時は6月の18日。
それはつむぎやことね。全国の子供が待っていた国民的ゲームの発売日だ。
「ついにぷちもんの世界に入れるね!」
「うん、この時をことは待ってたんだ」
つむぎはUnreallyでことと自分の家にいた。
部屋には床に魔方陣が張られている。
ワープゲートとは違いアンリミテッドファンタジアなどVRゲームの世界に行くときに使う転移陣だ。この転移陣は有料でぷちっとモンスターUのアクセスパスポートを買わないと中に入ることはできない。
ゲームで言うソフトのことだ。
つむぎたちはすでに買っておりあとは行くだけだった。
「よし、行こう!」
ことがそう言うと二人は転移陣へと入りぷちモンの世界へと入って行った。
◇
そして目が覚めるとつむぎたちはのどかな田舎の町らしきところにいた。
「ここがぷちモンの世界……」
一見なんの変哲もない普通の田舎の町だ。しかしどこか過去シリーズのぷちモンの最初の町っぽさがうかがえるどこか懐かしい感じのBGMが聞こえてくる。
『ぷちっとモンスターの世界へようこそ! あなたは今日からぷちモントレーナーです。まず研究所へ行きましょう』
アナウンスが聞こえてきた。Unreally用のチュートリアルだろうか。キャラクリなどはなしで今いるアバターで冒険ができるらしい。
それがUnreallyだ。
視界にはマップが表示される。マップにはこの町のについて小さく描かれており。現在地と目的地が表示された。
つむぎたちはそれに従い研究所に行くことにする。普通のゲームであれば他の家に入ってNPCと会話をしたりするがUnreallyのNPCはシンギュリアのAI技術によって人間に近い会話能力を持っている。
迂闊に人の家に入ったら怒られるのではないだろうかと思いつむぎたちは目的地の研究所にへと向かった。
目的地の研究所はこの町の中では思いの外大きかった。
すると扉が開く、そこにはぷちモンをもらったばかりのプレイヤーらしきトレーナーが猫のぷちモンと一緒に外へと出てきた。トレーナーは嬉しそうにぷちモンを見ておりぷちモンはトレーナーの後をついていった。
それは子犬が飼い主の後をついてくるようなかわいさであり、現実にはいない容姿のぷちモンが歩いてくるのは実に楽しそうだ。
つむぎもはやくぷちモンを手に入れたいと思った。
「お邪魔しまーす」
つむぎたちはその後研究所に入り研究員にぷちモンをもらえないか聞いた。すると今ぷちモントレーナーになる人が多くて手が回らないらしい。
しかし、研究所で一番偉い博士がどうやら手が空いてたらしく直々に見てくれるようだ。
現在、その博士のいる部屋につむぎたちは来ていた。そこには白衣を来てぐでーとテーブルに寝ていた小学生くらいの女の子がいた。この子もぷちモントレーナーだろうか。
「ねえ君、博士ってどこにいるか知ってる? 人手が足りないから博士が直々にぷちモンをくれるって聞いたんだけど……」
つむぎは女の子に話しかける。まわりを見渡すが小さな女の子以外人物は見当たらなかった。
「博士ならわたしリー」
すると女の子が顔をあげ疲れた表情で言った。
「えっ!? あなたが博士?」
「そうだリー。わたしがここの博士リリィ。体は君たちより小さいけどこれでもちゃんと大人リーよ。研究で洞窟に行ったとき重症を負ったところを幻のぷちモンに命を救われて気づいたらこの姿になったんだリー」
立ち上がり自己紹介をするリリィ。
意外な博士の正体に驚くつむぎとこと。
見た目だけとはいえまさか小さな女の子が博士だと思いもよらなかった。
その見た目は白衣はダボダボで片目だけの黄色い眼鏡をしたピンク髪の三つ編みツインテールの少女だ。
「それにしても今日は大変リー。次から次へとトレーナー志願者が殺到して人手が足らないリー。休みがほしいリー」
だるそうにしていた理由はそれが原因のようだ。次から次へと新規プレイヤーが押し寄せてくるのが原因なようだ。それが非現実的でありリアリティのあるアンリアルなのが原因だろう。
実際にはぷちモンのサーバーだけでも複数あるようだ。なのでこの数十倍の数が押し寄せている。さすが人気コンテンツだ。
「でも仕事には違いないリー。これからぷちモントレーナーになる君たちにぷちモンをあげるリー」
「やったぁわたしもこれでぷちモントレーナーになれる!」
つむぎは嬉しそうに言う。
「リリィ博士、ぷちモンバンクって使えるかな?」
するとことがなにかを気にしているように言った。ぷちモンバンクは過去シリーズで育てたぷちモンをこっちに持ってこれるシステムだ。
「なんだ、ぷちモンを育てた経験があるんだリーね。ならこの転送装置でぷちモンバンクに接続できるよ」
するとリリィは奥にある機械に目を向けた。
液晶パネルとぷちモンを転送するための転送装置があった。
「その液晶パネルでぷちモンバンクにIDとパスワードを入れて接続してパネルの説明通りに使うリー。最初は使うにしても一匹だけつれていくのをおすすめするリー」
リリィが説明をした。
するとことは液晶パネルを操作する。
「よし……!」
数分後、ことは意を決したかのようにボタンを押す。どうやら転送を開始する最終確認ボタンのようだった。
ひとつのカプセルが転送される。
それをことは手に取りそして投げた。
「おいでライルー!」
するとカプセルからぷちモンが飛び出してきた。はじめて実際の視覚でみるぷちモンの登場シーンだ。
ことが出したぷちモンはライルー。
ぷちモンを代表するぷちモンだ。
「やっぱりことちゃんはライルーを選ぶんだね!」
「そだね、ことにとってライルーは小さい頃から育ててきたぷちモンだから」
笑顔で言うこと。ライルーはつむぎとことが会話をするきっかけになったぷちモンでありことが一番好きなぷちモンだ。
「ライルゥ」
そのライルーはというと、ことをみるなり鳴き声を発し犬のような息づかいで尻尾を振った。
それを見てライルーをなでること。
「もうこんなになついてる! きっとことちゃんと直接あえてすごい嬉しいんだね」
つむぎは言う。今までのシリーズで育ててきた分それが好感度として蓄積されるのだろう。
はじめてとは思えないほどにライルーはことに甘えてきた。
「ふふっ。つむはどうするの? ぷちモンバンク使う?」
ライルーの顎を撫でながらことは言う。
つむぎも一応ぷちモンバンクに登録しているため過去シリーズのぷちモンを持ってこれた。
「うーん……それもいいけどわたしは一からぷちモンを育てたいかな! リリィ博士、ぷちモン見せて!」
つむぎは迷った末に新しいぷちモンを使うことを選んだ。
「分かったリー。じゃーいでよぷちモンたち!」
そう言ってリリィは懐から小さなぷちモンカプセルを三つ取りだし投げた。
すると三体のぷちモンがあらわれる。
「フラピィ」
「フロー」
「フレルー」
それぞれが鳴き声を出す。
「火属性のフラピィ、水属性のフローン、草属性のフレールだリー。このうちの一体を選んでリー」
リリィが説明をする。
フラピィはうさぎ。
フローンはカエル。
フレールは花の姿をしたぷちモンだ。
「えーっとどれにしよう……みんなかわいいし」
つむぎは迷う。どの子も可愛らしくすぐに選ぶのはむずかしい。
すると一匹の子と目が合う。
そのぷちモンはじーっとこちらを見てきた。
そしてつむぎは決意する。
「じゃあフラピィ、相棒はキミだよ!」
つむぎはフラピィを選択した。
「フラピィ!」
言葉が通じたのかフラピィは喜んでこちらに来てピョンピョン跳ねた。
その姿はとても可愛らしくて思わず抱き締めたくなる。
「これからよろしくねフラピィ!」
こうして二人はぷちモンUで最初のパートナーを選ぶことができた。