Unreally   作:羅糸

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思わぬ再会

 文化祭が終わり数週間後。

 つむぎたちはいよいよ本格的に受験勉強に専念しなければいけなくなった。

 

 それによりUnreallyにいる時間は勉強の時間が多くなっていきアンリアルドリーマーとしての活動も徐々に少なくなっていく予定だ。

 これも受験を成功させるために致し方ない。

 

 

 そんな中つむぎはリアルでライブハウスに来ている。

 それは息抜きであり、ことねたちブルーシルの活動の大きな舞台での最後だった。

 

 なのでその姿を目に焼き付けなくてはならないとつむぎはライブハウスに足を向けたのだ。

 ライブハウスで演奏をしているのを聞いてから何度か来てはいるがその賑わいは文化祭のときとは別の雰囲気が漂っていた。

 

 このライブハウスはつむぎの思ってたライブハウスのイメージと少し違っていた。

 つむぎはバリバリロックな雰囲気のあるのがライブハウスだと思っていたがグランドピアノがステージの端に設置されており幅広いジャンルの音楽が楽しめるようだ。

 

 

 舞台裏。

 楽屋でことねたちブルーシルは話し事をしていた。

 

 

「これが終わったらもうあとは卒業ライブだけかー。受験が終わるまで活動は一旦終わりだねー」

 

「そうね、寂しくなるわ」

 

 

 制服を衣装にそれぞれ楽器の調整を終わりもうすぐステージ本番という所。ひびきとかなでが寂しそうに今までを振り返りながら言った。

 

 

 ブルーシルの活動は卒業式の後の謝恩会で披露するのが最後となりそれでブルーシルは解散だ。

 

 そして受験が終わるまで活動は今回きりで休止となる。

 今回のライブはとても大切な数少ないライブの機会なのだ。

 

 

「だからこそ……全力でこの瞬間を楽しもう」

 

「うん……」

 

 

 ことねがリーダーとしてその場の空気を変えるように言いさやはそれに頷いた。

 

 そして彼女たちは円陣を組み手を全員重ねていく。

 

 さやたちは目を瞑り集中していた。

 ことねの合図を待っている。

 

 

「……行こう! 空に羽ばたけ!」

 

『ブルーシル!!』

 

 

 掛け声を全員で言う。

 この掛け声も何度もやりさやははじめは気恥ずかしかったが慣れていった。

 

 

 ◇

 

 

 一組目からブルーシルの出番だった。

 ライブハウスのステージにはことねたちが制服を着て楽器を持ち立っている。

 

 客の中にはブルーシルのファンがいるらしくさやちゃんかっこかわいいーと叫んでいる女の子がいた。つむぎも心の中でがんばれーと応援する。

 

 するとことねがマイクスタンドを片手で持った。

 

 

「こんばんはブルーシルです。たぶんこうやってライブハウスで演奏するのはこれで最後かな……だから精一杯やらせてください!」

 

 

 気持ちのこもった言葉をことねがいいそれから演奏が開始された。

 

 

 ◇

 

 

「お疲れみんな!」

 

「おつあり~つむっち」

 

 

 演奏が終わりそれぞれジュースの入ったペットボトルを持ち観客席へと来たことねたち。

 かなでが真っ先にお疲れの挨拶を返してきた。

 

 

「いい演奏だったよ! ほんと何度聞いてもブルーシルの曲はエモくてすごいよ! やっぱりこれからももっとバンド活動してほしいなぁ」

 

「ふふっ、そう言ってくれるのは嬉しいわ」

 

 

 ひびきが微笑み嬉しそうに言う。

 

 

「でも活動は今回と次でおしまいだよ。それはもう決めてあることなんだ」

 

「どうして?」

 

 

 ことねが首を振り期待を裏切るように言った。

 それは高校を卒業してバラバラになるから解散というだけではなさそうだ。

 

 

「ブルーシルは女子高生の青春を歌ったバンドだから。高校を卒業するってことはブルーシルは卒業するって決めてるんだ」

 

 

 真剣にことねは言う。

 ことねはいつも言っていた。

 今この瞬間を楽しもう。

 それは女子高生であることを

 青春を楽しもうということなのだろう。

 それがブルーシルなのだ。

 

 

「そっか……それなら仕方ないね」

 

 

 つむぎは納得した。

 彼女たちがそう決めたならなにも言うことはない。

 

 

「それより……どうしてわざわざ客席に来たの?」

 

 

 さやが口を開く。

 確かになぜこちらに来たのだろう。

 

 

「いやねーコンテストで毎回優勝してる天才ピアニスト女子高生がちょうど今日ここで演奏するらしくてねーこれは見るしかないしって思ったのー」

 

「まぁいいじゃないこれで最後だし、せっかくだから見ていきましょう」

 

「まぁそう言うなら……」

 

 

 乗り気でなかったさやが納得する。

 

 グランドピアノがおいてあるだけあってやはり普通のバンドだけが参加するわけではないらしい。

 

 しかし天才ピアニストとはいったいどんな子だろう。

 

 すると一人の少女がグランドピアノの方に現れる。

 

 髪は黒髪のサイドテール。水色の瞳をした少女だった。

 

 

「霧谷かすみです。わたしの演奏是非聞いてくださいね」

 

 

 少女お辞儀をし、グランドピアノの椅子に座る。

 

 

 するとポトッとペットボトルが落ちる音がする。

 それを落としたのはさやだった。

 

 

「うそっ……でしょ……」 

 

 

 彼女は震える声で言った。

 

 そうしている間にかすみの演奏が始まる。

 ピアノの美しい音色が響いてくる。

 

 

「さやちゃん!?」

 

 

 さやはというとなぜか最前列の方へと向かって行った。つむぎはさやのあとを追う。

 素早くいくさやに対しすいません前通りますといいながらつむぎは追っていった。

 

 

 さやは最前列に来ると動きが止まった。

 つむぎは声をかけようとしたがさやは彼女をかすみをじっと見つめていて聞こえそうにない。

 

 それから演奏が終わるまでこの状態が続いた。

 

 

「ご静聴ありがとうございました」

 

 

 かすみがグランドピアノから立ちお辞儀をする。すると一斉に拍手が巻き起こった。

 

 彼女の演奏は天才ピアニストと言われるだけあって指が細かく動き常人じゃ無し得ない演奏を披露していた。

 

 彼女は周りを見渡す。するとさやと目があった。

 そしてさやの方に近づいて来る。

 

 

「かすみっ……」

 

 

 震えるように言うさや。

 彼女はなにか怯えているようにも感じる。

 

 

「こんなところで再会できるなんて思ったより早く会えて嬉しいよさやちゃん」

 

 

 しかしかすみの方はにやりと笑っていた。

 

 

「さやちゃんこの子知り合い?」

 

 

 つむぎが問う。二人は知り合いのような口ぶりであった。

 

 

 それに対しさやが言った答え……

 

 

「私が小さい頃……友達だと思っていたピアノ教室の子」

 

「この子がっ!?」

 

 

 つむぎはその答えに驚き目を見開く。

 

 彼女こそさやにとっての分岐点

 

 

 友達と言う言葉を信じられなくなり

 

 さやが孤独を選択したきっかけ

 

 

 霧谷かすみ本人なのである。 

 

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