もしもヴァーリがドラグソボールのファンで、かつHIPのYOUに欲望を持ったら 作:ベジタブル
駒王町でも多くのヒューマンが生活しているが、裏の世界としては悪魔が管轄の土地となっている。ある程度の霊地であって龍脈が巡っているしな。ヒューマンにとっても、何かと生きづらい社会人は悪魔との契約はwin-winだろう。
「ここが……?」
「郷に入っては郷に従え、ということさ」
黒歌が拠点にしている住所を聞いておかなければ、居場所は分からなかっただろう。本人は気を隠すことには長けているし、見た目はただの民家なのだからな。
「珍しい来客ですね。どうぞお入りください」
「はわわ、大きいです……」
縦縞のセーターを着た黒髪ロングの眼鏡女性が玄関を開けて顔を見せた。悪魔陣営からはSSランクのはぐれ悪魔として追われている身なので、町で暮らすにはそういうキャラ作りが必要だったのだろう。
黒歌は、家まで手招きする。
リビングでさっさと普段着に着替え始めるようだ。
「それで? あんたが女連れなんて、何事ニャ?」
「み、見ちゃダメですぅ!」
アーシアに視界を塞がれてしまったが、別に会話に支障があるわけではない。黒歌はプライベートの時は、ラヴィニアかよって思ったくらいには、男の前で恥ずかしがらない。
「元々は赤龍帝に会うつもりで来たのだったな」
「ああ。赤龍帝ちんね」
どうやら、すでにイッセーが覚醒したことには気づいているようだ。そして、昨晩の戦闘もどこかで見ていたのかもしれない。以前よりもますます、相手の意表をつくような戦闘が得意になっているだろう。
『ヴァーリ以上の仙術に加え、妖術や魔法も使いこなすからな』
そうだな、また手合わせしたいものだ。
「やっ、あんたに敵うわけないニャ。バトルジャンキーなとこは相変わらずねぇ。着替え終わったわよ」
「は、ハレンチです……」
アーシアがしぶしぶ顔の手を取ってくれると、いつも通り着物を着崩した黒歌が、ソファの背もたれの上に座って足を組んでいた。もしイッセーが見たなら大喜びしそうなくらいおっぱいを見せている。
それにしても、なかなか良いヒップをしているし、黒歌ならお触りも頼めるのでは。
『自重しろヴァーリ』
「で、この娘は?」
「うひゃぁ!」
一瞬で背後に回り、おっぱいを背後からお触りされ、アーシアは驚いた。俺でなければ気づかなかったくらいだ。ていうか、その美尻にも俺より先に触るとか、なんとも羨ましいものだ。
『ヴァーリの教育にわるい光景だ……』
「アーシア・アルジェント、友達さ」
「あー、うん、いつもこういうやつだから」
「私にも原因があるので、お気になさらず……」
アーシアを軽々と抱えて、そのままソファに座り込んで膝に乗せる。やはり妹に飢えているようで、ルフェイにもこんな風に近寄ろうとして、よくアーサーとバトルしていたことを思い出す。
「うんうん。なかなかの魔力ニャ」
「んっ……」
「ああ。鍛えれば伸びるだろう。回復系の神器持ちでもあることだしな」
首を舐めているが、そういうほうが相手の気を感じ取りやすいのだろうか。
『やめてくれヴァーリ』
「美猴は?」
「また登山にハマってるニャ」
『ゆるキャン△』が2期を放送するのだと興奮していたな。黒歌が『ごちうさ』3期を喜んで見ているタイミングだったから、美猴と黒歌が大喧嘩したのだったな。ドラグソボールを見て仲良くしようと言ったら、2人が仲直りした。
『一体、何周したと思っている。映画を見た後、覇龍を会得するような宿主は未来永劫お前だけだろう』
いや、ドラグソボールGTで完結かと思えば、分岐ルートで続編が放送され始めたのだぞ。これは、俺にとって劇的な経験だったと言ってもいいだろう。本編ではスーパーヤサイ人3にもならなかったあのベジッタがだな。
『落ち着けヴァーリ。気が漏れそうだ』
「うぅ、しろねぇ……」
「あの、なにか悲しいことが?」
いつのまにか、黒歌も気が漏れそうになっている。美猴がいなければさっさと居場所がバレていただろう。先日ごちうさ難民になった時は、アザゼルの財布を使って散財したようだし。
「白音はね。私の可愛い妹でね。長らく会えていないのニャ……」
「それはつらいことですね……」
SS級はぐれ悪魔になった当時は『白音は置いてきた。ハッキリいってこの闘いにはついていけない』だったために、治安の良いグレモリー領に置いていったらしい。リアス・グレモリーの眷属になれたのは、立場が危うかった白音にとっては最善の選択だっただろう。
「黒歌もはぐれ悪魔として追われる身ではあるが、それは主がわるかったらしいな」
「そう。あの年で仙術を使わせようとしたからニャ……」
黒歌自身も、奴隷のような扱いだったらしい。本人はそれほど気にしていないが、転生悪魔になったのも無理やりだったのだろう。やれやれ、どの陣営も叩けば埃が出るようだ。
「早いが、昼食の準備をしてくるか」
「いつも通りつけ麺ね。私、猫舌だし」
「ヴァーリさん、お料理できるんですね!」
ラーメンと餃子くらいだがな。
魔法陣から強力粉を取り出し、まずは生地を鍛え上げる。
「あれ、アーシアって、お箸使えるの?」
「いえ、使えませんね」
「フッ、俺が教えてやるから安心しておけ」
黒歌以外に箸の使い方を教えてきた経験が再び活きてくる。
****
悪魔ではないアーシアにはきつい時間帯だが、夜の廃墟にやってきた。黒歌のおかげで最上級悪魔クラスではないとこちらの存在には気づかないだろう。普段は美猴が付添人なのだが、俺たちが代わりに付いてきた。
「イッセー、今日は悪魔の戦い方を見せてあげるわ」
「はい! お願いします!」
リアス・グレモリーと、その眷属たちが来たようで、その中には赤龍帝であるイッセーも含まれている。どうやら、無事に眷属として組み込まれたらしい。これで、別の誰かに神器を奪われたり、危険因子として処分されたりは無さそうだ。
あの白髪の少女が、黒歌の妹で、確か今は小猫と名乗っていたか。
「旨そうな匂いがするぞ? 不味そうな匂いもするぞ?
甘いのかしら? 苦いのかしら?」
まさしく怪物と言える、はぐれ悪魔が姿を現した。
戦闘力からして、白音に傷1つ付けれないだろう。
相手が強すぎて、黒歌が飛び出しでもしたら困る。
「あれも、はぐれ悪魔さんなのですか?」
「そうよ。なかなか喰ってるわねぇ」
「ああ。もう手遅れだな」
上半身はおっぱい丸出しの人間らしい裸体なのだが、下半身はケンタウロスのように4足歩行の化け物となっていた。なあ相棒、あの場合、ヒップとはどこの部位を言えばいいのだろうか。
『知らん。聞くな』
「手っ取り早く強くなれる方法ではあるが。人を魔力ごと喰らい、異形になって冷静さを失うのは下級戦士のやることだ」
「ああ、主よ……」
アーシアは手を合わせて、犠牲になった者たちへ冥福を祈り始めた。
「んー? 教会の神って」
「気にすることでもないだろう」
信仰というのはそういうもの。
アーシアにとって自然な行為なのだろう。
さて。
「きゃー、白音がアッパーしたのニャ!!」
「はい! すごいパワーですね!」
速度が自慢の
「わわっ、すごい雷です!」
「アーシアも魔法の訓練をしてみるか?」
魔法はいいぞ。
思い描いたイメージを形にできる。
「私にもできるでしょうか」
「自分に自信を持つことが重要だな」
「あんたは持ちすぎニャ」
ていうか、あの女王が『姫島』か。転生悪魔としては強力な雷を放っているが、どうやら光力は抑えている。バラキエルとの事情はある程度聞いているが、その確執は深そうだ。
なかなかの才能だが。
まあ、鳶雄のようにはいかないか。
「消し飛びなさい」
リアス・グレモリーが消滅の魔力でとどめを刺して、戦闘は終了した。噂通りバアルが持つ『滅びの力』を遺伝しているらしい。今でも出力を抑えているようだが、まあ、模擬戦等では使い勝手の良いものではない。生死を分けるような実戦でこそ磨かれるものだろう。
そういう意味では、不死身のフェニックスなど、いい模擬戦相手なのではないか。
「では、帰りましょうか。
イッセーには明日の早朝から訓練をつけないとね」
「はい! 俺もがんばります!」
今日は見稽古で終わったが、イッセーは自分の意志で鍛えることを選んでいるようだ。それが分かったことが今日1番の収穫だったな。何事も基礎トレーニングを続けることが重要だ。
はぐれ悪魔がいた場所に、白音は一度振り返った。
「白音が帰っちゃう……」
「また会えますから」
アーシアに慰められている黒歌が暴走しないうちに、俺たちも帰ることにしよう。どうせ明日は黒歌が学校に忍び込むのだし、昼間はアーシアのトレーニングにでも付き合うとするか。