決闘騒ぎ当日。
試合は親友対イギリス代表候補生、僕対イギリス代表候補生。親友対僕の順番で行われる。というか、現在進行形で親友は戦っているものの、僕は参加者のため相手の手札を見ないように、と観戦はできないようになっている。
思い返せば、親友にISの操縦を軽くレクチャー──と言っても僕はさほど巧くないのだが──をする代わりに、とある約束を取り付けたり、更識さんに呼ばれ生徒会の事務を手伝うことになったりあまり練習など出来ていなかったが大丈夫だろうか?と思いながら今日を迎えることになった。
あんな性格の操縦者だが腕は確かなのだろう。相手はイギリスの代表候補生だ。初見の相手、しかも専用機持ちとなるとなかなか厳しい勝負を強いられるだろう。こちらは初見殺しのオンパレードで封殺する機体だが、相手がこちらの手札を見切る、もしくは知っていれば意味のない話だ。
だが、打つ手がない、ということはない。この一週間のうちに一度倉持技研へと戻る機会があり、データ提出の後機体改修をしてもらっている。具体的に言うと全身装甲に代わりは無いが、一部追加装甲を削りブースターを取り付けたり、左手でもコンテンダーを放てるような改修も加えてもらった。武装のレパートリーを増やし、武装の投擲後も近接武器が不足しがちにならないようにしてもらった。
それと追加でドイツ製の試作兵装を与えられている──まあ試作兵装なんて色々と欠陥があったりで実用性がないため正式採用に至っていないものが大半のため過信は禁物だが──初見殺しのレパートリーが増えるだけ良いだろう。
なぜここでドイツかと言うと、僕のIS、黒鎧はドイツ製のISのシステム、装甲等を買い取った上で色々と改造したものらしい。1から作成するには時間が足りなかったため、泣く泣く買い取ることにしたのだとか。
──てっきり僕に支給されるISはない、または量産機である打鉄やラファールが支給されるとばかり思っていたので、これは嬉しい誤算というやつだ。親友を守るため、どんな代償を支払ってでも早急に力が欲しい以上かなりありがたい──
話はそれたが、その際にドイツ企業とのデータ提供及び試作兵装のテスト依頼等々の契約をしていたそうで、その後者が今僕に回ってきている装備らしい。
『ブルー・ティアーズのシールドエネルギー全損を確認。試合終了』
そんなこんな考えているうちに試合は終了したようだ。
さて、次は僕の出番。よっこらせと言いながらロザリオを手に取り、今いる整備室のドアを開ける。
すれ違うように前から親友が歩いてくる。
「お疲れ、一夏。」
「ありがとな。お前も頑張れよ、鎮。」
交差するようにすれ違う。
ここまで来れば一夏が実験材料にされることはないだろう。僕の評価はなるべく落ちるようにしたいものだが、そこら辺は後で適当に調整でもすればいい。
──さあ、始めよう。
◆◆◆◆
カタパルトから射出され、敵機と相対する。
「…先ずは、先日の非礼を詫びさせてください。私は貴方と一夏さんに──「御託はいい。」ッ…!」
「そんな謝罪をされたところで君が一夏にしたことはなくならないし、それによって生まれた君に対する悪印象は拭えない。」
一息つく。
「正直、僕は君が嫌いだ。初対面であんなに罵詈雑言を飛ばしてきた人物を逆に嫌いにならない訳がない。
──けれど、君が何か間違えたと自覚した上で、一夏にも許されたというのであれば、僕はこれ以上君と一夏がどんな関係になったとて口出しはしない。」
「…伊崎さん。」
「ここから先は、分かるでしょ?」
「ええ、全力で行かせて貰いますわ──!」
ブザーがなる。
直剣を右手に展開しながら瞬時加速で距離を詰める。日本刀にして脇差しほどのリーチしか持たないが問題はない。
敵機の銃口から放たれた光──イギリス製ISによく見られるレーザー兵器だろう──を、右手に持ったレーザーへの耐性が強い剣で防ぐ。流石は専用機と言うべきか、いとも簡単に剣が使い物にならなくなる。
──流石に、読まれているか──
即座にリリースし、更識さん仕込みのマニュアル通りの戦闘スタイルからここ最近で煮詰めた僕のスタイルにシフトする。
右足の正面に、剣先が敵機の頭部に向くように展開した直剣を
少し驚いたような表情を見せたが、頭を横に動かし避けられる。が、続くように展開した直剣を左手で
これが、僕の──僕に適した戦い方の回答。コンテンダーを除いた武装を近接武装にし、それを投擲、射出する。簡単に言えば
両手に直剣を展開。再び瞬時加速で距離を詰める──振りをし、両腕に増設されたスラスターで瞬時加速を行い、全力で投擲。その速度は、弾丸にも劣らない。狙いが逸れたのか当たらなかったが仕方がないと割りきることにする。
次いで背部スラスターによる瞬時加速。右手に直剣を展開し袈裟斬りを放つ──ものの、バックブーストで避けられレーザーが飛んで来る。
左手に大剣を展開し、剣の腹で受ける。受けた大剣をリリースし槍を展開、投擲するが、レーザーにより撃墜される。
「行きなさい、ブルー・ティアーズ。」
敵機から計4基ものビット兵器、と呼ばれる自立兵器が射出され、僕を狙撃し始める──しかし、そちらの切り札は僕の奥の手と相性が悪い。
ビットから放たれるレーザーと敵機本体から放たれるレーザー両方に意識を向けなければならないが、なんとか回避行動をとりつつタイミングを見極める。リカバリーが出来ない訳ではないが、これは脳へ掛かる負荷が洒落になら無い──深夜にアリーナで練習してた時実際死にかけた──ので、なるべく外したくない。剣を射出しレーザーを相殺しながら様子を窺う。
──今、この瞬間だ──
この剣だが、別に上空に投擲したものが降ってきたわけではない。
理屈は簡単だ。武装展開の応用で、目標の真上にあらかじめ展開し、マニュアルにしたPICの効果適用範囲を弄り、PICで停止していた剣をタイミングよく一振りずつ解除していく。PICにより停止していた剣は解除されると重力によって落下していく。後は適当にPICで進路を調整しつつ、PICによる力のベクトル通常と逆にすれば加速しながら落下していく。
これがもう1つの奥の手。名付けるとしたら、『ブレード』を『下』に落とすので下Bでどうだろうか。なんだか魔王だとテニスボール判定が出そうな名称だがまあ良いだろう。
「くっ…しかしティアーズはまだありますのよ!」
2基のビットが追加で迫る。少し形状が違うので性質も違うのであろう。
予想通り、ビットから放たれたのはレーザーではなくミサイルであった。ここまで来たらむしろ突撃するべきだ、と瞬時加速を行いながら両手に剣を展開。ミサイルが直撃し少なくないダメージを負うが全身装甲を信じる。
──ここまで接近すれば、間違いなく届く──
掲げた両手の剣をバツの字の軌道を描くように振り下ろす。
「──インターセプター!」
届くと思った剣は、敵機が展開したナイフにより防がれる。悲しいことにナイフごと斬り伏せることが出来ない。
なので、再び上空に展開済みの剣を二振り落とすと同時に持っていた剣から手を離す。そして落とし、直撃した後にバリアに弾かれた剣を手に取り横に振り抜く。
ナイフで一振りはパリィされるものの、もう一振りは直撃する。
そして、
「僕の、勝ちだ。」
打ち出した時の姿勢のまま、コンテンダーを展開。敵機の頭部に向けて引き金を引いた──
◆◆◆◆
「──失礼します。」
「…どうぞ。」
試合が終わり、一息ついていたところ、僕の居た待機室にセシリア・オルコットが入ってくる。
「…私を、許して欲しいとまで傲慢なことは言いません。私の言ったことで傷つけてしまったのは事実です。ですが──」
「うん、いいよ。」
俯いていた彼女が顔を上げる。
「一夏が許したのなら、僕は言うことはないよ。だけど、また前みたいに一夏に何か──そうだね、手を出したりしたら別だけど。僕も勢いに任せて君に無責任な言葉を投げかけたりしたし。」
「いえいえ!あの時は私に責任がありました。ですのでそこまで──「だから、さ。」──はい?」
僕のために利用することになるかもしれない、という幾ばくかの罪悪感を抱きながら言う。
「僕だけでは導けないかもしれない。助けられないかもしれないんだ。君も、一夏を護ってくれるかい?」
「──ええ、このセシリア・オルコット。一夏さんを守護する任、ここに請け負いましたわ。」
これで、協力者が一先ず1人。僕に何かあったとき、彼女の実力であれば何とかしてくれる筈だ。
「よろしく、セシリア・オルコット。」
「ええ、お願いしますわ。鎮さん。」
親友、君は、どんな手を使ってでも、僕の命にかえてでも守ろう。それが、僕の定めだ。
オリ主スペック
身長163㎝
体重42キロ
特技 耳コピ 一夏のプロフィール高速読み上げ
趣味 ゲーム 一夏の観察
備考 手段を選ばないせいでISの補助なしで自分で編み出した
技術の制御をしながら瞬時加速をしながら高速切替(偽)が
出来るようになったJapanese HENTAI