ロジャーは、猛獣島から泳いで、それなりに民衆らで賑わっている島へとたどり着いた。泳いできた海から地面に足がつくくらいまでの所で立ち上がる。腰には男を象徴している部分を隠せるだけの小さな布切れが1枚巻かれている。それ以外は、裸のロジャー。こんな男の周りにいる民衆らはその男の鍛え抜かれた体に目を奪われていた。特に女性は背丈3mもある筋肉質な体にほぉっと口から吐息をはいていた。そんなロジャーは、布1枚の変質者かと思われるような身なりをしているが幸いにもここは、浜辺。
ただお金のない男が仕方なく巻いてる布を水着と勘違いしてもおかしくは無い。若干水着にしては、薄すぎる気もするが·····。
「さぁて、とりあえずこの街を探検してみるか」
ここにレイリーが居れば直ぐに服についてツッコミをいれるだろうがここにはレイリーはいない。自由奔放なロジャーは服の事なんか頭から忘れて街へと布1枚でくり出す。
その島の噴水広場近くにあるアイス屋に、1人の少女が親から貰ったであろうお金を小さな拳に握りながらアイス屋へと駆け出していた。
「このアイスください!」
「ほら、アイスだよ。お嬢ちゃん」
「わぁー!ありがとう!」
アイス屋のおじさんからアイスを貰った少女が三段重ねのアイスを片手に元の噴水近くに座っている母親の元へ駆け出す。
「ッテ!」
「あっ!私のアイス」
「この糞ガキ!よくも俺の服に!!」
駆け出していた少女は、運悪くその少女の前を横切った短気でガラの悪い海賊へとぶつかってしまい、手に持っていたアイスはその海賊のズボンへとあたる。ほんの些細な事であるそれを許してくれるような器のでかくない海賊は、短気をおこし少女へ拳を振り被ろうとする。
「ッッ!私の子がぶつかったのならあやまります。すみません!」
「そのガキの母親か?」
「お母さん!!」
少女にぶつかる寸前に直ぐに座っていたところから立ち上がった母親が子を守るために少女と男の間へ飛び込む。少女に向かって放たれた拳は少女には、当たらなかったが子を守った母親の頬には青い痣が浮かび上がってきている。
「それで許すと思うかよ!!オラッ!!」
それでも怒りが治まらないのか怯えきっている2人の親子に男は2人へとさらに拳を握って振り被ろうとする。少女は目を瞑り迫り来る拳に恐怖し、いまかいまかと来る拳に少女の心臓は激しく鼓動していた。だが、いつまでも拳が来ない事を不思議に思った少女がおそるおそる目を少し細めて見ると1人の裸同然の男が2人を庇うかのように前へ振りかぶってきたであろう拳を手で軽く防ぎながら仁王立ちしていた。
「おいおい·····。そんな女子供に向かって·····」
「なっ!てめぇ!」
「そう怒んなよッ!!」
ほぼ裸の男、ロジャーはガラの悪い男ピンポイントに覇王色の覇気を浴びせた。完璧にコントロールしたその覇王色は周りの人になにも感じさせること無くその短気な海賊を一瞬にして気絶させる。
「大丈夫か?嬢ちゃん」
「う、うん!ありがとね!」
キョトンとした少女だったが助けてくれた事を直ぐに理解した少女がロジャーに感謝を伝える。それを少女のすぐ隣にいる呆然とした母親がハッと我にかえり同じようにロジャーへと感謝を伝える。
「あの!娘共々助けて頂きありがとうございます」
「あぁ、いいさ。別に大したもんじゃねぇよ」
「何かお礼させて下さい!」
「別にいいさ」
「助けていただいたのです!お礼させて下さい」
鼻息をフンとはきだした母親がロジャーへと詰め寄ってくる。自分と娘をたすけてくれた男。言わばヒーローの様な存在であるロジャーにその風貌も合わさってか頬を少し赤らめていたりする母親は一気にまくしたてていく。
「おっ、そうか?」
それに気圧されたロジャーはしぶしぶ頷いた。
「ねぇ、お兄ちゃんは服とか着ないの?」
「ん?あっそういえば着てなかったな。ワハハハハハ」
母親に気圧されていたロジャーだったが少女から服を着ていない事を指摘されようやく、ロジャーはその事を思い出した。
「あっならちょうどいいです。私、服屋を営んでいるので是非いらして下さい」
「そうだよ!うちにはいい服置いてあるからお兄ちゃんきてきて!」
ロジャーに渡すお礼品を考えていた母親だったがこれ幸いにと服を着ていないロジャーに服を勧めた。
「悪ぃ、世話になる」
先程頷いた事もありロジャーは、感謝を伝えた。ロジャーは少女の母親が歩き出した所の後ろからテクテクとついていく。10分ほど歩いた所でさっきの一連のことあり疲れはてた少女を見たロジャーが後ろから脇に手をいれ自分の肩へとのせる。その事にびっくりした少女だったが高い所からみるいつもと違う景色にさっきまでの疲れきった笑顔は消え楽しそうにしていた。
「これなんていかがですか?」
母親が営む服屋へとたどり着いたロジャーは早速母親から服を勧められていた。
「服なんてなんでもいいけどよ、俺ァいま、金を持ってねぇぞ」
「いらないですよ。助けてくれたお礼なので」
「そうか?なら、遠慮なく貰ってくよ」
母親から赤を基調とした服をもらったロジャーは、親子に軽い別れをつげ、ロジャーは服屋からでて元きた道へと帰っていく。その際に少女が若干別れ惜しい顔をしていたが、「また会える。」とロジャーが答えた事でしぶしぶ納得し手を大きく振ってロジャーに「ありがとう」といいながら別れた。
「あの、少しいいですか?」
そんな事もあり元きた道を帰っていたロジャーに若い海兵が後ろから肩を叩いて話しかける。顔だけ後ろに向けたロジャーが海兵をみて明らかに嫌そうな顔を浮かべたがしぶしぶ応答した。
「なんだ、」
「いや、先程ここ近くの噴水広場で懸賞金8千万ほどの男が気絶していたので何か情報はないか調べていたのです」
「ん、お、俺ァしらん。どっかの奴がやったんじゃねぇか?」
唇を横に向け目を上へと向ける。ロジャーは自分に正直に生きてきた男だ。つまり、嘘をつくのがとても下手でそれに気づかない海兵じゃない。
「何か知ってますよね?」
「断じて、しらん!!」
「いや、絶対知ってますよね!あなた嘘つけないタイプの人間でしょ?!」
詰め寄ってきた海兵の腕からヒョイっと抜け出したロジャーは、面倒事に絡まれるのは御免だと逃げ出した。今のロジャーは、海賊を捕らえ市民を守った、いわば、ルールをキチンと守った人としている。だが悲しいかな、ロジャーは前世の常識が身についているためこの人生では何も犯罪を犯していないのに昔の癖で逃げ出してしまった。そのせいか、誤解を生み出して、
「おい!とらえろ!そいつきっと何かあるぞ!!」
ちょっとしたトラブルとなってしまった。若い海兵が周りにいる自分と同じ海兵に声をかけ、走るロジャーを捕らえようとする。
「ッ!!めんどくせぇ!!」
10分以上イタチごっこを続けたロジャーは海兵達の執拗さに、前世同様関わるのがめんどくさくなってしまった。今やロジャーは全盛期以上の力を3年の月日で手に入れている。以前の死にかけの状態であれば体力配分をしっかりしていただろうが今のロジャーはそのリミッターが効いていない。要は少し力を入れただけで覇王色の覇気が簡単に外に出てくる。ロジャーの覇王色はこの世の全てを探しても誰一人たどり着けないような極地に位置している。少し体から漏れ出た覇気だろうが若い海兵達を気絶させるくらい訳ないのだ。漏れ出た覇気を浴びた近くにいた若い海兵達はたまらず一瞬にして気絶してしまった。
「あっやべッ!」
「なっ!!今のはまさか!覇王色ッ!!」
ロジャーの半径5m地点にいた海兵は漏れなく気絶したが気絶をギリギリ耐えた凄腕の海兵1人が何とか踏ん張って耐えていた。海兵であれば覇気の概要は学習事項として知っていて当然の知識だ。ロジャーからはみ出た覇気を覇王色と判断することも雑作もないことだ。
「気絶してるし、お前。ここで見た事忘れろよな?俺ァ海賊だし、お前らが俺を追いかけるのも分かるには分かるがな」
今度は正真正銘、ロジャーが自分の意識から再度、覇王色の覇気をその海兵へと浴びせた。それを耐えられるわけもなく気絶し、ロジャーは直ぐにその場から撤退を決めた。
「えっ海賊だったのか?!」
その一言を最後に海兵は気絶した。
「あれ?」
━━海軍本部
元帥の部屋に設置されているドアをいきよいよく海軍少将の男があける。
「コング元帥!大変です!!」
「どうした。騒々しいぞ」
全速力で走ってきたのだろう、肩を上下に揺らしながら大きな声で持ってきた情報を開示する。
「どうしたもこうしたも無いんですよ!海軍基地があるリ・ドル島から連絡が来たんです」
「連絡?」
ハテ?と頭を傾げたコングがハテナを出しながら続く言葉をまつ。
「はい。その島を占拠していた8千万の海賊を一撃で倒した輩がいるんですよ。その他にも色々な海軍基地から同じような案件が届いていてかれこれ10件目ですよ。そのどれもが懸賞金5千万以上の海賊達ばかり。しかも、どの1件も1人の男が行ったことらしいです。また、その島にいた海軍大佐から聞いた確かな情報が·····」
「その情報とは·····」
「覇王色を自由自在に操れると·····」
「なに?!何故そんな奴が野放しになっているんだ!!」
覇王色を自由自在に操れる輩が居るとすれば海賊だと四皇や一部海賊船の船長のはずだ。代表をあげるとすれば白ひげだ。覇王色とは百万のうち1人という上に立てる存在の奴しか操れない代物だ。もし本当に居るとするのならば、赤髪に続いてまたこの世を騒がせることになる。
「それは、その無名の男が1週間のうち行ってきた事だからです。」
「たった1週間だと?!そいつの手配書を直ぐに発行しろ!懸賞金は異例の事態だが1億くらいにしとけ!ソイツの写真はあるのか!」
大海賊時代が始まり胃の休む暇がないコングはまた舞い降りてきた事態に辟易にしていた。
「これがそうです」
「なっ!?」
見せられてきた写真を覗けば、そこには信じ難いものが写っていた。
「どうかしましたか?」
顔を青くするコング元帥を見た海軍少将の男が心配する声をかける。
「直ぐにガープとセンゴク、つるを呼んでこい。直ちにだ」
「ガープ中将は今休暇の真っ最中ですけど·····」
「なにっ?!ならその手配書を世界中にばらまいとけ。アイツなら速攻飛んでいく。俺達も直ぐに向かう。一刻を争う自体だ」
「ハッ!!」
直ぐに命令を出したコング元帥は机に置いてあった胃腸薬を片手にでんでん虫へと頭を抱えながら触れる。コングの胃は、これから来るであろう更なる面倒事に胃腸の痛みは肥大化していくのだった。
ONEPIECEの世界では、大陸より海の割合の方が圧倒的に占めている。そのため、人々は島間を定期便で行き渡りしている。わざわざ、泳ぐ馬鹿など存在しないのだ。そんな定期便に、ある銀髪の年老いてはいるが若い風貌した男、レイリーが乗っていた。
「さぁて、本当にお前なのか」
そんな事を甲板で呟いたレイリーに偶然それに乗り合わせた1人のサングラスをかけた男が後ろから驚かけるように話しかける。
「よぉ!!!レイリー!」
「ん?ギャバン!久しぶりだな。元気にしてたか」
久しくあった海賊の頃の仲間。それも船長の次に信頼していた男、ギャバンとあった事で話す2人には笑顔が絶えていなかった。
「まぁな」
出会った2人は、軽い世間話から始まり現在の生活について楽しく会話していた。それがある程度済んだところでキリッと顔を直したレイリーが突然話をもちだす。
「お前もこれを見て、来たのだろう?」
「あぁ。その手配書だろ。おれも真相を確かめに来たのさ。この世には悪魔の実っていう超常現象がある。もし、誰かがイタズラで俺らの船長を馬鹿にしているものなら容赦はしない」
「そうだな。私も久しぶりに剣を携えてきたよ」
「お前もか!俺も斧を持ってきたぞ。ハハハッ!」
今じゃ、年老いた2人だが少なくとも2人を止めるには、海軍大将を1人つれて来ないと勝てない相手だ。2人の技は全盛期に比べれば落ちたが覇気に関しては現役といっても差し支えないところだ。
定期便から降りた2人は自然と迷いなくある場所へと歩いていく。
「なんだ、レイリーも知ってるのか」
「まぁな。この島にはアイツの大好き酒場がある。もし本当にロジャーならそこに居ないはずがないさ」
「だな」
それ以上に2人から声が発する事はなかった。ロジャー海賊団は他の海賊団よりも仲間との絆が厚い海賊だ。互いの趣味趣向や意思疎通など出来て当然。信頼し合えるからこそ仲間を傷つける奴ほど怒りっぽくなる。それがロジャー海賊団というものだ。しばらく2人は歩き目的地である酒場へとたどり着いた。ドアを開けようと扉に手をかけたレイリーは中から聞こえてきた声に体を止めた。
「ワハハハハハ!!お前ら元気だなぁ!昔の仲間みてぇな奴らだ」
特徴ある笑い方。何十年も聞いた覚えのある声。朗らかな態度。その全てがとある1人を思い出させる。レイリーは溢れてくる涙を抑えながら中へと入っていく。
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