Unreally   作:羅糸

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いざ合宿!

「それじゃあまずいつも通りの曲で音合わせしようか」

 

 

 それから荷物を置いてきて音楽室にやってきたことねたちはバンドTシャツを着て自分達の楽器を持ち、いつも通り練習をし始めた。

 

 今回の合宿は新曲作りがメインであるがブルーシルの作曲は基本ことね一人でやるため基礎練習もやることになっていた。

 

 これで最後となる文化祭だ。

 できるだけ全力を出しきっていきたい。

 

 

「ワンツースリー!」

 

 

 ひびきの合図と共に演奏が始まる。

 それは去年の文化祭、はじめてさやを加えて演奏した曲だ。

 

 その演奏と協調性は去年よりも上がっている。

 バンドとして成長しているということが明らかだということをさやは感じた。

 

 

「いい感じ~、わたしたち去年より上手くなってるよねさやっち?」

 

「うん……良くなってる」

 

 

 何曲か演奏をし終わった後、休憩をとっている中でかなでが聞いてきた。さやはそれに同意して頷く。

 

 ひびきはスポーツドリンクを飲んで首にタオルを巻いている。ことねはと言うと机と椅子を持ってきて作曲をするのにノートを広げていた。

 

 

「どう、なんかいいの思い付いたことね?」

 

 

 スポーツドリンクを口から離すとひびきがことねに進捗を聞いてきた。

 

 

「うーん駄目だね……全く進まないや。ことの事は置いといてみんなで練習しててくれないかな」

 

 

 ことねの作曲の進捗は先日までといっこうに変わっていないようだった。

 新曲を作るのは難しい行程だ。

 それは凝ろうと思えば凝ろうと思うほどなかなか進まない。

 

 ことねは最後の文化祭ということで少し気を負いすぎなのではないかとさやは思った。

 

 

 ◇

 

 

 それからさやが仕切るようにギターを演奏しバンド練習をしていった。練習の方は上手くいった。しかし、ことねはずっとノートとにらめっこしていたが今日は収穫はなし。

 なんの進捗もなしに合宿一日目は終わりを迎えた。

 

 夜、合宿施設に戻ったさやたち。

 施設内にあるシャワーを浴びた後、夕飯担当であることねが夕飯を作った。

 料理はかなで以外がそれぞれ分担してやることとなっていた。かなでは全然料理をしないためさせない方がいいということになった。

 

 その後二階の寝室に布団を敷きパジャマを着て寝る準備を始めていた。

 

 

「あー失敗しちゃったー。やっぱり難しいよ難易度ルナティックスターは」

 

「それくらい慣れればクリアくらい簡単よ。まずはマスターをフルコンできるようにしなさい」

 

「それが無理なんだよー」

 

 

 かなでとひびきはスマホのリズムゲームをやっているようだった。

 ひびきはリズムゲームが得意なようでかなでに教えているようだ。

 だがひびきの特訓は鬼のようでかなでは愚痴を言っている。

 

 二人は二人でこの合宿を楽しんでいるようだった。

 

 

「うーん……どうしようか」

 

 

 ことねは布団をかぶり寝たまま未だにノートを見つめていた。

 ことねは顔ではあまり心配させないような表情をしているがさやは感じていた。

 ことねがずっと新曲作りが上手くいかなくて思い詰めていることを。

 

 なんとかしてあげるべきか……とさやは右手につけてある白黒のミサンガを見つめながら思った。

 それは去年の冬、つむぎと一緒にお揃いで買ったものだ。寝る前にはお守りのようにつけている。

 

 つむぎならどうするだろうか?

 

 なんて思っているとピコンとUINEの通知が来た。それはちょうどよくつむぎからだった。

 

 

つむぎ:合宿の方はどう?

    進んでるかな?

 

 

 といったものだった。

 つむぎは今日合宿があることを知っていた。

 つむぎもつむぎで心配しているようだ。

 合宿中はUnreallyには行けない。

 だから連絡をもらえるのはさやは嬉しかった。

 さやは少し微笑みながら返信をする。

 

 

さや:練習の方は順調

   でも新曲作りはなんか行き詰まってるみたい

つむぎ:さやちゃんは曲作り手伝わないの?

 

 

「……」

 

 

 さやはつむぎのチャットを見て少し迷った。

 作曲はさやもできる。

 本当は手伝ってあげてもいい。

 だが……

 

 

さや:私は本来助っ人として入った身だし、あんまりでしゃばるべきじゃないと思う

 

 

 それがさやの答えだった。

 ブルーシルはあくまでことねたちのバンドだ。

 それにさやは助っ人として入ってる形である。

 普段の練習にはあまり参加できてないのが現状だ。

 

 そんな自分がことねの作り上げてきた作風の曲に手を加えていいのか?

 そういうためらいがあった。

 

 

 だがつむぎは返信をする。

 

 

つむぎ:そうかな?もっとさやちゃんの方から関わっていってもいいと思うよ。きっとことねちゃんも喜ぶよ!

 

 

 そうつむぎから返信が来た。

 

 

「私が関わってもか……」

 

 

 さやは考える。自分が関わってもいいなら……

 どうすればいいか……

 さやは布団に入り考え込んだ。

 

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