数日後。
場所はUnreallyの喫茶雪月花。
そこに一人のお客がやってきた。
「お茶しに来たよーノーラ~」
やってきたのはしきだった。呑気な雰囲気で彼女は店の中に入る。
すると目の前には意外な人物がいた。
「いらっしゃませ、しきちゃん」
「あれー? つむぎじゃん。どうしたのそんな格好して」
そこにはつむぎがいた。つむぎはお盆を片手に着物を着て立っていた。
「えへへ、少しの間ここでバイトさせてもらってるんだ。接客のこと知りたくてね」
つむぎは微笑みながら言う。
文化祭で喫茶店をやることになったつむぎは今のうちに接客になれようと思った。そこでエレオノーラに頼み接客の練習としてバイトをさせてもらっていたのだ。
「まぁ別に着物を着る必要はないでありんすけどね。つむぎどのがいてくれて助かるでありんすよ」
カウンターにいたエレオノーラが笑顔で言う。
エレオノーラの店は特定の制服はないらしい。だが雰囲気だけでもお揃いにしたいとつむぎは言い、エレオノーラが予備に持っていた着物を借りることになった。
「ふーん、じゃー注文注文~。えっとこの名前長いやつちょうだい」
カウンター席に座ったしきはメニューの中から一段と名前の長いやつを注文してきた。
つむぎはそれをよく見てしっかり間違わないように言おうとする。
「えぇっと、チョコレートキャラメルアルティメットホイップミルキーウェイフラペチーノ
ひとつ入りました! あ、合ってるかな?」
長いメニューに覚えるのが難しそうだ。こんな長いメニューなどすべてエレオノーラは覚えているのだろうか。
「わかったでありんす。略ペチーノでありんすね」
「略された!?」
「まぁそこまで長いメニューこれしかないでありんすから」
名前を付けたエレオノーラ自身も正式名称を覚えているのか不明だった。
幸い文化祭はそこまで複雑なメニューは出さないのでここらへんの不安はない。
「そういえば咲夜はどうしたのー? よくつむぎと一緒にいるけど最近Unreallyにあまりインもしてないじゃん」
エレオノーラがメニューを作ってる間しきはつむぎに話しかける。
「咲夜ちゃんはいろいろあって来れないみたい。リアルでは文化祭とかもあるからね」
「なるほどなるほどー。文化祭かぁ。うちは特にやることないや……」
しきは明後日の方を向き寂しげに呟く。
つむぎは思う。咲夜は、さやは今どうしているだろうか。ちゃんとことねたちと上手くやっているだろうか。
そんなことを頭の隅で思い浮かべながら仕事をしていった。