Unreally   作:羅糸

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友チョコ以上の想い

 ついにバレンタイン当日がやってきた。

 

 当日にバレンタイン動画を投稿したつむぎはUnreallyに入りファンのみんなが動画にコメントしてくれてるのを眺めていた。

 

コメント:つむりんからのバレンタインチョコ嬉しい!

コメント:ツムツムカワイイヤッター

コメント:つむぎちゃんと同じやり方で私も作ってみます!

 

 

「みんな喜んでくれてるみたいだねぇ」

 

 

 そう言ったコメントが流れてきてとても嬉しかった。

 

 

「そう言えばねねこちゃんはどんな動画を出してるんだろ?」

 

 

 つむぎは動画を出すと言っていたねねこのチャンネルを見る。

 ねねこの動画欄には一件の新着動画があった。

 

 

◆今日だけの特別なんだからね【バレンタインシチュエーション】

 

 

 そこは夕焼けの学校の屋上だった。

 学校のチャイムが鳴る。ねねこは後ろ姿で正面になにかを持っているようなポーズをしていた。

 

 

「き、来たわね……遅刻しなかったから今日は許してあげる……」

 

 

 振り返り顔を赤くしているねねこ。手は後ろに隠しなにかを持っているのをバレないようにしていた。

 

 

「呼び出した理由? 今日はバレンタインでしょ……だ、だからその……これ……」

 

 

 ねねこは顔をそらしながら右手を差し出す。

 右手にはハートの包装されたバレンタインチョコらしきものがあった。

 

 

「あなたにはいつもお世話になってるから……ね。ぎ、義理よこれは!? 勘違いしちゃダメなんだからっ!」

 

 

 チョコを渡したねねこは顔を赤くして怒るように叫んだ。

 

 

「た、確かにこれは手作りだし、作るのに何度も失敗したりしたけど……でも……あぁもうそう思いたいなら勝手にそう思えば良いじゃないバカっ!」

 

 

 ねねこは人指し指同士を合わせもじもじしながら言い最後は叫んで本命であることを否定しなかった。

 

 

「ねねこちゃんはやっぱり可愛くて良いねぇ」

 

 

 つむぎは微笑ましそうにねねこの動画を見終えた。

 

 

「咲夜ちゃんは今どこにいるんだろ?」

 

 

 ふとつむぎは咲夜に用事があることを思い出し、フレンド欄から咲夜を探しだした。どうやら家にはおらず広場にいるらしい。

 

 つむぎはワープゲートを召喚して咲夜のところへと向かった。

 

 

 ◇

 

 

 広場には女の子たちが集まっており、お互いにチョコを交換しているのが見られた。

 いわゆる友チョコだろう。

 片方が渡され照れている姿が見え微笑ましいとつむぎは思う。

 

 つむぎは咲夜を探す。

 咲夜のネームプレートを見つけたが姿が見えない。

 

 咲夜のまわりには大勢の人が囲んでいた。

 それぞれチョコレートが入った小包や箱を持った女の子たちがいた。

 

 

「咲夜様! いつも応援してます! 私の気持ち受け取ってください!」

 

 

 ファンらしき女の子がチョコレートを咲夜に渡した。

 

 

「あ、ありがとう……大事に食べるよ」

 

 

 咲夜はファンの眼差しを受け微笑む。受け取ってもらった女の子はキャーと嬉しそうに叫ぶ。

 

 

「咲夜ちゃんはかっこいいから……やっぱり女の子に人気なんだねぇ……」

 

 

 咲夜は人気なことは友達として嬉しいことだ。

 しかし同時に胸の中がざわざわとする気持ちがある。

 

 すると咲夜の周りにいた一人の女の子がつむぎの方を見た。

 

 

「あ、つむぎちゃんがきた! きっとこれから二人でどこかに行くんだ! 私達は撤収! 撤収!」

 

 

 そう言って咲夜のファン達は咲夜に残りのチョコを渡すと撤収していった。指揮を取っていたのはつむぎのファンでもある紅あかねだった。

 

 あまりの統率力にあははと苦笑いをするつむぎ。

 

 それをみてつむぎに気づいた咲夜。

 

 

「つむぎ……なんか広場に来たらファンのみんなに囲まれてチョコをたくさん渡されたんだけど……」

 

「それだけ咲夜ちゃんが人気ってことだよ」

 

「そうなのかな?」

 

 

 咲夜は首をかしげる。

 咲夜はネット上ではかっこいいと女子人気が高いのだ。しかし咲夜自身はあまり分かってなかったらしい。

 

 

「そう言えばつむぎに用事があるんだ」

 

「咲夜ちゃんも?」

 

「うん、とりあえずつむぎの家に行ってもいいかな?」

 

 

 つむぎは頷きつむぎの家に行くことにした。

 

 

 

 

 つむぎの家につき二人はリビングのソファーに座った。

 

 

「はいこれ」

 

 

 咲夜はつむぎに一つの小包を渡した。

 中身はブラウニーだ。中にはナッツとチョコチップが入っている。

 

 

「これ友チョコ?」

 

 

 つむぎは小包を手に取り首をかしげる。

 

 

「友チョコというか……まぁそうだけど……この日のために作ったんだ」

 

 

 頬をかく咲夜。少し顔が赤く染まっているような気がした。

 

 

「そっかありがとう! 実はねわたしも咲夜ちゃんに友チョコ作ったんだ!」

 

「それって動画で作ってた生チョコ?」

 

 

 咲夜はつむぎの動画をみていたようだ。

 しかしつむぎは首を振る。

 

 

「ううん、それとは違うやつだよ」

 

 

 つむぎはそれとは別に咲夜に対してバレンタインチョコを作っていた。つむぎは丸い箱をを取り出して咲夜に渡す。

 

 

「開けてみて」

 

「うん……これはっ!?」

 

 

 箱の中身を開けた咲夜は目を見開く。

 なんとその中身は咲夜がデフォルメにチョコレートでイラストが描かれたチョコだった。

 

 

「えへへ……前にちゃんとファンアート描けなかったからせっかくだから作ろうと思ったんだ」

 

 

 つむぎは照れながら言う。

 年越しのときファンアートを描いたが五分クオリティなのでつむぎとしては満足がいかなかったのだ。それでチョコレートでキャラクターを描く方法を知りつむぎは咲夜のファンアートとしてチョコレートで描くことにした。

 

 

「嬉しい……けれど勿体無くてたべられないな」

 

「えーせっかく作ったんだから食べてよ」

 

「まぁ……その前に写真とっておくよ」

 

 

 咲夜は勿体無いと思い食べるのを拒んだがつむぎも写真を撮っておくのは同意だった。

 これを作るのに結構な時間が掛かったのですぐに食べてしまうのはもったいなかった。

 

 二人はそれぞれのチョコレートを写真に撮った。

 

 

「これで食べられるね」

 

「うん、いただきます…」

 

 

 二人はお互いのチョコを食べる。

 咲夜が作った濃厚なブラウニーはコクがあり美味しい。

 

 

「うん美味しい……つむぎ、ありがとう」

 

「わたしの方こそこんな美味しいチョコ食べられて嬉しいよ! 友チョコ……ううん親友チョコだね!」

 

「ふふっ……そうだね」

 

 

 二人は互いに微笑みあい言った。

 

 友チョコ以上の想いが込められたそのチョコは彼女たちの胸の中にそっと閉じ込められた。

 

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