ここに来て早速自己紹介をし、親友と他愛ない世間話とかでも出来ればいいなーと思ったのもつかの間、親友と過ごそうとした休み時間はクラスメートからの質問責めで終わった。僕の親友との時間を返して欲しいと真摯に願ったのはいつぶりだろうか。
今はと聞かれれば、普通に授業を受けているのだが、更識さんが丁寧に教えてくれたお陰でこの辺りは問題ない。
「──と言うように、ISの基本的運用などは国家による認証が必要なのです。皆さん大丈夫ですか?分からないところなどあれば授業内外問わず聞いてくださいね。」
そう、僕は全く問題がないのだが隣の席にいる親友が死にそうな顔で黒板を見ている…ああ、なんとなくどういう事情か察した。
「大丈夫ですか織斑くん?伊崎くん?分からないところはありませんか?」
「山田先生──全く!分かりません!」
ああ、だろうと思ったよ畜生め。
「──織斑、参考書は?」
「電話帳と間違えて捨てました…」
「必読と書いてあっただろうバカ者ッ!」
あーあー出席簿でぶっ叩かれてるよ。…一週間後ぐらいに身長1cmくらい縮んでそう。
しかし、電話帳ねぇ。参考書も黄色いから分からないこともないが、これは自宅の管理を全て親友に任せきって自分では一切出来ていない千冬さんにも問題があ──
「伊崎?何か文句でもあるのか?」
「いえ、一欠片もございません。」
こえーよこの人。しれっと脳内読んでくるし、出席簿をブレードみたいにこっちに向けてくるし。しかし親友は何をやってるんだ…。
「──まあ、こんな時のためというやつかな。ほら、使いなよ一夏。」
「纏めノート?…悪い、助かる。」
「任せて。持ちつ持たれつ、でしょ?」
そう、本来ならテスト前に使おうと思っていた、僕の勉強を振り返り、纏めるためのノート。使う機会があるかもしれないと持ってきていたが、まさかこんな機会で使うことがあるとは思いもしなかった。
「伊崎、教えるのは良いが──「分かってます。勿論本人が努力しないようであればすぐ返してもらいますよ。」…まあ、ならいいが。」
親友は多少抜けてる所こそあるが、努力ができるタイプの人間だと思っている。僕は必要最低限の土台さえ整えてやればいい。僕と彼の関係性はそれがベスト──そうでしょ?親友。
◆◆◆◆
「お疲れさま──そして久しぶり、一夏。」
授業が終わり、早速親友に話しかける。彼のノートが埋まっているところを見るに、きちんと取ることが出来たのだろう。何よりである。
「久しぶり、早速迷惑かけたな鎮。すまん。」
「問題ないよ。僕と一夏の関係でしょ?」
「ああ、ありがとう。親友。」
他愛ない会話が出来ることがこれ程心地よいとは思いもしなかった。休日も一夏の家を訪問していた僕はここ8年間ほぼ毎日一夏に会っている。流石に行かなかった日もあるが。
「一夏、会わない間に身長伸びた?」
「鎮が小さいだけだろ」
「なんだとこの野郎」
ああ、楽しい。と心から思う。僕はこのために生きているのかもしれない。彼と関わる時が一番生を実感する。邪魔など絶対に入ってほしくない。僕と彼の時間を邪魔しないで欲しい。
「──ちょっとよろしくて?」
──だから、僕は今この瞬間、話しかけてきた彼女が嫌いになった。
「ん、誰──「ああ、名前くらいは聞くけど用件があるなら後でにして。今は来ないで欲しい。」鎮、その言い方は…」
すまない一夏。けどなるべく穏便に済ませるように努力す──
「あらまあ!なんて野蛮なこと。野蛮人にしては可愛らしい顔からそんな言葉が出るとは思いもしませんでしたわ。ですがええ、名前くらいは名乗ってあげましょう。私の名前はセシリア・オルコット。オルコット家当主にしてイギリス代表候補生のセシリア・オルコットですわ。今後関わることはないと思いますが、どうぞよろしくお願いしますわ。」
前言撤回、無理だこれ。一夏に危害を加えかねない典型的なタイプの女尊男卑主義者だとこの一瞬でよく分かった。人間、初対面が大切だとよく聞くけれど、これ恐らくマイナス方面で100点満点の回答だ。間違いない。
「ああそう。目障りであれば僕は君と関わらないことにしよう。その代わりと言ってはなんだけど、君も僕と一夏と関わらないで欲しい。」
「ええ、良いでしょう。男風情がISを動かしたと聞いてどんなものかと思いましたが、この程度とは。正直言って失望しましたわ。後で考えが改まるようであれば──そうですわね、泣き喚きながら許しを乞うなら多少は考えてあげますわ。」
うわ、ありがとう、嬉しいよクソヤロウ。というどっかの妖精王が言ってそうなセリフをどうにか飲み込み、ちょうどチャイムがなるので僕も彼女も席へ戻る。
僕も一夏も面倒臭いのに絡まれたな、と思いながら次の授業に備え始めた。
◆◆◆◆
「三時間目を受け持つのは私だ。早速授業を始める──…が、その前にクラス代表を決めねばならない。自薦他薦は問わない、誰か居るか?」
織斑先生は教室に来て号令をかけるとそう言った。クラス代表。通常の学校であれば学級委員としての活動と、対抗戦への出場という二つの役目があるとの説明もされた。正直、やり損な気もするが、誰か居るのだろうか。セシリアとか言うやつがなるとなんか僕らが不遇されそうだからそいつが立候補なら僕も立候補するか。向いてる向いてないでなく僕と一夏の安全確保のためには必要なのだ。…選挙になった場合、称号的に勝てそうにないが。
「はい!織斑くんを推薦します!」
「じゃあ私は伊崎くんを!」
…セシリアとか言うやつに対する諸々は杞憂で終わりそうで何よりである。物珍しさでの推薦なのだろうが、うん、少し嬉しいところもある。まあこう言う代表とかは中学生の時に経験済みだ。主に謎に票を集めた一夏が『絶対やりたくねぇ』と言ったのでその代理だが。そのあとの僕の扱いはまあまあ酷かったがそれは置いておこう。
「納得がいきませんわ!」
机を叩く音がした、と思ったらコイツだよ。自薦他薦は問わないと言っていただろう。しかもまだ候補が二人だから決定していない上、黙って自薦すれば全然勝てる相手だろうに。
「なぜ代表候補生のエリートである私を差し置いて野蛮な男二人を推薦しますの!?その二人はただISを動かしただけで、他はそこらにいる下賤な男と変わりないのですよ!私はそのような男が祭り上げられるような島国にサーカスをしに来たのではありません!自薦しますわ!」
代表を勤める以上、クラスからの信頼と言うものが必要不可欠だ。自分たちが信頼できない、嫌いな人間の言うことなどをはい分かりましたと聞くだろうか?否である。その点、この人物はその信頼、が現時点では欠如している。
少なくない人数と交流を深めた僕だったり、顔も良し、多少抜けているところはあるが性格もいい──俗に言う"モテる"タイプの人間である一夏はそこそこ信頼と言うか、願望と言うかを抱いている人間は居る筈だ。
しかし、彼女はまあまあ信用のある(と思う)僕らを貶した上、クラスメートの七割以上の母国である日本すらも侮辱したのだ。愛国心どうのこうのは置いておくが、つまるところ──
「…第一印象最悪だぞ、君。」
親友の言った通り、俗に言う高校デビュー失敗系の原因、第一印象が非常に悪かった。
「私を侮辱しますの!?これだから野蛮人は…」
「侮辱も何も、君が先に言っただろ。」
ごもっともである。こんなに綺麗にブーメランが刺さっているのはツイ◯ターくらいでしか見れないと思っていたのだが。
その後もやれ野蛮人だのいい争いが続く。2人で盛り上がっているが僕のこと忘れてないか一夏。
「いいですわ、ISを用いての決闘を申し込みますわ!」
「ああ、四の五の言うよりは分かりやすい。鎮、これは俺とあいつとの問題だ。鎮は…」
「ありがとう一夏。でも、僕も他薦とはいえ候補になってるから。僕も入らせてもらおうか。」
本音を言うと、今すぐでもコンテンダーを叩き込んでやりたいほどには気分が悪い。けれど、目の前でそれを堪えていた親友の事もある。正々堂々、とは行かないかもしれないが決着はつけておきたい。
「纏まったか。では一週間後にアリーナで試合を行う。取り敢えず授業を開始するぞ。」
早速トラブルか、けれど僕が蒔いた種だ。きちんと責任は取らせてもらう。
──だから、君は安心していていい。僕に任せてくれ──
今回初めてカッコつけるために英語のタイトルにしました。
しかしこれにはひとつ重大な問題があるのですよ
意味が違うかも知れねぇ…