元!海賊王の航海   作:りむっち

4 / 16
第4話 〜始まり編終〜

「あやつ、強くなっておったな」

ガープが煎餅を食べながら、今回の事件を機に元帥となったセンゴクに向かって言い放つ。その顔には、若干の憂いが漂っていて自分とロジャーの差を実感したのが垣間見える。

「こっちは、年老いているのだ当たり前だろう。なぜ、彼奴が若くなっておるのかは、分からんがな」

フンと鼻息荒く吐き出してセンゴクは、ガープへと答える。

「それに、彼奴が病に冒されていた時でさえ海軍は彼奴を捕まえられなかった。それが今じゃあ、病に冒されていなく、力が全盛期以上ときた。そんなもん、不可能に近いぞ」

はぁと溜息をこぼす。コングから元帥の立場を戴き、頻発してる海賊問題に胃が痛くなるのに加え、とんでもない爆弾を野ばらしにせざるを得ないのだからたまったものではない。

「安心せい。ワシが絶対牢屋にぶち込んでやる」

さっきの雰囲気は何処へだか、覚悟を決めたような顔つきをする。ただ、口元をよく見ると口角が上がっているのがみえ、生粋のバトルジャンキーなのがよく分かる。

「差は歴然だぞッ?」

此度の闘いで久しく忘れていた強者との戦闘を経験したセンゴクが少しの震えを含ませた声音でそう言う。ロジャーが居なくなったことで世は大海賊時代をむかえ、海には若手の海賊が増えた。強い海賊は率先して新世界へと船を出航しておりセンゴクは前半の海を守ってきた。そこに現れたロジャーという強者に戦闘の勘が鈍っているセンゴクでは太刀打ち出来ないのは当たり前としか言いようがない。

「ガッハッハッ!!なら鍛え直せばいいじゃろうがい。センゴク、少し休暇を貰うぞ」

了承を得たとばかりに要件をつげ、後ろからの声を無視してガープは元帥室を出る。

「なっ!今はそんな暇無いぞ!おい!待てガープ!!」

机に手をのせ、前屈みになりながら止めようとするがそこにガープは居ない。

「諦めなよ·····。あいつと同期なアンタも知ってるだろう。ロジャーが絡んだ時のアイツほど頼れる奴はいないよ。任せておきな」

元帥室のソファでお茶を飲んでいたつるがガープの行動に肯定を示す。この3人は、古くからの同期であり互い同士よく理解している。ガープの自分勝手には鼻面を引き回されるがその行動にはしっかりとした理由がついている。

「つる·····」

「それに、あんな戦闘見せられちゃあね·····」

つるが1週間前のロジャーとの戦いを思い浮かべる。その顔は少し青くはなっているが、歴戦の海軍参謀として毅然とした態度は崩していない。

 

 

 

拳骨銃(ゲンコツガン)!!

神避(かむさり)!!

ロジャーとガープの剣と腕が覇気を身体の外側に纏わせながらぶつかり合う。黒い雷電が辺りに迸り、大気が揺れる。空を覆っていた雲は真っ二つにわれ、海の波が高さ10mまでの大波となり荒れる。この時間わずか5秒。たった数秒の激突は辺りの風景を変えロジャーが武装色とは他に覇王色を纏っている剣の影響で今立っている海兵のほとんどが気絶してしまう。尚、その島の住民は長年の勘で絶大な戦闘の気配を悟って遠くまで逃げている。流石と言ったところだろう。だが、海賊は1人残らず気絶しているが·····。

「これほどまでなのか!!」

「こんなの!!強すぎる!!」

これらの言は今尚たっている少将から中将までの海兵達だ。階級が大佐から下の海兵は、戦場に立つことすら叶わず撃沈しており集める事が可能な海兵を合わせても10人といったところでセンゴク達にとっては心もとない。ちなみにその中には最近中佐に昇格したスモーカーも紛れており鬼迫で何とか立ったものの、目の前で行われている戦闘を見て何も出来ずにいる自分の弱さに歯を食いしばっている。

 

「さぁて、剣を握るのは久々なんだ。お手柔らかに頼むよセンゴク。」

久しぶりの船長の強さを間近に感じたレイリーが嬉しそうな声音でセンゴクにおどけて言ってみせる。ただし、レイリーは一切の油断はしていなく覇気を全面に出している。

「バカをいえ。こちらは最初から本気でいくぞ!!」

ヒトヒトの実モデル大仏の実を食べたセンゴクがいきなり巨大な金色の大仏へとなり、その大きな右手をレイリーへと攻撃する。だが、その迫り来る拳を余裕をもって避け、その大きな右手へとのりセンゴクの首元へと走りだし、肩から背中にかけて剣で斬りつける。

「ガハァッ!」

覇気のひとつ上の段階である身体の外側を纏う覇気を体得しているレイリーが叩き出すその攻撃はとても強烈であり流石のセンゴクも一撃だけのはずが堪らず膝をついてしまう。それを程までにロジャー海賊団の副船長という肩書きは伊達ではない。たとえ、戦闘勘が鈍ろうと船長のために戦ってさえいれば何時もの何倍もの力をだせる。それは勿論レイリーだけでない。ギャバンでも同じだ。

 

「コング元帥よぉ、お前にはもう戦う力が残ってないぞ·····」

レイリーと同じ位のスピードで2つの斧でコング元帥を攻撃する。

「だまれ!俺は海兵だ!お前らを牢にぶち込む役目がある!」

ロジャー海賊団は、一人一人が一端の船長をやれるくらいのクルーしか居ない。その中でNo.3を張っていた男の力が年老いた所で弱るわけなくコングを終始圧倒していた。また、鍛え抜かれた見聞色の覇気で未来視さえ可能にしロジャー、レイリーと同じく持っている覇王色の覇気を纏いながら戦う。それは、全盛期を彷彿とさせる鬼迫であり周りいる歴戦の海兵たちが一歩も出せない状況を作り出してみせた。

「ここまで、俺たちゃあ弱ぇのか!!」

その時、勇気を出して飛び込んた海兵がいた。その海兵は、ロジャー、レイリー、ギャバンの近くに行くにつれ体は震え上がりそこに行く前に気絶してしまった。明らかな無謀。だがそれはバカには出来ない·····。なぜならそれほどまでにこの戦闘は苛烈を極めていてステージの次元が全く違うのだから。たとえ海兵としての任務があろうと手を出すべきてはないと心が身体がそう言うのだから··········。

 

ロジャー対ガープでは、お互い拮抗していた。そう語るのは傍から見ていた中将の男だ。この男はガープを海兵の中で1番尊敬していて、その強さと自由に惚れている。それがあの強者と渡り合っているのだから嬉しく思えた。だがその気持ちは一瞬で消える。

神威(カムイ)!!

ある1点を集中的に狙うための剣技。その強さはとてつもなく強大であり唯一受け止められるとしたら白ひげかカイドウくらいのものだろう。それを何とか拳で受け止めようとガープが自分の渾身の一撃をそれに合わせる。

拳骨爆正(ゲンコツゴセイ)!!

ロジャーの剣とガープの拳がまたしても大きな衝撃を伴って大気を震えさした。地面の砂埃が舞い、影が浮び上がる。

「やった!ガープ中将が!!」

浮かび上がってきたシルエットはひとつであり、海兵達はそれをガープと疑わない。なぜなら何時も助けてもらい戦って守ってくれた最高の人だから。砂埃が収まりだんだんと影が鮮明になっていく。

「ワッハッハッハ!!今日の所は終いだ。また出直してこい」

そこに立っていたのは傷ひとつ無いロジャーだった。大声で笑い海兵達の遥後ろを指しながらそう言う。ロジャーは、持っていた剣を鞘えとおさめ、レイリーとギャバンの方へ歩きだす。

「なっ!ガープ中将は!?」

海兵達は信じたくないあまり咄嗟に声が出てしまう。自分達の遥後ろ、船へと激突し気絶しているであろうガープがあの衝突で後ろへと吹き飛んだ事を目の端で、とらえられた事ができたのは数人程度。何も知らない海兵達が喚くが戦況を悟った中将の海兵がすぐに鎮まらせる。今の戦力じゃあ、どうあがいても勝てやしないという事実をこの戦闘で目の当たりにしたのだから。

 

「レイリー、ギャバン!!用は済んだ、いくぞ」

ガープとの戦いに区切りをつけたロジャーが余裕綽々とした雰囲気で戦闘態勢であるレイリー、ギャバンに声をかける。これに気づいた2人がフッと笑いながら肯定し、それを傍で聞いていたセンゴクとコングが下唇を噛み締めた。

「そういう訳だ。また会おうセンゴク」

剣をおさめ、膝をついているセンゴクに別れを告げる。その圧倒的な雰囲気とは裏腹に楽しそうな面持ちを浮かべるレイリーに思わず殴りたくなってしまう。

「クソっ!」

だが、ここで更に戦いを長引かせては今助かる海兵を見捨てる事になり、幸いにも向こうは攻撃してこない。ここは苦渋を飲んででも我慢するべきだろう。それが最善の選択。たとえそれが海賊を野放しにしようと·····。

「了解ッ!はぁはぁ。コング、次はもっと滾るのをやろうな!」

「はぁはぁ·····」

終始圧倒していたギャバンだったが途中から踏ん張りをみせたコング元帥に互角までの所まで削られている。伊達に元帥に名を連ねていなくそれ相応の実力があるのだから当然だろう。だがそれでさえもギャバンに少しの余裕があったのはロジャー海賊団のクルー1人残らず戦闘能力が他のに比べてずば抜けておかしいからであろう。

 

 

「よし、船はろくなものが無かったからこの小船でいくぞ!」

海軍との戦闘が終わり3人は、港へときていた。最初に来た時はもう少し景観が綺麗だったのだが今じゃ、ボロボロであちこち崩壊している。どれかの船をかっぱらって使おうと画作していたロジャーは周りを見てもどれもが大破しており、使えそうにない。唯一使えるとしたら端にある小さな小船くらいだろう。

「小船か·····。懐かしいな」

その小船を見たレイリーが最初の頃を思い出し物思いに耽る。いきなり運命とか訳分からないこと言われ、海賊としての生活に変わり自分の首に懸賞金がつけられる。本来なら海賊としての道に連れ込んだロジャーに怒る所だろうがいつからかそれは楽しみへと変わっていき見ず知らずの他人が信頼出来る仲間へと変わって、波乱万丈な航海へと旅立つことになった。そのどれを思い出しても楽しい思い出ばかりでレイリーの口元は微笑んでいた。

「そういや、最初はこんなのだったな·····。懐かしいぜ。ワッハッハッハ!」

また、この小さな船からのスタートをきる事に運命を感じたロジャーは大きな声で笑い出す。新たな航海をする第2のスタート。まだ見ぬ冒険にロジャーは楽しさが止まらない。それは、ロジャーだけでは無い。レイリーやギャバンもそう。全員が新たなスタートにウキウキ、ワクワクしている。年甲斐もなく全員の顔はまるで若い頃の3人(正確には2人)のようで元気よく小船へと乗っかった。

「よし、お前ら!出航するぞぉ!!」

「「おう!」」

 

 

 

「はぁ·····。」

元帥室でセンゴクが心のこもった溜息をはく。

「センゴク、溜息ばっか吐いてないでさっさと仕事をし!」

そう注意するのはつるだ。毎度毎度、元帥室まで来てみれば必ずと言っていいほどセンゴクが溜息をはく。それがイラついてしょうがないつるは毎度の如くしかる。情けない同期に喝を入れるためである。

「分かっておる」

「幸いにもロジャー達が表立っておらんせいで世間はまだ平気よ。それに上の奴らも揉み消してるんだろう?」

上とは言わずもがな五老星の事だ。ロジャーが若返って生き返った事は直ぐに上へと知らせた。最初は信じ難い事実に混乱を極めていた五老星だったがすぐに状況を収めるようにと指令を逐次だしていた。その慌てっぷりを見ればロジャーの恐ろしさがよく分かるだろう。

「あぁ……」

海軍では今、ロジャーが若返って生きている事を世間に公表していない。それもそうだろう。もし、海賊王が現れたらこの世は混乱の渦へと巻き込まれる。それを防ぐためにあの島での戦闘の事は箝口令をひき、手配されていた手配書は写真から手書きへと変わり、unknownという名前だったのが「R」という名前で手配されている。本当に捕まえる気があるのか海軍!と言いたいところだがコレでしか彼奴を秘匿する方法が思い付かず兎に角、騒がないようにしろという指令の元、行われている。

「なんか、嫌な予感がする……」

仕事を淡々とこなしたセンゴクは降って湧いた寒気にそうこぼす。それを間近で聞いていたつるが確認のため問い直す。

「嫌な予感?」

「ああ。とんでもない。嫌な予感だ。」

バァァン!

「ほらな」

その言葉通りにドアが思いっきり開いて中将の1人が中へと入ってくる。その顔は青くなっているのは言わずもがな·····。

「センゴク元帥!!大変です!ロジャーがマリージョアへ進撃していると!」

鼻息荒く全身に汗をふきだしながら突如知らされてきた報をセンゴクへと伝える。

「そう慌てるな。ほれ、茶でも飲んで·····」

「おい、センゴク。なにを現実逃避している。現実を見んかい!」

つるが現実を直視したくないセンゴクへとツッコミをいれる。ただ、そのツッコミをいれるつるが1番現実逃避したい気持ちでいるのだが、それはここだけの話。




お気に入り、評価、感想、誤字脱字報告まってます。少しのものでも筆者のモチベは上がります!是非とも!!
レベルアップ!!
筆者は振り仮名を身につけた
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。