Unreally   作:羅糸

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本当の目的と真実

「とまぁ平気で嘘をついて……」

 

 

 五周年記念放送が終わり、現実世界に戻った少女一式まなはあきれたようにスマホの画面をみた。

 スマホの画面には七色こころが動いている。

 メッシュの色は地毛と同じ色をしたまま。

 

 

「あねさま死んでないじゃないですか」

 

「てへっ、一応完全AIってことにしておけば下手に仕事増えないかなって♪」

 

 

 こころはあざとく舌を出し謝るポーズをした。

 

 

「確かにあねさまは現実世界ではもう肉体がありません……でも精神転送に成功したじゃありませんか」

 

 

 まなは淡々とこころと会話をしていた。

 

 

 あのイベントで言った話はの9割は本当で1割は嘘だ。

 実際の真実はこうだ。

 

 こころは確かにALSで余命宣告が下り余命通りの年齢で現実世界では死亡扱いになっている。

 だが実際には脳および精神をすべてUnreallyに転送してそれと同時に現実世界での肉体は捨てたのだ。

 

 それは世界初の精神転送の成功であった。

 そして一式こころは七色こころに生まれ変わった。

 

 七色こころは一式こころをベースとしたAIではなく一式こころ自身なのだ。

 

 

「今のこころちゃんは一式こころとしての天才的頭脳と七色こころとしての高性能なAIの演算能力二つを持ち合わせた超ハイスペックなAIなのです!」

 

「それ自分で言ってて恥ずかしくないですか?」

 

「だって事実だもん!」

 

「そうですけど……」

 

 

 そう言われて反論できなくなるまな。

 精神転送に成功したこころは脳に自身の最新技術AIを取り込みあらゆる演算から物事を見ることができる人間とAIのハイブリッドになったのだ。

 

 それにより同時にたくさんの分身を生み出し、大勢の人間と会話したりUnreallyで気軽に会うことができる。

 

 今のこころに肉体があるとするならばシンギュリア本社の地下にある巨大なスーパーコンピュータを指すと言えるだろう。そのスーパーコンピュータは両親とまな、精神転送に携わった一部のシンギュリア関係者しか知らない。

 

 

 そしてこころは言う。

 

 

「精神転送によって死の概念を無くして、いつか誰もが自分の意思以外で死なずに住む世界が来るよ。わたしがそうさせる……。そのためにはまずUnreallyをもっと多くの人に知ってもらわないとね」

 

 

 真剣な目付きをしながら最後は笑顔で答えるこころ。

 こころの真の目的。それは精神転送をして電脳世界で生き誰もが死なない未来を作り上げることだった。

 そしてUnreallyで永遠に夢のような生活をする。それがこころの夢だ。

 

 

「まぁこれは論理的問題が残ってますのでまだ公表するのに何年もかかりそうですが」

 

 

 まなはこころの言った目的に対して現実的なことを言った。

 

 

「わたしが一式こころその本人なのかって事実だね」

 

 

 精神転送した人間は本当に同一人物なのか?

 世間に精神転送の事実を公表したらそのスワンプマン的問題に対し議論がされるのは事実であろう。

 

 だがまなは同時に信じていた。

 

 

「しかしあねさまは不可能を可能にする存在。あなたがあねさまのコピーではなくあねさま自身だとわたくしは信じていますよ」

 

「えへへっ、さすがわたしの自慢の妹!」

 

 

 こころを信じていたからこそ、まなは現在次期社長としてシンギュリアの一部業務をこころに手伝ってもらいながら働いていた。

 

 

「でも半分以上の事実を公表した今、科学者やら研究者からの問い合わせが殺到することは間違いないですよ……」

 

 

 これからの後処理について考えるまな。

 

 

「そこは……任せるよ次期社長!」

 

 

 対してこころは笑顔を向けた。

 そんなお気楽なこころを見てため息をつくまな。

 

「まぁ……人間なりに頑張りますわ」

 

 

 先のことを考えながらも次期社長としてまなは自身の仕事を果たすことにした。

 

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