もしもヴァーリがドラグソボールのファンで、かつHIPのYOUに欲望を持ったら   作:ベジタブル

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 書きたいことがいくつか書けました。
 ただし、また思いついて、メモに書き加えました。


第2話

 昨日はなかなか充実した日だった。

 

 赤龍帝は一応見つかるし、アーシアのおかげで、俺に足りなかったピースが埋まった気がする。ラーメン、ドラグソボール、そしてヒップ、この3つならば、歴代の白龍皇たちを屈服することができると確信してきた。

 

『やめてくれヴァーリ、その3つはオレに効く……』

 

 どうしてか、昨日から相棒の元気がない。

 全盛期は神すら手をこまねいたほどの強者なのに。

 

「あ、あの本当に戦うんですか……?」

「なに、わるいようにはしないさ」

 

 疲れが溜まっていたのか、アーシアはお昼までぐっすりだった。

 

 ここがグレモリーという悪魔の領地であることや、はぐれ堕天使によって赴任する教会が乗っ取られている可能性を伝えたのだが、話を信じてくれたアーシアとは行動を共にしている。

 

 さて、先客がいるようだが、行くか。

 

「初めましてだな。今代の赤龍帝?」

「なんなんだよ、お前ら!?」

 

 再びはぐれ堕天使に襲われ、更なる乱入者にまだまだ赤龍帝は状況を飲み込めていない。つい最近まで平和な日常を送っていたようだから、無理もないか。戦いの経験も皆無だろう。

 

「ち、治療しますね!」

「おお! 美少女シスターありがとう!」

 

 アーシアは緑色の光を発する神器で、傷口をみるみるうちに癒していく。

 

 回復系の神器は珍しい部類に入り、回復魔法の上位互換であり、どの勢力も欲することだろう。だが、彼女の身の上話によると、悪魔すら治療できることで教会からは異端扱いされたのだったか。

 

『ああ。教会は随分と勿体ないことをしたものだな』

 

「くっ、まさか、その銀髪……貴様まさか!?」

「ご明察、もしかすると神の子を見張る者(グリゴリ)ですれ違ったこともあるかもな」

 

 コートの背中から漆黒の翼を出しているが、それも1対の下級堕天使にすぎない。戦闘力も高くはなく、ヒューマンより長い寿命に対して、生半可なトレーニングしかしてこなかったようだ。予想なら、誰かの神器を奪って、楽して強くなろうとしていたのだろう。

 

「私としては。是非とも引かせてもらいたいのだが、どうだろうか?」

 

 と言いつつも、背中側に隠した手には光のオーラを纏っているようだ。圧倒的パワーを隠しているこの俺を甘く見ている証拠だ。白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の『半減』を使うには触れることが条件なので、確かに先手必勝がセオリーなのだが、この俺が神器だけに頼っているはずがないだろう。

 

「なに、俺は手を出すつもりはない。そうだな、ここにいる彼と戦い、もし勝てたのなら見逃してやってもいいだろう」

 

 対価で『責任』を取る必要がある以上、極力、彼女の意向には従うつもりだ。あまり戦いを好まない性格のアーシアにはわるいが、赤龍帝の彼を見極めさせてもらいたい。

 

「お、俺ぇ!?」

「ああ。もしこんなところで負けるようならば、貴様はいつか大事な者を失うだろう」

 

 転生悪魔になったし、少しはマシになったかと思えば、悲しくなるくらいの魔力しか感じられない。気の大きさだって、非戦闘要員の一般悪魔の段階だ。そんな状態で、はぐれたちが動きやすい時間帯を1人で歩かせるとは。

 

 リアス・グレモリーも様子見しているということか。

 強力な神器ほど、暴走の危険性があるからな。

 

「イメージしろ」

 

 リアス・グレモリーたちも慌てて来ているだろうから、あまり悠長にしている暇はない。人払いの結界にどうにか入ろうとしている使い魔に中の光景が見られないよう、さらに強固な結界を張っておいた。

 

「貴様が思い描く最強の姿を強く思い浮かべろ」

「え、えーと」

 

 両手を腰に当てる、その構えはまさか!

 

「ド~ラ~ゴ~ン~破ァ!」

 

 まさしく、空孫悟(そらまごさとる)のドラゴン波だ!

 まさか貴様は俺の因縁のライバルということか!

『いや、まあ、うん、そうだな……』

 

 

「なんか出たァ!?」

「それが君の神器さ。だがまだ完全ではない」

 

『いまだ龍の手(トゥワイス・クリティカル)のままのようだな。赤いのがかわいそうになる』

 

 永遠のライバルの所有者の才能には、アルビオンもかなり複雑な気持ちを抱いているようだ。

 

「うぉ! 籠手か!? なんだこりゃあ!?」

 

 たしか、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が覚醒する前は、それと酷似しているという話だったな。通常状態では、能力を2倍にするという、所有者の地力によっては強力な神器だ。仮にアーサーが持っていたなら、禁手化(バランス・ブレイク)した俺と互角以上の戦いができるだろう。

 

「はっ、何かと思えば、龍の手(トゥワイス・クリティカル)か」

 

 はぐれ堕天使は余裕を取り戻したようで、不敵な笑みを浮かべた。どうやら、転生悪魔やヒューマン程度が持っていても、特に意味はない神器だと考えているものらしい。亜種の禁手化(バランス・ブレイク)がある以上、神器は使い方次第だと俺は思っているのだが。

 

 それに、純粋に鍛えて最強を目指しているバラキエルという堕天使を目標に、トレーニングに励めばいいだろう。

 

「知っているか? 落ちこぼれだって、必死で努力すればエリートを超えることがある」

 

「おもしろい冗談だ。流石はエリート様だな」

 

 俺の発言に皮肉を言いつつ、はぐれ堕天使は光の槍を展開した。

 

「神器さえ手に入れれば、我々は最強になれるのだ! 人間や下僕悪魔が持っていても宝の持ち腐れだろうに!」

「堕天使陣営としては、所有者の保護が優先で、仮に危険性があるなら処分の筈だがな。貴様らの独断か」

 

 アザゼルも、後者に関しては余程のことがないと命令はしない。ヒューマンにとって神秘である神器を、犯罪に使う奴とかが特に対象となる。

 

 やはり、アーシアも堕天使に神器を奪われて死ぬところだったらしい。悪魔の領地でそれを画策してしまったことや、そして俺というエリートがアーシアの保護についていることからも、その目的は叶うことはないだろう。

 

「よく吠える堕天使だな。ところで、君の名は?」

「兵藤一誠、だけど……」

 

 いまだ足をガクガクと震わせる少年は、このままでは弱点の光で再び瀕死になるだろう。おそらく、別のはぐれ堕天使とはいえ、それが死因になったこともあるから、トラウマになっている。

 

「イッセー、何か譲れないものがあったはずだ。

 信念や想い、その力をここで爆発させてみろ!」

 

「お、俺は……」

 

 イッセーは一度目を閉じて、だらんと頬を緩ませる。

 その欲望こそが、赤の波動を発した力の源だ。

 

「生おっぱいを見るまで、死ねないんだァ!」

 

『Welsh Dragon!! Dragon Booster!!』

 

「ウェルシュ・ドラゴン!? まさか貴様も神滅具(ロンギヌス)を!?」

 

 籠手の形が変わり、その真の姿を見せた。

 

『起きたか。赤いの』

『ああ。待たせたな、白いの』

 

「あ、あんたら誰なんだ!?」

「君に眠っている龍が目覚めたのさ」

 

 俺も白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)を出すと、その宝玉が光りながら、龍たちの声がアーシアたちにも聞こえるようになる。アーシアも知識としては二天龍のことを知っていたようだが、伝説上の存在ともされる生物に会えて驚いているようだ。

 

「おっぱいに対する想いが神器を覚醒させた。まあ、俺としては、おっぱいよりヒップのほうが素晴らしいと思うがね」

「えっ、なんでこのイケメン、真顔で言ってるんだ」

 

『お互い、今代の宿主に苦労しそうだ……』

『分かってくれるか……』

 

 相棒たちは項垂れた声を出し、アーシアは自分の身体を守るように縮こまって、腕で胸とお尻を隠した。

 

「10秒ごとに自身の力を倍加していく。つまり、一撃必殺がセオリーだな」

「そんな無茶な」

 

 その翼で上空へ距離を取ったはぐれ堕天使に、今の飛べないイッセーでは歯が立たないだろう。倍加能力はいろいろと応用が効きそうだが、今の彼はそういったものを思いつく余裕はないだろう。

 

「フッ、エリートの俺が力を貸してやろう」

 

 はぐれ堕天使には申し訳ないが、さっきの慈悲という優しさは撤回させてもらおう。

 

「ルシファーの血を引き、天体魔法を使いこなす、この歴代最強の白龍皇がな」

「ああ。そういう設定なんだな。だがイケメンだし、彼女もいるし、ぐぬぬ……」

 

 誰がルシドラだ。解せぬ。

 確かに天体魔法は黒歴史で編み出したものだが。

 

 ラヴィニアから魔法を習いながら、寝る間も惜しんで俺が考えたオリジナルの魔法は最強に決まっている。

 

「天体魔法、六連星(プレアデス)!」

「うおっ! かっけぇ!」

 

 操作できる6つの魔力弾を放つと、上空で回避しようとはぐれ堕天使は逃げ惑う。どうやらそれなりの時を生きた堕天使らしく、飛行戦闘が得意なようだが、結界内ではそれも制限されてしまう。

 

「このっ! 隙だらけだ!」

 

 術者を止めるべく、こちらへその光の槍を投擲してきた。

 そんなもの、気を纏った手で粉々に砕く。

 

「キャッ!」

「大丈夫だ、アーシア。この俺が、操作しているからといって、無防備な筈がないだろう」

 

 さて。

 

『Boost!』

 

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から、そんな音声が鳴り響いた。

 

「準備はできたか?」

『ああ、助かった。白いのの協力は癪だが、今の相棒では隙だらけだからな』

 

「お、おう。サンキュな!」

 

 確かに、実戦では待ってくれるはずもない。もし赤龍帝の籠手を相手にするのなら、先手必勝か、ヒットアンドアウェイか、そういう戦い方がセオリーだろう。といっても、全盛期の相棒たちは、能力発動に10秒の間隔なんてなかったと聞く。

 

「天体魔法で直接落としに行く。

 流星(ミーティア)、またの名を舞空術!」

 

「やっぱり、こいつ中二病だ……」

 

 魔力を纏った高速移動で上空の堕天使に追いつき、地面に向かって背中を蹴り落とす。

 

『ヴァーリ、さすがに甘すぎるんじゃないか?』

 

 相棒はそう(とが)めてくるが、相手が油断していない状態で、彼が堕天使に勝てるビジョンが思いつかなかったのだ。今回は、元一般人が、敵を認識して攻撃するということを学んでもらっただけでも第一歩だろう。

 

「よ、よしっ……」

 

『Explosion!!』

 

 溜まった倍化が発揮され、恐らく元の8倍くらいの戦闘力にはなったはずだ。なんだか界王拳みたいだし、今度そういう気を使ったトレーニングでもやってみようかと思いつつ、俺はアーシアの側へ降り立った。

 

「舐めるな、小僧共!」

 

 その手から光を放ち、イッセーやアーシアは思わず目を閉じる。特に、転生悪魔であるイッセーにとっては、目晦まし程度の光でさえ、強烈な痛みを感じることだろう。

 

「死ねぇい!」

 

 その手に生み出した光の槍で、貫かれてしまうだろう。

 

 

「俺は、おっぱいのために死ねないんだァー!」

「ば、馬鹿なァ!!」

 

 無我夢中に前に突き出し、両手から放った気弾が直撃した。

 

 

「ほっ……イッセーさん、良かったです」

「フッ、おもしろいやつだ」

 

 魔力ではなく、無我夢中で気弾を使ったらしい。

 

 ここからは予想になるが、俺がラヴィニアの美尻を見て気を感じ取れるようになったように、イッセーもおっぱいを見て気を感じ取れるようになっていたのだろう。世の中には、女性のスリーサイズを気で測定できる、スカウターという能力を持つ者がいると聞いたことがある。

 

 もしイッセーが生おっぱいに触れたのなら、もし俺が生ヒップに触れたのなら、それぞれどれほど劇的な進化をもたらすか、実に楽しみだ。俺もまだまだ精進しなければ……

『やめてくれ』

 

 慣れない状態で赤龍帝の籠手を使った影響でバッタリ倒れているイッセーは、まあ、結界をこじ開けようとしているリアス・グレモリーに任せるとしよう。いろいろ知ってしまったはぐれ堕天使は始末しておきたいが、アーシアが望まないか。

 

 神の子を見張る者(グリゴリ)の、アザゼルの部屋にはぐれ堕天使を魔法陣で送っておく。

 

「さて。アーシア、悪魔陣営に入るか、俺と来るか、どっちがいい?」

「えっと……?」

 

 初めて、戦闘を見た彼女は震えている状態であり、何にせよ勢力として保護したほうがいいだろう。堕天使陣営も神器持ちが多いとはいえ、いまだ残存している反アザゼル派に狙われる可能性がある。そろそろ動きそうだしな。

 

「悪魔も一筋縄ではいかないが、これから来るグレモリーは身内に対して慈愛が深いと聞く。君ならば、能力や才能、他にも人格や見た目やヒップも認めて貰えるだろう。正当にな」

 

「もう、ヴァーリさん、照れちゃいますよ……」

『いいのか。それでいいのか?』

 

 俺が目指すのは覇道であることは確かだ。アーサーたちは付いてきてくれそうだが、アーシアもいずれ戦いに巻き込むことになってしまう。やれやれ『責任』を取るというのはなかなか難しいものだ。こういうことは鳶雄たちに任せたいものだ。

 

「その、私が困っているとき、ヴァーリさんは助けてくれますか?」

「苦手分野だが。白龍皇の名に誓って、責任を取ろう」

 

 我ながら、知り合いから助けを求められるようなことはないから新鮮だ。鳶雄たちに協力していたときも戦闘経験が積めるという考えが多くを占めていた。まあ、あいつらがもしいなくなったら寂しいと思ったことは少しくらいあったけれど。

 

「私と、つ、つき……お友達になってくれませんか!」

「ああ。友達だな。了解した」

 

 つまり、ラーメンやドラグソボールを布教してもいい関係ということか。いつか作りたいチームにとってもアーシアがいることは心強いし、今の予定メンバーは後方支援を守りながらだと弱くなるほど(やわ)ではない。

 

 それに、アーシアにはまた美尻を見せてもらえるかもしれない。

『いつからヴァーリはこうなったんだ……』

 

「さて、この町には知り合いがいる筈だから、明日になったらそいつと合流しよう」

「はい!」

 

 恥ずかしがっているアーシアの手を取って、この場を離れた。

 

 たぶんいるはずだ。

 妹のストーカーをしている黒歌が。




天体魔法:『FAIRY TAIL』(フェアリーテイル)より
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