Unreally   作:羅糸

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トラウマを克服するために

 つむぎは後日咲夜としきといっしょにハンバーガーショップにいた。

 

 

「ねぇしきちゃんあの日いったいどうしたの? 鳥の事になるとすごい怖がってたけど」

 

 

 つむぎはポテトを手にしながらしきに言う。

 

 

「私もあの動画見たけど虐めてくるどころかはじめてなついてきた鳥なのに、拒絶するってそんなに鳥が怖いの?」

 

 

 咲夜はシェイクを口につけた後言った。

 

 

「うん……ウチが鳥が苦手なのはね昔のトラウマがあるからなんだ」

 

 

 しきはチキンナゲットを手にしながら昔の話を語り始めた。

 

 

「ウチ小さい頃インコを飼っていたんだ。はじめてのペットで可愛がってて。でもあるとき……カゴから出して遊んでいたとき、窓が空いてるのに気が付かなくてペットのインコが飛んでいっちゃったんだ。もちろんインコは見つからないまま。それからウチはウチの不注意のせいでこんなことになったんだと思うようになって……それから不運が続くようになって……Unreallyでは鳥にいじめられて……ウチは鳥に呪われているんだよ。だからウチに鳥をペットにする資格はないんだ」

 

 

 しきは悲しげに喋った。

 しきが鳥にトラウマを持っている理由。それが自分のせいで鳥が逃げ、鳥が自分を恨み呪っていると信じ込み苦手になったようだ。

 

 そんな過去があるならば確かに鳥をペットにするのは抵抗があるだろう。

 

 

 しかしチキンナゲットを食べながら言われると説得力がないように思う。それについては黙っておいた。

 

 

 ◇

 

 

「はぁ……」

 

 

 つむぎと咲夜と別れた後しきは一人で町中を歩いていた。

 

 どうして自分は不幸なんだろう。どうして自分は鳥に嫌われているんだろう。

 

 そう思っていた。

 いつもドライブをしていると鳥が現れてつついて事故に合う。それがなくても雨が降ってどしゃ降りになる。

 

 そんな日が多かった。

 運がいい日は少なくて事故に合わないと奇跡みたいなものでいた。

 

 それでもまわりからは明るく見えるように振る舞っていた。

 

 

 だから心が病むと自爆をして落ち着かせる。それができるUnreallyは良くも悪くもしきに向いていた。

 

 すると景色は曇っていき徐々に雨が降ってきた。

 

 

「雨か……」

 

 

 あぁ、今日も今日で不幸だと心の中で呟く。

 雨がしきの体を蝕むように濡らしていく。

 

 

「カァー! カァー!」

 

 

 まわりにはいつものように鳥たちがあらわられていた。

 

 

「いたっ! やめてよ!?」

 

 

 鳥たちは雨を気にせずしきをつついてきた。

 どうしてそこまで自分を恨んでいるのだろう。

 自分はいちゃだめな存在なのか。

 

 

「いつもこう……なんで……! なんでなの!」

 

 

 しきの心は限界が近づいていた。

 なにもかも無くなればいいのに。

 そう心の中で思っていた。

 

 

「やっぱりウチは呪われてるんだ! こんな世界……爆発してしまえばっ!!」

 

 

 しきの心は自爆態勢となっていた。

 あとはいつものように自爆するように念じるだけ。あと少しですべてリセットされる。

 

 そう思ったが今回はいつもと違った。

 

 

「ホーーーック!!」

 

 

 青い鷹、あの幸運を呼ぶ青い鳥がいきなり現れてしきを助けるように鳥たちに威嚇してきた。

 

 すると鳥たちはその鷹の目付きの怖さに怯えてかどこか遠くへと去ってしまった。

 そして青い鷹はしきを見つめた。

 

 

「ウチを助けたの? どうして!?」

 

 

 なぜこの鳥は自分を助けたのだろう。

 

 

「ホック」

 

 

 鳥はただそうとだけ返事をする。

 目付きは悪いがそんなことどうでもよくなっていた。

 

 

「あんた……ほんとにウチの事が気に入ったってこと?」

 

 

 しきは理解する。この鳥がほんとに自分を気に入ってたことに。

 

 

「ホック」

 

 

 鳥はまた同じように返事をする。

 するとしきは笑う。

 

 

「おかしな鳥……いいよ。ウチがあんたの飼い主になったげる!」

 

 

 しきはトラウマを克服する一歩を歩みだそうとしている。

 ザーザーと降っていた雨もいつの間にか病んでいる。

 

 しきにささやかな幸せが訪れたのだ。

 

 

 ◇

 

 

 つむぎは一つの動画をみた。それはしきの新着動画だ。

 

 

◆ウチのマスコット紹介!ガチャで神引き狙うよ! │零式.しきちゃんねる

 

 

「はーい! 零式ことしきちゃんだぞー! 今日はね今日はねウチのマスコットであるペットを紹介するよー! いでよホック!」

 

 

 しきが自己紹介のあとマスコットの名前を呼び腕を横に伸ばした。すると青い鷹が飛んでくる。

 

 

「ホック!」

 

 

 それはつむぎたちが見た幸運を呼ぶ青い鳥だ。

 青く輝くその鳥はしきの腕に乗っかった。

 

 

「こいつの名前はホック。ウチをいじめる鳥から救ってくれた大事な友達なんだ」

 

 

 しきは嬉しそうに言う。あれから聞いたがしきは青い鳥ことホックに助けられそれからマスコットとして迎い入れたらしい。

 

 そのはじめての動画だ。

 

 

「そんでもってねホックは幸せを呼ぶ鳥なの! だから今日はそれを証明するためにケモ娘でガチャを150連やるーる! きっとSSRいっぱいでるよ!ぐへへ!」

 

 

 そしてしきはスマホを取りだし動画の画面にはスマホの映像が現れた。

 ケモ娘はたくさんのケモノの女の子が出るゲームだ。SRまではケモノままだがSSRからは擬人化した女の子になる。

 

 

「ホック」

 

「あっちょっとどこいくのホック!?」

 

 

 するとホックはどこかへ飛んでいってしまった。ホックは気ままでどこかに行ってはまた知らないうちに返ってくる。

 

 

「まぁいいや。たぶん大丈夫大丈夫。さぁいくよガチャスタート!」

 

 

 しきは10連ガチャを引く。

 しかし結果はおまけのSR一枚だった。

 

 

「ま、まぁ一回目だし? 最初はこんなものだよねー」

 

 

 しきは嫌な予感がしたのかなにか焦っていた。

 しかしそれからもガチャは引いてもSR1枚が続く。

 そして最後の150連までSSRが出ることはなかった。

 

 

「そんな……150連やったのにSSR0枚……天上まで足りないし……お小遣いも全部使ったのに……」

 

 

 しきの目は死んでいた。

 なにもかも絶望している目だった。

 

 

「もういいや……今日は自爆しよう……最後までご視聴ありがとうございました」

 

 

 そのあと胸のコアが光り大爆発が起こる。

 コメントにはこれがほんとの大爆死と書かれてあった。

 そしてこの動画を見るとホックのご利益かガチャの運気が上がると噂になりこの動画はバズった。

 

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