Unreally   作:羅糸

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感謝を込めて

 そまりとさやが連絡を交換し数日。

 二人はどんな曲を作るかの路線が決まりあらかたの方向性は決まったらしい。つむぎもUINEで三人のグループを作り会話に参加させてもらっている。

 

 チャットでのそまりは普通に話せておりスムーズに話が進んでいった。

 先輩呼びされるのにはまだ慣れないが素直でかわいい後輩が出来たと思うと嬉しくも思う。

 

 Unreallyでは相変わらず素直になれないみたいだが。

 

 

 そうして一週間後。

 

 

◆ファンのみんなに感謝を│水無月ねねこ

 

 

「あなたたち元気にしてるかしら? 水無月ねねこよっ」

 

 

 無事曲作りが終わってからねねこはライブ配信をした。

 そこはライブステージとなっており歌を歌うのに最適な場所となっていた。

 

 

「き、今日はあたしのことを応援してくれるあなたたちのために感謝を込めた歌をプレゼントするわ! 今日だけの特別よ!!」

 

 

 ねねこは少し顔を赤くさせながら照れるように画面に向かって言う。

 こっちではあがり症が少しは克服してても照れるのは仕方がないようだった。

 

 コメントでは『ねねこちゃんの生歌だー』『ねねこちゃんすきー』などで溢れ返っている。

 

 

「しかもただの曲じゃないわ。この日のために作ってもらったあたしが作詞したオリジナルソングがあるの。作曲をしてくれたのはこの子よ!」

 

 

 そう言ってスポットライトが当たる。

 ねねこの右後ろには咲夜がギターを持って立っていた。

 

 

「咲夜ちゃんよ。今日は生でギター演奏を担当してくれるわ」

 

 

 コメントでは『咲夜様あぁぁ』『咲夜ちゃんかっこいい!』など咲夜の登場に喜ぶ歓声が上がった。

 

 

「そして応援役としてこの子も来てくれたわ!」

 

 

 今度は左後ろにスポットライトが当たる。

 そこにはつむぎが水色のサイリウムを両手に持ち立っている姿があった。

 

 

 『つむぎちゃんだぁ!』『この三人の組み合わせって前にもあったよね』と言ったコメントが流れてくる。

 

 

「そ、そうね。はじめてコラボしたときの組み合わせね。まぁ偶然だけど運命みたいなものかもしれないわね……」

 

 

 ねねこはリアルでの出来事を振り返るかのように言った。それはファンの子達にはわかるはずもないが。

 

 

「と、とにかく歌うわよ! 咲夜ちゃん演奏の準備はいい? つむぎちゃんバッチリ応援しなさいよね!」

 

 

 二人は頷く。咲夜の方をねねこは見てアイコンタクトを取るとねねこは言う。

 

 

「それじゃあ聴いてよね水無月ねねこで───」

 

 

 

 こうしてイントロが流れ咲夜が演奏をし始めねねこが歌う。

 

 曲調はアイドルソングらしくもちょっと電波ソングにも聞こえる感じだ。だが歌詞には好きな子に素直になれない女の子の恋愛ソングといった感じでねねこらしい曲になっている。

 

 

『神曲』『私もねねこちゃん大好きだよー!』『ねねこちゃんあいしてるー』などコメントが大量に来ていた。

 

 

 一方つむぎはと言うと

 

(がんばれーねねこちゃん! ふれふれ! ねねこちゃん!)

 

 

 サイリウムでファンの一人として応援している姿が画面に映っている。

 

 

 その一風謎な姿に『咲夜ちゃんはともかくつむぎちゃんは何をしてるのww』というコメントが付いていた。

 

 

 そもそもなぜこうなったかというと、UINEでの会話でライブに今回のゲストとして二人を呼ぶということにしたいというねねこの願望により二人はライブ配信にお邪魔することになったのだ。

 

 咲夜は作曲を担当するし生で演奏もできるので配信に呼ぶのは自然な流れだ。しかしつむぎは……とくにやることもないのでとりあえず応援することになった。その結果がこれだ。

 

 でもつむぎはとくになんとも思ってなく一ファンとしてねねこを応援していた。ファンとしては光栄なことだった。

 

 

 そんな感じでサビの前後に大好きなんだからー!や勘違いしないでねなどのフレーズが入った歌詞をねねこは歌い続け曲が終わりを迎えた。

 

 

「ど、どうだったかしら? べ、別にそもそもはあなたたちのためじゃ、じゃ……なくてあたしがオリジナル曲が欲しいから作っただけなんだから勘違いしにゃいでよね」

 

 

 歌いきったねねこの表情は赤くなっていた。

 歌ってる最中は歌に集中してたのか緊張していなかったようだが終わった途端、噛み噛みになっていた。

 

 

「今度ちゃんと歌った曲だけの動画をあげるわ。ちゃ、ちゃんとみてちょうだいよね! それじゃまたね……」

 

 

 ねねこはバイバイと手を振ると配信を終了させた。

 

 

「あぁ……緊張したわ……」

 

 

 ねねこは膝をがっくりと落とす。

 彼女にとって配信をすることはあがり症を克服するのに大きな役割を果たしており、その分身体の消耗が激しいのだろう。

 

 そのため短時間のライブ配信もよくあることだった。

 

 

「お疲れ様ねねこちゃん。とってもかわいかったよ!」

 

 

 つむぎは笑顔でねねこに言う。

 

 

「あ、ありがと……今日までほんとうにあなたたちにはお世話になったわ。はじめはほんとうにごめんなさいね……」

 

 

 ねねこは思いの外素直に謝り始めた。 

 

 

「もうその事はいいよ。結果として誰かが傷付いたわけじゃないからさ」

 

 

 咲夜は優しい声で言う。そう誰も嫌な目に会った訳ではない。身バレしたのは思わぬ事件だが逆に言えばその相手がねねこでよかった。

 

 だからこそ今こうやって仲が深まろうとしている。

 

 するとねねこは話し始めた。

 

 

「本当はね……はじめて会ったときから友達になろうと思ってたの。ずっと二人の動画は見てて。同じUドリーマーとして御近づきになりたくて……でも実際は素直になれずに不器用で空回りばかりする。こんなあたしだけど……友達でいてくれる?」

 

 

 ねねこは涙目だった。

 それが彼女の本心なのだろう。

 

 つむぎと咲夜は互いに目を合わせる。

 

 

「素直じゃないのはもう慣れてるから大丈夫」

 

「うん、これからも友達だよ!」

 

 

 二人は互いに微笑むようにねねこに対する想いを伝えた。

 

 

「ありがとう……感謝しないこともないわよっ」

 

 

 彼女は素直に素直じゃない感謝を述べた。

 

 

 

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