東方不敗、中央に立つ   作:物書きのゴリラ

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ものすごい難産でした。
でもやっぱり物を書くって楽しいですね。



東方不敗、トレーナーになる

「ひとまず我が学園に来てくれないだろうか!」

 

 ────────────

 

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称『トレセン学園』。

 

 多くのウマ娘達が日々トレーニングに励むこの学園の理事長室では、重い空気が漂っていた。

 

 それは暗い空気によるモノでは無く、室内の人間から発せられる緊張感から溢れるモノである。

 

 その緊張感から溢れる空気は腕を組みながら部屋のソファーに深く座っている老人、東方不敗……からでは無く、テーブルを挟んで対面に座っている秋川やよいから発せられていた。そんなやよいを後ろからたづなが心配そうに見つめている。

 

「お嬢さん、少し気を張り過ぎておるぞ。ちょっとばかし緩めたらどうだ?」

 

「失礼! 少しばかり緊張していた! では早速だが東方不敗殿、この学園のトレーナーになってくれないだろうか!」

 

 やよいは目を輝かせながら勢いよく頼み込むが、東方不敗は腕を組みながら難しい顔をしている

 

「フム……なにゆえに儂に頼むのだ? 儂じゃなくとも有望な若い衆などそこらじゅうにおるではないか」

 

「うむ! 確かにトレーナーとしての素質がある者は多くいる。だが私は以前からトレーナーとウマ娘について考えていたことがあった。東方不敗殿はウマ娘についてどこまで知っている?」

 

「精々が世間一般で言われていることしか分からぬ」

 

 テーブルにあるお茶を啜りながらやよいは説明する。

 

「ウマ娘は私たち人間の何倍もの身体能力を持ち、日々夢に向かって頑張っている。そんな彼女達を導き、共に歩みを進めるのがトレーナーだ」

 

 トレーナーとはウマ娘達を指導し、強いウマ娘へと成長させる監督のようなものである。

 トレーニングメニューやレースの出走計画などを考えたり、複数のウマ娘を担当しチームを作ったりしてウマ娘を勝利へと導くのだ。

 共に挫折を経験したり、勝利を喜んだりとウマ娘とトレーナーはまさに一蓮托生と言えよう。

 

「だが人間とウマ娘とでは身体能力が大きく違う。故に走り込みなどではバイクや自転車、自動車などを使って並走し指示を出すのが当たり前だ。

 そこで私は考えたのだ! 何とかしてトレーナーもウマ娘と一緒にトレーニングをこなせば更にウマ娘達の心に寄り添い、今までよりも絆が深まるのではないかと!」

 

 そこまで覇気のある声で夢を語っていたが、段々と顔が俯きその勢いが弱くなっていく。

 後ろで聞いているたずなも顔を落としている。

 

「しかしウマ娘に匹敵する程の身体能力をもつ人間など当然いるはずも無く、居たとしてもスポーツ選手として名を馳せるだろう。故に諦めていたが……」

 

 やよいはそこで勢いよく顔を上げた。

 

「運命! 東方不敗殿のあのスピード! ウマ娘と比べても全く遜色ない! まさに私が探し求めていた人材だ! ゆえに何としてもトレーナーになってもらいたい!」

 

 鼻息を荒くしながら東方不敗に迫るやよい。

 彼女が興奮するのも無理はないだろう。時速60キロ以上で走れる人間など普通は居ない。

 

「それに!」

 

 やよいは一呼吸置いた。

 

「あなたはきっと愛バを大切にする人だと思ったのだ!」

 

 その言葉に東方不敗は目を見開いた。思い出すのは葦毛の気品と力強さ溢れる美しい馬。名を風雲再起。

 東方不敗がガンダムファイト第十二回で優勝した時、優勝賞品としてモビルホースと共に手にした馬である。

 頭も良く、移動や長旅の際はよく世話になった。ファイティングスーツを着てモビルホースとなり、共に戦ったりもした。

 東方不敗はそんな風雲再起を毛並みを整え、爪を削り、体を洗ったりする程には気に入っていた。

 

「ククククク……」

 

 そんな愛馬との過去を会ったばかりの小娘が勘づいたのだ。ならばこれも何かの縁と言えよう。

 

「提示! 勿論給料は沢s「ガーッハッハッハッハ!」い、いきなりどうしたのだ!?」

 

 突然の爆笑に驚くやよいとたづな。

 

「いや何、中々に奇妙な縁だと思うてな」

 

 東方不敗の言葉に首を二人は首を傾げる。

 

「よしお嬢さん。トレーナーの件、喜んで受けさせていただこう」

 

「本当か!」 「ホントですか!」

 

 その言葉に思わず身を乗り出す二人。

 

「ああ。誰かを指導するのは初めてでは無いのでな。これも何かの縁だ、宜しく頼む」

 

「多謝! 深謝ッ!! 本当に感謝する! 直ぐに手続きをしたいのだが宜しいか⁉︎」

 

「うむ、構わんぞ。住む場所もない根無草が故そういったものは直ぐに済む」

 

「何⁉︎ 住居などは持っていないのか⁉︎ ならば我が学園の職員寮に住まないか?」

 

 トレセン学園には多くの職員が在籍しており、その中には学園の近くにある職員寮に住む者もいる。臨時の職員や通勤時間を減らしたいトレーナーなどだ。ウマ娘から連絡があったらすぐに駆けつけられるようにという意図もあるのだろう。

 

「フム……寮とな……ありがたい、喜んで住まわせてもらおう」

 

「了承! たづな! 事務手続きと寮の手配を頼む!」

 

「分かりました!」

 

 急いで理事長室を出て行くたづな。やよいはそれを確認してから学園の地図を取り出す。

 

「そうと決まれば善は急げだ! 早速練習場に行って担当するウマ娘を見定めてもらいたい!」

 

 そう言ってやよいは学園の地図をテーブルに広げて指を指す。

 

「今丁度ウマ娘達の選抜レースが行われている! そこに行ってピンと来たウマ娘を一人選んで欲しい!」

 

 その言葉に東方不敗は少し顔を顰める。

 

「少しばかり急過ぎるのではないか? 儂はまだトレーナーになったばかりの未熟者。ウマ娘に関する専門的知識など全く持って無いのだぞ」

 

「それが良いのだ! 専門的知識など一切考えず、ただ『このウマ娘しかいない!』と感じるような直感で選んで欲しい! 私はそういったものが大事だと思うのだ!」

 

 東方不敗はその言葉に納得したかのように頷いた。

 

「良かろう。ならばその練習場に行ってみようではないか」

 

「うむ! 案内役としてエアグルーヴを付けよう! それでは」

 

 そう言ってやよいは立ち上がり、東方不敗に手を差し出す。

 

 東方不敗は差し出された手を握り笑った。

 

「これから宜しく頼む」「こちらこそ頼む!」

 

 こうして東方不敗のトレーナー生活が始まった。




東方不敗はドモンと戦った後+相手が純粋な子供なので少し口調が柔らかくなってます。
(ちなみに書き溜めは)ないです。
今回から行間は一行にしました。もし読みにくかったら感想欄で指摘して下さると助かります。それに伴い前話も修正しました。
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