そう、親友がニュースで大々的に取り上げられるほどの大事件をやらかしてくれやがったのだ。このせいで、僕らも適性検査を受けることになった。

その親友は、昔から特別な人間だったと思ってるし、そんな恵まれた環境で過ごしてきた筈だ。

世界最強の弟、その肩書きは例え自分の勝ち取ったものでなくとも大きな意味を持つだろう。

だから僕は彼だけが特別なのだと、だから適正があったのだと、そう思っていた。

 

だが、そうではなかった。

 

なんの因果か、僕にも適正があった。IS適正、と言うものだ。これについて説明するにはまず、IS──インフィニットストラトスについて語らなければならない。

 

ISとは、宇宙空間での活動を前提とした、マルチフォームスーツで、パワードスーツという部類に入る。前述した通りに宇宙空間での活動を前提としている物なのだが、製作者の意向通りには行かずに良く言えば競技用、悪く言えば軍事用のパワードスーツとして扱われている。もともとは軍事転用万々歳みたいになっていたが、アラスカ条約と呼ばれるもので、表面上はスポーツのみとなっている。──と、適正判明後に連れてこられたホテルの一室でおっさんに語られた。

 

次に、IS適正というのは、ISが抱えている致命的な欠陥と共に知るべきだと、これもおっさんが言っていた。

ISが抱えている欠陥とは、女性しか起動させれない。この欠陥は、今の政治にも影響しており、女性を尊び男性を卑下する。そんな状態になっている時点でもうお察し。

 

それはそうと

 

ISの欠陥について語ったが、次はIS適正についてだ。IS適正とは自分がどれだけISを乗りこなせるか。簡単に言ったらそれを指し示す一種の指標だ。僕の記憶が正しければE~Sまでがあり、Eは動かせない、又は殆ど動かせない。Sは世界一決定戦みたいな所での総合優勝と部門優勝だった筈だ。

僕のランクはA-で、まぁまぁ良い方だ。ただし、これはあくまで指標であって、自分のスタイルや機体によって実際は大きく変動するものだと、これまたおっさんが言っていた。おっさんからは無いよりはマシぐらいに考えておいた方が良いと言われたので、きっとそうなのだろう。ちなみに親友の適正はB+、良い方だ。

 

IS適正について説明されたところで、僕に二択が突きつけられた。1、IS学園と呼ばれる施設に行く。2、実験に協力する。この二択なのだが、実際はIS学園一択である。理由としては、おっさんがそう言っていたから。なんでも実験に協力するとあんなことやこんなことをされてしまい人の状態を保ってるかも怪しいとの事。

IS学園に行くと、最低限の生存の保証はされるため、遥かに生存率は高くなる。

 

そのIS学園とは、正式名称IS操縦者育成特殊国立高等学校。

ISの操縦者育成を目的とした教育機関であり、その運営及び資金調達には原則として日本が行う。

ただし、IS学園で得られた技術──すなわち、諸国のIS等のデータなどは協定参加国の共有財産として公開する義務があって隠す権利は日本にはない。

 

他にもなんやかんやあるのだが、最低限これだけ知っておけば良い、とまたもやおっさんが言っていた。おっさん何者なんだ、と尋ねてみると、政府のお偉いさんらしい。急に緊張してきたんだけど。

 

僕は勿論1を選んだ。こんなところで死にたくないのと、親友もそっちに行くらしいからだ。

親友一人で女性だらけの学校に男子一人、という状況を想像するだけでもキツイ事を察することができる。

 

だが、ひとつだけおっさん──今さらな気がするけれど、失礼なので、『彼』。と呼ぶことにする。──に質問した。IS学園では、競技として()()を行う。剣で斬りあい、銃で撃ち合う。そんな所で、何の訓練も受けていない僕と親友は壊れないだろうか?親友は、姉は世界最強の上、ISの生みの親と知り合いらしく、少しは ISに触れたことはあるだろう。だが、それだけだ。軍隊でもないのに何故一歩間違えれば死人の出る事をやらなければいけないのか、と。

 

彼はこう答えた。

すまない、と。

 

彼も望んでここに来て、僕らを送り出そうとしているわけでは無いようだ。恐らくだが、せめて情報だけでも寄越すのが道理だと言い張った国際IS委員会とやらからの圧力に負けて、IS学園で合法的にデータを取る、と言ったような感じだろう。

 

だが、彼は続いてこう言った。

その役目は、織斑 一夏が全て背負う、と。

 

僕の親友が、全て背負う。全て背負うと言うことは、僕に期待されていない、そして親友が期待され過ぎているのどちらか。又は両方か。だけれど、そんな事はどうでも良い。だが、僕の代わりに彼だけが壊れていくのだけは勘弁だ。むしろ、彼と違って期待されていない僕の方が使い潰されて良い筈だ。

 

親友を使い潰させるわけにはいかない、恵まれて育った親友を、あれだけ笑いあった親友を失うわけにはいかない。親友には、まだやるべき事がある筈だから。

 

だから、僕が(一夏)を守ろう。

 

たとえ、この命に代えても




僕→オリ主

彼→おっさん

親友→ワンサマー
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