Unreally   作:羅糸

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卒業

 そして時は数ヵ月流れていく。

 外は晴れ渡った青空。桜が綺麗に咲いている。

 

 季節は春の三月。

 

 

「この道を歩くのも今日で最後かぁ」

 

 

 つむぎは少し寂しそうな表情で桜を見ながら通学路を歩いていた。

 今日は卒業式。

 高校生でいられる最後の日だ。

 

 

「なーにしけた面してんのつむぎらしくない。つむぎは楽しそうにるんるん気分で電柱にぶつかるくらいがちょうどいいって」

 

「なにそのわたしに対する偏見!? さすがにそこまでドジしないよ!?」

 

 

 隣を歩いていたひなたが両手を頭の後ろに置きながら言った。

 今日は最後ということで家が近くであるひなたと一緒に登校することにしたのだ。

 幼馴染みであるひなたとこうして歩くのもこれで最後になる。

 

 

「卒業式だもん嬉しさもあるけど寂しさのが多いよ」

 

「まぁね。みんな第一志望に受かって無事来月から大学生。けどもう全員揃ってリアルで会えるのは最後」

 

「うん……」

 

 

 ひなたの言うことにつむぎは頷く。

 

 つむぎたちは無事第一志望の学校に受かることができた。つむぎはファッションデザインの専門学校に入学することになる。

 

 Unreallyでは悔しい思いをしたつむぎだが今度は夢のためにも絶対受かってみせるという強い意思で入試を受け合格することができた。

 

 これから夢に向けての本格的な道がはじまっていく。

 

 

 ◇

 

 

 学校につくと校門では在校生が複数人いた。

 赤いリボンの卒業生の胸に花をつけているようだ。

 在校生たちはご卒業おめでとうございますと卒業生たちに挨拶をしていた。

 

 その中に一人見知った顔があった。

 

 

「あっ先輩方ご卒業おめでとうございます」

 

 

 それはそまりだった。

 

 

「あたし花付け係なので先輩たちのコサージュあたしが付けますね」

 

 

 コサージュ係をそまりがしていたとは驚きだ。

 そまりはコサージュを持ってつむぎの制服に付けようとする。

 

 

「ありがとう、そまりちゃん」

 

 

 つむぎはこれまでの感謝を告げるように言う。

 

 

「こちらこそ、つむぎ先輩とさや先輩にはほんと失礼なことをしました」

 

「あはは……そういえば初対面のときはいろいろ大変だったねぇ」

 

 

 UnreallyでUドリーマー仲間として友達になったねねこがまさかの学校の後輩になるとは思いもしなかった。

 リアルでは最初あがり症でまともにしゃべれずひあたふたしていた子が、今では前を向いていて成長したと感じる。

 

 

「リアルでもアンリアルでも本当に申し訳ないですっ//」

 

「そんなかしこまらなくても……」

 

 

 そまりは顔を赤くして何度もぺこりと謝ってきた。つむぎはそれに困惑していた。

 

 つむぎのコサージュはつけ終わり次はひなたにコサージュをつける番だった。

 

 

「ひなた先輩には文化祭のときお世話になりました」

 

「まぁあたしにかかればあれくらいどうってことないっての。夢の方はどう?」

 

「演技力はまだまだですがきっと声優になってみせますよ。そう約束しましたもん」

 

 

 そまりは微笑みながらも真剣な目でひなたに言う。

 それを見てひなたはにっこりと笑った。

 

 

「ししっ、かわいいやつめ。最後に先輩が可愛がってあげよう!」

 

「はぅ!? いったいなんですか//!?」

 

「あはは……ひなたちゃんの奥義撫で回しの刑にそまりちゃんもあっちゃったか」

 

 

 ひなたはそまりの頭を撫で回しつむぎは二人を微笑ましそうに笑ってみていた。

 

 

 ◇

 

 

 教室に入ると既にクラスメイトたちが何人か既にいた。

 皆、これまでのことを振り返りながら思い出話をしているように思える。

 

 

「さやちゃんたちもう来てたんだね」

 

「うん、どうしても早く起きちゃってね」

 

 

 既にいたことねとさやは、さやの席で話をしていたようだ。

 

 

「つむぎも見習いなさいよー。あたしが家まで迎えに行ってなきゃ遅刻してたかもしれないし」

 

「今日は寝坊してないよっ! ひなたちゃんが勝手に心配して来たんでしょ!」

 

 

 冗談混じりにいうひなたにツッコミをいれるつむぎ。

 ひなたは朝起きたらつむぎの家に来ていた。

 そんなことしなくても寝坊しないのに。

 と言いたいところだがUnreallyの冬フェスで盛大に寝坊した件があるため強くは言えない。

 

 

「ふふっ……もうひなとつむのやり取りもリアルで見れなくなっちゃうのか……寂しくなるね。さやもそう思わない?」

 

 

 くすりと笑ったことねはさやに話を振った。

 

 

「うん……最初は青春なんて私には遠いものだと思ってた……リアルの私は死んでいてどうでもいいもの、捨てたものだと勝手に思ってた。でも今なら言える……つむぎたちに出会えてこの学園での日々は人生で一番楽しい学生生活だった」

 

 

 最後にさやは微笑むように言った。

 

 

「そうだね。わたしも高校に入ってからさやちゃんとことねちゃんに出会えてとても幸せな時間が増えたよ」

 

 

 つむぎは三人を一人一人じっと見つめる。

 この三人とこの二、三年間過ごすことができて本当に良かった。

 この三人がいたからつむぎはたくさんの喜びと幸せを感じることができた。

 

 だからこそ……こうやって過ごす日々が終わるのが寂しくなる。

 

 

「うぅっ……ほんとにほんとうに三人ともありがとう!」

 

 

 つむぎは瞳に涙が流れながらも三人に感謝の気持ちを込めて笑顔で言った。

 

 

 ◇

 

 

 それから卒業式がはじまりつむぎたちは卒業証書を受け取る。

 

 この三年間いろいろな事があった。

 ことねと友達になりアンリアルドリーマーを好きになった一年生。

 Unreallyをはじめてさやちゃんと親友になった二年生。

 そして夢に向かってつき進んだ三年生。

 

 どれもかけがえのないつむぎの思い出だ。

 

 卒業式はなんなく終わりつむぎたちはそうして無事高校を卒業することとなった。

 

 

 そしてその後ホテルで行われる謝恩会。

 

 そこでは軽音部の最後のライブが行われようとしていた。

 

 ステージは既にセットされており四人は楽器を構えていた。

 

 ことねがマイクスタンドを持ち微笑む。

 

 

「元軽音部のブルーシルです。私たちブルーシルは高校卒業とともに……バンドを解散します」

 

 

 ことねはゆっくりと言う。

 ずっと変わらない決意。

 女子高生である時までがブルーシルが活動できる期間。

 それが今日終わりを迎える。

 

 

「これが本当に最後のライブです! それでは聞いてください!」

 

 

 そしてブルーシルの最後の演奏が幕を開けた。

 

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