アスカとシンジは、空の軌跡の世界で本当の幸せを見つけた ~アスカ・ブライト!~   作:朝陽晴空

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第二十三話 ワガママ公爵とアスカ、二度目の遭遇!

 

  エステルたちは掲示板に書かれた依頼をこなそうと気合いを入れ直した。ジャンの言う通り、ルーアン支部に寄せられる依頼の数はロレントやボースよりも多い。

 

 ◆倉庫の鍵の捜索◆

 

 【依頼者】ハーグ

 【報 酬】1000 Mira

 【制 限】5級

 

 倉庫の鍵を酔っぱらってどこかに落としてしまったらしいので見つけてくれ、そんな依頼だった。あきれた事に本人の話によると港の周りを散歩までしたようだ。エステルたちが港の周囲を調べると、水の底で太陽の光を反射して光る物を発見した。

 

「シンジ、アンタ潜って調べて来なさい」

「何でだよ、ボクが泳げないのはアスカも知っているだろう!?」

「遊撃士が泳げなくてどうするのよ!」

 

 アスカとシンジが言い合いをしている間に、エステルが街の居酒屋で釣り竿を借りて来た。

 

「釣り針に引っ掛けるなんて、相当難しくないかな」

「このエステルお姉さんの華麗な技を見てなさい」

 

 怪訝そうなヨシュアの言葉に、エステルは自信あり気にそう言い放った。

 

「まあ、好きにしたらいいよ」

「頑張って!」

 

 ヨシュアはウンザリとした顔でそう言ったが、シンジはエステルを強く応援した。自分が潜って取りに行くなんて嫌だからだ。エステルは釣り糸を垂らすと、水の底に沈む倉庫の鍵を釣り上げた。

 

「まさか上手くいくなんて思わなかったよ」

 

 ヨシュアはポカンとした顔でエステルを見つめていた。驚いて言葉も出ないヨシュアの様子にエステルは満足気に鼻を鳴らした。

 

「せっかくシンジが水泳を覚えるチャンスだったのに」

「いきなり潜水しろだなんて、さすがにハードすぎるよ」

 

 口を膨れさせてつぶやくアスカに、シンジは嫌気が差した顔でため息をついた。釣り竿を居酒屋の主人に返し、ハーグに倉庫の鍵を渡して依頼は完了した。

 

 

 

 

 ◆試作品の捜索◆

 

 【依頼者】カルノー

 【報 酬】1000 Mira

 【制 限】5級

 

 次の依頼はまたしても失くし物の捜索だった。依頼人のカルノー技師の話によると、ツァイスから導力銃の試作品をルーアンに運ぶ途中、街道で魔獣に襲われてパニックになり、鞄の中身をばらまいてしまったらしい。

 最初から護衛に遊撃士を雇えばそんな事態にはならなかったのに、と心の中でぼやきながらもエステルたちは南街区からアイナ街道へと向かった。街道を注意深く進むが、導力銃らしい物は見つからない。

 

 ◆アイナ街道の手配魔獣◆

 

 【依頼者】遊撃士協会

 【報 酬】1500 Mira

 【制 限】5級

 

 紺碧の塔の周辺に凶暴な魔獣【ヘルムキャンサー】が出没中です。

 当支部所属遊撃士のすみやかなる退治を望みます。

 

 エステルたちは気持ちを切り替えて、手配魔獣の退治依頼をする事にした。紺碧の塔の前の広場には、浮遊するカブトガニのような魔獣が五匹うろついていた。その動きは鈍く、自分たちに気が付いていない様だと判断したアスカは、先手必勝とばかりに駆け寄って棒術での強烈な一撃を叩き込んだ! しかしアスカの攻撃は、バリアーのような物にはじき返されてしまった。両手に痛みを伴う強い痺れを感じるアスカ。

 

「A.T.フィールド!?」

 

 両手の痛みをこらえながらアスカはそう叫んだ。当然シンジ以外に意味が通じる訳もなく、アスカはこの手配魔獣には物理攻撃によるダメージは通じないだろうとエステルたちに説明した。

 導力魔法だけで戦う事になったエステルたち。その中でも活躍したのが、同行したクローゼだった。範囲攻撃が出来るダイヤモンドダストの魔法は、シェラザードが抜けた穴を埋めてくれた。アスカも負けじとスパイラルフレアの魔法を詠唱する。

 

「皆さん、お疲れ様でした。やっぱり、お強いんですね」

「アンタの導力魔法もなかなかのもんよ」

 

 お互いに強力な魔法を詠唱したクローゼとアスカは目を合わせて健闘をたたえた。倒した魔獣の死体から、壊れた導力銃をエステルは発見した。魔獣は導力器の材料であるセプチウムに魅かれる性質がある。カルノーが落とした導力銃を魔獣が奪ったのだろう。残念な結果となってしまったが、試作品の見本としては役に立つかもしれない。シンジは試作品の導力銃を鞄にしまい込んだ。

 

 

 

 

 アイナ街道に来たついでに、エステルたちはルーアン地方とツァイス地方を結ぶエア=レッテンの関所まで足を伸ばす事にした。遊撃士協会の掲示板に依頼が張り出されていたからである。

 

 ◆旅行者の説得◆

 

 【依頼者】ハーン隊長

 【報 酬】1000 Mira

 【制 限】5級

 

 エア=レッテンの関所にて旅行者が迷惑行為をしています。

 トラブルを穏便に解決してくれる遊撃士が必要です。

 

エア=レッテンの関所に着いたエステルたちは異変に気が付いた。門の守備に就いているはずの兵士の姿が全く見えない。何か事件が起きているのは明白だった。関所の建物の中に入っても兵士の姿は見えず、困った顔でウロウロする観光客達が居た。

 エステルたちが建物の二階に上ると、見覚えのある黒服の老人と関所の守備隊長が苦い顔をして話し合っていた。

 

「……やはり閣下の気持ちは変わりませんか」

「はい、閣下はこうと決めたらテコでも動かない御方。どうにかして御気持ちを変えぬ限りはここにお泊りになると思います」

 

 関所のハーン隊長に対して、フィリップはそう答えた。二人は本当に困ったような顔で考え込んでうなり声を上げていた。そんな二人にエステルが声を掛けると、胸に着けられた準遊撃士の紋章に気が付いたハーン隊長は嬉しそうな表情になる。

 

「よく来てくれた、私は守備隊長のハーンだ」

 

 エステルたちはハーンに自己紹介をした後、迷惑行為をしている旅行者について尋ねた。その旅行者は今食堂を占拠して、他の旅行者に迷惑を掛けているらしい。門を守る兵士達が全員で説得に当たっているが、どうにもならない。

 他の観光客達の苛立ちは頂点に達しているようで、一階に降りて来たハーン隊長の姿を見た観光客達はハーン隊長に詰め寄った。観光客達に囲まれて身動きの取れないハーン隊長は、エステルたちに先に食堂に行くように告げた。

 

「……それでは、参りましょうか」

 

 フィリップもエステルたちの事を覚えているようで、本当に申し訳なさそうな顔で先導するのだった。

 食堂に入ると、予想通りデュナン公爵が満足気な表情で食事をとっていた。警護に当たらされた関所の兵士達は何も言うことが出来ず静観するのみ。

 

「閣下、予定通りルーアンの街に戻られてはいかがでしょう」

 

 戻って来たフィリップが声を掛けるが、デュナン公爵は聞き入れない。

 

「黙れ、エア=レッテンの滝を間近に望むことが出来るこの場所を、私は気に入ったのだ!」

 

 大きな水量を誇るエア=レッテンの滝は観光名所となっていて、国内から多くの観光客達が側に建てられたエア=レッテンの関所へ訪れている。

 

「やっぱり、カボチャ頭のオッサンだったわね」

 

 アスカは我が物顔で振舞うデュナン公爵を見てため息を吐き出した。兵士の話によると、デュナン公爵は食堂と宿泊所を貸切にしろと言っているらしい。他の旅行者を追い出すわけにもいかない。兵士は剣と銃の訓練しか受けていないので、交渉術に長けた遊撃士に要請した、デュナン公爵がルーアンに帰るように説得して欲しいとの事だった。

 

「あたしたちだって、交渉の訓練は受けてないから、自信は無いんだからね」

 

 エステルはそう言ってデュナン公爵に近づいて話し掛けた。

 

 ※二択クイズです。遊撃士としての資質が問われるので挑戦してみてください。

 ※選択に失敗すると、説得失敗になります。答えは後書きです。

 

 ◆二択クイズ◆

 

 Q.はじめにどう話し掛けよう?

 

 【親しみを込めて「やっほ~、公爵さん!」】

 【敬意をこめて「閣下、お迎えに参りました。」】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エステルが話しかけると、デュナン公爵は怪訝そうな顔でエステルの方へと顔を向けた。デュナン公爵はエステルはどこからやって来たのか尋ねる。

 

 Q.どこからの使いと答えようか?

 

 【市長邸からです。】

 【ホテル・ブランシェからです。】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お迎えに上がるようにと、市長から依頼されたのです」

 

 エステルがそう言うと、デュナン公爵はまんざらでもない表情で答えた。

 

「なるほど、それは殊勝な事だな。だが今夜はこのエア=レッテンに泊まると決めたのだ」

 

 デュナン公爵の気持ちを変えるのはここからが肝心だ。本人にエア=レッテンに泊まる気が無くなるように上手く誘導しなければならない。アスカたちは息を飲んでエステルを見守った。

 

 Q.デュナン公爵の気持ちを変えるための一言は?

 

 【ええっ!? こんな粗末な所に泊まるんですか?】

 【今夜は市長邸で晩餐会がございます】

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっ!? こんな粗末な所に泊まるんですか? 次期国王陛下に相応しい場所とは思えません」

 

 エステルはオーバーなリアクションで驚いて叫んだ。デュナン公爵は機嫌を崩さず、エステルに答える。

 

「それは判っておる。たまには庶民の暮らしを真似てみるのも面白いと思ってな」

 

 デュナン公爵の気持ちが動かせないと感じたエステルは、助けを求めるようにアスカを見る。少し離れて見守っていたアスカだが、デュナン公爵に近づいて声を掛ける。

 

「こんなケチな食堂じゃ、ロクなものが食べられないわよ。それに、不衛生だし」

 

 アスカがそう言うと、食堂の主人は目をむいて怒った顔でアスカをにらみつけた。シンジはアスカが話し始めた事に不安を覚えていた。依頼にはトラブルを『穏便に』解決してくれとある。いつアスカがキレて『カボチャ頭』とデュナン公爵を怒鳴りつけないかハラハラした。

 

「うーむ、そう言われてみれば、薄汚い気が……やはり泊まるわけにはいかぬか」

 

 デュナン公爵は食堂を見回して不安げな顔になった。これはチャンスだと思ったアスカはダメ押しの一言をデュナン公爵に投げ掛けた。

 

 Q.デュナン公爵にもう一押しの一言は?

 

 【さあ、ルーアンに帰りましょう】

 【あっ、閣下の足元に〇〇〇〇が!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、閣下の足元に……!」

 

 アスカが床を指差して固まると、デュナン公爵は不思議そうな顔で首をかしげる。

 

「私の足元がどうかしたのか?」

 

 しばらくの間の沈黙の後、アスカは思い切り叫んだ。

 

「でっかいゴキブリが居るわよ!」

 

「ひぃぃぃ!」

 

 デュナン公爵は絶叫を上げながら、食堂を出て行った。フィリップはエステルたちに頭を下げてから、デュナン公爵を追いかけて食堂から姿を消した。こうして二人の協力もあって、依頼は解決したのだった。

 

「良かった、アスカがまたケンカしないか心配したよ」

 

 シンジはそう言うと、安心したようにため息をついた。

 

「あっちはアタシの事、覚えていなかったようだしね。ゴキブリが居るって言った時のアイツの顔ってば、愉快爽快だったわね」

 

 アスカは思い出したのか、声を上げて笑った。

 

「エステルも、こんな駆け引きが出来るようになっているとは思わなかったよ」

 

 ヨシュアが感心したようにつぶやくと、エステルは鼻を鳴らした。

 

「ヨシュアの交渉術を見て来たからね、真似してみたんだ」

 

 まだまだ掲示板の依頼は残っている。この後、デュナン公爵の事件よりも厄介な事件が待ち構えているとは、想像もしていないエステルたちだった。




◆二択クイズ◆

 Q.はじめにどう話し掛けよう?

 【親しみを込めて「やっほ~、公爵さん!」】
〇【敬意をこめて「閣下、お迎えに参りました。」】

 Q.どこからの使いと答えようか?

〇【市長邸からです。】
 【ホテル・ブランシェからです。】

Q.デュナン公爵の気持ちを変えるための一言は?

〇【ええっ!? こんな粗末な所に泊まるんですか?】
 【今夜は市長邸で晩餐会がございます】

Q.デュナン公爵にもう一押しの一言は?

 【さあ、ルーアンに帰りましょう】
〇【あっ、閣下の足元に〇〇〇〇が!】
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