Unreally   作:羅糸

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シャープ姫のお願い

 城を壊し無断で場内に入ったつむぎたちは罪を免れ、食卓へと案内された。

 

 白いシーツが覆い被さった大きなテーブルには様々なお菓子や果物が並んでいる。

 

 

「すごい! 音楽の国ってだけあって音符や楽器の形をした食べ物ばかり!」

 

 

 つむぎが心踊るように言う。

 出されていたお菓子には♪のチョコが刺さったカップケーキに、ピアノの形をしたケーキ、オレンジやリンゴを使ったギター、♪や楽器の形のクッキーなど音楽にまつわる食べ物ばかりだ。

 どれもかわいらしく食べるのがもったいない。

 

 

「どうぞ召し上がってください」

 

 

 つむぎたちが席につくとシャープ姫が言った。

 今気づいたがシャープ姫は先程と違い普通のしゃべり方になっている。

 

 

 つむぎたちはそれぞれ自由に好きなものを食べることにした。

 つむぎはカップケーキを手に取り口に運ぶ。

 

 

「ふわふわでおいしい~」

 

 

 つむぎが手にしたカップケーキは甘くてとても美味しい。エレオノーラが作るデザートに並ぶ美味しさだ。

 流石王国のデザートなだけはある。

 

 他のみんなも美味しそうに食べている。

 するとしきが突然立ち上がった。

 

 

「ラララ~なんだかとても歌いたくなる気分~」

 

「しきちゃんいきなりどうしたの!?」

 

「ミュージカルクッキーを食べたせいですね。私もさきほどまで食べてたのであのようになってました。数分後には元通りに戻るので大丈夫ですよ」

 

 

 困惑するつむぎに説明をするシャープ姫。

 なるほど。だからさきほどまでシャープ姫は歌ってたのか。しきの歌の音程もさきほどまでと違いしっかりしてる。

 ほっとひと安心するつむぎは紅茶を飲む。

 

 

「それでは皆様に一曲、演奏を披露しましょう」

 

 

 すると音符の兵隊たちが楽器をもって現れた。

 バイオリンにトランペットなど手に取りシャープ姫が指揮者となり演奏が始まる。

 

 それはオーケストラのような壮大で美しい曲だ。聞いていて心地がいい。

 小さい音符たちが楽器を演奏している姿も見ていてかわいかった。

 

 

 演奏が終わるとつむぎたちは盛大に拍手をした。

 

 

「うむ、なかなか素晴らしい演奏だった……のだ」

 

 

 ミーシェルが素直に感想を述べる。

 

 

「ありがとうございます。喜んでいただきとてと光栄です」

 

 

 お辞儀をするシャープ姫。

 その気品さを感じる姿はやはり王族だ。

 演奏を終えた音符たちは役目が終わったかのようにその場から去り持ち場へと戻っていく。

 シャープ姫は席に座り紅茶を飲む。

 それからほっと一息ついたあと口を開いた。

 

 

「図々しいかもしれませんが実はお願いがあるのです。皆様、私たち姉妹の喧嘩の仲裁してくれませんか?」

 

 

 それからシャープ姫は語り始める。

 

 

 ◇

 

 

 シャープ姫には一つ下の妹フラット姫がいた。

 そんなある日のことだ。

 フラット姫はシャープ姫の部屋のドアを勢いよく開けた。

 

 

「シャープ姉さん! 今度の音楽祭はヘヴィメタルでいきたいです! ヒャッハー!」

 

 

 彼女は普段とは違った姿をしていた。

 白塗りこそしていないがヘヴィメタルでよくある顔に模様をペイントした姿をしていた。

 服装も姫にあるまじき姿だ。

 

 

「えぇ……一国の姫がメタルなんて万人受けしないし却下よ却下」

 

 

 妹の凶変に驚くシャープ姫だが落ち着いて紅茶を飲む。

 音楽祭とはメロディープラネットで開催される音楽のお祭りだ。それぞれ演奏を披露しお祭り感覚で楽しむ。

 それをみたフラット姫はがっくりとし落ち込んだ顔をした。そして拳を強く握りしめた。

 

 

「姉さんはいつも王国のためにってばかり……私の話はちゃんと聞いてくれない! もう知らない! 私、家出します!」

 

 

 怒るようにバタンと扉を閉めたフラット姫。

 それから彼女は姿を消し本当に家出をしてしまった。

 

 

 ◇

 

 

「ということがあったのです」

 

 

 事情を説明するシャープ姫。

 

 

「つまり音楽性の違いで姉妹喧嘩した……のだな」

 

「そんな音楽性の違いで解散するバンドみたいな言い方しないで」

 

 

 ミーシェルの独自解釈にツッコミをいれる咲夜。意味合いとしてはまぁ間違ってはいないのだろうけど。

 

 

「やっぱり彼女の気持ちを理解してあげるべきだったわ。私たち仲直りをしたいのです。皆様、協力してくれませんか?」

 

 

 真剣な表情でつむぎたちを見るシャープ姫。

 シャープ姫たちはこの世界に住んでいる、言わばNPCだ。

 普通のゲームであればこれはクエストの一つのようなもの。

 だが彼女たちは普通に人間関係があり本当にこの世界に生きているように生活している。

 

 そんな彼女たちを放ってはおけない。

 

 

「もちろん。わたしたちでよければ力を貸すよ!」

 

 

 つむぎは微笑んでシャープ姫に答えた。

 

 

「ありがとうございます! 場所はあらかた分かってます。なので連れてきてください。今の彼女は私の言うことは耳にいれてくれないのです」

 

 

 それからシャープ姫はフラット姫の見た目と場所を教えつむぎたちはシャープ姫のいる場所に向かうことにした。

 

 

 

 

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