気がつけばそこは──   作:ようせいさん

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感想読みながらこれ書くのが楽しくなりつつある今日この頃。






七話

 

 

こんな時、主人公ならば──藤丸立香ならば、どういう行動をしていたんだろう。

 

 

 

力なく倒れ伏した俺の目に映るは、火の海に成り果てた人間牧場。

 

怨嗟のように燃える炎を発生させた主は、揺れ動く炎の中に一人佇む。

そいつは、およそ二メートル近い身長を持ち、その身は複雑な形をした白銀の鎧を纏い。手には青白く不気味に輝く鎖と、今も尚炎を放出している黒き大剣。鎖の先には影を模した犬のような生物が繋がれており、彼女に付き従うように大人しい。

 

そんな彼女の名は──妖精騎士ガウェイン。

女王モルガンが任命した三名のうちのひとり。

 

 

そして、俺たちは妖精騎士ガウェインと遭遇した後に対決し、文字通り──敗北したのだった。

 

サーヴァントであるロリンチちゃんやトリスタン。

それに妖精であるキャストリアでさえ、あいつには敵わなかった。

俺も魔術礼装をフルに使用し、援護に徹したがそれでもダメだった。

 

俺以外の皆んなは辛うじて立ってはいるが、ほぼ満身創痍に近い。

まだロリンチちゃんだけは余力を残しているが、それでも妖精騎士ガウェインに敵うかと言われると無理だ。

 

こちらの切り札である令呪ですら、あの妖精騎士ガウェインによって食われたせいか、一時的に使用不可ときた。

しかも令呪ごとこの身体の魔力をごっそり食われたおかげで、着ている魔術礼装もろくに機能しなくなった。

そして、俺の意識も朦朧とし始めていた。

多分、自力で立って逃げる力も残されていない程に。

 

 

 

 

今いる人間牧場に人間が収容されたと情報を教えてもらったその日、俺たちはソールズベリーの兵士にここまで案内してもらう事となった。

中までは着いてくることはないとのことだったが、それはそれで感謝しつつも、俺たちは人間牧場内部へ侵入してマシュを捜した。

だが侵入したことが一瞬にしてバレ、中身妖精の騎士との連戦に続く連戦を行うことになった。

戦闘で消耗した俺たちの前に、多数の兵士を引き連れた妖精騎士ガウェインが現れ──今に至る。

 

妖精騎士と遭遇してしまったのは、まさに運が悪かったとしか言いようがない。

妖精騎士ガウェインでこれなら、他の妖精騎士達も──

 

不味い。非常に不味い。

こんな所で終われるわけがない。終わっていいわけがない。

 

なんとかして立ち上がらなきゃいけないのに、この身体はいうことを聞いてくれない。

くっそぅ、なんでだ。

なんで動かないんだよ……

 

 

自身の頭が徐々に働かなくなり始めた頃、立っているのも間々ならない筈のトリスタンが妖精騎士ガウェインの前に立ちはだかった。

 

妖精騎士の鎧に千切れぬ無数の弦を張り付かせ、その行動を一時的にとはいえ封じた。

俺たちが逃げる時間を稼ぐべく、その身を犠牲にすることを覚悟して。

 

「ダ・ヴィンチ、アルトリア。ここは私が食い止めます。その隙に藤丸を連れ、街の外へ!」

 

ダメだ……

 

「……ああ、いいとも。正直きついけど責任持って逃げ延びるさ。藤丸君は私のアームで運ぶ。立ってくれアルトリア、悪いけど君までは運べそうにない」

「──」

 

キャストリアは、分かっていたのだろうか。

一瞬言葉を紡ごうとしたが、それを口にすることを良しとしなかった。

 

「なに、卿に対する切り札も考察済みです。うまくいけばすぐに追いつけるでしょう……」

「……お早く、我が王よ。貴方の旅はまだ始まってすらいないのですから」

 

ロリンチちゃんが背負っている鞄から出現したアームに俺は捕まれ、横たわっていたその身体は中を浮く。

 

「──っ」

「準備はできた、ついてきて!」

「できてないのなら置いていく!それくらい分かるだろう!?」

 

少しずつ遠ざかっていくトリスタンの背中へ、手を伸ばそうとするのだが──届かない。届くはずもなかった。

 

藤丸立香ならば、もっと上手くやれていたのだろうか。せめてあの時、マシュが此処にいないと分かった時点でさっさと逃げていれば、こうなることはなかったのかも知れない。

 

薄れゆく意識の中で、もう姿が見えなくなってしまったトリスタンを思い浮かべ、俺は気を失った。

 

 

どうして、俺はいつも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識の無い身体は、ガタゴトと揺れる地面に呼応するように動く。

 

乗り物にでも乗せられているような感覚に、酷く懐かしさを感じつつも、一度手放した意識をここに来てようやく取り戻した。

 

ああ、そうか。

俺は、俺たちは──トリスタン一人を犠牲にしてようやく生き延びたのか。

 

追いかけると彼はあの時言っていたが、多分無理だ。立つのがギリギリだったトリスタンがあの妖精騎士ガウェインに逃げ切れるとは思えない。こちらが連戦で消耗してたとはいえ、あの三人でかかっても倒せなかったのに。

 

くそ、どうして俺は、取りこぼしてしまうんだろう。

 

この異聞帯で早くも頼りになる汎人類史側のサーヴァントを、こうも早く失っちまうなんて。

あんまりにも、別れが早すぎるよ。

 

「よかった、目が覚めたようだ」

 

二、三日顔を見なかったオベロンがそこにはいた。

 

「……どうする、今なら何も無い。妖精騎士も帰還しているし、追悼ならできるだろう。それでも、牧場に戻るかい?」

 

今すぐにでも追悼するべき──ではないよな。

でも、俺は……

 

あー、もう!考えるのはやめだ。

これ以上考えたって、トリスタンがけろっと何にもなかったように帰ってくるわけでもないんだ。

今はただ、前を見よう。

 

──追悼は、後。今はマシュとの合流が先決、でしょ……?

 

みんなを心配させないように、俺は俺を偽る。

藤丸立香がそうであったように。

俺も藤丸立香のように、偽ろう。

 

「そうだね。彼は我々を後退させる為に死力を尽くしたんじゃない。前に進ませる為に戦ったんだ。報告はマシュと合流してからでも大丈夫さ」

 

「ところで!どうだった?狙い澄ましたようなタイミングだったろ?まあオーロラから無理言って借りた馬車なんだけどね」

 

オベロンの馬車発言にどういうことだと思い、しっかりと見ていなかった周りをよく見れば、そこは本当に馬車の中だった。馬が見覚えあるような気もしないが、放置しておこう。

 

てか、俺はいつの間に馬車の中に入ったんだ。

 

待て、よく思い出せ。

確か俺はロリンチちゃんに運ばれながら、トリスタンの後ろ姿を見えなくなるまで見続けて、それで──気を失ったんだ。

此処までは覚えてる。

 

オベロンは確かこう言ってたよな。

馬車を借りてきたって。……無理言って。

今度は何をしたんだろうと思いながら、オベロンの話に耳を傾ける。

 

「さて、僕たちが今向かってるのは、ここから北へ一日程で着けるグロスターの街。そこでは毎日のように珍品や希少品のオークションが行われてるんだけど、そこにとびきりの商品が入ったらしい。

それはね──」

 

『鉄で武装した珍しい妖精』

 

オベロンが言ったそれは、やけに曖昧な表現で例えられているせいで、正直それがマシュなのかどうか疑わしいなと思い始めてる自分がいた。

さっき起こった事でより警戒してるんだろうな、俺。情報をあまり鵜呑みにしすぎないようにしないとなぁ……

 

でも、結局本物かどうか確かめにいかなきゃいけないのよね。もしもそれが本物だったりしたら、俺は一生後悔するしかない。それに、憑依してしまった藤丸立香に顔向けできなくなるしな。

 

……今度こそ、今度こそは間違えないようにしないといけない。第二・第三のトリスタンを出さない為に。

 

「それに加えて『名無しの森』からやってきた商人が連れてきたみたいで、どうやら早ければ明日にでもオークションに出されるらしいね」

「おお!『名無しの森』で、『鉄で武装した妖精』とか!」

「ああ、間違いない!今度こそマシュだ!」

 

でも、普通なら盾を武装したでいいような気がするのだが、何故鉄なんだろうな。名無しの森、まではあってる気がするんだが。

 

──なーんか、期待しすぎてもし違った時の反動が、ちょっと……

「ええー、ここでそれを言っちゃうの藤丸君?」

──いやぁ、二度あることは三度あるってよく言うじゃないですか

「た、確かに……!」

 

暗い雰囲気を明るい雰囲気で塗り替えて、気分を切り替えて笑う俺たち四人。

妖精馬さんも一緒に話に入ってきて、何気ない会話をこれでもかと楽しんだ後、

 

「さあ、グロスターへ行こうじゃ──」

「──すみません。その前におひとつよろしいでしょうか、ぶるるん」

 

オベロンの掛け声をぶった斬る、妖精馬さんではなく──レッドラ・ビット。

なんだ、このどっかで見覚えのあるレッドラ・ビットは……?

 

「な、なにかな馬くん。こっちはとてもいい雰囲気だったんだけど……?」

 

ロリンチちゃんの横で、そうだそうだと言わんばかりに反応するオベロン。

 

「ブリテンでもっとも紳士な暴れ馬ですが、私は私が主と認めたものにのみ背中を預けます。ここまではオーロラ様のご命令で牽引しましたが、グロスターに行くのであれば──

 

 

 

そう、わかりますよね?」

 

「に、ニンジン……ですか?」

 

震える声で、その手に持ったニンジンを渡そうとするキャストリア。

どこから取り出したんだ、そのニンジン。

 

「いえ──

 

 

 

バトルです!」

 

人生初の妖精馬とのバトルは、こうして始まった。

馬とのバトルって、一体なんなのさ……

 

 

 

妖精馬とのバトルの結果はこちらの勝利で事なきを得た。結構いい試合を繰り広げたと思う。

ようやく魔術礼装の扱い方にも慣れ始め、的確に強化を繰り出せるようになった。

 

 

「皆さん、もうじきグロスターです。私はこう見えて牙の氏族ですからグロスターには入りづらいので、この辺りで野宿していますのでお帰りの際はお呼びください」

 

念入りに、自身が牙の氏族であることを強調した妖精馬さんだった。

 

「よし、ここで一旦別れよう。僕とダ・ヴィンチ、キミとアルトリアの二グループ。オークションは夜だ、それまでは自由行動ということで。ソールズベリーで稼いだお金はグロスターでも使えるから自由に使うといい。──なに、デートと思って過ごしてればあっという間に夜さ」

 

勝手にグループを決められ、オベロンとロリンチちゃんの二人はグロスターの街へと行ってしまった。

 

「──」

──はぐれないように手、繋いでいく?

「わたしは子供じゃないですよ!?」

 

 

 

 

 

──ここが、グロスターの街……

 

ソールズベリーとはまた違った街。

遠くのものが大きく見え、近くにあるものが小さく見える。そんな摩訶不思議な街。それがグロスター。

 

キャストリアによれば、時にはピンクの雨が降り、大通りにはたくさんの虹がかかったり。後は謎の性転換が起こったりと、流行がハイペースで変化するのだと言う。

 

この街で流行ったものを順に話す彼女は、楽しそうに、恥ずかしそうに、それらを話すのだから聞いていて楽しくなる。

 

途中通りすがった妖精の人にあることを言われた際、キャストリアの顔は宇宙を感じて逆に虚無になる猫のようだった。その顔は俺に効くから是非ともやめて欲しい。笑いを堪える腹筋が死にます。

 

また、大ネズミとの戦闘もあったが、これもまた街の特性のようで、大きいものが小さく、小さいものが大きくなるように。小さいネズミは大きくなるのだと肌で実感させられた。

お礼としてどこぞのデパートの割引券をもらったのだが、

 

「…………まさかの閉店、……はは」

 

と、割引券の対象だった店が物理的に閉まっており、結局それは使えずに終わった。

 

「わあ、もう新しい店が準備中なんですって……ブランド名は聞いたことないけど、ショウウィンドウに並んでいる商品みんなカッコイイ!ほら、見てくださいよ○○!」

 

店頭に飾られている商品を見てキャッキャと騒ぎはしゃぐその様は、やはりキャストリアも一人の少女なのだろう。カッコ良さに目がいってるあたり、目の付け所が分かってると思う。

 

「ほしいなぁ……でもお高いんですよね?

うぅ、わたしにはもったいないかなぁ……!」

「彼処のワフク?っていうの絶対○○が着たら似合いますよ!……ワフク姿、いいなぁ」

 

楽しそうに商品を眺めるキャストリアだったのだが、突然その横に現れた赤髪の妖精は言う。

 

「わかってるじゃんか。目の付けどころ、悪くないぜ。でも、ちょっと静かにしてくれる?私、いま目立ちたくないの。お忍びできているから」

「ご、ごめんなさい……小さな村の生まれなので、つい……」

「ああ、そう。なに、もうすぐ『厄災』がくるから死ぬ前に都会に来たってコト?運が良かったわね、アンタ生意気なグロスターの妖精じゃなくて」

 

そこから暫くは二人の会話になるのだが、途中赤髪の妖精がなにやらこちらをじろじろと見てくるのだ。嫌な予感がした。俺はその視線を避けるべく、そろりそろりとキャストリアの背中に避難した。

 

「わたしも○○もちょっと都会の妖精に慣れてなくて……あはは(なんでわたしの後ろに隠れてるんですかー!)」

──(ガードベント)

「(…………)」

 

いとも容易く行われるえげつない行為に、不満そうな顔のまま無言になるキャストリア。

 

「ふーん……慣れてない、か。そっか、それで私を見ても怯えないのか。……でもなんだろ。それだけじゃないわ……」

「……ま、そういう日もあるか。今日はこれからオークションだしね」

 

オークション。

例の、名無しの森からきた商人にオークションに出品された鉄を武装した妖精が今夜出される場所。

招待状が無ければ入れないとの事だが……

 

俺が考え事してる間にどうやら赤髪の少女は行ってしまったようなのだが。

呆然と立ち尽くすキャストリアは、とても見てられるものじゃなかった。

 

──まあ、そう言うこともあるさ

「……さっき身代わりにしたコト忘れませんからね……!」

──ご、ごめんって!許して、なんでもするから!

「──い、今なんでもって」

──言って、ないです

 

 

 

 

そして夜になり──

 

「はい、これ招待状ね」

 

ああ言って、招待状とされる紙をひらひらと見せてくれるオベロン。

 

「目玉商品であるマシュはおそらく最後だ。こちらの持ち金は7000万モルポンド。偽札だけど今夜いっぱいバレなければどうということはないさ」

「問題はなみいる好事家相手にこの金額で競り勝てるかって話だ。まず負けない資金だけど、今回は商品名が商品名だからなぁ……」

 

言ってることが完全に詐欺師まがいなんだが。

これ、バレたらオベロンが文字通り裸の王様になってしまうのではなかろうか。想像したくない。

 

「7000万って……お屋敷が使用人ごと買える金額ですよね?それでも足りないって、出品される『妖精』は一体どんな商品名なんです?」

「どうか、驚かないで聞いてほしい。『鉄で武装した妖精』『異世界からの旅人』そして──

 

 

 

 

 

『新しい予言の子』なんだってさ」




文字数あるのにちっとも進む気配がないこの小説。
ボキャ貧過ぎて泣けるでぇ……!


この他にも書きたいFGOネタがあるのに、くっそ!
ネタはあるんだネタは!
遅筆のせいだな、コォレハ

続けるべきか?

  • 続ける
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