異世界超加速   ~異世界と魔王と超加速~   作:Ryuu65

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異世界と別れと廃品魔道具

 「そこで俺は思ったわけですよ、こうなったら仲間を信じてやるしかないと。そのおかげで幹部は倒せましたが、一ヵ月も遅れてしまったんですよ」

「なるほど、それなら仕方ないだろうな。幹部討伐ご苦労であった。先ほどはドラゴンを追い払ってくれたようだな。……それと、おぬしらを呼んだのにはもう一つ理由があってな」

「王女様の話でしたらそれはたくさんの───」

「そのことではない」

 いきなり空気が変わった。

何か気にさわることでも言ったか?

「幹部を二体も葬ったのならばそれはすでに魔王に対する実力をつけたということだ。ならばもう、危ない冒険などする必要はないだろう」

それって……俺が言うより早くラフィネが答えた。

「お父様、私はまだ…!」

「そんな遊び半分で国が救えると思うのか‼お前は王女だ、本来ならば城にいなければいけないものを目をつむってやっているのだ。そもそも、マサト殿は敏捷性バグりではないか!だとすれば危険も増える。もし経験が足りないのならばいくら命の恩人といえどもコンドウ殿にお願いするのが当たり前だろう‼」

……ですよねー。

 いくら魔王軍幹部を二体倒したとはいえ俺は無職で敏捷性バグり、コンドウのところに行った方がよっぽど安全だ。

「率直に言う、娘を返してくれ。でなければこの国の城には王族が一人もいないことになる。食事は終わりだ、早く別れの挨拶をしたまえ」

そう言われ俺達四人は個室に移る。

「急すぎるよ…しかもあの態度ひどすぎる。なにがそなたは英雄だ、よ。私ちょっと王様に言ってくる」

「そんなことしたって意味ないのは分かってるだろ。思っているよりずっと早かったが、元々そういう約束だったんだ」

「食事のお誘いにのらなければこのようなことにならずに済みましたのに」

ユウナとソニアはラフィネに別れを告げ、気をきかせたのか部屋を出た。

「お兄様……」

「そんな顔するなよ、きっとすぐに会えるから。もしかしたら魔王を倒してるかもしれないぜ?」

顔は笑ってはいるが、多分ラフィネの心の奥は笑っていないのだろう。

すぐ会えるって……だからさ。

「泣くなよ、その涙は再会したときにとっとけって」

「私っ……お兄様と…もっと冒険、したかった!……いつか、こんな日が来るとは…思っていたけれど……こんなに早くっ!」

「俺もラフィネがいないと寂しいよ。初めてのパーティメンバーだったんだし」

その言葉で、ラフィネの溜まっていたものが爆発した。

「やっぱり私、お兄様ともっと冒険したいです!こうなれば、王族の名を捨ててでも…!」

「そんなこと言うなって…!ラフィネは俺が誇れるような妹なんだから、そのまま頑張れよ。いつか俺も、ラフィネが誇れるような兄になるからさ」

ラフィネはたまらず俺に抱き付いてきた。

「お兄様は…もう十分……私が誇れるお兄様です…!逆にお兄様が私の兄であることを誇れるように………短い間でしたがお世話になりました…お兄様」

「おう!」

兄弟がいない俺には、年の離れた少女に対してどうしてやればいいのかよく分からない。

でも、泣いている人に対して肩を貸して、頭を撫でてやることくらいは出来る。

 

 

 「マサト、よかったの?」

「良いか悪いかで言ったら超悪いけど、どうしようもないからな…こればっかりは」

「ご主人様のことですから何か皆が良い形で終われる方法を思いつくのではないですか?」

そう言われてもそんな都合よく…。

「一応ルイに聞いてみるか」

プロレイのギルドに戻りルイに事情を説明する。

「そんなことがあったのか…」

「王様に直接言いに行っても断られるだけだから、俺なりにいい考えを思いついたんだけど材料が足らなくてなー」

「アニキの言ういい考えってのはもしかしなくても死刑になるくらいやばいことだろ?そこまでの価値はあるのか?」

「ある。……でさ、なんかいい情報ない?」

そう言いながらルイに二万ベクタを渡す。

「オイラがアニキが寝てる間に集めた分子レベルの情報があるからまかせな!」

頼もしい…が、分子レベルは盛りすぎだ。

 「この街からそう遠くない場所にまあまあデカい研究所があるんだよ。そこで魔道具が作られてるんだ。まあ……使えるものから使えないものまで取り揃えてるから、アニキの作戦に役立つかもしんないぜ?結構いい値段するけど、金には困ってないだろ?」

俺達は急いでその研究所とやらに向かうことにした。

 

 

 「いらっしゃい!こんなところに来るなんて中々の物好きね?」

「ちょっとやりたいことがあってね、それに役立ちそうなものを探してるんだ」

そう言うと眼鏡をかけ白衣を着た女性は店の奥から小さなビンを持ってきた。

「これなんてどうだい?ドラゴンの香水!これを自分につければ大抵のモンスターは怯えて寄ってこなくなるよ!」

おお!それを聞く限りじゃすごく使えそうだ。使えそうなのだが……。

ルイに言われた言葉を思い出す。

『メリットだけを聞けば凄くよさそうなものばかりだけど、ちゃんとデメリットも訊いておかないとヤバいことになるからな』

…………。

「その香水のデメリットは?」

「…その匂いにつられていつもの百倍気性の荒いドラゴンに巡り合いやすくなることです」

あぶなっ‼ルイの情報もなしにこれ使ってたら死んでたわ。

その後も出てくるのは使えない魔道具ばかり。

 ……まあ、あんなことができるのは奇跡に近いからな。

死刑覚悟でやったとしても逆効果かもしれない。

というかそもそも自分に合った都合のいい魔道具なんてあるわけないよな。

「ラフィネ…ごめん」

俺は一言つぶやくとその店を出た。

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