「深雪先輩、今頃どうしてるかしら……」
七草家3女である七草泉美は双子の姉である香澄と会場で暇を余していた。
七草家主催のパーティーであるため参加せざるおえなかったが、せっかくの夏休み……ならば深雪と一緒に過ごしたかったというのが彼女の本音だろう。
「はぁ……ねぇ香澄、何か面白いことないかしら?」
「しょうがないじゃんか。少しの辛抱だよ」
辺りを見回しても中年の男性や女性ばかり……さすがにこの場で面白さを求めるのは無理があるか、と思ったその時だった。ふと会場の入り口を見ると──深雪の姿が目に入ったのだ。泉美はこの時ばかりは巡り合わせてくれた神に感謝した。
「深雪先輩~!」
嬉しさのあまり泉美は大声を上げ深雪の元へと駆け寄って行ったが……瞬間、彼女は固まってしまった。よくよく見ると深雪の隣には姉である真由美がいたのだ……しかも既に泉美に気付き、睨んでいる。
『あっ……私、終わりましたわ……』
心の中で呟き《神》を信じた自分を後悔した。この世界に魔法はあるが《神》なんていない……目の前にいるのは禍々しい眼をした《悪魔》であると。
泉美は観念し、鬼のような形相をする真由美の前へと歩み寄る。
「こら、泉美ちゃん!はしたないでしょ!ちゃんと皆さんにご挨拶なさい」
あまりの大声に回りにいる人々の視線が真由美へと向けられる。すぐに真由美は我に返り、口に手を当て苦笑いで四方八方に頭を下げる。香澄もすぐにその場へと駆けつけてきた。
「……申し訳ありません。皆様ようこそお越し下さいました。深雪先輩もお元気そうで何よりです」
泉美はドレスの裾を摘まみ、精一杯、礼儀正しく一礼する。深雪はそんな泉美にニコリと微笑んで一礼で返した。ただそれだけだったのだが。
『あぁ……深雪お姉様はやっぱり天使です!』
幸せすぎてニヤけてしまいそうになるのを必死に堪える。その時1つの疑問が頭に浮かんだ。
「そういえばなぜ先輩達がここに?」
七草家主催のパーティーに達也達がいるのが理解出来なかったのだ。
すると達也達は全員無言で真由美に視線を向けていた。
それを見た泉美は大体予想がついた。真由美が無理矢理連れてきたのだと。
その真由美はというと、
「あはは……あっ!お父様に達也君達が来たの伝えて来なくっちゃ!」
わざとらしく大きな声でそう言い、その場から逃げるように去っていった。
『わたしにさっき、はしたないと言ったばかりじゃないですか!』と泉美は思ったが……深雪がいるので彼女は心ので中で抗議するだけに止めた。
今回はちょっと番外編です(;o;)次はちゃんとしたの出します。