Unreally   作:羅糸

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離れ離れになっても

 ミーシェルの提案によりつむぎたちは様々なゲームやスポーツができる娯楽施設に来ていた。

 

 そして現在はその激闘の最中だ。

 場所は室内のテニスコート。二体二でつむぎと咲夜、ミーシェルとことでそれぞれペアになって対戦している。

 しかし普通のテニスとは少し違っていた。

 

 

「はっ!」

 

 

 咲夜が返ってきたテニスボールを跳ね返す。

 

 

「喰らえドラゴニックサーブ!」

 

 

 咲夜が打ってきたボールをミーシェルは必殺技を放つかのようにさけび跳ね返しサーブをしようとする。

 しかしそれは外しミーシェルは上下に一回転した。

 

 

「なぬ!?」

 

 

 勢いがあまっても上下にひっくり返ることは普通は起きない。しかしミーシェル達は無重力の中にいた。

 

 これは無重力テニス。

 無重力の中で壁を使いながら移動をし壁や床に当てたら得点が入る。

 普通のテニスとは違うのは一回バウンドしたら負けな所だ。

 

 そのためつむぎたちはずっと空中にいたまま浮いている。

 

 

「えいっ!」

 

 

 ミーシェルが外したボールはそのまま壁にぶつかる前にことが上手くサーブをし、跳ね返した。

 つむぎはそのボールの方向を見て体をその方向へ動かした。

 

 

「うわあああちょへぶっ!」

 

「つむぎ!?」

 

 

 しかし勢い余ってか動きが止まらずつむぎはボールが来るよりも先に自分が頭に壁をぶつけた。それを見て心配した咲夜はボールを見ておらずそのまま壁にボールはぶつかった。

 ポイントが入る音がした。

 

 30対40と得点は表示されている。

 つむぎたちよりことたちの方がこの点でリード。次ことたちに点が入ればことたちの勝ちだ。

 

 

「えへへ、無重力でやるのって難しいね……」

 

 

 つむぎは笑いながら言う。

 Unreallyでの痛覚はあまり痛くないように調整されているため傷は残らないしちょっと痛いくらいで済んだ。

 

 

「次でことたちが点を入れたら私たちの負け……絶対に同点にするよ」

 

 

 咲夜はやる気のようで真剣な目付きでボールとラケットを握っていた。

 

 

「はっ!」

 

 

 そして咲夜のサーブで試合が再開した。

 

 

「えいっ!」

 

 

 そのサーブをことが跳ね返す。

 

 

「やっ!」

 

 

 それを咲夜が

 

 

「えいっ!」

 

 

 ことが。

 

 

「やっ!」

 

「すごい二人ともずっとパスが続いてる!」

 

「ミー達は蚊帳の外だな」

 

 

 いつの間にか咲夜とことの二人が互いにパスを打ち続ける。そんな状況になっておりつむぎとミーシェルはそれを見守ってる状況となっていた。

 

 最初は慣れない無重力でまともにパスも全員できなかったが二人は慣れたようだ。

 

 

「これで……決めるよ!」

 

 

 ことはサーブを宣言するように言った。

 ことが放ったサーブはなんとボールが緑のエフェクトに包まれ雷のようになり、それは竜の形をしたものへとなった。

 

 そしてそのサーブは咲夜の頬を光の速さでかすめボールはドンと音を立て壁にめり込んだ。

 

 

「あれ……なんか出た」

 

  

 急なに謎の物が出て驚くこと。現実じゃあり得ないアニメのような技が放たれた瞬間だった。

 

 

「ミーより先にドラゴニックサーブを決めるとは……もう貴様に教えることはない」

 

「ミーちゃんはなに視点なの……」

 

 

 一人腕を組み感心しているミーシェルにつむぎは若干あきれるように言う。

 

 ゲームは終了し試合はことたちの勝利だ。無重力が解除され重力は次第にもとに戻った。

 

「こと、Unreallyに来たばかりで結構動けてすごいね」

 

「テニスは中学の頃やってたからね。それが活きたのかな」

 

「それでもそこまで動けるのは難しいよ……つむぎはまともに動けなかったし」

 

「あはは……ごめんね」

 

 

 つむぎは咲夜とことの二人の会話を聞いて苦笑いをしながら謝った。つむぎはなんども体をぶつけ無重力に慣れなかった。

 

 

「疲れたしなにかデザートを食べて一休みしたいな」

 

 

 ことは片腕を伸ばし疲れた体を休ませていた。

 

 

「あっ、それなら!」

 

 

 そこでつむぎはある場所へ行くことを提案した。

 

 

 ◇

 

 

「いらっしゃいませでありんす。おや?つむぎどのそちらの方は?」

 

 

 つむぎたちはつむぎは見慣れた行きつけの場所である喫茶店、雪月花にやってきた。

 店主であるエレオノーラがいつものように笑顔で挨拶をする。

 

 

「ノーラちゃん紹介するね。わたしたちの友達のことちゃんだよ! Unreallyを案内しててここで休憩しようと思ったの」

 

「どうもことだよ。いつもつむたちがお世話になってます」

 

 

 つむぎがことを紹介するように言うとことはペコリとエレオノーラにお辞儀した。

 

 

「なるほどお友だちでありんすか。それでここを訪ねて来てくれたなら嬉しいでありんすよ」

 

 

 そう言った後、エレオノーラはにっこりと笑い四人用の席へと案内してくれる。雪月花は繁盛していて常に一定の数の客が集まっていた。

 

 

「ここはわたしのUドリーマー仲間のエレオノーラちゃんがやってるお店でメニューが豊富なんだよ!」

 

 

 席につくとつむぎがことに紹介するようにことに言った。

 つむぎの隣には咲夜が座っており対面にはことがいた。

 

 

「へぇ……それじゃ抹茶パフェを頼むよ」

 

 

 ことはメニューをいろいろ見てから抹茶パフェを選んだ。ことが抹茶を好きなのはつむぎは知っていた。

 

 それぞれメニューをみて食べたいものを選び注文することにした。

 

 

 

「いろいろ見て回ったけどどうだった?」

 

 

 それから注文品が届きデザートを食べ始めしばらくたった後。つむぎはことに問うように言った。

 

 

「うん、現実と感覚はほとんど変わらない。食べ物も美味しいし、これはぷちもんUが出たら楽しみだよ」

 

 

 ことは笑顔で言う。ことは美味しそうに抹茶パフェを食べていた。それは心から思っていることだろう。

 

 

「こともUドリーマーになって動画配信してみたいとかは思わない? ことならそれなりにいい線いくと思う」

 

 

 咲夜がコーヒーを飲みながら言う。

 たしかに、ことならきっと上手い感じにアンリアルドリーマーとして活動できそうだ。

 

 

「うーん、ことはバンドの活動が忙しいしそこまではできないかな」

 

「それもそうか」

 

 

 ことの答えに咲夜は納得したようだ。助っ人で行く咲夜とは違いことはリアルではバンドのリーダーで部長、いろいろ忙しいはずだ。

 

 

「でもやっぱり、こともUnreallyを買ってよかったと思うよ」

 

 

 するとことは少し寂しげな表情で話始めた。

 

 

「もう来年にはことたちは離ればなれになっちゃうし、リアルで会える機会は減っちゃうでしょ」

 

「たしかに……」

 

 

 つむぎはその時自覚した。

 リアルでちゃんと定期的に会えるのはもう一年もないのだ。

 

 

「でもこの世界ならみんなと会える。それってすごい素敵だなって思ってね」

 

「うむ……」

 

 

 ことの言葉にミーシェルは腕を組みうなずく。

 

 

「そうだね。これからもここでみんなで会えれば寂しくない。えへへ……いつでも私たちは一緒だよ!」

 

 

 つむぎは笑顔で答えた。

 いつまで四人でいれるかは今はまだわからない。

 でもこの日々が長く続きますように。 

 

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