たとえ、この命に代えても   作:刹那木ヤクモ

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モリゾーをシバき終えたので初投稿です


何気ない日常は限りある物に

僕は、親友と共にIS学園に行くことになった。

親友に会わせてくれと、僕に現状の説明をしてくれた彼ではない中肉中背の人物に頼んだが、バッサリ切り捨てられてしまった。

 

今、親友に会ったところで何が起こるかと言われたら何とも答えられないのだが、少なくとも何も出来ずに惰眠を繰り返す今よりかは有意義の筈だ。

彼は、IS学園の教科書を用意すると言ってくれたが、あれ以来姿が見えない。恐らくだが、僕に対するアクションが何らかのラインに抵触したりして罰を受けているのか、国際IS委員会との関係悪化で僕をIS学園に捩じ込むのが難しくなったのかのどちらかだろう。

 

僕に今できることは特に無い。スマホも没収されているし、常に監視カメラが回っているのでプライバシーも保証されていない。IS学園入学に備えて勉強しようにも何もない。せめて情報だけでも寄越すのが道理ではなかろうか国際IS委員会さん。

 

本来ならここで筋トレとかしておくべきなのかもしれないが、そんな向上心も持ち合わせていないので、本当にダラダラとしている。

一様、部活で弓道はやっているのだが選んだ理由が部活が週一だからとか言う理由なのでそこまで体力もなにもない。

 

唯一、良いところはお偉いさん方の食堂を制限付きとはいえ使えることだろうか。一時間前に食べたは唐揚げは本当に美味かった。

 

まあ、それはそれとして

 

ここまで、私生活が制限されているとは思っていなかった。何気ない日常がこれ程限りある物だとは思っていなかった、というのが本音である。

 

冷静になれば、サンプルである僕が余計なことをしないようにするのは当然と言ったらそうだろう。親友も僕も国籍は日本だから、日本IS界の象徴として世界最強と共に祭り上げられたりするのかな、とも思ったりしたがそうなるには相応の実力が必要だろう。

 

一番指標として解りやすいのは恐らく代表候補生とやらだろうか。数も多く実力もある代表候補生なら、比較対象にはぴったりなのではないだろうか。専用機?とやらも支給される点でも実力は確かな筈だ。

 

さっきから僕が理解しきれていないような言い回しをしているが実際その通り、理解しきれていないのだ。僕自身、テレビでたまに見る程度の知識なのでそこまで詳しくなく、唯一の情報源である彼もいない。

 

正直言って、知識がなければ何も出来ない。知は力なり、と誰かが言っていた気がする。が、スマホもなければパソコンもなし。テレビも今は男性操縦者の話題で持ちきりでIS関連の情報なんて得ることも出来ないし、テレビで公開される情報は朧気だが覚えている。

 

なんて、愚痴を言っても何も変わらない事は理解している。どちらかと言うと、理解しなければならない、だろうか。

この先、この程度の事すら理解できなければやっていける訳もない。これ以上に膨大な知識を取り入れ、咀嚼し、それを使って生き延びなければならない。それに、親友が壊れないようにするにはそれ以上の事が求められるだろう。

 

ひとまず、寝よう。幸い、布団は用意されている。ここでずっと考えていても意味がない。夕食も摂ったし、風呂にも一様入った。情報の整理が出来た時点で上々だ───

 

◆◆◆◆

 

翌日、最悪の目覚め方をした。いや、人によっては最高なのかもしれないのだが。

 

状況から説明すると、今の時間は午前10時、ホテル生活2日目。僕はまだ布団の中で、ドアはきちんと鍵の掛かったまま。なのにも関わらずだ。

 

「お目覚めかしら?」

 

自分の体の上に、見知らぬ女性が立っていた。

 

「…誰?」

 

パニックを起こしそうになる体をどうにか落ち着かせ、一言、切り返す。寝惚けている上、混乱している状態でようやく喋れた一言だが、僕の心をこの上なく捕えている一言だと言っても良いだろう。

 

取り敢えず、着替えたりしておきたいので一旦外に出て貰い、パッと支度をする。何故鍵を掛けているのに入ってきているのか等は置いておき、用意が出来たので彼女をもう一度室内に入れようとドアノブを捻った。

 

鍵を閉めてバリケードも張って閉じ籠ろうと一瞬でも考えたのは秘密だ。

 

まあ、それはそれとして

 

彼女を部屋に招き入れ、何者なのかを聞いた。

 

「あら?私の事は河上さんから聞いてないの?」

 

聞いてないも何も、河上さんと言う名前すら初めて聞いた、という事を伝えると、

 

「そうなの?確かにあの人は必要以外の事は伝えない主義だから、知らないのも無理はないかもね。貴方に最初に会いに来た、ちょっぴり痩せた男性の事は覚えてる?彼の名前よ。」

 

と、返された。彼、改め河上さんは現在、僕をIS学園に入学させる手続きを行っていて手が離せないらしい。IS学園の教科書が届いていなかったのはそのせいだろう。だから、今目の前に居る女性にIS関連の知識を教えてほしいと頼んだそうだ。

 

それを了承した彼女が、こうして僕の部屋にやって来ている、という流れだと言われた。

 

「流れは解ったかしら?なら結構。それより、警戒はまだ解いてくれないの?」

 

「今、信頼度ゼロですからね」

 

彼女が僕に敵対していないことは解っている。だが、名前も身分も知らない人間を信用するわけにはいかない。彼女が河上さんから信用されていようと、僕に対しての行動とかで判断するしかないのだが、部屋に不法侵入してくるような人物を信用できるか、という話だ。

 

「そっかー…。そんなに言われると私の情報も開示しないと信頼してくれない感じ?」

 

「よっぽどの理由がなければ、ですね。」

 

あー、うん、でもなー、と、一人で少し考え込んだ後、彼女が咳払いをして僕に向き直った。

 

「それじゃあ、自己紹介ね。私の名前は更識 楯無。IS学園の生徒会長兼ロシア代表生よ。」

 

どうやら、とんでもない大物がやって来ていたらしい。

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