魔王軍の襲撃から数日後。街をぶらつきながら俺はラフィネとルリテがどんなスキルと魔法を覚えているのか聞いてみた。
「私は神聖魔法と光属性魔法、剣技魔法です。最近は少しだけ回復魔法を使えるようになりました。残念ながらスキルは特に……」
神聖魔法はダンジョン行くときに役に立つし、回復魔法は普通にありがたい。
「あたしは闇属性魔法と盗賊系スキル。バインド系魔法はレベル一だけど全部習得した」
バインド……この前使ってた縛るやつか。
「てか魔法にもレベルってあるの?」
「知らねーのか?基本魔法にレベルは無いがバインド係や回復魔法係にはあるんだ。だけどスキルにはほとんどレベルがあって、何回か同じスキルを使ってるとレベルが上がってスキルの能力が上がるんだよ。ちなみに、スキルの上限レベルは二か三だ」
なるほどなー。スキルをたくさん使うと強くなるっていうそのまま設定なのか。
「見つけたぞ。ラフィネ様を返せ!」
道を塞いだのはこの前合ったコンドルだかモンドウみたいな名前だった奴。
「返せも何も俺は預かっただけだし。でもお前がそれでおとなしく下がるわけはないよな」
「当たり前だ!」
預かっただけって言ってんのに何で下がらないんだろ。
「じゃあ俺とお前で勝負をしよう。俺が勝ったら何でも言うことを聞いてもらおう。だが、お前が勝ったら俺のパーティメンバーを持っていけ」
俺の提案にコンドウは勝ち誇った顔で誘いに乗る。
「は?何言ってんの⁉あたしこいつと一緒に行くの嫌に決まってんだけど!」
だが俺には最高の必勝方法がある。
「勝負内容は俺が決めていいよな?だって俺レベル八だし?お前何だよ?」
「二十六だ。………分かった。勝負内容は君が決めていい。何にするんだい?」
レベル高いなー。だがこうなりゃもうこっちのもんだ。
「ルールは簡単、かけっこ勝負だ。ここから三十メートル先のあの場所まで先に着いた奴の勝ち」
その言葉を聞き、ラフィネとルリテが顔を見合わせ少し笑う。
「いいだろう。じゃあ早速始めようか」
ゴールにはラフィネ。スタートにはルリテが立つ。
「じゃあいくぜ。位置について、よーい………どん!」
スキルを使うと後で文句言われそうだし、実力で走る。
フラグ回収されると思われたかけっこ勝負は、俺の圧勝に終わった。
だが負けたくせに往生際が悪いこいつは、ラフィネに勇者系セリフを発した。
「ラフィネ様!こんな男より僕と一緒に行きましょう!僕は必ず、あなた様の勇者になってみせます!」
聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
「あ、え、えっと……ごめんなさい。お気持ちはありがたいのですが、私にとっての勇者はもう存在しています」
「だ…誰でしょうか?」
「マサト、顔がにやけてるぞ」
「私にとっての勇者は、命を救ってくれた………人生をくれた。マサト様…いえ…今の私のお兄様です‼」
今ここに、特に強くもない普通の、ラフィネにとっては勇者の、プレーン勇者の爆誕。
俺はこんな妹をもって幸せです!
コンドウは根負けして帰ってった。願い事は、また今度合ったときにでもお願いしよう。
「おーいマサト!」
遠くから走ってくる奴に名前を呼ばれた。
「バイエルか、どうした?」
「王都に魔王軍が攻めてきやがった!何でも、相手は一人なんだが魔王軍の幹部らしい‼」
魔王軍幹部⁉
「そうなのか…それは大変だな」
とうとう幹部の出現か。
「そうなのかじゃねえよ!お前は行かないのか⁉」
は?俺が行く?
「いやいや、何で俺が行くんだよ?王都には俺より強いのがゴロリといるだろ?そんなとこに行っても足を引っ張るだけだろ?しかも相手は幹部だ」
残念だけど勝てる気がしない。
レベル八で幹部を倒せるほどこの世界はイージーじゃない事はとっくに分かってる。
「確かにその通りだが…良いのか?」
バイエルはラフィネを見る。
ラフィネの国だから行かせるべきなのか、この国の王女だから行かせないべきなのか。
「お兄様、私は大丈夫です。ただ、この国に危機をもたらす存在をこの目で見たいのですが…」
危険だけど、行くしかないか。
「大丈夫だぜ、ラフィネはあたしとマサトが絶対守るから。な、ラフィネにとっての勇者様?」
「当たり前だろ。ほら行くぞ」
王都に飛び壁門に走る。そこにはすでに多くの冒険者が集まっていた。
幹部は⁉
「やあ、まだいたの。こんにちは」
魔王軍幹部と言うからゴテゴテの超強そうな奴を想像してたのに、俺達の目線の先には優しそうな只の人間が立っていた。
「僕のためにこんなに集まってくれるなんて、嬉しいなあ」
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