Unreally   作:羅糸

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咲夜の想い出

 最終日となったUフェス三日目。

 今日は一日ライブが行われる。

 今年も相変わらず多くの人数がライブ会場へと訪れていた。

 

 

「こと、さくとしての生ライブ見るのはじめてだよ」

 

「ミーもやつ一人のライブははじめてだな。どんなものかとくと見てやろう……なのだ」

 

 

 一緒にいたこととミーシェルが言う。

 今日はつむぎとこと、ミーシェルの三人でライブ会場にいた。

 

 つむぎは昨日の一件のあとだいぶ気分も落ち着き平常心を取り戻しつつあった。

 だがやはり入選しなかったことはショックであり思い出すと辛くなる。

 

 しかしこの状況で咲夜のライブを聞くのは失礼だ。

 彼女は言った。

 自分の歌を聞いてほしいと。

 

 その彼女の願いをちゃんと聞いてあげたかった。

 

 ライブは次々と様々なUドリーマーたちが歌やダンス、演奏を披露していく。

 

 咲夜の出番はそう遠くはなかった。

 

 

 ◇

 

 

 一方咲夜は舞台裏で演奏の準備をしていた。

 昨日つむぎに言った言葉。

 それはただその場のノリ。

 それしか方法がなかったというのもあった。

 自分にできることはそんなに多くはない。

 人を言葉で励まして勇気付けられるほど人間として上手く生きていない。

 

 自分には歌が演奏が音楽が

 それだけしかないのだ。

 

 だから咲夜は歌い演奏する。

 彼女のために

 自分を応援してくれる人たちのために。

 

 そして彼女の出番がやってきた。

 

 

 ◇

 

 

「続いては小太刀咲夜ちゃんです! ではどうぞ!」

 

 

 こころの紹介と共に咲夜の出番がやってきた。

 

 つむぎは咲夜の方をただじっと見つめる。

 

 

 咲夜はギターを構えながらマイクスタンドから声を発した。

 

 

「小太刀咲夜です。ソロでフェスに出るのは二回目。今回の曲……みんなの心に響くといいな」

 

 

 咲夜はまわりを見渡すように言った。

 するとつむぎと目が合う。

 つむぎをこの数の中から探そうとしてたのか。

 そう思ったがそれは一瞬のみですぐに咲夜は正面を向いた。

 

 ただ咲夜はこの会場にいるみんなにむけて言いたかっただけなのかもしれない。

 

 

「それでは聞いてください小太刀咲夜で───」

 

 

 そして演奏がはじまった。

 いつもの切ないロックな咲夜らしい曲調だ。

 大切な時間が進んでいくのを怖がりながらそれを残すためにカメラにおさめていくそういった物語性のある歌詞。

 だが最後にはカメラは壊れデータも消えてしまう。

 でも心の中では思い出は残り続ける、それを大切に生きていこう。そういった歌詞だった。

 

 その圧倒的な歌唱力は日に日に増しているように思える。

 

 そしてつむぎは呟く。

 

 

「やっぱり咲夜ちゃんには敵わないなぁ……」

 

 

 その才能も心に響かせる歌もなにもかもがすごくてつむぎは心が軽くなる。

 落ち込んでいた気持ちも完全に晴れその歌に聞き惚れていた。

 

 

 ◇

 

 

 また同じく一人のピンク髪少女がライブ会場で咲夜の演奏を聞いていた。

 彼女は本来、咲夜のように今日ライブに参加してもおかしくない実績もスキルも持っている。

 しかし彼女は別に多くの人にみられることに関心があまりなかった。だから参加はしていない。

 

 

 だがその視線は咲夜だけに向けられていた。

 

 

「絶対に勝って見せる……」

 

 

 ロリータの衣装を着た少女ほむらすみれはそうポツリと言った。

 

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