「美味い…美味しいですよ!ナイアーさん!」
「んふふ…美味しいねモモンガ君、それにしても持ってて良かった『死者の生者への渇望』」
モモンガの自室で二人はアルベドが見守る中遅めの昼食を取っていた、新鮮な野菜に程よい焼き加減のステーキに付け合わせのマッシュポテト、そして様々な野菜がふんだんに入ったスープを本来ならアンデット系であるモモンガは種族的特性で食事は摂れない筈だが、今のモモンガはナイアーから先程譲り受けた希少なアイテム『死者の生者への渇望』によって、これを身に付けている間だけ人間種に変化出来る能力によって、こうして現実世界での立場では決して食べられなかった物を食べ舌鼓を打っている。
「本当に感謝ですよ、実際この身体だと食事とか摂れないし不便なんですよね…まぁそれ以上に便利ですけど…それよりも食事で感動するなんて」
「んふふ…感謝したまえよモモンガ君、これがなかったらモモンガ君は徐々に人間性がなくなって恐ろしい魔王になってたかもだからね…まぁ感謝の印に僕の頭を撫でてくれたまえよ」
いつものようにモモンガの膝の上に座り、戯れるようにモモンガの胸に頭をグリグリと押し付けながら撫でるように要求、流石にモモンガも慣れたのか「はいはい」と優しく撫でそれに上機嫌になりながら、小さい口にステーキを詰め込む。
因みにこの甘ったるい空間で砂糖をまぶしたような甘いやり取りを見せつけられているアルベドは必死に表情を崩さない様に努力を最初はしていたが一瞬で崩され、アルベドに関しては口を手で押さえながら「やべぇ…お二人ともマジ尊い」とつぶやいていた。
「さて…二人とも今食事終わった所だ、すまない遅くなってしまい」
「何を仰いますか!至高の御方なのですからおきになさらないでください!それに最近のモモンガ様はナイアー様がご帰還なさってからいつもより楽しそうになさっています…それだけで私たちシモベ一同感謝申し上げます」
「そうか……確かにナイアーさんが来てからは笑う事が多くなってきたな、それに私やナイアーさんはお前達に感謝しているんだぞ」
「そうそう、ご飯美味しかったって料理長のシホウツ・トキツに伝えて欲しいな」
「分かりました、その言葉だけで料理長も喜ぶでしょう」
「おっ!おじょー!ようやくきたっすか!全く可愛い娘達に真っ先に会いに来るのが親心じゃないっすか!全く…おじょーは骨の旦那にゾッコンのスケベなんすから…イテ…何するんすかダイア先輩!」
「失礼よベア、それに最後にしたのは私達への信頼の証よ…そうナザリックの同僚や『9人の息子達から譲り受けた兵団』よりも…ね」
「んふふ、お久しぶり二人とも会いに来るのが遅くなってごめんね」
食事を終え、モモンガに自室で休むと伝え部屋に戻るとナイアーが創造した唯一のNPCのショゴスとショゴスの古代種オラクポダ・アンテディルヴィウスの種族を取っているタンク職のベア、そしてホムンクルスの支援職であるダイアの二人が出迎える、最初はベアが文句を言うがそれに対し溜息を吐きながらダイアはベアの頭を叩きながら、自分達を信頼しているから最後に会いにきたっと説明する…その際ダイアが見せた表情にナイアーは若干引き攣りながら、ベッドに座り二人を手招きをする。
それに従い隣に座る二人、ダイアの膝に頭を乗せハフっと息を吐き目を閉じる、いきなり膝枕をしそのまま寝始めたナイアーに「全く…本当に気まぐれなお方」と呟きながら気が済むまでそのままにする事にした、因みに「あー!羨ましいっす!」「先輩!交代っす!」っと側で騒ぐ煩い後輩をまた頭を叩き黙らせた。
『ナイアーさん聞こえますか!?』
唐突に脳内に響く声にナイアーは目を覚ました、伝言の魔法越しに聞こえるモモンガの焦った声に只事ではないと感じ身体を起こす。
『どうやら異常事態らしいねモモンガ君』
『はい… 遠隔視の鏡で周辺を監視していたら近くの村が襲われていたので…助けに行こうと考えてますがナイアーさんの意見を聞きたいです』
その言葉にナイアーの中、つまり分身体から複数の意見が出る、ナイアー自体のカルマ値は悪だがそれ以外の大半の分身体はカルマ値が善よりであり、そして無関係ではあるが見殺しに出来ないと人間としての部分が訴えていた…答えは自ずとでていた。
『勿論助けに行くよ、誰かが困っていたら助けるのは当たり前!だよ…んふふ、たっち・みーさんの受け売りだけどね』
『ナイアーさん…そうですよね!セバスには隠密に長けた配下と完全武装のアルベドを準備させています』
『分かったよ、こっちも第20兵団のイフリート・ステルス分隊といざとなった際の戦力としてアバドンとジャスタエリンターミネーター部隊を待機させよう、それにアルベドと一緒にガルヴィエル・ローケンも来る様に言っておこう』
イフリート・ステルス分隊、元々隠密、陽動を得意とするアルファ・レギオン内でも特に高度な隠密・暗殺・攪乱任務を専門とする精鋭分隊であり分隊員はレベル80後半、隊長は90台でその隠密能力は探知に特化したプレイヤーでなければ感知出来ないほどの能力を持っている。
そしてジャスタエリンターミネーター部隊、アバドンが指揮をするルナウルフの中で漆黒の装甲を纏う精鋭部隊であり、ターミネーター・アーマーの能力である『1日一回だけ任意の場所に妨害を受けずに転移』する能力を活かした強襲や断頭攻撃を得意としている。
『分かりました!それじゃあ先に行きますね!』
その言葉と共に伝言の魔法が切れる、、それと同時に各配下に伝言で出撃命令を伝え、自身も転移門を発動させる。
「ご主人私達も着いていきます」
「んふふ…大丈夫だよ、また膝枕して欲しいからここで待っていて」
一緒に着いて行こうとする二人を制してそのまま待っていてと言い転移門の中に入っていった。
「グラスプ・ハート…この世界の人間達に私の得意とする死霊系…その高位魔法が効かなければ逃げるしかないかと思ったが」
グシャリとモモンガの手の中で心臓を握り潰す感触がすると同時に魔法を掛けられた騎士が糸を切られた人形の様に倒れ込む。
「やぁどんな状況かな?」
「あぁ待っていたぞ我が友よ、どうやらこの人間達は我々の力で対処可能な存在らしいぞ」
「なるほどね…君には悪いけど私達の実験体になって貰うよ…んふふ」
ナイアーが転移門を潜り飛び込んだ光景は魔法を行使するモモンガと呆気なく崩れ落ちる騎士風の男だった。
モモンガの言葉に自然と笑いが出る…これで村人とかが全員レベル100とかだったら堪ったもんじゃないしねっと心の中で安堵する。
「ひっ…!なんなんだ!?おっお前らは!!」
「全く…村人は殺せても僕達みたいのの相手は無理って事?それは…んふふ、道理が通らないね」
後退りしながら叫び散らす騎士風の男に適当に答えながら無造作に第五位界魔法『
「よっわぁ…」
「なんと脆い…あの程度で死ぬとは…」
あっさりと死んだ騎士に唖然とするモモンガとナイアーの前に転移門からアルベドとガルヴィエル・ローケンが現れた。