つむぎはいつものように放課後喫茶雪月花でお茶をしていた、今日はしきとねねこ、ひそかと一緒だった。
つむぎは動画をねねこたちと共有して見ていた。
その動画はアンリアルドリーマーの中でもトップ、Uフォースの一組、もふもふあにまるずの動画だ。
◆【湖のヌシ!?】巨大魚釣ってみた! │もふもふあにまるず
「よい子のみんな元気かー! もふもふあにまるずボス、ウルだ!」
元気な狼の少女ウルが鋭いギザ歯を見せながら画面に映った。
「スゥでーすよー……ふぁ……」
「シマリやけん。よろしゅうね」
うさぎの少女スゥは眠たげにあくびをし、ツッコミ担当のリスの少女シマリが優しく挨拶をする。
「今日は湖で100キロ越えの大物の魚を釣りに狙いまーすよー」
スゥが今回の企画を発表する。三人は小さな船に乗っており辺りはきれいな湖となっていた。
「なんでもこの湖のヌシらしいな! どんなだけでけぇ魚なのかあたいたのしみだぜっ……じゅるり」
「ウルは食べることしか考えとらんと……」
呆れるようにウルをみるシマリ。ウルは食べるのが大好きだ。
「てことで釣り竿を使って魚を釣りまーすよ」
「えーめんどくせーよ。そんなん直にもぐってモリで獲ったどーすればいいじゃねぇか」
「無人島やないんやからそんな野蛮なことせーへんよ」
ウルはぐちぐち言いながら釣竿を持ち、ライフベストを着て釣りを開始することにした。
「ていうかリズお前もちゃんと釣りしろよ」
「わかってるわよ。アシスタントのリズよ。わたしのことはよい子のみんなは知らなくてもいいわ」
画面に写る熊のリズ。彼女は企画アシスタント担当で画面には写らないのだが今回は釣りをするに当たって彼女も参加するらしい。
そして本格的に釣りが開始されるテロップが表示され開始された。
「うーん釣れねぇなぁ」
「釣りはまーたったりするもんですよぉ……あっ、また釣れた」
せっかちなウルに対してのんびりと言うスゥ、しかし彼女は小魚であるがもう何度か釣れている。
「あっきたけん! これはなんやろ……?」
「それはアマゴね。昨日釣れる魚の種類を覚えてきたからだいたいは分かるわ」
シマリが釣った魚をリズが解説する。
企画のためにリズは欠かさず抜かりなくチェックをしている。
それが裏方に徹する彼女のプライドだ。
するといっこうにかからなかったウルの竿になにかがヒットした。
「おお釣れたぞ! ……ってこれ、ごみじゃねーか!」
ウルが釣ったのは空き缶だった。
するとスゥが拍手をする。
「すごいでーすねーおおかみさん。自然環境にも気を使ってゴミ釣りをするなんてー」
「まぁなあたいだったらこれくらい……ってなるか!! 誰だよ捨てたやつ!」
ウルはスゥの言うことにノリツッコミをした。
ゴミはちゃんと後でゴミ捨て場に捨てましたというテロップが出ていた。
そんなこんなでダイジェストで釣りの映像が流れていく。
小魚がたくさん釣れるスゥ、ゴミばかり釣れるウル。
そこそこいい感じの魚を釣るシマリとリズの二人。しかし大物は全然釣れない。
二時間経過というテロップが出てくる。
そしてついに大きな動きが出た。
「これはっ!? すごい大きな獲物よ! わたし一人じゃ持ってかれる!? みんな手伝って!!」
リズが驚いた表情で言う。竿は今にも折れそうなくらい曲がり食いついていた。
「あぁー、撮れ高を一番最初に釣ったのはくまさんでしたねー」
「なに上手いこといってんだ! あたいだって……ゴミしか釣ってねぇ!」
シマリ、スゥ、ウルの順番で背中を掴んで魚を釣ろうとしていた。
「どうなってんのこれ……ヌシにしたって重すぎよ! 何キロあるって言うのよ!!」
少しずつだがリールを巻いていく。しかし糸がちぎれるのが先かの競争になりそうだ。
それくらいギリギリの戦いだ。
「こうなったらあたいの力をみせてやるぜ! うおおおおおおお」
そこでウルが本気を出した。目は燃えるように輝かせ力が何倍にもなり一気に魚は姿を現した。
その魚が中に浮く。
「なにこれ……!?」
リズが目を小さくして恐れるように驚く。
テロップが現れスローモーションになる。
それは湖のヌシと言うには
あまりにもバカでかすぎた
その文字の通り、ヌシは船と同じくらいかそれ以上の何メートルもある。100キロじゃ収まりきれないほどの大きさで船は影に支配された。
ドガーン!!
そのまま魚により船は真っ二つになり感動するようなBGMが流れる。
テロップの右下には
(終)
────
もふあに
というテレビのパロディが表示され終わった。
◇
「あはは、面白いなぁ。こんなの現実だったら放送事故だよ」
つむぎは心の底から笑っていた。もふあにはほんとうに面白い動画をあげてくれる。
このあとどうなったのか不安になることもあるがアンリアルなので平気で次の回にはけろっとしてる。そんな動画ももふあにには多かった。
「にゃーん」
「ブランちゃん魚見てお腹空いたの? ノーラちゃんにお魚もらおうかしら」
ブランと一緒に来ていたねねこはブランの頭を撫でながら注文をしようと迷っていた。
「これはちょっとあれだけどなんかウチも幻の生物! とか伝説のお宝! とか探す探検やりたいやりたい!」
しきはヌシを釣るというもふあにの企画を見てその部分に興味が出たようだ。
「なら探検してくるかい?」
「なにさなにさひそか、いいこと知ってんのー?」
「ふふっ実はね面白い噂があるんだよ。幸運を呼ぶ青い鳥といってね……」
「と、とりっ!?」
興味津々だったしきだが鳥という言葉を聞くとびっくりしたようだ。
しきは鳥が苦手だった。
「なにやらその鳥を見た者は幸せが訪れるらしい。できればその写真を撮ってきてくれないかい? 生息地はだいたい掴めてるから」
「ひそかちゃんは行けないの?」
「ひそかは次のいた……動画の取材にいかなくちゃいけなくて忙しいんだ」
つむぎの問いに答えるひそか。いたずらといいかけたことについてはまぁスルーしておこう。
「幸運を呼ぶ青い鳥かぁ。どうせなら動画にしたいかも。いってみようよ二人とも!」
つむぎは探索する気満々であった。
楽しそうな動画の企画ができたとつむぎは思ったからだ。
「仕方ないわね」
「にゃーん」
髪をなびかせてねねこはうなずく。
「えー鳥を探すのー……まぁ鳥は苦手だけど探検はしたいし、運もほしいしやるーる」
迷ったしきだが結果的に行くことに決めた。しかしそれはいつもの高いテンションとは少し違っていた。