ここの島の名は、マラキ島。海賊からの収支を元手に発展してきた島で、小さな屋台から始まり高価なレストランまで全てが配備されている。街では人々が大賑わいし、静かになる時間帯など存在しない。また、この島では海賊同士の喧嘩もよく勃発していて、迷惑事がよく起こる。しかし、この島の住人達は長年海賊を相手に商売してきた強者だらけでそれすらも酒の肴やどちらが勝つかというギャンブルだったりと如何に儲けを出すかという豪人な者ばかりが住んでいる島なのだ。
ロジャーがまだ若きりし頃、海賊王と呼ばれるにはまだ早いロジャーのルーキー時代。その時ロジャーは、よくこの島を海賊拠点として活動していた。その時によく利用していたのがこの島にある裏酒場Rockyであり、ロジャーが数ある島を旅した航路でも上位にはいる程に好きだった酒場だ。若くなって生まれ変わったロジャーは久しぶりに行こうかと幾つかの島を(仕方なく)暴れた後、この島へと上陸した。
「ここに来るのは何時ぶりだろォなァ……」
島から上陸したロジャーは、近くの店で新聞を買ってから生前使っていた酒場へと足を向ける。何回も歩いた道のりに感慨深くなり、白い歯を表に出しながらニヤニヤと笑う。裏酒場Rockyについたロジャーは取り付けられている扉に手をのせ、キィーンという音と共に中へと入っていく。店の中には海賊らしき者で溢れており入ってきたロジャーに目を鋭くさせながら酒をのんでいる。
「いらっしゃい」
幾分か年老いた老人が目線を下に向けながらグラスを拭き、入ってくる音を聞き入ってきたであろう男へ無骨なあいさつをかける。
「よぉ、マスター。いつものくれ」
「いつもの?ッ ッ!こりゃあ懐かしいお客さんだ。ほれ」
グラスから目を離し、カウンターへと座ってきた男に目を向ける。ガッシリとした体、見た事ある髪型、そしてマスターがはじめてこの店をオープンし最初のお客だった海賊王の男。それが処刑の報をきいて悲しんでいたがその処刑されたはずの男が目の前に座ってきた。吃驚したマスターだったがそれよりも懐かしい顔をみて驚きより嬉しさが上回ったマスターは口角をあげながらその男が以前好きこのんで飲んでいた酒を瓶ごとわたす。
「フフ」
何も言わないでくれるマスターにロジャーは感謝し渡された酒をゴクゴクとのむ。果実をわざわざ炙りそれから発酵させた果実酒。それがロジャーの大好物だった。懐かしい味にロジャーの気分は上がっていく。すると、そんな気分が上がってきているロジャーの席のうしろ。つまりこの酒場の入口付近で大の大人2人がいま、懐かしい話題で口論し始めているのが聞こえてくる。
「だから!北極の方が寒い!!」
「馬鹿言え!南極だ!!」
「わっからねぇ奴だなぁ!!」
「やんのかゴラァ!!」
だんだんと喧嘩の音が大きくなり、周りにいた客もそれをひぎりに「やれ!やれ!」と2人を囃し立てるように騒がしくなり始めた。その光景を目の端でとらえ、店の熱くなった雰囲気がロジャーの身の所まで届く。その光景はまさに、昔よく見た、幼かった見習いのガキンチョ2人とそれを囃し立てる仲間を連想させた。ロジャーはそんな雰囲気に酒で高揚していたのもあって座っていた席から背を仰け反りながら突然大きく笑い始めた。
「ワハハハハハ!!お前ら元気だなぁ!昔の仲間みてぇな奴らだ」
声を大にして笑っているロジャーの目には涙が少し溜まっていた。それが懐かしい涙なのか憂いの涙なのか分からない。ただそれでも涙を堪えちゃいけねぇような気がするロジャーだった。
「また、アイツらと馬鹿してぇなぁ·····」
瓶を机に軽く叩き、目を机の軋めに向け涙を耐えるかのようにそう独りごちた。
「なら、またやればいい」
「だなっ!」
そう独りごちたロジャーに本来聞こえないハズの声が一筋の風のように胸へと流れてくる。一緒に旅をし、命を預けあった仲間。この世の誰よりも信用出来る唯一無二の存在。若くなっても中身が年老いたジジイになったロジャーは聞こえてきた幻聴に涙脆くなった涙腺に小さな涙を流した。
「はっ。馬鹿だなぁ俺ァ。アイツらはここに居ねぇってのに·····」
そう鼻をならして言を放ったロジャーだが、コツコツとこちらにやってくる音がだんだんと大きくなってくるのが分かる。そして目を伏せているロジャーの肩に手がおかれる。
「居るさ、ここに」
「たく、涙なんか流しやがって」
分かっている。知っている。扉に手をつけた時から分かっていた。幻聴なんかじゃない正真正銘の声だってことを。
「ッッッ·····。レイリーッ!ギャバンッ!」
伏せていた目を後ろにやって来ている2人に向ける。その目は涙を流していており、反対に口は大きく白い歯を見せながら笑っていた。ズバッと立ち上がったロジャーはレイリー、ギャバンを真正面から精一杯抱きしめた。
「おいおい、そんな涙脆くなったのか?」
「お前も人の事言えねぇぞ。レイリー」
レイリーがおどけていいながらもその目には涙が溜まっており、おどけたレイリーに向かって放ったギャバンの声も若干震えていた。
「ほらっ、そろそろ離せ。大の大人3人が抱き合ってるなんて異様だぞ」
「それもそうだな!」
「そうか?」
流石にずっとハグしていると恥ずかしかったのか1番に離れるように促したのがレイリーだった。それに続けてロジャーが元気よく声をだし、ギャバンが名残り惜しそうに言う。
それから3人はロジャーを真ん中にしてカウンター席へと座った。マスターと喧嘩している者達は見なかったことにしてくれているのかさっきからロジャー達をほっといて騒いでいた。
「それで、何をどうしてそうなったんだ?」
「やっぱり、悪魔の実か?」
端的にレイリーが言葉を放つ。そのレイリーの言葉に続けギャバンも体を前に傾けながら興味深そうにいう。
「それがよ、俺にも分かんねぇんだ。悪魔の実とかじゃねぇと思う。死んだ感触あるし·····」
「ふぅむ」
「なんだ、神様にでも嫌われて行けなかったのか?くくっ」
「それかもな。ワハハハハハ!!」
「そんなわけないだろうに·····」
ロジャーとギャバンが笑いあっているそばで真剣に考察し始めるレイリー。だが、元々よく考えるような性格じゃないロジャーは体の赴くままに行動していてその事になんも疑問点をいだいていなかった。昔からこういう面倒事は相棒にまかせるもんだとよくレイリーを困らせていた。今回も同じで、レイリーはまたかと呆れるもそれがひどく懐かしくロジャーに振り回されるのもわるくなかったりする。
「それで、どうするつもりなんだ?ロジャー」
「分かってるのに聞くか?」
「そうだぞ、レイリー」
ロジャーとギャバンがこれからの行動を聞いてきたレイリーに対しておちゃらけて答える。
「しっかりと聞きたいんだ·····」
そんなおちゃらけたロジャーやギャバンと違い真剣な顔をしたレイリーが心の全てを表にだしゆっくりと吐き出す。レイリーの纏う雰囲気がさっきまでの会えた事による喜びから、歴戦の海賊然とした雰囲気となる。そんなレイリーの気迫がロジャーには、妙に懐かしくなり2人の雰囲気も真剣なものとなる。
「フッ。なぁレイリー、ギャバン。俺ァよ、お前らと冒険できて楽しかった。初めてあったときから俺は、ずっとお前らを振り回してきて迷惑かけっぱなしだ。今だってそうだ。俺が海賊の道に連れ出さなきゃお前らは普通に生活できたかもしれねぇ」
「「………」」
ロジャーがゆっくりと語る。長年に積もった思い。それを包み隠さずに2人へ打ち明ける。レイリーとギャバンも何も言わず静かに続きをまつ。
「だけどよぉ。そんな俺にずっとついてきてくれた。お前らには感謝してんだ。生き返って別の生き方ってのも考えた。だけどよぉ、どれをやってもあんま楽しくねぇんだ。俺はお前らとあった事は運命だと思ってる。だから!」
ロジャーは立ち上がり2人に手を差し伸べる。自由奔放でおっちょこちょいでトラブルメーカー。でも誰よりも仲間を愛してくれるそんなロジャーを2人はよく慕っていた。
「俺と一緒に、もう一度世界をひっくり返さねぇか?」
自信満々に言われた言葉。NOと答えても無理やり連れて行こうとするような声音。白い歯を浮き彫りにし楽しみが抑えきれない子供のようなそんな顔。
「お前の自由になんど振り回されたことか…。だが」
「全くだ。全然逃げねぇし、毎日戦いばっか…。でも」
レイリーとギャバンが手に酒瓶をもちながら立ち上がる。
「「そんなお前に俺らはついて行くし命を預けれる」」
それにロジャーも手に酒瓶をもち、かかげる。
「……」
ロジャーはこれから行う楽しい出来事に気持ちを膨らませながらゆっくりと続くその言葉をまつ。
「「そのはなし、のった!!」」
3人は、それぞれが持っていた酒瓶を3人の中央でいきよいよく当てる。キィーンという音がこだましてる店で3人は瓶に残っていた酒をひと息にあおる。
「ワハハハハハ!!!!」
返ってきた答えに満足したロジャーは今まで以上の声を出して大笑いした。また、航海できる。コイツらと、一緒に!!
「拳骨ビッグバン!!!」
そんな楽しい雰囲気を出していた3人に耳を劈く程の音が聞こてくる。酒場の壁はぶっ壊れ、その余波で中の椅子やテーブルが粉々になっている。土煙がまい、壊れた所に大きなシルエットが見える。舞った土煙が収まりそこに立っていたのは、1人の大男。正義のマントを着ていて、被っていたヒョウ柄の帽子をとる。
「ガッハッハッ。話は外から聞いていた。俄には信じ難いが·····。それでも、このワシがお前を行かせると思うか?」
「おいおい、もう嗅ぎつけてきたのか?」
「ロジャー!!」「ガープ!!」
ロジャーとガープ。ロジャーにとってガープは白ひげに次ぐ自分の好敵手。いく先々に必ずいて自分をとっ捕まえようとする。だが、そんな2人の仲はそんなに悪くない。むしろ良い方だ。どこか似通っている性格の2人はとても馬が合う。もし道が同じだったのなら2人はきっと仲間となり最高の相棒となっていただろう。だが現実は違う。2人は捕まえる方と捕まる方。だからよく喧嘩をしていた。喧嘩をする2人に険悪な雰囲気などなく楽しそうでそれでいて何時も真剣。今も2人が纏う雰囲気は真剣そのものだが2人は久々の邂逅に楽しさ9割真剣さ1割の気分でいた。
「久しぶりだなぁ。ロジャー!」
「こっちもだガープ。相変わらず、お前はいつも直ぐに現れるなぁ。」
「当たり前だ!ワシはお前を捕まえるために生まれたようなもんだからな!」
嬉しいこと言ってくれるガープにさっきまでとは違う高揚さが出てくる。
「それにしてもよく俺が生き返ったってわかったな」
「お前の手配書を見たからな」
「手配書?」
一体なんの事かと首を傾げたロジャーにガープが紙を見せながらこたえる。
「知らないのか?お前、もう懸賞金かけられとるぞ」
3つか4つか前に暴れた島の写真を背景に撮られてる自分の写真を見る。いつのまに?!と思ったロジャーだったがそんな事気にしていたらキリがないと直ぐにどうでもよくなった。ロジャーにはよくこういう事が多々ある。それで仲間が苦労しているとも思わずに。
「そうなのか!ワハハハハハ!!」
「まぁ、いい!そこにレイリーとギャバンもいるが一緒にぶっとばす!」
声を大にガープが腕に覇気をまといながらそう言い放つ。
「ガープ、レイリーは私に任せてもらおう」
「なら、ギャバンは俺がいこう」
ガープのうしろから、どこからともなくコングとセンゴク現れ、傍に歩み寄る。いきなり現れた2人にガープは驚いたが2人に任せば何とかなるだろうと、ロジャーとの一騎打ちを心置き無くやれるとコングとセンゴクに押し付けたガープは、悪い表情をうかべる。
「おいおい、勢揃いじゃねえか」
「どうするロジャー」
「決まってる」
コング、センゴク、ガープ。さらに後ろに沢山の海兵。たった3人には重すぎる程の戦力。たがそれを前にしても3人の顔から笑顔は消えない。なぜなら、こういう時の自分たちの船長程頼れるもんを知ってるのだから。
「生きてこその戦い。やるぞっ!!」
「ロジャー、預かっていたこれを渡しておく」
そう言い放ったロジャーにレイリーがとある剣をロジャーに向けて渡す。それを受け取ったロジャーの口角はさっきから上がりっぱなしだ。
「懐かしい感触だ」
レイリーとギャバンもそれぞれの得物を手に取る。レイリーにはひと振りの剣。ギャバンは2つの斧。
そしてロジャーには、最上大業物の1つ【エース】を携え、鞘からいきおいよく解き放つ。握っていた所から徐々に黒く染まっていき剣の周りを黒いモヤが浮き上がる。
「行くぞ!海軍!!」
「こい!ロジャー!!!」
ガープとロジャーがそれぞれ飛び出す。
「
「
2人がそれぞれに覇王色と武装色を纏いながらぶつかり合う。それはまさに災害そのもの。雲はわれ近海の海にまで波が昂る。
久しぶりに見たレイリーもギャバンも口角上げながらロジャーの後に続く。ロジャーの強さに気圧された海軍だったが何とか踏ん張り飛びだしたガープにつづく。
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