──あの試験から、2日が経った。
あの後、疲労なのか知らないがぶっ倒れ保健室へ。知らない天井ごっこをした後に丸1日をかけ検査を受けた。
僕は試験を受けた後はてっきり倉持に戻ると思っていたのだが、このままIS学園の寮に居ろと言われた。正直なところ、更識さん以外と戦ったことが無かった僕のこのバトルスタイルでは、今後の戦いにはあまりついていけないのでは、と思ったので一度そこを打診したいこと、山田先生との戦いでのデータを提出しておき、機体の様子も見ておいてほしいので一度戻っておきたかったが、こうなっては仕方がない。
入学式は明日らしい。
今のところこの部屋には僕しか住んでいないが、入学式を終えたらルームメートが出来るのだろう──親友だと安心なのだが──一体だれになるのか楽しみだ。
ひとまず寝る。最近は寝る前にちゃんと今日を振り返ることができなかったから、今日は振り返れて良かった、なんてことを考えながら眠りについた。
◆◆◆◆
「…寝過ごしたなぁ。」
ベッドから起き、時計を見るとなんと午前10時すぎ。
入学式は9時からと言っていたから、一時間以上の大遅刻である。
さっさとベッドを整え、歯を磨き、顔を洗い制服に着替える。この際寝癖はもう放っておく。多少跳ねてる程度だから問題はないだろう。
荷物を整え、首からロザリオを提げてドアに手を掛ける。
「…謝罪文考えなきゃ」
どうして初日から謝罪文を考えなければならないのだろう、と思いながら誰もいない廊下を疾走した。
◆◆◆◆
「誰が三国志の英雄だバカ者。」
指定された教室である1-Aに到着すると、親友が──状態こそ姉に出席簿でぶっ叩かれているというよく分からない状況だが──何も変わらない様子でそこに居た。今すぐそっちに行きたい気分だが寝坊してSHRに遅れたのは僕なので、千冬さんの話が終わるまで待ってそのあと何事もなかったかのように後ろのドアから入ろう。
「ああ、私がこのクラスの担任を勤める織斑千冬だ。よろしく頼む。」
千冬さんも変わらないようで何よりだ。若干前に会ったときよりも疲れがたまっているように見える。やはり先生ってものは大変なんだな。ほら残業とか残業とか残業とか。
そんな下らないことを考えていると
「「「「キャァァァァァ!」」」」
「!?」
襲撃かと、ロザリオに意識を集中させる。まだ姿が見えない上、実質クラスメート全てを人質に取られたようなものだ、不用意に仕掛けることは出来ない。だがこちらの場所も割れてない筈。さあどう仕掛けるか──そう考えていたのだが
「千冬さま!千冬さまよ!」
「お姉さま!会いたかったです!」
「お姉さまに会うためだけに上京してきました!」
黄色い悲鳴というやつだったらしい。勝手に心配して勝手に落胆したがこれだけは言いたい。
「──ふざけるな!ふざけるな!バカヤロー!うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「シャーレイ!?」
廊下で迫真の衛宮◯嗣のマネをするのだけは許して欲しい。千冬さんにバレるとか、クラスから後で冷めた目で見られるとかはどうでも良いので取り敢えず叫びたかった。
後このネタに便乗してくれた親友、ありがとう大好き愛してる。
直後、首もとを引っ張られる感覚。見えていたものが急速に移動し、止まったと思えば多くの人がこちらを見ていた。
「おはよう、寝坊助。」
「…本当に申し訳ない。千冬さん──いや、織斑先生と呼んだ方が良いでしょうか?」
「ああ、そちらで頼む。別に公私は分けてくれて構わないがね。」
千冬さん──織斑先生に首もとを掴まれて引っ張られていたようだ。え?あの距離を一瞬で?ドアもあったよね?
やっぱ世界最強って怖いなーとかそんな事しか考えられない。
「あの人が二人目の?」
「身長低いしどっちかと言うとかわいい系だ…」
「あのロザリオって何だろう?」
小声で話し声が聞こえる。別に何か話すのは不快じゃないけど身長低いって言ったやつ出てこい。屋上行こうぜ、久しぶりに切れちまったよ…。
「起きて早々あれなんだが自己紹介を頼めるか?本来ならお前はもう済んでいる筈だからな。」
「了解です──はい、二人目の男性操縦者としてIS学園に入学しました。」
織斑先生に言われ軽く語りだす。取り敢えず当たり障りのない自己紹介をした後に爆弾を落としてみようかとか考えながら趣味などを説明する。
「趣味は昼寝…ですかね。特技と言ってはあれですか弓なら少し。…ああ、名前を言っていないな。すみません。」
一呼吸置く。いつの日も名前を名乗るのは何故か苦手だな、とか思いつつ口を動かす。
「はじめまして、僕の名前は
どうぞよろしく──そう付け足しながら言った。