元!海賊王の航海   作:りむっち

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始まり編
第1話〜始まり編始〜


砂浜に座りながらその男は

「はぁ·····」

とため息をはいた。

ため息を吐きながら苦笑したその表情はどこか色っぽく、そんな男をチラチラと遠巻きにみている民衆らがいるが、そんなことを気にする様子もなく男は目の前に広がる大きな海をぼんやりと見ていた。

 

男はあの日あの瞬間確かに命を落としたはずだった。東の海のとある島ローグタウン。そこで彼は海軍によって死刑にされた。もちろん、死体は疑り深い海軍が埋めるその瞬間までその男から目を離すわけもなくキッチリと死んだ事が事細かに世間に晒されている。

それなのに·····。

「俺ァ、なんで生きてんだろうねぇ」

くしゃり、と頭を掻き海から視線をあげ空を見上げた。憎らしい程に海と同じ位澄んだ青空が男の目に映った。一羽のカモメが鳴く、自分の心情とはかけ離れた穏やかな景色だった。

 

男の名前は、ゴール・D・ロジャー

かつてこの世のすべてを手に入れた男、海賊王と名を馳せそして処刑され、大海賊時代の幕開けを行った極悪海賊の王。海軍、CP、天竜人に恐れられた男。かつて誰も成し遂げることが出来なかったグランドライン制覇をした唯一の海賊。

 

「いててて…」

一瞬、夢かと思ったロジャーは頬をつねると痛みを感じた。

「やっぱり夢じゃねぇよなぁ。」

思わずため息を漏らした。ロジャーは座っていた砂浜から立ち上がり海へと近づいていく。何度も触った海の感触を確かめるとともに、自分の容姿についても疑問を持ったからだ。

「こりゃぁ、参ったなぁ。歳の頃は大体15〜8位か。しかも容姿が俺の若い頃まんまだ。ホントに一体なにがおきたのやら·····」

手を自分の顎の所へ持っていき顔を傾けた。今のロジャーの心情は死刑されたと思ったら若くなって生き返ってるのだからびっくりの連続でたまったものじゃない。

「しかし、この俺の姿を見てると相棒と会った時のこと思い出すなぁ。ありゃ、一体どこでだっけかなぁ〜」

混乱する事ばかりだが、昔の仲間との思い出を思い浮かべ口を三日月のように、楽しそうな顔をしていた。

 

「っと、いつまでもこんなことしてる場合じゃねーな。ともかくここがどこで、世間はどうしてるのか知る必要があんな」

混乱していた頭を1つ振り抜き、直ぐに状況判断をする。この切り替えの速さは流石海賊王といった所だろう。ロジャーは思いたったが吉日、と言葉の如く、情報を得るために浜辺の近くにある酒店へと足を踏み入れていった。中は酔った男どもでむさ苦しく大賑わいしていた。そんなロジャーはカウンターの席へとつき、近くに置いてある新聞紙を手に取る。

「まさか、俺が死んで15年といった所か。おっ、あの見習いの赤髪のガキンチョが今じゃスーパールーキーと呼ばれているのか。そんでコッチは東の海で元気に暴れてると·····。ワハハハハハ!!あいつらも元気にやってるなぁ!!」

表紙にデカデカと乗っている昔の見習いを思い出しながら大きくロジャーは笑う。いきなり笑った男に周りの客はギョッとしたが自分達の周りもそんなのばっかだからと特に気にした様子はなかった。1人の老齢の海兵をのぞいて。

「あの顔、どこかで·····」

 

「まぁ、おれは死んだがこの通り蘇っている。ならする事は1つだなぁ。まだこの世には知らねぇ事が沢山ある。それを旅して見るのも悪くねぇ。海賊王としての俺は、既に故人。海賊としての道は若いのに任せりゃいい。俺ァ、気ままに旅をするとしよう」

そう決めたロジャーだったが一つだけ不満があった。

「たが、この若ぇ体じゃあ旅にでられねぇな。ここはいっちょ昔を目指して鍛えるかねぇ」

旅をするにしてもやはり体がひよってちゃ何も始まらないと思ったロジャーは体を虐め抜くことを心に決めた。お金をマスターへと渡しとある島へと向かう。その島にはたくさんの猛獣がおり、修行にはうってつけと前世で知っていたからだ。だが、そんなロジャーは船を持っておらず行けずにいた。しかし、ロジャーは海賊王。そんな事で諦めるわけもなく

「ちょうどいい、準備運動がてら泳いで行くとするか」

本来なら何十日も船で旅して向かうところを泳いで行こうとする。食料はどうするのかと思うが近くに魚がいるのだから心配は無いだろうと呑気にロジャーはそう思っていた。服をぬぎ痩せ細った体が表に浮き上がってくる。

「なんだこの体、筋肉も弱っちぃなあ」

つくづく鍛えがいがあると楽しそうに、ポジティブに考えるロジャー。

 

━━とある海1

「おっ海王類!飯だなあ!!」

「くぎゃゃゃゃゃゃゃ!!」

覇王色の覇気を全面にだして、覇気を纏いながらデカい海王類を倒す。

その上にたちバクバクと鳴っていた腹を満たすために直で食べ始めるロジャー。

 

━━とある海2

「ありゃぁ、海賊船か?」

海賊船を見つけたロジャーが海賊船のある所までいき、無断で乗り込む。

「船長!!こいついきなり入って気やがった!!」

「なにぃ!!てめぇ!一体どこのどいつだ!」

その海賊船に乗っていた乗組員は自分達の仲間ではない男を見つけ直ぐにその男を取り囲む。

「おいおい、そんなに怒るなぁ。ほれ、酒でものめ」

それをこれといって気にする訳でもなくロジャーはその船の船長へ持っていた酒を渡す。

「お、そうだな。って!これ俺らのじゃねぇか!」

「ワハハハ!!」

「おい!聞いてんのか!」

そこからはずっとロジャーのペースで怒る気力すら無駄だと悟った船長がほっといていいと他の仲間に促す。それぞれが微妙に納得していないような顔を浮かべながら元の場所へと帰ろうとする。だが、それを許すロジャーじゃなく

「おいおい!こんなに集まってんだからぁよ!宴しようぜぇ!ワハハハハハ!!」

「はぁ?!なにいきなり乗ってきたお前がしきってんだぁ!!」

「まぁ、そう慌てんなって!ほらこれでも」

「お、そうだな。って!だから!この酒は俺らのだ!」

「ワハハハハハ!」

 

ここは、肉質が硬く全長10mを越える猛獣がそこらじゅうに跋扈している島。彼らに仲間という概念は存在しておらず自分自身以外を敵とみなしている。そんな危険がはこびこっている島に1人のヒョロがりの男が到着する。言わずもがなロジャーである。

「ワハハハハハ!ついた!さぁて、久しぶりに暴れるとするかな!」

元気に高笑いしたロジャーが自分の服を絞って木へとかける。上半身裸のロジャーはそのまま島の中心へと歩み寄っていく。3分歩いた所でロジャーの前に大きな虎の猛獣がよってきた。

「グルゥゥゥ!」

「ワハハハハハ!こい猫!」

ロジャーを食べるためにきた虎がロジャーへと走ってくる。ロジャーの上半身を美味しそうに見定めた虎は大きく口を開いて突進してくる。それを見聞色の覇気の未来視で見たロジャーは僅かに傾くだけでそれを難なく逃れる。それに続けてロジャーは肩から手にかけて覇王色の覇気と武装色の覇気を纏いながら殴りにいく。ただの覇気ではない。手だけでなくその手の周りにも覇気をまとう。ロジャーから放たれた拳は虎の体へと寸分違わず打たれた。

「グガッ!!グググ!!!!」

一瞬よろけた虎だったが直ぐに視線をロジャーへと戻し戦闘態勢へとうつる。この島では猛獣同士の戦いは頻繁に行われており覇気を纏ってはいるが筋力もないロジャーの一撃で倒れるわけもなく、そこらの海王類の方がよっぽど楽だとよく実感したロジャーであった。

 

 

━━3年後

「ワハハハハハ!やっと全盛期に戻った感じがするぜぇ!」

そう高笑いするのは浜辺に腰から下を葉っぱで巻きながら突っ立っているロジャーだ。その身長は3m近くあり以前のヒョロがりとは思えない筋肉質な男がたっていた。最初に戦った虎など今じゃ1発殴れば直ぐに気絶する位にまでなった。海王類なんかは覇王色を浴びせれば逃げて行く位にまでなっていた。

「んじゃまぁ!そろそろこの島から離れて旅でもするかな!」

「グッグッ!」

「ん?あっおめぇらか!」

3年も過ごしていれば島の猛獣どもは誰もロジャーに逆らえないでいた。最初の方は弱っちいロジャーを目掛けて倒していたが2年位たつと手も足も出せなくなっていた。そんな猛獣達と仲良くなったロジャーは動物達の声を覇気で聞こえてる体質な事もあり少しだけだがコミュニケーションが出来るようになっていた。

「なに?まずは服だって?」

「ンッ!!!」

ロジャーの言葉に頷く猛獣達。

「確かに葉っぱ一丁じゃ味気がねぇよな!!最初着てた服はどっかに流されてたし、まずは金でも稼いでくるかねぇ!」

そう決めたロジャーは猛獣達との別れも済ませて色々な島を島から島へと泳いで渡っていった。

 

 

 

「なっ!!これは、無名の海賊狩りの海賊!?これは·····」

「ん?どうしたの?レイさん」

「ん、なぁに。少し気になった男というかアイツらしき人を見つけてね」

レイさん、と呼ばれた男は、歳老いているにも関わらず若々しさを持っていた。男から発せられる鋭い瞳は、まるでどこかの男を連想させるような瞳だった。その声色はどこか楽しげな空気と驚いているような空気を醸し出している。その足がまるで今すぐにでも確かめたいかのように貧乏ゆすりをはじめるくらいには。

男は、かつて海賊王ゴール・D・ロジャーの副船長を務めた男で、彼の死後は姿を晦まし、コーティング屋を営む1人のジジイとして生きていた。レイリーの見つめる先には、一枚の変哲もないただの紙。新聞紙を開いて落ちてきたものをみた事から始まる。

それをレイリーは、信じられない!ものをみた、といった思い詰めたかつ驚きが合わさった顔で眺めていた。

「レイさんがそんなこというなんて、よっぽど面白いネタでもあるのかしら?」

クスクス、と笑いながら店の店主、シャッキーはそう口にした。それに対し、

「ただの手配書なのだが、この顔が何度も見てきた顔でね·····」

レイリーは、恐る恐るとシャッキーに向かって自身が眺めていた紙切れを手渡した。そこに映っているのは、一人の男。なんの変哲もない若くギッシリとした体つきの1人の男。

「この人がどうかしたの?」

シャッキーはレイリーが怖い顔をしながら渡してきた紙をみながら何かあるのか?といった感じでレイリーへと尋ねた。

ふぅ、とレイリーは、注がれた酒を一気にあおり口に含んだ。

「君は知らないのか?そういや随分若いから無理もないのかな」

そう、レイリーがこの男の手配書をみたとき、目を見張った。それもそのハズで自分を海賊の道へと誘った若い頃の相棒の姿が写っていたのだから。レイリーが唯一、共に生きたいと請い願った相手。

世間では、悪逆非道。悪魔と罵られているがそれをものともせず楽しく自由に海賊をしていた背中を、任せることが出来る唯一の男。

レイリーが人生のすべてを賭けた相棒、死んだはずの相棒。なのに手配書には写っている。生きてるわけがない。それなのに生きている。この姿を知っているのは自分かギャバンか若い頃のガープくらいだろう。

「少し、用が出来たよ」

「そう?」

レイリーは、酒場から出てまだ陽は高く昇る空を眺めた。レイリーにとって、太陽を思わせる男の姿を頭の中に描く。もし生きて居たのなら何故死刑なんかと1つ殴らなければ気がすまない。

「ふふ。さぁて、本当にお前なのか、ロジャー…」

 

 

 

ある風車がたっている東の海の島。孫に会いにきたはずの年老いたジジイが空から届けられてきた新聞紙を片手に呑気に歩いていた。そんな新聞紙から落ちてきた1人の手配書をみてさっきまでの呑気さは見る影もなくただただ新聞紙を強く握りしめていた。

「いったい!これは!!これはどこからどう見てもアイツじゃねぇか!!」

一もなく判断した男、ガープは孫をボコしている手をはなし、直ぐに海軍船へと乗った。向かう場所はただ1つ、この手配書に書かれている男の場所。

「もし、アイツが生きてるのなら殴らねぇと!!そうだろう!ロジャー!!」

 

 

「かっーー!!やっぱりここの酒はうめぇ!!」

そんな事いざ知らず、呑気に酒場で1人飲んでいるのはロジャー。写真を取られた事を知る由もなく自分の手配書が世に散りばめられているとは夢にも思わないロジャーはただ楽しく酒を飲んでいた。これから自分を殴りにくる2人に夜通し説明させられるとは知らずに。

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