Unreally   作:羅糸

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夢を探して

 屋上に来たつむぎたちはシートを敷きまるでピクニックをするかのようにお弁当を食べ会話をしていた。ここが屋上でなければまだお花見ができたかもしれない。

 

 

「へぇ、じゃあそまりってねねこでUドリーマーやってるんだ。全然雰囲気違うねぇ」

 

 

 紙パックのバナナオレを飲みながらひなたはあぐらをかき言った。

 今はそまりがUnreallyではねねこであることをひなたたちに紹介していたところだ。

 

 

「は、はい……お恥ずかしながら」

 

 

 そまりは四角いサンドイッチを顔を隠すようにちょっとずつ食べ正座をしていた。まだ少し気を遣っているように思う。

 

 

「そまりちゃんはあがり症を直すためにねねこちゃんとして活動してるんだぁ。それでねねこちゃんになると素直になれない性格になっちゃうんだけど」

 

「へぇ面白い子だねぇ」

 

 

 つむぎの紹介に頷くひなた。そまりは恥ずかしそうにもじもじしていた。

 

 

「そういえば進路希望来週までに出さないといけないけどみんなどうするの?」

 

 

 すると話題を変えるようにことねがつむぎたちに向けて言ってきた。

 

 進路希望。さきほど四時間目の授業の時に出されたものだ。

 提出日は来週までと決まっている。この紙は絶対に提出しなくてはいけない。

 

 もう二年の時から進路を決めてる人も多いが今回で就職にするか進学にするか、どの分野に進路を定めるかはっきりと決める段階となっていた。

 

 

「私は音大に入る予定……もっと演奏の技量をあげてアーティストデビューしたい」

 

「さやちゃんアーティストデビュー目指してたの!?」

 

 

 意外なさやの回答につむぎは驚く。

 てっきりさやは個人で趣味で音楽をやっていくのだと思っていたからだ。

 

 

「二度のUフェスの出演でたくさんの人に見てもらって嬉しかった……から。私の音楽をもっといろんな人に届けたい」

 

 

 さやの目付きは本物だった。

 彼女は本気でプロのアーティストデビューを目指しているようだ。

 

 

「さやは本当に凄いね。ことは文系の大学に行って音楽は趣味でやる予定だよ。まだ将来何になるかは決まってないけど、もっといろんなことを学んでいきたいと思ってるよ」

 

 

 さやに続くようにことねが言った。

 本来学生時代にバンド活動をしている人でもことねのように趣味で終わりにする人のが多いだろう。プロになることは簡単ではない。

 

 

「じゃー次あたしねぇ。あたしは……ゲームクリエイターになる。いつか理想のゲームを企画して自分達の手で作るんだ……誰もが神ゲーって絶賛するゲームをねっ」

 

 

 ひなたは能天気な表情から一変。夢を語るとなると真面目な表情に切り替わり言った。

 

 ひなたはゲームが大好きだった。それは幼馴染みであるつむぎが一番よくわかっている。

 

 勇者ごっこをして遊んでいたのもRPGの影響だったし、アンリミテッドファンタジアでトップランカーと言われているのもそこまでゲームを愛し続けているからだろう。

 

 

「頑張ってミーちゃん……」

 

「誰がミーちゃんだ誰が!」

 

 

 ひなたのUnreallyでの名前ミーシェルの愛称を呼ぶさや。ミーちゃん?と言われて頭にはてなを浮かばせるそまりとことね。

 ひなたのUnreallyの正体を知ってるのはつむぎとさやの二人だけだ。

 

 

「で、最後はつむぎさんあんたよー? ちゃんと進路とか夢ってあるの?」

 

 

 紙パックのジュースを飲み終えたひなたはストローから口を話すとつむぎに言った。

 

 ひなたはつむぎがなにも将来の夢を考えていないと思っているのだろう。幼なじみで長い付き合いだ。そう思っていて少しふざけた感じで、でも本当は心配してるように言った。

 

 だがつむぎはひなたの期待には応えられない。

 

 

「じゃあ……笑わないって約束してね……」

 

 

 つむぎは少し恥ずかしそうにしている。本当なら言うのを躊躇いたい。しかしみんなが進路を言ってるなかで自分だけ言わないのは不平等だ。

 

 なので意を決して話すことに決めた。

 

 

「わたしね、ファッションデザイナーになりたいんだ。Unreallyでさ、何回か衣装を作って楽しいと思うようになって。もふあにのシマリちゃんにもこのまま続けていくといいって言われて……また小さい頃の夢追いかけたくなっちゃったんだ」

 

 

 小さいときに思ったはじめての夢。

 趣味でありずっと続けてきた絵を描くことのきっかけとなった夢。

 

 つむぎは真剣に……ありのままの夢を語った。

 

 そこにいた全員はただつむぎの発言を黙って聞いていた。

 

 

「なんていうか……」

 

 

 口を開いたのはひなただった。

 

 

「つむぎも変わったよねぇ。昔は優柔不断であたしの後をついていくような感じだったのに。今じゃ自分の意志をちゃんと持っててさ。これもUnreallyがきっかけなのかねぇ」

 

「えへへ……そうかもしれないね。Unreallyはなりたい自分になれて……叶えたい夢を後押ししてくれる素敵な場所だよ」

 

 

 つむぎは笑顔で答えた。

 なりたい姿になれて、アンリアルなら夢だって叶えられるのがUnreallyだ。

 でも現実での夢だってUnreallyのおかげで叶えられるかもしれない。つむぎはそうおもったのだ。

 

 

「先輩方すごいですね……ちゃんと立派な将来の夢があって。あたしはまだ……そういうのよくわからないです」

 

 

 ここで唯一の一年生のそまりにはつむぎたちが眩しく見えたかもしれない。それぞれがちゃんとした夢があることに。

 

 

「大丈夫だよきっと」

 

 

 だがつむぎは答える。

 

 

「そまりちゃんはまだ高校一年生。これからもっといろんな経験をして何がしたいか見つける時期だよ。だからそまりちゃんにも見つかるよ。自分がやりたいと……そう思えるなにかがさ!」

 

 

 つむぎは笑顔でそまりに対して言った。

 そまりはつむぎの目を驚くように見つめていた。

 

 

「そう……ですね。あたし頑張ってみます! この高校生活で自分のやりたい夢を探して!」

 

 

 つむぎの励ましの言葉にそまりは勇気をもらった。

 

 そうして彼女たちは自分の夢に向けての一歩を踏み出したのだ。

 

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