「さやっちすごいレーベルデビューなんて夢叶えたじゃん」
かなでがさやに言う。
ここはいつも軽音部が練習をしている音楽室。
夏休みももうすぐ終わりと言う頃、軽音部の活動にさやは参加していた。
さやはレーベルデビューすることをつむぎの一押しで決めその報告をひなたと軽音部の皆に伝えた。
レアによるとCDが出されるのは恐らく来年の四月らしい。それまでにCDに入れておきたい曲を決めておくように言われた。
今後はレーベル関係者ともUnreallyで会ったりして打ち合わせをすることもあるだろう。
直接会うのはアンリアルドリーマーという理由で無理強いはされなかった。
「これならブルーシルも一躍有名になるし!」
「いや……リアルの名前とか素顔とか公表しないから知らされない」
「そんなー残念」
しょんぼりし残念がるかなで。それからいつものようにスティック菓子を食べる。
「でもももうすぐ最後の文化祭だしここはパーっと新曲で盛り上げましょうよ、ことね」
ひびきがことねの肩をポンと叩き言う。
ことねはというと座りながらノートを開きシャーペンをリズムよく叩きながらなにかを悩んでいた。
「それが……全然新曲のアイデアが出てこないんだ」
ことねのノートにはなにも書かれていない白紙だった。
「えーじゃあどうすんのー?」
かなではお菓子を持ちながら言う。
夏休みもわずか、文化祭まで二ヶ月しかない。
今のうちに曲の方向性だけでもちゃんと決めて練習しておきたいところだった。
「うーん……」
ペンを頬に当て悩むことね。
するとなにかを閃いたのかノートを閉じた。
「そうだ……合宿をしよう!」
◇
合宿をすると決めてから開始されるまではそこまで時間がかからなかった。
場所は青い空が炎天下の中照らす
「なんで学校に来てまで合宿ー? どうせならホテルとかでやりたいしー」
合宿先はさやたちの通う姫乃女学園であった。
愚痴を溢すかなで。手には止まるための荷物がある。
「そんな部費もお小遣いもないでしょ! 学校の方に申請したら運動部の使ってる施設使わせてくれることになってほとんどお金は使わないんだし」
かなでを指摘するように言うひびき。手には泊まるための荷物以外にもここ数日分の食料が入った袋を持っていた。
「設備それなりにいいからねうちの学校」
ことねが校舎を見ながら言う。
姫乃女学園はここら辺の学校では設備が良く比較的新しい学校だ。
部活動や文化祭の活動にも力を入れていて制服もかわいく、女の子が行きたい学校として人気。
その分偏差値が高いので受かるのは少し難しいが。
さやは特になにも言わず、いい曲ができるといいなと心の中で思った。