Unreally   作:羅糸

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小さいころの夢

 街道を歩きながらどこへ行くかを決めるつむぎと咲夜。目的の場所があるならワープゲートですぐ行った方が楽だが、こうやってのんびり街を歩きながらその時の気分で遊ぶのを決めるのも楽しくて好きだ。

 

 楽しいのだが、つむぎはため息をつく。

 

 

「ねー咲夜ちゃん、わたしUフェス出るならなにしたらいいと思うかな?」

 

 

 思わず咲夜の顔を覗き込むように尋ねた。だが咲夜は首をよこに振る。

 

 

「私にはわからないよ。それはつむぎが決めるべきことだから」

 

 

 そうだねとつむぎは頷く。

 当たり前ではある。これは咲夜の問題ではなくつむぎの問題だ。参加しようがしまいがなにをしようがしまいがつむぎの自由。

 

 

「つむぎはさ、なにか売ってみたい、作ってみたいとかはないの?」

 

「作ってみたいもの……」

 

 

 つむぎは考える。なにか作ってみたいことはないか。するとひとつだけある記憶を思い出す。

 

 

「えっと……例えばだけど服を作ってみたりとか?」

 

「へぇ服作りに興味があるんだ」

 

「ち、ちがうの// これは小さい頃の話でっ……」

 

 

 つむぎは恥ずかしがるように顔を赤くして誤魔化すように手を振る。

 

 

「昔ね幼稚園の頃デザイナーに憧れてたんだ。それがきっかけで絵を描くようになったなぁって思い出して」

 

 

 昔のことを思い出す。小さい頃はよくファッション雑誌を見てそれを見よう見まねでオリジナルの衣装を描いてたりしていた。

 

 ひなたにはそれを見せてわたし大きくなったらデザイナーになるの! と宣言していた記憶がある。思い出すだけで恥ずかしい。

 

 

「いいねデザイナー、なったらいいんじゃない?」

 

「そ、そんな小さい頃の夢だから今はそんなこと考えてないよ! 現実は甘くないし!」

 

 

 慌てて訂正する。別に今デザイナーに憧れている訳ではない。

 

 

「そうじゃなくてUnreallyでなればいいって話」

 

「Unreallyで?」

 

 

 きょとんとつむぎは首をかしげる。

 

 

「Unreallyはなりたいものになれる場所。昔の夢だって叶えることができるよ」

 

 

 

 ◇

 

 

 咲夜に連れて行かれた場所は都会の会社にありそうな大きな建物だった。

 

 

「ここは?」

 

「ここはクリエイトファクトリー、オリジナルのアイテム、アバターを作るのにここを使うんだ」

 

 説明をしてくれる咲夜は建物の中へと入っていく。へぇと頷きながらつむぎも中へと入る。

 

 

 建物の中は様々なアイテムがホログラムで現れていた。受け付けにNPCがおり、後ろには今人気のアイテムの紹介映像などが流れていた。

 

 

「ここで作ったアイテムは永久保存されて複製可能。しかもオリジナルのギミック効果を作ることも可能だから結構人気なんだよ。しきのマシンやアバターのギミックはここで作ってるんじゃないかな」

 

「へぇ、そうだったんだ」

 

 

 しきはいつも自家製マシンだと言っていた。自作だとは知っていたがここで作っていたとまでは知らなかった。

 

 

「いらっしゃいませ、クリエイトファクトリーへようこそ。こちらへははじめてですか? 」

 

「あっ、はい服が作りたいんですけど……」

 

 

 つむぎは受付の女性の前に来て事情を話す。

 

 

「わかりました衣装製作ですね。衣装製作はそちらの転移エレベーターから3階を選んでください」

 

 

 受付の女性が説明し終えるとつむぎたちは転移エレベーターと言われるUnreally独自のエレベーターの方へと行った。

 

 転移エレベーターはその名前の通り一瞬でその階に転移できるエレベーターだ。

 そのため箱のようなものはなく、下が丸い円で光っていて階層を選択するボタンだけが存在する。

 

 

 その転移エレベーターへと来てつむぎたちは三階を選択し転移する。

 

 そこには小さな個室がいくつか存在し何個かの部屋は製作中という文字が書かれていた。

 

 

 つむぎたちはその中から使われてない部屋を選択する。部屋の中は思ったよりも広く本棚が壁にびっしりとある。休憩用に冷蔵庫や仮眠用のベッドも備わっていた。

 

 テーブルには液晶タブレットとパソコンがおいてある。

 

 

「ここが製作する場所なんだ。なんか思ってたのと違うね」

 

 

 つむぎは製作するというので工場的なものだったり布やミシンなどがおいてあると思っていた。

 実際にはネットカフェのような内装だ。

 

 

「アンリアルだからね。現実のやり方とは違うんだ。服自体はつむぎもつくったことあるよね?」

 

「うん、この服ははじめにアバター作った時に一緒に作ったから。あっ、そうかイラスト書くのと同じ感じでデザインして作っていくんだね!」

 

「そうだね、別にイラストが書けなくても型とか布の生地とか選択してなんとなくで作成できるけど」

 

 

 大体Unreallyでものを作るときはデザイン力が必要なのだと実感する。デザイン力があるかはわからないがつむぎはそれなりにイラストは書ける。なので少しこう言った分野は創造力で有利なのかもしれない。

 

「ここの本には服のデザインの参考になる資料や種類の名称とかいろいろ初心者に向けてのサポートガイドがあるから読んでみるのもいいかもね」

 

 

 咲夜が一つの本を手にする。するといくつかの衣装がホログラムとして飛び出す絵本のように出てきた。

 

 

「うんわかった! よーし、がんばるぞ!」

 

 

 つむぎは衣装をデザインするモチベーションが上がっていき衣装作りが始まった。

 

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