「ふむ、どうしたものかね」
鹿羽ひそかは喫茶店のカウンターで指をトントンと鳴らしながら考え事をしていた。
「どうしたでありんすか」
ひそかにコーヒーを差し出す、喫茶店の店主エレオノーラ。
「実は咲夜くんにドッキリを仕掛けようとゾンビになって襲ったら銃殺されてしまってね。次の案を考えているんだ」
「また失敗したんでありんすね」
ひそかはドッキリやいたずらを仕掛けるのが好きでUnreallyでの動画投稿の活動の一部にもしていた。そのターゲットとして咲夜が狙われているらしい。
エレオノーラもそのことを知っていたようだ。
「やはり彼女は手強いね。でもそんなクールな彼女から意外な反応を見れるのをひそかは期待してるんだ」
「なら食べ物に激辛をいれるのはどうでありんすか。手っ取り早いと思うでありんすよ」
だがひそかは首を横に振る。
「それじゃあつまらないな。もっと大きな反応で彼女がびっくりして動画もバズる。そんなやつがいい」
ひそかにもドッキリを仕掛けるプライドがあるのだろう。中途半端なものは出したくないようだ。
「だったらこれはどうでありんすか……」
エレオノーラはひそかの耳元に近づくとなにかを言う。するとひそかは立ち上がりこちら、偶然居合わせたつむぎの方へと向かってきた。
「つむぎくん、突然で悪いが咲夜くんにドッキリを仕掛ける仕掛人になってくれないかい?」
「わ、わたしっ!?」
つむぎはいきなりのひそかの話に戸惑う。
ひそかの話は耳に入っていたが自分が仕掛人をするなど考えてもいなかった。
「ひそかが仕掛けても咲夜くんはあっさり回避するからさ。でもつむぎくんが仕掛人なら上手くいくさ」
「でも仕掛けるってなにをすれば?」
首をかしげるつむぎ。するとエレオノーラがやってきた。
「ズバリ、つむぎどのが咲夜どのに告白するんでありんすよ」
「こここ、告白!?」
つむぎは驚き持っていたティーカップをガタガタ震わせ下に置く。もし口に飲み物を含んでいたら思わず吹き出していたに違いない。
「君と咲夜くんのカップリングは本が出るほど人気だからね。それで君が告白ドッキリをしたらどうなるか気にならないかい?」
「それは……」
気にならないわけがない。
つむぎと咲夜は二人をカップリングとして百合目線で見るファンが一定数いる。
それが友情的な百合か恋愛的な百合かは人それぞれだが。
冬のUフェスでは実際に咲夜とつむぎのカップリング本が出されており二人がキスする本をつむぎは見てしまった。それを見たつむぎは顔が赤くなり倒れそうになったほどだ。
その後咲夜にそれが見つかりこういうのはこちら側は見ない方がいいと忠告を受けた。
ファン的にはこのドッキリは気になるかもしれないだろう。
だがドッキリを仕掛けるということにためらいがあった。
「告白したら咲夜どのが普段つむぎどのの事をどう思っているか知れるチャンスでありんすよ。本当に気にならないでありんすか?」
「それは……気になるかも」
エレオノーラの人押しで思わず肯定してしまうつむぎ。咲夜が自分のことをどう思ってるか。それは知りたい。
「じゃあやってくれるね。動画はひそかが撮影するよ。つむぎくんは自然にやってくれればいいさ」
ひそかはまだやるとは言ってないのにやること前提で話を進めてくる。
つむぎは断ることができずそのまま仕掛人をやることに。
ちょっと複雑な気持ちではあったが、やりたくないわけではなかった。
咲夜の気持ちが知れたらいいなとつむぎは少しだけ思っていた。