理由としましては完成寸前にオリチャーが発動したのと、シャコの話をすっぽ抜かしてたからです。
2022年、目標は平均文字数が6000文字になる事です。これからも精進して参りますので皆さんどうか応援していただければ嬉しいです。
今更ですがお気に入り1000件、UA90000件、ありがとうございます!
ゴールドシップは目の前に飛んできた上半身のみになったシャコを見た途端駆け寄って膝をつく。
「シャ、シャコヶ峰ポルクスー!」
(そのような名前だったのか……)
今明かされた衝撃の名前にツッコミを入れそうになるのを東方不敗は必死に抑える。
「そんな名前だったのか……」
沖野トレーナーはツッコミを我慢できずに言葉を漏らした。
シャコは少しずつだが両手を使い上半身を引き摺ってゴールドシップの下へと動く。
ゴールドシップはそんな上半身だけになったシャコを両手に抱えた。
その時、ゴールドシップの脳裏には今までのシャコとの思い出が溢れ出た。ランニングマシーンでのトレーニング、パンチングフォームの練習、巨大サメとの海での戦い、ツキノワグマとの死闘、果てにはゴルシアンを名乗る謎生命体とのシャコモンバトル。
ゴールドシップはそんなトレセン学園の休日の冒険の数々をこのシャコと過ごしてきたのである。
「……トレーナー、コイツを頼む」
「お、おい待て!ゴールドシップ!」
ゴールドシップは沖野トレーナーにシャコを預けて一回り大きくなり高らかに吼えている魔猪に向かって歩き始めた。
沖野トレーナーはそれを止めようとしたが、ゴールドシップは足を止める事なく向かって行く。
東方不敗もゴールドシップを引き止めようとしたが、その時ゴールドシップの体に異変が起こった。ゴールドシップの周りが歪み、身体からオーラのようなものが漂い始める。
「何?これは……まさかッ!」
そしてゴールドシップが震えたかと思うと、
「許せねぇ……絶対に許せんぞ、この髭野郎ォォ!!」
怒りの叫びを挙げ莫大なエネルギーを迸しらせた。あまりのエネルギーに爆風が生まれ周りの木々はしなり、シャコを受け取った沖野トレーナーは踏ん張ることが出来ず吹き飛ばされてしまう。
「ぬぉあっ!!」
「いかん!」
東方不敗は急いで吹き飛んだ沖野トレーナーを跳躍してキャッチする。そして近くの木の影に急いで沖野トレーナーを放り投げた。
「危ないところだったな」
「いやマジで怖かったぞ!てか何なんだゴルシのあの姿!」
沖野トレーナーは腰を抜かして預けられたシャコを膝で抱えながらゴールドシップを指差す。
そこには身体の周りに金色のオーラを纏い何故か髪の毛まで金髪になっているゴールドシップの姿があった。
「何なんだあれ?もしかして武道家なら誰でもできる強化技なのか!?」
「いや、ワシが知っているものに似ているようだがちと違う。もしあれがワシの知っているものならあのように周りに無駄な気を散らさぬし、服まで金色になる」
「????????????」
口を半開きにして頭の上に大量の?マークを浮かべた沖野トレーナーを横目に、東方不敗はゴールドシップの様子を観察する。
(一見すると明鏡止水のように見えるが、明鏡止水はあのように怒りの力をもって成るものではない。シャイニングのスーパーモードとも違う、恐らくゴールドシップが生まれた時から持っている力であろう)
金色に輝くゴールドシップは魔猪に向かって勢いよく走り出し、一瞬で間を詰めるとその勢いのままドロップキックを入れる。
「だらっしゃい!」
「ブルハァ!」
魔猪は勢いよく吹き飛ばされるが長く白い鋭利な髭を支柱がわりに地面に突き刺して身体を一回転させ、その勢いのままゴールドシップに突っ込んだ。
ゴールドシップは真っ向から突っ込んできた魔猪の牙と髭を両手で掴んで押さえ込む。
押さえ込まれた魔猪は頭を振って必死に押し込もうとするが、ゴールドシップは牙と髭を掴んだまま腰を深く落としてゆっくりと身体を後ろに逸らし、魔猪を持ち上げる。
「これはぁ……あいつの分だぁ!」
ゴールドシップは持ち上げた魔猪をそのまま勢い良く振り回して、その勢いのまま投げ飛ばす。
投げ飛ばされた魔猪はドシンという重い音と共に土埃をあげて背中から着地した。
所変わってこの事態を引き起こした胡散臭いイケメンは今、遠くの木の陰から戦況を眺めていた。
「ンンンン──
やらかしましたなぁ」
今更である。だがオリチャーを発動しなければ今頃聖杯はゴールドシップの手によって3人のお昼ごはんとなっていただろう。
「しかしこのままではいけませんなぁ。本気を出してあの魔猪を狩っても良いのですが……そうなるとあの方々の……主にあの殿方の後処理が面倒くさくなりそうですねぇ……」
ううむ、と腕を組み唸る胡散臭いイケメンだったがしばらくして目を開ける。
「やはり彼らがあの猪を狩った時に横から掠め取るのが無難でしょうか。そうと決まればそれまで潜むといたしましょう」
そう言うと胡散臭いイケメンは印を切り、木々の闇へと消えた。だがそもそも最初の、ゴールドシップを利用するという選択が過ちだったと気づくのはもう少し後である。
「もう無茶苦茶だぁ……」
木の陰から見ていた沖野トレーナーは身を縮こませながら情けない悲鳴をあげる。
「中々に豪快な戦い方だが、あのまま戦えば無傷では済まんだろうな。全く……見ておれん」
「……なぁ東方、あの猪、お前なら何とかなるか?」
「む?」
落ち着いた沖野トレーナーが東方不敗に低い声で話しかける。
「もしあのまま戦って怪我なんてしちまったら、トウインクルシリーズを走れなくなっちまうかもしれない。それにゴールドシップは今までずっとウチのチームを支えてきてくれたんだ。だから頼む、ゴールドシップを助けてくれ!」
沖野トレーナーの魂の籠った叫びを聞いた東方不敗は笑って木の陰から出る。
「……今のワシはチームスピカのサブトレーナーよ。その程度、頼まれんでもやってやるわ。ワシもあやつに少しお灸を据えたいと思っていたからな」
「すまん、恩に着る!……ん?お灸?」
最後に聞こえた不穏な言葉の意味を沖野トレーナーが聞く暇もなく、東方不敗は木の陰から出てゴールドシップに近づく。
「まだまだこんなもんじゃ終わんねぇぞ!この野ろ」
「この馬鹿者がぁぁ!!」
「あいったぁ!?」
そしてゴールドシップの後ろに立つと、思いっきり頭に拳骨を振り下ろした。
頭に拳骨を喰らったゴールドシップは髪の色が元の銀髪へと戻り、体に纏っていた謎のオーラも消える。
「いってぇ……いきなり何すんだおっさん!」
「いやなに、今のおぬしはとても見てられんが故ウッカリ殴ってしもうたわ!」
「なぁにがうっかりだこの野郎!明らかに確信犯だったじゃねぇか鼻にシュールストレミングぶち込むぞ!」
「喧しい!!ワシがウッカリと言ったらウッカリだこの馬鹿者が!!」
「なにおう!」
いきなり拳骨を落とされたことに憤るゴールドシップだが、牙が地面に刺さったまま抜けずにもがいている魔猪に注意を向けたまま東方不敗に反論する。
「何がとても見てられない姿だぁ?子分がやられて怒らねぇ親分がいるかよ!ケジメをつけて当然だろうが!」
「別にケジメをつけるなとは言っておらん!」
「じゃぁなんだよ!」
「子分がやられておぬしが怒りを覚えるのは当たり前だ。だが武道家たる者、怒りに呑まれるなど言語道断!!」
「!?」
東方不敗から放たれた言葉を受けて、ゴールドシップは固まってしまった。
「確かにウマ娘は走ることが生き甲斐なのだろう。だがおぬしは例えウマ娘だとしても武の道を歩く者の一人!そのように怒りに身を任せるだけでは、目の前の敵を倒すことも、親分としてのケジメをつけることも、レースで頂点を掴み取ることもできぬぞ!!」
東方不敗は腕を組み、ゴールドシップの眼を見ながら叫ぶ。
「闘志に燃えるのは良い、だが闘志に呑まれてはならん!
荒れ狂う海の如き心ではなく、静まり切った水面の如き心……すなわち、明鏡止水の境地に至るのだぁ!!」
東方不敗の言葉を聞いたゴールドシップはゆっくりと深呼吸をすると、地面から牙を引き抜いて立ち上がった魔猪の方に身体を向ける。
「簡単に言ってくれるじゃねぇか、そんなん今に生きるこのプリティーボンバー⭐︎ゴルシちゃんに出来ると思ってんのか?」
「証明してみせよう、おぬしにはそれが出来るはずだ」
「あたぼうよ!」
ゴールドシップはニヒルに笑いながら何度か首を曲げた後に両手を合わせて握りしめる。するとその時、魔猪に異変が起こった。
「ブンブブルル、ブルッブハァッハァ!!」
突如として謎のリズムで叫んだかと思うと、身体の周りから謎の鎖が現れて、ゴールドシップへと襲いかかる。
鎖はゴールドシップの四肢に絡みつく。ゴールドシップは身じろぎをするが、その場から一歩も動けない。
「ゴールドシップ!」
木の陰から見ていた沖野トレーナーはゴールドシップに襲いかかった鎖を見て思わず大声をあげてしまう。
「何やってんだ東方!ゴールドシップが危ねぇ!」
「狼狽えるな沖野、あやつを信じろ」
「……」
東方不敗は目の前で鎖に縛られたゴールドシップを見ても動かず、ゴールドシップは縛られたまま目を閉じて身じろぎをせずにじっとしている。
そして魔猪は何回か地面を足で擦ると、ゴールドシップに向かって勢い良く突進し始めた。
突進する魔猪を前にしても、ゴールドシップはまだ動かない。東方不敗もゴールドシップの後ろで腕を組んで黙って見ている。
そしてそのまま魔猪はスピードを上げていき、恐ろしい速度でゴールドシップへと迫る。
「ゴールドシップ──!!」
そしてその勢いのまま、魔猪とゴールドシップは衝突した。衝突の勢いで爆風が起き、土煙が舞う。
「そんな………………ん?」
あまりのショックに声が出ない沖野トレーナー。だが土煙の中に微かな黄金の光を見つける。そして土煙が晴れるとそこには、
「闘志を燃やす、頭を冷やす、どっちもやらないといけないのが明鏡止水の難しいところだぜ……」
服もジャージも金色に光り輝き、左手から出した謎のオーラで魔猪の突進を止めるゴールドシップがいた。
四肢に絡みついていた鎖は砕け散り、周りにその残滓が漂う。
「見事!よくぞその境地に至った!!」
「ゴールドシップ!!無事か!?」
「おう!このゴールドシップの御神体にはかすり傷一つもついてないぜ!すぐに終わらせるから待っとけ!」
ゴールドシップはニヤリと笑うと右手を頭上に掲げる。すると右手がさらに金色の光を纏う。魔猪は何度も頭をぶつけるが左手で作られたオーラはびくともしない。
「アタシのこの手が光り輝く!
栄光掴めと嘶き叫ぶ!」
ゴールドシップは高らかに叫びながら右手を後ろに引き絞る。
「見せてみよゴールドシップ!おぬしの輝きを!!」
「ゴールドシップ!なんだかよく分からんがいけぇ!」
二人の声援に応えるかのように右手の輝きは大きくなっていく。
「絢爛!ゴールデンフィンガーァァァ!!」
ゴールドシップの突き出された右手から出た金色の大きな手が、魔猪を掴んむ。そのまま森の奥まで魔猪を押し出していく。
そして左手も突き出して魔猪を空中に掴み上げる。
「なっ、何故だ!?拙僧の隠形は完璧だったはず!何故だぁぁ!」
魔猪以外の何かも掴んでいるが、それにゴールドシップは気付かずに両手を掲げる。
「トウェルヴビリオンエンドォ!!」
そしてゴールドシップが叫びと共に両手を握りしめると、魔猪を掴んだ手が華々しく爆発した。何故か爆発の際に金色の粒子と大量の紙切れのようなものが散る。
魔猪を倒したゴールドシップの髪と服は元の色に戻った。そして全身の力を抜くと、ゆっくりと大きく深呼吸をした。
「ゴールドシップ!」
「お?」
木の陰から沖野トレーナーがシャコを持ったまま二人の元へ走ってくる。
「大丈夫か!?どっか怪我とかしてないか!?」
「何だよトレーナー、そんなにアタシが心配だったのか?うりうり〜」
「そりゃ心配するに決まってるだろう!もし怪我してたらと思うとホントに怖かったんだからな!」
「……へぇ、そうかそうか。まぁ怪我はねぇから安心しろ!何なら明日からレースに出れるぞ」
ゴールドシップは沖野トレーナーの方をバンバン叩きながら高笑いする。
「ゴールドシップよ」
「ん?」
東方不敗が後ろから声を掛ける。
「おぬしの輝き、しかと見させてもらったぞ」
その言葉にゴールドシップは笑顔で親指を立てた。
その後、爆発があった場所には謎の杯が落ちており、議論の末ゴールドシップの家族に預けることになった。ゴールドシップ曰く、
「ここだけの秘密だけどアタシの母ちゃんは中々のコレクターでよ……吸血鬼の骨とか昔の王様の指輪とかやばそうなもん色々持ってんだ。でも一回も盗まれた事ないから安心して預けられるぜ!」
とのこと。
東方不敗は例の魔猪が突っ込んだせいで迫力満点になった岩をトレセン学園に運ぶべく公道を走って帰った。
そして帰りの車内。沖野トレーナーが運転し、ゴールドシップは膝に上半身のみのシャコ抱えて助手席に座っていた。
「いやー今日は楽しかったな!」
「俺としてはもう今日みたいなのはこりごりだけどな……」
元気いっぱいなゴールドシップとは対照的に、沖野トレーナーは疲れたように深く溜息を吐く。
「……なぁゴールドシップ」
「あん?どした?」
「学園に帰ったら、墓、作るぞ」
「墓?誰のよ?」
「誰のって……そりゃそいつの……お前のシャコのだよ」
「いや何勝手にウチの子分殺してんだよ」
「いや殺してるも何も、下半身千切れて死んでただろうが」
「あ、そういやトレーナーは知らねーのか」
ゴールドシップはそう言うと後ろの座席に置いてあった鞄の中を探り、その中から一本の注射器を取り出す。
そして膝の上のシャコに向けて勢い良く刺す。
するとみるみるシャコの下半身が生えていき、30秒もすると元通りになった。
「は?」
真横で起きた超現象に思わず沖野トレーナーの目線は道路とシャコを高速で反復横跳びした。
「な?まだ死んでねーだろ」
「いや何だそれどうなってんだ何が起きてんだ!?またなんかアレか!?武道家なら誰でも持ってるクスリなのか!?」
「んなわけねーだろこれはタキオンがこいつに調合した特別なクスリだよ。因みに一本の3桁万円」
「それでもおかし……いやでもタキオンならあり得るか。……ハァ、全く心配して損した気分だ……」
沖野トレーナーの落ち込み様にゴールドシップは腹を抱えて笑う。シャコも膝の上で謎の踊りをしていた。
これからもゴールドシップとシャコの冒険は続く……
なお余談ではあるが東方不敗が持ち帰った大岩は、一部のウマ娘以外動かすこともままならなかったので、パワートレーニング用具としてはまともに使えなかった。
だが理事長の提案により代わりに威圧感のある岩面を使って差しへの耐性をつけるためにコーナー付近に置くことになったが、あまりの迫力に殆どのウマ娘がまともに練習出来なくなったのでグラウンドの端に置かれることになった。
あるMADウマ娘
あれは元々実験の過程でできた副産物でね、もし私の足が壊れたらいっそのこと切り落として新しい足を生やそうという考えを元に作ったのだが……ウマ娘の足に効く程の効果が出なくてね……シャコ程度の大きさの生物が限界だったのさ。
その上材料費も結構バカにならないのだが……拾う神というのはいるものだねぇ。お陰で研究費用にも困らないよ。
番外編として東方不敗と他のアニメやゲーム(例:アークナイツ等)とのSSは
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本編を書くんだよあくしろよ
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本編と同時に投稿するなら良いゾ