たとえ、この命に代えても   作:刹那木ヤクモ

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人は落ちる時はどこまでも落ちるものである

「少年、すまんな。俺たちも仕事なもんで、お前さんを逃がすことなんてできねぇ。まあ俺たちが呼ばれるってことは相応のことをしたんだろうが、それでも未来ある少年の将来を奪うのは俺としては嫌なんだけどな。」

 

そう、護衛の人──今話しかけてくれている山内さんに言われながら揺られる。今の僕は、足錠を掛けられ、負傷している右手に手錠を掛けるわけにもいかなかったようで、左手を固定している状態である。

 

真っ黒な、僕が最初に拉致られた時のような車に乗せられ運ばれる。あれからまだ2ヶ月程度しか経過していないが、また乗せられるとは思ってもいなかった。

 

さて、どうしたものかなこれ。実験に協力すれば終わる話なのだが確か実験って割と非人道的なやつではなかっただろうか。まあ、もうどうでも良い。僕は半ば死んだようなものである。

 

窓の外を眺める。海の向こう側に、何かが見えた気がするがカモメか何かだろう。椅子にもたれ掛かりながら目を瞑る。

本当にどうしたものか。黒鎧を起動して逃げ出してしまおうか、なんて考えてみたが、ロックが掛けられていた筈。逃げ出しても捕まって抹消されるだけ。

お先ダークネスと言ったところである。

 

どれだけ楽観的な思考をしようとしても、どれだけ滑稽な言い回しをしても、悪い方にばかり思考は落ちていく。

 

──死ぬんだろうな──

 

そんな当たり前のことを考え、即座に思考の外へ追いやる。やだな、とか思っても僕がやったことだ。仕方がないなんて言う資格はない。ああ、本当にどうしたものか。

 

なんて考えていられただけマシだったのだろう。直後、目の前が爆発した。理不尽だ。なぜこうなるのだろうか。

 

ISの展開──はロックが掛かっており出来ない。護衛の人たちがなんとかしてくれる──と思い一先ず車のなかに閉じ籠る。

 

「ISか──!?」

 

「総員撤退!輸送対象は見捨てておけ──すまない、少年。」

 

ダメみたいですね。これ僕死ぬな?どうせ死ぬならなんか成果を手にしてからが良かったが無理なようだ。後、山内さんや護衛の方々は短い間であったが僕の気を落ち着かせて、和ませてくれようとしてくれた。今恨むことなんてあるものか。──最期を迎える覚悟を決め、ロザリオを手に取り、見る。コイツには何も返してやれなかったなと苦笑しながら手を離す。

 

せめて最期に一矢報いてやろうか、と思ったが武器も出せない。コンテンダーがあればワンチャンあったんだが。メキメキと車の天井が軋み、空が見えるようになる。

 

「よお、気分はどうだ?伊崎鎮。」

 

紫色の装甲を纏った全身装甲のIS、それが僕を見下ろしていた。

 

「最悪さ。」

 

「ハッ、そうだろうな。一先ず、こっちの好きなようにさせて貰うぞ。」

 

直後、スタンガンのようなものが見えたと思うと、僕は意識を失った。

 

◆◆◆◆

 

「おはよう、伊崎鎮。」

 

「──どなたでしょうかね、僕は貴女を知らない。」

 

目が覚めるとTHE、牢屋と言った風貌の施設に拘束され、目の前には見知らぬ金髪の女性がいた。

 

「単刀直入に言うけど、交渉をしないかしら?我々から提供するのはなんだって良いわ。どんなことでも協力してあげる。」

 

どんなことでも、か。それは例えば──

 

「──織斑一夏の身の安全の確保。それは?」

 

「へえ、面白いことを言うわね。いいわ、その代わり貴方を働かせるわよ?」

 

きっと非合法なものなのだろう。戦力がほしいが故にIS乗りの僕をスカウトしたのだろうか。まあいい、例え悪魔との取引であろうと、命にかえてでも護ると誓ったのだ。彼になんと言われても、僕は出来る全ての手段を用いて、護り続けると。

 

「問題ない。」

 

「──では、ようこそ亡国機業へ。歓迎するわ。詳細は追って説明するわね。」

 

さあ、落ちるならば徹底的に落ちて見せよう。




と、言うわけで一区切りです。
皆さんお待ちかね闇落ちです。しょうがないね。
精神ズタボロオリ主くんが今後どうなるかはご期待ください。
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