5月の下旬。つむぎたちはこれから数日間Unreallyにはいけない日々が続くこととなった。
それはリアルの行事が関係してくる。
「沖縄楽しみだねさやちゃん!」
「うん」
隣にいるさやに対して笑顔で言うつむぎ。
つむぎはこの日を楽しみにしていた。
今日は修学旅行。目的地は沖縄。
今はバスで空港に向かっていた。
「ホテルの部屋ウチら四人っしょ。Unreallyはできないしあたしカードゲーム持ってきたよ」
「いいね、こともやりたいな」
前の席にいるひなたが立ち上がり顔を見せた。
その隣に座っていることねも返事をする。
ホテルの部屋割りは好きに決められためつむぎとさや、ひなた、ことねの四人で一緒の部屋にすることとなった。
沖縄はつむぎが今まで行ったことのある場所で一番すんでる場所から遠かった。なので飛行機に乗るのも今回がはじめてだ。
「さやちゃんはなにが楽しみ?」
「つむぎと一緒ならどこでも……」
さやはつむぎの問いに素直に答えた。
「そういえばさやはつむと沖縄でずっと同じ班なんだよね」
「ベッタリでまるで犬だねぇ」
「犬じゃない……」
ひなたが冗談で言った言葉にさやはジト目で否定する。二日目は班ごとに別れ別のところを観光するためひなたたちとは別行動だ。
「沖縄につくまで暇だし、わたしはなんか動画でも見てようかな」
そう言ってつむぎはスマホを手に取りいつものようにDreamtubeのアプリを開く。
すると新着動画に一際目を引かれるサムネがあった。
「あっ! さやちゃんティンクルスターの番組でレアちゃんがゲストだって!」
さやの肩を叩くつむぎ。
それに反応してさやがつむぎのスマホをみる。
「神咲レアがバラエティ番組出演? 珍しい……」
さやもそれに興味を示したそうだ。
神咲レアは歌がメインのUフォースの一人。むしろそれ以外の活動はしてないというほど彼女は歌の活動に特化していた。
その彼女がティンクルスターのバラエティ番組に出演するということは大変貴重なことである。
つむぎはもちろんその動画を再生する。
◆【ついに黒薔薇の歌姫にインタビュー!?】ティンクルスターのみんなをハッピーに 第○○回 │ティンクル☆スター
「ティンクルスターのみんなをハッピーに! クルハピ☆はじまりよ! MCはみんな大好きイルミーこと宝城イルミナと」
「今宵の時間もボクたちに捧げて星屑ミラ」
「ふんわりふわふわ~星屑カペラですぅ!」
ティンクルスターの三人がいつものように自己紹介をする。
「えっと……今日はゲストがいるよ」
「誰だか気になりますかぁ? ワクワクですねぇ! では登場してもらいましょう。黒薔薇の歌姫、神咲レアちゃんですぅ!」
カペラが紹介をすると画面には濃い紫色の髪をした少女、神咲レアが現れた。
「どうもこんにちは。神咲レアです。本日はよろしくお願いします」
自己紹介をするとペコリとお辞儀をするレア。
あまり彼女がしゃべる機会は少ないが彼女の口調は基本敬語だった。
「レアちゃんといえばミラちゃんのお友だちのしずくちゃんが参加してるアニメ、終焉少女ワルキューレの二期OPを歌ってるみたいね!」
「うん、ボクも主題歌の『ラグナロク』凄い作品にあってる曲だと思った……かっこよくて大好き」
「ありがとうございます。関係者の方にそう言われると嬉しいです」
イルミナが話題を振りミラがそれに対して言った。終焉少女ワルキューレはミラの声優である天津しずくが主人公ワルキューレを演じる作品だ。
最終戦争で多くの人間が犠牲になった後生き残ったワルキューレとエインヘリヤルたちが戦う中二心溢れるアニメだ。
しずくのデビュー作であり大々的なヒットをおさめたアニメで2期も放送された。
その主題歌を担当したのがレアだ。
「それではレアちゃんの経歴を見てみましょー」
イルミナが言うと画面には神咲レアのこれまでが左に表示された。
「最初は歌声音声ソフトUTAOPとして最初は動画投稿をしてたんですねぇ」
「はい、でもUTAOPとしては全然伸びなかったですね」
カペラが言った後レアが答える。
「それから……作曲した曲をアンリアルドリーマーとして自ら歌ったら一躍有名になったんだよね」
「まさか自分の歌がそこまで人気になるなんて思いもよりませんでした」
次にミラが言いレアが答えた。
「それで世界初のアンリアルシンガーソングライターになって音楽レーベル、ノワールツでデビューしたんだから凄いわ!」
イルミナがレアを讃えるように言う。
レアが当初アンリアルドリーマーとして活動するつもりがなかったのは知っていた。
本来は作曲家志望でUTAOPをやっていたのに自ら歌手になるとは本人は最初思ってなかっただろう。
だが実際レアの才能は作曲だけでなく歌唱力も抜群で誰しもが惹かれる音楽センスを持っていた。
「それじゃあ次は質問コーナー! イルミーたちの質問に答えて貰うわよ! まずカペラちゃんから!」
そして次のトークテーマに変わる。
「もぐもぐ、それではそれでは好きな食べ物ってなんですかぁ?」
「も……モンブランですかね……」
あまりトーク慣れしてないせいか一瞬言葉がつっかえるレア。こうしてプライベートなことを聞くのははじめてだった。
「次はボク……レアちゃんは好きなアンリアルドリーマーっていたり……するの?」
「好き……とはまた違うんですけど気になってる……注目してる子はいますかね」
「ふわっ!? 誰ですか誰ですか!?」
カペラが食い気味に聞いてきた。
しかしレアは首を横に振る。
「それはまだ言えません。ただ……いるとだけ今はいっておきます」
レアは正面を向いてカメラにまっすぐと答えた。
それはまるで画面の視聴者に対して言っているようにつむぎは思えた。
◇
その後、空港につき飛行機に乗ったつむぎたちは数時間喋ったり飛行機に乗る感覚を味わいながら過ごし沖縄へと到着した。
その後首里城に行って沖縄の歴史について観光し勉強する体験を少しした後ホテルへとついた。
「ついたついたー!」
どさーっとベッドに倒れ込むひなた。
「ひなたちゃん来て早々お行儀悪いよ」
つむぎはひなたに言った。
自分の家のようにくつろいでいるひなた。
つむぎは他の場所に泊まるのは小さい頃ひなたの家以外そんなにないためちょっと遠慮していた。
「ししっ、いいのいいのこれくらいなんくるないさー」
「もう沖縄に染まってる……」
もう沖縄に順応したひなたにつむぎは少しだけ感心した。
明日から二日目。これから修学旅行の本番が始まる。