Unreally   作:羅糸

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撮影開始

 それから映画は数日後に脚本が完成した。

 撮影にはミーシェルたち演者と主に裏方をつとめる者に別れた。

 つむぎにも演じる役が用意されており台詞を覚える事にした。

 

 そして今は収録の最中だった。

 場所は住宅街。

 しきがメインで撮影の練習をしている所だ。

 しきは空中で浮遊しながら悪そうな笑みをうかべていた。

 

 

「ふはは! リア充は滅べ! ウチより人気なやつは全員滅んでしまえ!」

 

 

 ノリノリで悪役を演じながらしきは無数のドローンを住宅街に落下させて爆発を起こしていた。

 しきの役は人類を滅ぼすアンドロイドだった。

 これはCGではなく実際の住宅街を破壊して行われる。それができるのもここがアンリアルだからだ。

 

 

「カット」

 

 

 しかし残念ながらしきの演じているシーンは監督のひそかによって止められてしまった。

 

 

「えーなんで!? 脚本通り暴れ回ってるだけじゃん! その気持ちを叫んでいるだけじゃん!」

 

「脚本には冷血で残酷なアンドロイドなのだよ。今の君には冷も血も残もないじゃあないか」

 

「なにさーウチ攻撃用のマシィンとか基本作んないのに今回のためにせっかく作ったって言うのにさ!」

 

 

 いつものようにいがみ合いをするしきとひそか。普段攻撃用のマシンを作らないしきだが今回は特別に殺戮型のマシンをたくさん作ったようだ。

 なんだかんだいいつつひそかの期待に応えてあげようとしているのかもしれない。

 

 

「君が台本通りにやったらあまりにも棒読みすぎて自由にやらせたけどまだそっちの方がよかったよ……ちゃんと君の台詞は台本を用意して音声の方は加工しておくよ」

 

 

 頭を抱えるように言うひそか。

 この前に一回収録したがしきの演技は壊滅的だった。そのため自由にアドリブでやらせたようだ。

 しかし冷血で残酷なアンドロイドが人気者やリア充を妬んで人類を滅ぼすなどどう考えてもおかしな話になってしまうので取り止めることとなったようだ。

 

 音声変換などのツールはUnreallyの撮影編集機能を使えばまぁマシにはなるだろう。

 

 

 そんなひそかたちを見つつ、つむぎと咲夜は控えて出番を待っていた。

 つむぎはその合間に撮影で着る衣装のデザインをしていた。

 

 デザインする衣装はミーシェルの衣装に日常シーンで着る衣装などだった。

 

 

「やってるわね」

 

 

 すると一つの声が聞こえてきた。

 振り向くとそこには見慣れた姿があった。

 

 

「ねねこ、どうかしたの?」

 

「あ、あたしが来ちゃ悪いかしら! ちゃんと用があってきたのよ!」

 

 

 咲夜が現れたねねこに尋ねると、ねねこは髪を弄りながら少し怒るような雰囲気で言った。

 するとねねこは竹製のサンドイッチが入ったお弁当箱を取り出す。

 

 

「さ、差し入れよこれ! ノーラちゃんが持ってくようにいったから持ってきてあげたんだからっ!」

 

「ありがとうねねこちゃん!」

 

「ふ、ふん! 別にこれくらいなんてことないわよっ」

 

 

 受け取り感謝するつむぎに対しねねこは顔をそらし頬を赤くする。

 エレオノーラが撮影の差し入れに作ったのだろう。当の本人は店の仕事が忙しくて来れないらしかった。

 

 

 つむぎデザインをするのを一旦やめサンドイッチを手に取った。

 ねねこもつむぎたちのいる場所に座り撮影の見学をした。

 

 

「それにしてもミーシェルちゃんの演技力凄いわね。アンリアルドリーマーになってまだ一ヶ月も経ってないでしょ?」 

 

 

 今はミーシェルの撮影の最中だった。空に浮かびマントを広げ演技をするミーシェル。ミーシェルの演じるキャラは普段のミーシェルとそこまで大きく違ってはいない。

 

 しかし演技力や迫力は完璧なまでに上手く演劇初心者とは思えない演技だった。

 

 

「常にあの状態で映画の演技も上手いなんて素であれなのかしら」

 

「そんなことないよ。ミーちゃんはひなたちゃんだし」

 

「えっひなた先輩がっ!? あたし聞いてないんだけど!?」

 

「あっこれいっちゃダメだったやつかも……」

 

 

 思わず口を滑らしてしまったつむぎ。

 ここにいるのはつむぎと咲夜とねねこの三人だけリアルの面識がある人間だけだからまだ良かった。しかしねねこはミーシェルがひなたであることは知らなかった。

 

 ひなたとねねこであるそまりはリアルで何回か面識があった。そのためねねこもこの事実を知らされて驚いただろう。

 

 それからつむぎはリアルの人間にあまり知られたくなさそうなひなたに今回のことがバレたら怒られるだろうなと内心ひやひやしていた。

 

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