ハイスクールin神殺し 竜王の逆鱗   作:ノムリ

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協力体制

 温泉での黒歌と白音からの告白と体を洗われるという名のご奉仕を受けながらも温泉にて長旅の疲れを取り、今は客室で長旅の疲れから横になるなり二人はあっという間に夢の世界へと旅立っていった。

 

「こっちでも月が綺麗なのは一緒か」

 俺も二人と一緒に寝ていたが、ふっ、と目が覚めてしまい縁側に腰を下ろし、濃い一日だったと思い返しながら空を見上げると満月が夜空に浮かんでいた。

 

「起きておいででしたか」

「八坂さん」

 声を掛けてきたのは裏京都の統領の九尾殿だ。

 

「旅のお疲れも抜けていないとは承知しておりますが、貴方とお話がしたいというお方がおりまして……」

 申し訳なさそうに眉をひそめながら口にする言葉には、そもそも拒否権というものがなさそうだ。

 なにせ、裏京都の統領よりも上の位など、思い当たる限りでは協力体勢を取っている日本神話。つまり神しか思い当たらない。

 

「問題ないよ。浴衣のままで問題ないか」

「はい、大丈夫です。ご案内します」

 

 八坂について行く前に客室の障子を少しだけ開き中を覗くと、床に敷かれた三枚の布団の上で二人は互いの体温で互いを温め合うように寄り添って眠っていた。

 よく眠っているようだし、目を覚ます事はないだろ。

 八坂に頷き、案内をしてもらう。

 

 部屋に入りと襖が勝手に開き、また部屋に入り襖が開き、奥へ奥へと進んで行く。

 裏京都が人間界と次元を別にする同時に、日本神話の神々が住まう場所も裏京都とは別の次元に存在しているのだろう。

 襖を越える度に別の世界へと進んで行くのが感覚的に分かる。

 

「妾がお連れできるのは此処までです」

 襖の横で八坂は立ち止った。

 

「……俺に何かあったら二人の事、頼むわ」

「それは承知出来ませぬ。彼女たちは貴方を愛し、貴方が守った命。なら今後も貴方がお守りくださいな。それが男の甲斐というものですよ」

「そういうもんか。なら二人の所へ無事に戻れるように最善を尽くしますか」

 

 襖の引き手に指を当てゆっくりと開く。

 そこは確かに室内だ。ただし床は壁も天井も木製で和室ではなく、神社の拝殿と呼ばれる普段は人が立ち入る事の出来ない場所を模したものだろうか。

 一歩前に踏み出すと背後で襖がしまった音だけがする。

 

「お座りください、少年」

 左右の藁座布団に座っている着物や巫女服に似た服を着た名前も知らぬ神たち。

 その一番奥、日本神話の神々の頂点である存在が静かに声を掛けてきた。

 

 言葉に従いゆっくりと進み、部屋の中心に置かれた藁座布団の上に正座する。

 

「まずは自己紹介から始めましょうか。私は日本神話を取り仕切る主神―――天照大御神です。長いので天照で結構ですよ」

 巫女服と着物を合わせたような白と赤の着物に頭には天冠と呼ばれる西洋のティアラに似た飾りが付けられている。

 

「俺は大宮蒼燕だ」

「八坂から説明は受けています。貴方を呼んだのは、体に纏う神格の事です。貴方は人の身で神格をまとい身の内に神々の権能を宿している。それが神器ならば理解も出来ませすが、少年のそれは全くの別物。もっと純粋な力の塊」

 

 やっぱり、バレてたか。

 カンピオーネがまつろわぬ神を感じられるように、まつろわぬ神もカンピオーネを感じ取れる。それはこっちの世界でも一緒みたいだ。

 そりゃ、神しか持っていない力を人間が持っていたら普通は疑問に思うよな。

 

「正直に話すとするよ」

 誤魔化す事は無理そうだな。

 この世界とは別の世界から来たことを始め、まつろわぬ神という存在を殺しその権能を奪い取り。幾度となく神々と戦ってきた。時には、同じ神殺しとも刃を交え、今はこうして別の世界であるこの世界に来たこと。戻る方法こそあるが今すぐに戻る事はできずにいる。

 

「異世界では人の子と神が戦っているのか、それも神話問わずとは」

 天照は何処か憂いているようにも見えると同時に、人間が神と並んで戦えるほど強い者もいるというのが嬉しくもあるのか何とも言い難い表情をしている。

 

「俺の話はここまでだ。で、どうする俺を殺すか?悪いが命を狙うっていうなら抵抗させてもらうぜ。あいつ等(黒歌と白音)が待っているんでね」

 体から漏れ出るアジ・ダカーハの竜の力。それ以外にも有する権能が力が零れ出る。

 

「落ち着きなさい。そのようなつもりはありません、なにせ私たち日本神話は別の対処で手一杯なのです」

「は?どういう事だ?」

「神話勢力は日本以外にも中国やインド、北欧などいくつもあります。その全てが平和を望んでいるというわけでもありませんし、表向きは和平に賛成していても裏で何かをやっている可能性もあります」

「つまり、他の神話勢力も味方ってわけでもないわけだ」

「そういう事です。三大勢力の対処は実力のある人間でもできなくはないですが、神の対処は基本、神でなくてはいけません」

「それで日本神話は自由に動くことは出来ないってわけか」

「貴方の言う通りです。そして、これは日本神話からの正式な依頼なのですが、貴方の力を貸して欲しいのです。この世界は貴方にとってただ訪れただけの世界。表向きの平和はあり、それを満喫する権利もありますがそれでも私たちは貴方に協力を求めます。どうか私たちに力をお貸しください、異世界の魔王。異世界の神殺しよ」

 天照が静かに頭を下げると左右に並んでいた日本神話の神々もそれに合わせるように頭を下げた。

 神が、人に頭を下げる。そんな事は本来あり得ない。神とは傲慢にして自分勝手で理不尽だからこそ神足りえる。それが人に助けを求めるなどあり得ないのだ。

 それを彼等は曲げた。

 日本の民を守る為に、一時とはいえ神と並び戦える存在が力を貸してくれる可能性にかけて恥を捨てたのだ。

 

「……良いぜ、黒歌と白音の生まれた故郷と生まれた国だ、助けてやる。なにより、俺も三大勢力ってのは気に食わない。ただ俺はきっと三大勢力の行いをしれば知るほど、潰す為に動くようになると思う。見てないものなら無視もできるだろうけど、知ってしまえば、見てしまえば、助けを求められてしまえば無視できなくなる。俺はそういう質だ。きっと厄介事を持ってくるし、首を突っ込んでいくだろうさ。それでもいいか?」

 十七年も生きていれば自分の性格や本質も理解できるようになる。

 そもそも神殺しになったのだって、両親を殺したアジ・ダカーハが生きているっていうのが気に食わなくて殺したのだ。

 同じような事があればきっと俺はまた敵を殺す。

 黒歌や白音と同じような人間を見れば助ける、お人好しというよりは自己満足の為に他人の迷惑を考えてない行動だろう。

 けれど、それが俺と言う人間だ。もう変えようがない

 

「構わないとも、その時は私たちも腹を括ろう」

「そんじゃ色々と協力の話し合いといこうか」

 

 

 

@ @ @

 

 

 

「というわけで日本神話と協力体制を敷くことになった」

「朝ごはんの最中に何を言ってるにゃ!?」

 口元にご飯粒をつけたまま、叫ぶ黒歌。

 

「お前らが寝ている間に日本神話と話し合いをしたんだ。俺が異世界の神殺しって事もバレてたみたいだから説明してある。日本神話は他の神話勢力で手一杯で三大勢力に集中で出来ずにいる。俺は個人で動く戦力としても申し分ないからな十分互いに利益のある関係が気づける。俺はこっちの世界で戸籍もなければ、住む場所も金もない。少なくとも生活が出来なきゃ生きていけない」

「ずっと裏京都で暮すのは駄目なのですか?」

 白音はポリポリ、ときゅうりの浅漬けを齧りながら首を傾げる。

 

「別に悪くないけど、頼りっぱなしってわけにもいかない。高校生にもなれば自立するもんだろ、他にもやらないといけない事は多くあるからな」

「ならどうやってお金を稼ぐおつもりですか?」

「賞金稼ぎが一番かと思ってさ。はぐれ悪魔を狩りつつお金も稼げて、三大勢力の情報も手に入る、場合によっては人脈も作れる、上手くいけば一石三鳥になるだろ」

「悪くないと思います」

「賛成にゃ!私たちも三大勢力の情報は噂話とか又聞きが多いからにゃ。詳しい情報は大切にゃ」

「なら決まりだな。まずは八坂にちょっとお願いして三人の偽の戸籍を作ってもらうか。住む場所はボチボチ考えるとして賞金稼ぎする為の下地やら必要な事は多いな」

 

 朝ごはんの片手間にこれからの大まかな動き方が決められてよかった。

 

 

 

 黒歌と白音はこれからに備えて日用品を買いに八坂の娘―――九重の案内で裏京都の街に出掛けて行った。

 

 俺は八坂に頼んでこれから必要な物の準備に付き合ってもらっている。

 部屋の机に広げられて世界地図と日本地図、他にも表の京都の体勢が書かれて重要書類を惜しげもなく広げられている。

 

「住む場所は一つに決めずに転々とした方が得策であろう」

「やっぱりそう思う?」

「賞金稼ぎとは本来、根無し草の者が多い。その理由は、賞金稼ぎたちが世界中をふらふらしているからだ、痕跡を辿れても直接会うのは難しい。一ヵ所に留まれば無用な争いを呼び、狙われる危険も増えるからな。故にお主も同じようなスタンスを取るべきであろう。家同士は術で繋げても良いが相手に利用される危険もあると理解しておくのだ」

「ん~、魔法とかその辺の知識も頭に入れておく必要があるか」

 

 後ろの倒れ込む様に横になる

 これからしなくてはいけない事が山ほどあり、その事を考えると頭が痛くなる。

 裏京都の常に出入りできるわけではないので、それに加えて表の京都や日本を守っている陰陽師たちとも顔合わせをしないといけない。

 なんだかんだでやる事は多い。

 それに試しておかないといけない事もある。

 

「住む場所は京都に一つと、海外に最低二つは置いておきたい。それと都市部から離れて所に一つは必要か。あとは、黒歌の『悪魔の駒』を権能で取り出せるかどうかだな」

「本当にそんな事ができるのですか?」

「どうだろ、他人から能力や所有物を奪う事に優れた権能だからできると思う」

「それが出来たのなら、貴方を取り込もうとする勢力は増えるでしょう。同時に貴方の仲間になってくれる者もな」

 そう言いながら笑う八坂は、似ていないはずのもう居ない母親に重なって見えた。

 

 




アーシアを主人公のヒロインにするか、作りたいストーリーの都合上、フリードのヒロインにするか悩み中。

読者さんたちはどちらがいいとかあります?
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