撮影が開始される。
◆幸運の青い鳥を探してみた!│麗白つむぎ
「こんにちはアンリアルドリーマーの麗白つむぎです」
「ご機嫌いかがかしら? 水無月ねねこよ」
「しゅびっと参上! しきだよー」
それぞれが自己紹介をする。
あまりノリ気でなかったしきだが撮影するとなるといつものテンションに戻り元気な姿で挨拶をしていた。ねねこはブランを肩に乗せている。
「今日はなんとUnreallyで見るだけで幸せを呼ぶという青い鳥を探しに森までやって来ました! 会えたら二人ともどうする?」
「あたしはこれを見たファンのみんなが幸せになってくれれば……とかそんなこと思ってないからっ!」
「ウチはどうせならガチャでSSRいっぱい当たる神引きして動画にするーる!」
「ふふっ、二人ともちゃんとしたお願い事があっていいね。わたしはとりあえず出会えただけで幸せかなぁ」
ねねこたちの願い事はねねこたちらしい回答だった。そんな二人をみてつむぎは思わず微笑む。
「それじゃあ森の中へレッツゴー!」
そしてつむぎたちは森の中へと入って行った。
「この森は不思議ね……。木も草もあっちの世界にない色をしてるわ。まるでファンタジーの世界みたい」
ねねこが少し驚くように言う。ねねこの言う通り森の葉や草は薄い紫色をしており不思議な雰囲気を醸し出していた。
ここはワンダーランドプラネットにある森なのでこういった不思議な色をしていてもそこまでおかしな話ではないが。
今のところお目当ての鳥らしき生物はいない。だがそれなりに先に進むと進展があった。
「あっ大きなキノコがたくさんある!」
そこはキノコがたくさん生えている場所で人よりも大きい巨大なキノコが生えてあった。
「毒とかないかしら……ブランちゃん間違って食べたりしないでね」
「にゃーん」
キノコを見て不安に思うねねこ。それを聞いてブランはわかったかのように返事をする。
キノコは食用で見られるキノコと言うよりはカラフルで様々な色をしていた。
仮にUnreallyで毒があるものを食べても死ぬことはないが危険なことは避けるべきだ。
「わーいみてみて! これすごい跳ねる!」
するとしきはキノコの上に登るとトランポリンのようにジャンプして遊んでいた。
「危ないわよ!」
ねねこが心配するように言う。しかしつむぎもしきを見てて楽しそうだなと思っていた。
ふんふんふん~と鼻歌を歌いながら楽しそうにキノコの上を飛び跳ねるしき。
「あっ……」
しかし思いの外しきは高く飛びキノコから離れてしまった。そのままなにもできず落下していく。
地面にぶつかるより先にドン! となにかにぶつかる音がした。
「いてて……なんかぶつかった……え?」
ぶつかった衝撃で少し飛ばされるしき。
ぶつかったものの正体を見るとしきは目を見開いた。
「……」
それは人間と同じ大きさのキノコで手と足が生えた人間のような生き物だった。そのキノコは尻餅をつくと頭をさするようにさわっていた。
その後しきと目が合い。
「……ッ!!」
なにも言わずなぞのキノコ人間は一目散に遠くに逃げていった。
「なにあれ!?」
しきは謎な状況に思わず叫んだ。
◇
その後つむぎたちは森の奥へと進んで行った。
よく見ると森には小動物が多く住んでいる。
リスがピンク色のドングリを手にして食べていた。色こそ不思議だがここの植物は普通に食べられるらしい。
するとつむぎたちの行く手を阻むようにエメラルド色の大きな川が現れた。
「ここから先はボートが必要だね」
つむぎはそこであるアイテムを取り出す。
アイテムを具現化させるペン、マテリアライズペンだ。
つむぎは紙にあるものを描いていく。
そしてそれは具現化し立体化していった。
「はいっ、ボートとカヌーを作ったよ! これで先に進めるね!」
つむぎが描いたのは川を渡るのに必要なアイテムだった。こういうときマテリアライズペンは一時的に必要なものを呼び出してくれるから便利だ。それにはつむぎの画力もためされるが。
三人はカヌーに乗り込みオールを漕いで川を渡り進んだ。
「えっさほっさ」
オールは二人分しかなくつむぎとしきがオールを漕ぐ。
「こうやって川を渡ってるとワニが出てきたりしないよね?」
「あはは……さすがに森にワニは出てこないよ……たぶん」
しきの発言につむぎは苦笑いで返す。
正直もふあにの巨大魚を見て変なキノコ人間を見た後だとなにが出てきてもおかしくないので内心ちょっとひやひやしていた。
「よかったぁ。無事に到着できて」
しかしそんな不安は大丈夫でつむぎたちは川を渡りきることができた。
つむぎは安堵する。
だが一人、がっくりとうなだれる姿があった。
「うぅ……フラグ的に言ったのになんで出てこないのぉワニ。ワニに追いかけられて漕いで逃げる光景を流すって言うウチの考えた理想の撮れ高がぁ」
「なに企んでるのよ……」
ねねこがしきを見て呆れるような目で髪をいじりながら言う。
「にゃーん」
「あっ、ブランちゃんどうしたの!?」
するとブランがねねこの肩から降りて奥へと進んでいった。
つむぎたちはブランの後を追った。
かわいらしいブランの後ろを追っていくつむぎたち。かわいらしいがこのままいなくなっては危ない。
だがブランはしばらくして足を止めた。
「にゃーん」
ブランは一本の木を見上げて鳴いた。
そこにあったのは……
「発見したわ青い鳥! お手柄よブランちゃん!」
それはお目当ての幸運を呼ぶ青い鳥だった。
その鳥の種類は鷹らしい鋭い目付きとくちばしを持っていた。美しい青い羽毛が輝きそれは見えかたによっては一部が虹色に光っているように見えた。
ねねこは大手柄のぶらんを抱き上げ撫でる。
つむぎはその鳥の美しさに見とれていた。
しかし、ここに来た理由を思いだしカメラを取り出す。
パシャリっと写真を撮る。
「写真を撮ったよ! これを後でUnitterにあげるからみんなに幸せをおすそわけできるね!」
ひそかに言われた願い事とファンのみんなの幸せを祈りつむぎは写真をおさめた。
するとシャッターを押した音に反応したのか青い鳥はこちらに視線を向けてきた。
「えっ!? な、なんかウチのこと睨んでくる……!?」
青い鳥が鋭い視線で睨み付けたのはしきに対してだった。しきはガタガタと震えていた。
無理もない。しきは鳥が苦手なのだ。
「ホック!」
そして青い鳥はなぞの声を発しこちらに向かって飛んできた。
「またいつものパターンだぁ!! 鳥につつかれてズタボロにウチの精神を病ませて自爆させるんだぁ」
しきは手を前にして阻止しようとしていた。
自爆するのは自分の意思であって鳥は関係ないように思えるが。
鳥は思いきり飛んできてそうして……。
パタッ。
しきの腕に乗っかった。
「へっ?」
「ホック」
思わぬ状況に戸惑うしき。鳥にいじめられる状況はあれどこうした場面にでくわした事はないようだ。
「なに……ウチの事いじめないの?」
「しきちゃんが鳥にいじめられないなんて!? もしかしてしきちゃんのこと気に入ったのかな?」
「よかったじゃないあなたもその鳥をマスコットとして迎えてあげたら?」
その鳥はしきのことを気に入ってるように見えた。にゃーんとブランも鳴きながら賛成しているように見えた。
「……り……」
しかししきはガタガタと震えていた。
「むり……むりいいいいい!」
手を振り払い鳥を腕から離す。
それに驚いた鳥は飛んでいき逃げてしまう。
しきもそのまま手のひらのジェットを噴射して空に飛んでいく。
「……ええっと無事鳥を見つけることができました。これを見たあなたに幸せがやってくるといいな。じゃあまたね!」
思わぬ事態に戸惑うつむぎだが、撮影していることを忘れずにつむぎは最後の挨拶をして撮影を終了した。