Unreally   作:羅糸

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七色日和

 今から22年前、一人の女の子が生まれた。

 その女の子の名前は一式こころ。

 

 AIとVRの発展に力を入れる企業シンギュリアの社長の娘だ。

 

 

 彼女は生まれ持っての天才とよばれるギフテッドの持ち主だった。

 理系に対する分野に深い興味を持ちプログラミングに関しては5歳でプロのプログラマーと同じレベルにまで成長し一から音声アシストAIを作り上げ、8歳にして世界で始めてのフルダイブVRを作ってしまうほどだ。

 

 その天才的な能力はシンギュリアの会社としての成長をもたらし一流企業にまで名を上げた。

 

 

 これから先順風満帆で幸せな人生がこころには道溢れているだろう。誰しもがそう思っていた。

 

 

 

 しかし悪夢は急に訪れた。

 

 

 10歳になったあるとき、足に違和感が起きた。

 足の筋肉に力が入らずまともに歩くことがままならなかったのだ。

 

 それから病院へ行き医者に見てもらった結果病名はALS、筋萎縮性側索硬化症と診断された。

 

 その病気は身体の筋肉に力が入らなくなる病気で最後には呼吸する力さえなくなり亡くなる病気だった。

 

 こころの余命は5~7年と診断された。

 

 両親はいろんな医者を頼りどうにかして彼女の病気を治そうとした。当時まだ幼かった妹のまなは車椅子で生活していたこころを不思議に思いながらも心配していた。

 

 

 そして自分の命が長くないこころはあることを決心しました。

 

 

「誰もが傷つかない平和な世界を作りたい……みんなが夢に描くような幸せな世界を……なりたい自分になれて、やりたいことがなに不自由なくできる世界。それを作り上げるの。それが……わたしが死ぬまでにやりたい夢……」

 

 

 寝たきりのまま手を高く理想を握ったこころはまなによくその話をしていた。

 

 

 それが非現実性世界の創造。

 project Unreallyの始まりだった。

 

 それはまだ未発達だったフルダイブVRをよりリアリティーを求め、なおかつ夢のような非現実性も求めた電脳世界のことだった。

 

 まず食べ物を食べる感覚や痛覚などを現実に近づけるために食べ物のDNAをコンピューターで取り入れ電脳世界にそっくりなものを召喚させる技術を生み出した。

 

 身体は脳波で動くようになっており、例えリアルで身体が不自由でも電脳世界では自由に動き回れるようになった。それからの作業は電脳世界で行われる。

 

 また非現実な世界での第二の人生が送れるよう生活感を重視してテレビや動画が気軽に、ショッピングも着たいものが自由に買いやすいようにした。

 

 それから高度なシステムAIの作成。普通の人間では手間がかかる作業を手短に、イラストをAIで思い通りの立体化ができるように発展させた。

 

 

 そして最後にこころが作ったもの。

 それが七色こころ。

 Unreallyを代表するシンボルとして生み出し、より多くの人に見てもらうことを意識して作られた。

 

 容姿と声は一式こころとほとんど同じだった。

 また人格もこころの脳を分析してより近いものを生み出した。

 結果あらゆるAIを超越した究極のAI七色こころが生まれたのだ。

 

 

 しかし七色こころが完成してすぐに一式こころはこの世を去った。

 

 

 ◇

 

 

「これが七色こころとUnreallyが生まれたきっかけ。わたしが今いるのは一式こころちゃんのおかげなの」

 

 

 こころは切なそうに言う。

 

 

「まさか……そんなことだったとはね……」

 

 

 ひそかは真剣にその様子を見て呟いた。

 

 つむぎも驚きだった。

 まさかこころを作ったのが一人の天才少女でその分身的存在としてこころがいるとは思いもよらなかった。

 

 そしてその少女がもうこの世にいないという事実を。

 

 

「だからね、こころちゃんの夢が叶ってこうしてUnreallyが存在してわたしがいることがとても嬉しいんだ! きっとこころちゃんも喜んでるよ!」

 

 

 こころは表情を切り替え笑顔を見せて言った。

 

 

「だからね、そんな感謝を込めて今日は記念にオリジナルソングを持ってきたの。みんなに聞いてほしいな」

 

 

 そうしてこころはステージの中心に来てマイクを持った。

 

 

「聞いてください七色こころで七色日和」

 

 

 ピアノのイントロが始まる。

 その曲調はどこか切なげででもたくさんの優しさにあふれていた。

 歌声は一切のミスのない完璧な歌い方でAIであるということがわかるそんな歌声だった。

 

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