ナイフで刺されたこの腸と心に消えない痕を残した零が獄中で自ら命を絶ってから、3年の月日が経った。
「司波京一さん入られます」
俺は変わらず、役者として化身の感情で心の傷を騙し、無機質に見つめるカメラの前へと足を進める。
「ようここまで帰ってきたな。司波」
衣装に着替えて現場に入ると、かつて何度も主演や助演で起用してくれた恩人の映画監督でもある西村先生が嬉しそうに笑いながらそう言って、俺の肩をやや強めに叩く。
「よしてください先生・・・俺は、到底人から祝福されるような人間ではないんです」
久しぶりに映画の世界に帰ってきたことを心から喜んでいる先生からの祝福に、ほんの一瞬だけ受け入れようとした自分自身の愚かさを恥じて、それを拒む。結局俺は零を救うことが出来ず、凛子も“零のことを許してほしい”という意思を受け入れられず
「俺は・・・・・・
そうして感覚が麻痺するほどに傷んだこの心で、全てを失ったあの日から毎日のように死にたいと思い続けているこの心を抱える中で、自らの独りよがりの為に周りにいた全ての人間を傷つけ、自分と同じく芝居でしか生きることの出来ない純粋で無垢だった1人の女の心を壊して、死に追いやってしまった・・・・・・こんな俺が気を抜くとすぐに死のうとする心を無理やり動かして今日も役者として生きるのは、こうすることでしか俺は生きることができないから。報いという名の苦しみから逃れることが、許されないから。
「アホか。そんなもんは手前で決められることやない」
受け入れることなど許されない喜びの感情を拒んだ俺に、先生は真っ直ぐ見つめて変わらぬ関西弁でピシャリと言い捨てる。
「ジブンが何を背負っとるかとか、俺からしたら心底どうでもいい話や。確かにジブンは人として許されへんような愚かな過ちをしたかもしれん。ほんでも司波京一っちゅう俳優の才能をもういっぺん見たいっちゅう人が世の中にはまだまだおる・・・・・・俺もその一人や」
正直、どれだけ先生がこの俺のことを庇おうとも、先生の言う通り俺の姿をスクリーンや舞台で観たいと願う人がいるとしても、俺はそれを素直に喜ぶことは死ぬまで許されない。ただただ純粋に芝居というものに喜びを抱いていたかつての自分は、もうここにはいない。
「せやから役者は黙って手前の生き恥を晒していけばええ・・・それがジブンに課せられた
だから俺は報いをこの命が果てるまで受け続ける。これが傷つけた人たちへのせめてもの贖罪になると言うのなら、喜んで引き受ける。
何故なら俺は・・・・・・
「そうでしたね・・・・・・俺は役者ですから」
撮影を前に静かな叱咤激励を送った西村の目を真っ直ぐに見て呟くように告げて、京一は一瞬で演じる役の感情に入り込んでカメラの前へと歩き出す。
2018年9月14日_ドラマ『メソッド』最終話:『報い』_撮影終了及び、司波京一役:一色十夜、クランクアップ_
ピピピッ_ピピピッ_ピピッ
午前4時55分。昨日より30分遅めのアラームに叩き起こされ、目が覚める。
「・・・んー」
トータルで言うなら4時間ほどの睡眠だったが、ここ数か月間に渡って撮影をしていたドラマの撮影が全て終わったこともあって疲れがある程度抜けるぐらいの熟睡ができて、気分はいい。
“本当に終わったんだな・・・”
昨日の夜まではクランクアップしたという実感が全くと言っていいほど湧かなかったのに、たった数時間だけベッドの上で眠りに就いて感情をリセットしてみると頭の片隅に残っていた京一の残像が消えて、終わったという解放感で心が満たされている。自分の中に残る役の感情が身体から抜けていく・・・という所謂な憑依型の思想とは違うが、俺にとって役が完全に自分の中から消える瞬間というのは、こうして夢から醒めた
“・・・消えているな”
とはいえ今まで演じてきた役の中で1番と言ってもいいくらい演じるのに苦労した京一という自分とは真逆の個性を持った役柄でさえ、全てが終わって一晩寝たらすっかりこの身体から消えているというのは、ほんの少しだけ寂しさを感じる。かと言ってまた演りたいかと言われたら、もう後10年くらいは絶対演りたくないと思うくらいには京一という
「・・・じゃあな。京一」
朝焼けの時間帯から黄昏るのはほどほどに、ベッドから起き上がり頭の中から完全に消え去って行った京一へ
「働き方改革とは何ぞや・・・だな」
と、お供のブラックコーヒーを淹れるための湯を沸かしがてらで独り言を溢しながらも、そんなクランクアップの余韻に浸る
もし
「って、モーニングコールしねえと」
昨日まで俺が演じていた役と同じ芝居をしていた
「・・・また寝坊か?」
だがとっくに起きていれば3コール以内に出てくれるはずが、5コール目に入っても返事がない。ついこのあいだにモーニングコールに出なくて3412の部屋に入って起こしに行ったばかりだが、また千夜子のやつ寝坊してやがるのか・・・とはいえ、逆に高3まで一度も寝坊をしないであれだけのハードスケジュールをこなし続けてきたことを先ずは叔父として誉めてやろうか。それに幾ら
“『嫌だよ・・・おばあ、ちゃん・・・』”
「千夜子。起きてるか?」
7コールの途中で電話が繋がり、俺は内心で安堵しながらなるべくそれが表側に出ないように声を掛ける。
「・・・うん。起きてる」
俺が声を掛けてから2,3秒ほどの間が空いて、千夜子の声が返って来た。ただ返ってきたその声にはいつものような溌剌さが感じられず、そればかりか本当に千夜子の声か?と一瞬だけ疑いそうになるほど纏う空気が別人のようだった。
「どこか具合悪いのか?」
スピーカー越しに声を聞いただけでも明らかに異変が起きている力のない千夜子の声色を聞いて、何が起きているのか頭の中で考えながら俺は問いかける。
「ううん・・・そういうのじゃないんだけど・・・」
「少なくとも大丈夫じゃなさそうだな」
「・・・・・・」
再び返ってきた声色と曖昧な返事と沈黙を聞いて、これは四の五の言っている場合じゃないと確信した。だが疑問なのは、前のモーニングコールのときまではこれといった異変は感じなかったということ。
「今からそっちの部屋行くけどいいな?」
「・・・わかった」
「すぐ行く」
部屋に行くと千夜子に伝えて電話とIHを切り、3412のスペアキーを持って一目散に俺は走る。とにかくいま思うことは、たったいま目の前で巻き起こっている現実がどうか
“『わたしって十夜さんみたいな“天才”なんかじゃなくて周りより少しだけ器用なだけの“普通の女の子”だから、これぐらいのことをしないとわたしはこの世界で“主役”になんてなれないんだよ・・・』”
ピッ_
頭に浮かんだ悪い予感を振り払い、カードキーをセンサーにかざして3412の中へと足を踏み込んで、
「千夜子っ!」
リビングのドアを開けると、ソファーに力なく座り込んでいた千夜子が見えてつい大声が出る。少なくともいまの俺は、世間からパブリックイメージとして思われている“王子”ではなく危うい一面がある姪のことが心配な“ただの叔父”なのかもしれない。だけど、そんなプライドなんてカメラが回っていない今は関係ない。
「やっぱり・・・人から心配されると自分がどんな状況に置かれていても
大声で名前を呼ぶと、千夜子はソファーに座ったままゆっくりと振り向いて小さく笑いながらこう返した。その瞬間、千夜子の様子がどうしておかしかったのかを察して、呆れと安堵の感情が交互になってこの身体を巡った。
「・・・
振り向きざま、ほんの一瞬だけではあったが琥珀の眼の表情が切り替わった。それを視ていた俺は普段の様子に戻った千夜子へなりふり構わず核心を突く。
「どうしてそう言い切れるの?」
「役者を20年もやっていれば、声を聞いて顔を見れば大体は分かるようになるものさ」
明らかに千夜子でもなければ千世子でもない雰囲気を醸し出していた声色と、振り向くときに垣間見たハイライトの抜けた瞳。そして心配して駆けつけた俺を見て何事もなかったかのように天使の笑みを向ける千夜子。これで全てが繋がった。
「怒ってる?」
この部屋に引っ越したときに俺がプレゼントした90インチのディスプレイのほうに視線と顔を移して、図星を突かれた千夜子は問う。
「言っとくが俺はそこまで短気じゃないぜ」
無論、俺は千夜子がメソッド演技を使って何かを試していたことだとか、この俺を利用するような真似をしたことも含めて、特に怒っているわけではない。
「ただ・・・
ただひとつ、よりによって千夜子がこの演技法に手を出そうとしていることが、どうしても俺からすれば複雑な気持ちになる。
「わかってるよ。アリサさんからメソッド演技の危険性は何度も教わってきたから」
立ったまま問いかける俺に、千夜子はソファーからゆっくりと立ち上がって、アリサさんから教わっているから私は大丈夫だと言いたげに目の前で笑顔を浮かべ言い返す。
「だったら何故それに拘る?百城千世子には天使っていう“絶対の自分”があるだろ」
「それはあくまで“いま”の話じゃん」
そんな武器になんて頼らなくとも、千夜子には“天使”という他の誰とも被らない絶対的な輝きがある。だが当の本人は、その二つ名を欲しいままにしている現状にこれっぽっちも満足なんかしていないのは笑みを浮かべる表情に反して全く笑っていない琥珀の瞳が物語っている。
「いつまでも“王子様”ではいられなかったから独り立ちした十夜さんなら、わかるでしょ?」
俺がかつてアリサさんの
“『わたしの友達』”
「・・・
その正体が頭の中に浮かんだ俺は、最近できたと言っていた友達の名前を千夜子へ告げる。墨字が“女優時代の星アリサすらも凌駕する可能性すら秘める”と言っていた、今はまだ限りなく無名な女優の卵にして
「彼女の影響か?」
無名女優の名前と共に理由を問うと、ここまで余裕さを貫いていた千夜子の眼が大きく見開いた。やはりどれだけスターズの天使として嘘の感情を磨こうとも、祖母譲りの嘘を吐けない宝石のように綺麗な瞳は馬鹿正直に本心を俺に伝えてくる。
「・・・夜凪さんのことなんて知らないでしょ?」
「ああ。今のところは歌がそんなに上手くないってことぐらいしか俺は知らない」
図星を突かれた動揺をひた隠して、千夜子は反論を返す。
「けど俺の知り合いの映画監督がさ、彼女のことを“星アリサよりも凄い役者だ”って言ってたんだよ」
「女優時代のアリサさんを超えるのはわたしだよ」
それでも懲りずに墨字から聞いた話をしたら、遮るかのように言い放たれた。
「
天使の
「・・・百城千世子はとっくに
そんな一般世間の誰もがよく知っている天使とは似ても似つかない、等身大の悩みを抱えもがき続けながらも自分を輝かせてくれる作品のために心血を注ぐファミリーの中で一番の努力家の頭に、俺は軽く手を乗せて嘘ではない本心の笑みを繕う。
「今はまだ全部は分からないだろうけど、
ふわりとした白銀の髪から伝う、推定36度台の生暖かい体温。百城千世子という名前を授かり生きてきた時間が人生の半分以上を占めても、この温もりと感触は城原千夜子という名前を授かったときから何一つ変わってなどいない。
“『アリサさん・・・・・・千夜子のこと、よろしく頼みます』”
「・・・大人はすぐ
触れるこの手が頭上からそっと離れると、千夜子が俺に向けて“綺麗事”だと告げる。異端な世界に足を踏み入れた昆虫好きの女の子にようやく訪れた反抗期。ちょうど17から18にかけての俺も、同じように大人達の助言を斜に構えて自分という存在を証明することに必死だった。家族が敷いたレールの上を走るだけで終わる人生だけは、死んでも歩みたくなんてなかった。
「
そんな誰もが抱える
このまま千夜子が死ぬまでずっと、
「じゃあ要は済んだってことで俺は戻るわ」
伝えたいことを伝えた俺は、お互いの身支度に支障が出る前に話を終わらせて玄関のほうへと足を進める。心の内を見抜かれてしまって不機嫌なせいか、背後からの返答はない。
「千夜子」
リビングを出る前に、年相応に拗ねた態度を貫く可愛い姪っ子へ背を向けたまま声を掛ける。
「メソッド演技、俺は反対しないから」
自ら天使の殻を破るという
「ただ・・・“役”には飲まれるな」
あくまで俺は、アリサさんほど
「・・・ありがとう」
少しの間を空けて後ろから返ってきた小さな呟きを受け止めて、俺は3412の部屋を出た。
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「お早うございます。千世子さん」
「おはよう。今日もありがとねマクベス」
「眞壁です」
午前6時ジャスト。西新宿の自宅マンションの地下駐車場の車寄せスペースに待機させていた車の後部座席に、地下1階のエントランスから出てきた千世子さんが乗り込む。
「今日の打ち合わせってスタジオの控室でやるんだよね?」
「左様です。予定としては16時からになります」
「だったらそれまでに阿笠さんとのシーンは撮り終えないとだね」
入って早速今日のスケジュールの確認を済ませて、ギアをドライブに入れて調布のスタジオに向けて車を走らせる。デスアイランドの撮影がクランクアップして間もなく来年公開予定の映画の撮影が始まってから再び始まった、マンションから現場へ送り迎えをする専属マネージャーの
「・・・ねえマクベス?」
「眞壁です。どうされました?」
地下から地上に上がり大通りとマンション街の狭間を縫う二車線の道に出たところで、サングラスを掛けたまま千世子さんがバックミラー越しに僕の名前を呼ぶ。前任者から専属マネージャーを引き継いで5年も経てば、多少は“スターズの天使”が何を考えているのかが自分なりに視えてくるものだ。
「もし私がメソッド演技を使ったら、マクベスはどう思う?」
心なしかいつもより低めな声色で、千世子さんは静かに笑みを浮かべて問いかける。デスアイランドの撮影を前後して、彼女は明確に変わり始めている。その
そしてもう一つは、アリサさんにすら極秘で動き始めている
「どうして僕に聞くのですか?」
「マクベスの意見を聞きたいんだよ」
ただの専属マネージャーに過ぎない僕にどうしてそんなことを聞くのか逆に問うと、僅かに千世子さんは語気を強める。
「・・・これはいちマネージャーとしての意見に過ぎませんが、メソッド演技はそれ相応に危険が伴うものです」
「それは私が
「関係ありません。どんなに内面的な芝居を得意としている
「じゃあマクベスは反対ってこと?」
「千世子さんの現状を考えるとするならば、わざわざいま手を出す必要はないかと」
後部座席から返ってくる言葉の節々に、天使というより悪魔という言葉が合いそうな棘を感じる。こんなふうにふとたまに反抗期の子供のように語気が強まるのは、千世子さんの機嫌があまり良くないときのサイン。
“『ごめんねマクベス・・・やっぱり私、夜凪さんのことは好きになれそうにないかも』”
「それとも、何か理由があるのですか?」
「ないよ。特には」
視線を前に向けハンドルを握ったまま僕は不機嫌になっている理由を探る。当然、そう簡単には口を開いてくれない。
「なら使いますか?今日の撮影で?」
「マクベスもなりふり構わず言うようになったじゃん」
「
「ふふっ、クールな癖してマクベスって結構熱いところあるよね」
ならばと更に踏み込んだ僕に、千世子さんは控えめながらも嬉しそうに笑った。
「・・・やっぱりメソッドに手を出すのは今はやめておくよ。試しに部屋の中で学校でいじめられてたときの記憶を掘り起こして疑似的に入り込んでみたけど、まだまだ芝居で使えそうな代物にはなってないし」
「試すことは試したんですね」
「そう。ちょうどいい
「なるほど。それで仕掛けたら全部見破られてしまったと」
「夜凪さんのときみたいに最後まで騙そうとしたんだけど、あっという間にバレちゃったんだよね・・・それが黒星つけられたみたいでちょっとだけ悔しかった」
そして観念したのか、千世子さんは僕に機嫌を損ねていた理由を明かした。恐らくは夜凪景とお忍びで渋谷へ遊びに行ったときと同じように、十夜さんを利用して役作りをしていたのだろう。ひとまずは思っていたよりも深刻な問題ではないみたいで、専属マネージャーとしてひと安心だ。
「お言葉ですが、千世子さんってたまに子供っぽくなりますよね」
「もちろんだよ。私はまだ
愚痴を吐き出したことで機嫌が直ったのか、口ぶりと声色がいつもの調子に戻る。
「ちなみに十夜さんは賛成してくれたよ。私がメソッド演技を使うこと」
「あの人はあの人でアリサさんとは違う意味で重度の親バカですからね・・・」
「本当になりふり構わなくなったよね最近のマクベス」
公園通りの信号待ちでバックミラーに視線を合わせると、サングラスを外した千世子さんの瞳がちょうど僕を捉える。
「・・・その十夜さんが私に言ったんだよね。“百城千世子はとっくに本物になれてる”って」
“『努力だけで手に入るんだったら・・・・・・私はとっくに王賀美さんを超えてるよ』”
「その言葉がさ・・・・・・わたしには“大人の綺麗事”にしか聞こえなかったんだよ」
バックミラーに映る、仮面を外して千世子さんから
「これって十夜さんの言葉を素直に受け入れられないわたしが悪いのかな?」
こんなことを口にしてしまうときっと千夜子さんは怒るだろうし、アリサさんもこうなっていくことを嫌っているから心に留めておくが、僕は天使じゃないときの彼女の
「何があったかは分かりかねますが・・・誰が悪いとかの話ではないと僕は思います・・・」
それ以前に、どうして家族でもなければ芸能界の育ての親というわけでもないこんな僕に、千夜子さんは心を開いてくれるのだろうかと・・・ふと思う。
“『アリサさんから面白いこと聞いちゃったんだけど、マクベスって王賀美さんと知り合いなの?』”
「ひとまずこれ以上言うと
そんな核心を聞けるほどの勇気は持ち合わせていない僕は、話をひと段落させる。天使のままでいられる
「・・・ひとつだけマクベスに言っておきたいのは、あくまでわたしは十夜さんやアリサさんのことは変わらず尊敬しているよってこと」
気を遣った僕に、察した千夜子さんが優しく言葉をかける。百城千世子のときとも違う暖かさがある優し気な声色が、仮面越しなんかじゃない紛れもない本心の言葉だってことを僕に伝える。
「だからマクベスは心配しないで。私はちゃんと
そして再び綺麗な小顔に仮面を被せ、
「そういうことでしたら、僕もマネージャーとして出来る限りのサポートをさせてもらいますよ」
城原千夜子から百城千世子に戻った彼女へ、僕もマネーシャーとして本心を返す。ただのマネージャーに過ぎない自分が千世子さんのために出来ることは限られるが、それでも変わらず出来る限りをやり続けていくことが、マネージャーとしての課せられた使命だ。
「信じてるよ。マクベス」
「承知致しました」
信号が青になり、僕は首都高の入り口へと千世子さんを乗せるこの車を走らせた。
今更ながらの補足になりますが、本作でのチヨコエルは百城千世子という芸名で活動している城原千夜子(本名)という少々ややこしい設定になっています。
ちなみに千世子と千夜子の見分け方は、
千世子モード(一人称:私)
千夜子モード(一人称:わたし)
になります。
というわけで本作のチヨコエルは原作からかなり脚色されたキャラとなっていますが、あくまで原作の千世子と全く同じ人物だという認識で読んで頂けると僕としても幸いです。