Unreally   作:羅糸

63 / 153
ある日の日常後編

 つむぎたちは喫茶雪月花へとつき扉を開けた。

 

 

「いらっしゃいませでありんす。つむぎどの、咲夜どの。おや……? 見ない顔でありんすね」

 

 

 白髪のロシアハーフの店主エレオノーラは笑顔で挨拶をすると見慣れない顔のミーシェルを見てきた。

 

 

「ノーラちゃん、今日はわたしの友達のミーシェルちゃんを連れてきたんだ!」

 

 

 つむぎはそう言ってミーシェルを前に出す。

 

 

「シッシッシッ……聞け! 我が名はミーシェル! 天使のような慈愛と「略して痛い子ミーちゃん」誰が痛い子だ誰が!? 咲夜貴様は少し身をわきまえろ!」

 

 

 長いミーシェルの挨拶を阻止した咲夜。それに怒るように叫ぶミーシェル。

 

 

「面白い人と友達でありんすねぇ。さぁ席に座ってでありんす」

 

 

 つむぎたちは四人用の席に案内された。

 今日は席が空いている。一時期は人が増えたがまだまだ固定して通う客はそこまでいないのが難点だ。

 

 

「これはこれは……あのアンリミテッドファンタジアトップランカーのミーシェルくんじゃあないか!」

 

「ひそかちゃん!」

 

 

 つむぎたちがメニューをなににするか迷っていたとき、つむぎたちのUドリーマー仲間である鹿羽ひそかがやってきた。

 つむぎの隣の席に座ってる手前の席のミーシェルを見て言った。

 

 

「噂には聞いていたけど本物を見るのははじめてだね。記念に撮影してもいいかい?」

 

「断る……どこの馬の骨だか知らんがミーは誇り高き天魔竜族なのだ。撮影は控えろ」

 

 

 カメラを取り出したひそかだがその要望を拒否するミーシェル。

 

 

「ふむ、噂通りだめか。本人が嫌がるなら仕方ない。実際に会えただけでも感謝しよう」

 

 

 ひそかはすんなり諦めカメラをしまった。

 

 

「ひそかちゃんもここに通ってるんだね」

 

「ひそかは情報収集に落ち着ける場所を探しててね。エレオノーラくんが経営してるここはとても落ち着けて素晴らしいよ」

 

「気に入ってもらって嬉しいでありんすよ」

 

 

 笑顔で返すエレオノーラ。

 

 

「ところでエレオノーラくん。このドッキリ企画なんだけど目を通してくれないかい?」

 

 

 ひそかは一つの紙を取りだしエレオノーラに渡していた。おそらく企画書だろう。

 

 

「むむ……そこはもう少し派手にした方がいいでありんすよ」

 

「なるほどこれはいいものが出来上がりそうだ」

 

 

 二人はとても気が合うようだ。エレオノーラはサプライズやドッキリが好きなようなので相性がよさそうである。

 

 

「この二人は本当に手を組ませていいのだろうか……」

 

「あはは、どうだろうね」

 

 

 苦笑いをしながらつむぎは今後の二人の事を想像していた。

 

 

 ◇

 

 

「うむ、聞いてた通り美味だな。良い店ではないか」

 

 

 注文品したメニューを食べたミーシェルが言った。ミーシェルが注文したのはチョコレートパフェだ。

 

 

「でしょ! 気に入ってくれてよかった!」

 

 

 つむぎはミーシェルがこの店を気に入ってくれて嬉しい。

 

 

「他のみんなはどうしてるかな?」

 

 

 ふとつむぎはフレンド欄を覗く。

 他のフレンドはしきとねねこがログインしていた。

 

 とりあえずしきにビデオ通話してみることにする。通話はすぐに繋がった。

 

 

「しきちゃん、今なにしてるのー?」

 

「今ー? ドライブ中の動画撮影してるよー! 聞いてよウチ今日まだ一回も鳥につつかれたり雨が降ったりしてないんだよ! ほめてほめて! ふんふん!」

 

「いや本来それが普通のはずだよ……」

 

 

 しきはバイクに乗りながら路上を走ってるようだった。とても元気な声が聞こえる。

 

 

「今日のウチは絶好調! 好調好調最高潮! ってうげ!」

 

 

 その時、ドガッグギガガ!と謎の音が大きく響き画面が真っ暗になって通話が終了した。

 

 

「あはは……みなかったことにしよう……」

 

「いいのかそれで!? 大事な友じゃないのか!?」

 

 

 ミーシェルがツッコミをいれる。

 

 

「いつものことだから気にしてたらきりがないんだ」

 

 

 咲夜が冷静に言う。しきが事故ったり自爆するのはいつものことだ。もはや日常のノルマみたいになりつつある。

 

 

 ねねこは今、生配信をしているようだった。

 つむぎはねねこの配信を見ることにする。

 

 

◆お便りを読むわよ│水無月ねねこ

 

 

「それではつぎのお便りを読むわよ」

 

 

 映像はねねこの自分の家らしきところだった。

 この部屋はよくねねこが動画で使っている部屋なため覚えている。

 

 ねねこの手には何枚もの紙がある。ファンから応募したおたよりだろうか。

 

 

「ペンネームゆりかもめさん。最近ねねこちゃんのファンアートを描いてみたくてお絵描きをはじめました。ねねこちゃんは最近ハマってる趣味はありませんか、ね。そうね、あたしを描いてみたいと思ってくれてありがと……それだけでも嬉しいこともないわよ」

 

 

 ねねこは髪を撫でながら頬を少し赤くして言う。

 

 

「そうね、最近フェルト人形を作るのにハマってるわ。最初はうまくできなかったけどほら、こんな感じで作れるようになったのよ」

 

 

 ねねこはそう言ってねこのフェルト人形を手のひらに乗せた。

 

 

コメント:かわいい

コメント:フェルト人形もねねこちゃんもかわいい

コメント:ねねこちゃん自身のフェルト人形もみたい

 

 

「あ、あたし自身の!? できるかどうかわからないけど機会があったら動画にしてあげるわ! でも期待しないでよね! やれるかどうかわかんないんだからね!」

 

 顔を赤くして照れながら言うねねこ。

 

 

「ねねこちゃんはいつも通りかわいいなぁ」

 

 

 つむぎはほほえましく見て最後にスマイルボタンを押し配信を閉じた。また今度アーカイブを見ることにしよう。

 

 そしてつむぎはミルクレープを食べながらミーシェルたちとのお茶を楽しんだ。

 

 

 ◇

 

 

 一度リアル世界で夕食を食べに離脱したつむぎはその後、またUnreallyに行った。ミーシェルと咲夜と合流してそれから咲夜の家でゲームをしていた。いろいろなパーティーゲームをして遊んでいる。

 

 今やってるゲームタイトルはスマッシュパーティーだ。

 戦闘画面ではバチバチの戦闘が繰り広げられた。

 

 

 フィニッシュ!

 

 

 勝敗が決着する。

 

 

一位 咲夜

二位 ミーシェル

三位 つむぎ

 

 

「ぬっ! 貴様さっきのは卑怯だぞ!」

 

「あれはフェイントだから引っ掛かったミーちゃんが悪いよ」

 

 

 勝敗にいちゃもんをつけるミーシェル。つむぎは二人には敵わずすぐにやられてしまった。

 対して二人はかなり接戦のように見えたが咲夜のが一つ上手で終盤はミーシェルを一方的に攻撃していた。

 

 

「あはは、じゃあ夜も遅くなってきたしわたし落ちるね」

 

 

 つむぎは時間を確認して言う。

 もう寝る時間だった。熱中して三人で遊んでいたらしい。

 

 

「うん、おやすみつむぎ」

 

「おやすみ……なのだつむぎ。ミーも次勝ったら寝るぞ」

 

「それじゃあ朝まで掛かるかもね」

 

「ぬかせ! あと一戦で蹴りをつけるのだ!」

 

 

 二人はそう言いながらキャラ選択画面でキャラを選んでいた。つむぎはそんな二人を微笑ましく思いながらログアウトする。

 

 

 リアルに戻りヘッドセットを片付けたつむぎはベッドに入った。そして眠りにつく前に今日の出来事を振り返る。

 

 

 今日はミーシェルと遊べてよかった。そしてミーシェルと咲夜が仲良くなったのを実感してとても嬉しく思う。

 

 みんなが楽しそうでつむぎもとても充実した一日だ。

 

 

「こんな日常がずっと続くといいな……」

 

 

 つむぎはそう言って眠りについた。 

 

 これがつむぎたちの非現実的な日常だ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。