暗部の矢吹   作:(´・ω・`)しょんぼりくん

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訓練の軽い話です。


再開

「うおおおおぉぉおぉ!!」

 

「…案外悪くなさそうだが…」

 

矢吹は約束通り炭次郎たちの修行を見ていた、取り敢えず彼らが組んだ物を見て気になる事があったらアドバイスを飛ばしそして自分が考えた訓練をやらせてみた。とは言え自分たちだけでほぼほぼ出来上がっていたような物なので特にいう事がなくそれこそ速度の事しか言う事がなかった。

 

そして今矢吹はと言うと伊之助と模擬戦をしていた。炭次郎や善逸の場合一日に一回程しかやらないが伊之助の場合三階か四回程挑んでくる。伊之助の攻撃を軽く流しながら技を見ていく。

 

(速さ、追い込み方は悪くない。だが…)

 

伊之助の攻撃を流す、すると片方の腕に重心を取られ少し隙ができ矢吹はその間に逆刃を顔面に向けて軽く振り落とす。すると鈍い音と共に伊之助がその場で頭を押さえて動きが止まった。

 

「重心の位置は気を付けろと言っているだろう。お前は二刀流何だ、こうやって一度崩されると立て直すのが遅い。」

 

「いてて、わかってるよそんな事!」

 

「わかってないまったく、それに低い場所を狙うのはいいが少し慌て過ぎだ。もう少し相手の懐に入ってから攻めなさい。」

 

伊之助の方はそれを悔しそうにしながら聞き矢吹の方はそれを見て少し笑みを浮かべている。それが気に入らなかったのか腕をブンブン振りながら怒る。

 

「てめぇ下手にでりゃ調子に乗りやがって!今に見てやがれ、ぜってぇ追い越してやる!!」

 

「ならお願いだから私の話を聞いてくれ…」

 

伊之助が何回も挑む理由がただ挑むだけで特にあまり対策もせず突っ込んでくることだ、一応アドバイスを聞きそれをやろうとしているのだがそれを模擬戦でやりながら考えているので伊之助だけ回数が多いのだ。とは言え成長はしており前よりは動きがよくなっている。やはり脱力は教えず色んな対人戦をさせたのは正解のようだ。

 

「とは言えもう遅い、今日は閉めよう。」

 

「ぢっくしょおおおまた負けたまま終わった!!」

 

「とは言え動物のように低い姿勢からの攻めは悪くない。伊之助より背の高い人間は対処しずらい。」

 

伊之助の攻撃はやたら低い所で行われとどめの一撃に首元を狩る。しかも直線的ならかなり早いので大抵の鬼やんん元なら対処しずらいだろう。とは言え間を取られたらほぼ対処されたら伊之助はきつくなる、自慢の突破力を止められ反撃されたら自分のペースが崩れやすい。とは言えそこさえ気を付けていれば大丈夫だろうし今後は三人行動になるだろうから仲間がカバーしてくれるだろう。

 

「それにお前は覚えも良い、しっかり頑張りなさい。」

 

「……」

 

「どうした?」

 

「な、何でもねぇよ!」

 

何故かはぶらかされた、まあ若いだろうし気にしない方がいいか。伊之助は先に帰り矢吹も残りの二人にも切り上げるようにいい矢吹も今日は切り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー-翌日ー-

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!?」

 

「確かに早いな…」

 

次は炭次郎が実際に言っていた反射神経の訓練だった。相手はカナヲだが炭次郎の方も大分追いついて来るようになってきた、炭次郎の方を見るとどうやら直観に従い動いているようだが負けそうになると一瞬余計な考えが入ってその瞬間を突かれるようだ。そこら辺を指摘し再度させると精度が上がったがそれでもまだ粗削りだ。

 

(とは言え筋がいいな、多分そのうち追い越されるな。)

 

「おい黒丸!俺の相手をしやがれ!」

 

「またか…まあいいが。」

 

二人も師範役がいるので矢吹もこの訓練を手伝っている、とは言え今の所矢吹が一番早くさらに本人は勝ちを譲る気は無いので伊之助はいつも叫んでいる。矢吹にとってはこのような反射神経を鍛える訓練はいつもしているので朝飯なのだ。恐らくこのままいけば速度はカナヲに抜かれるかもしれないが初速に関しては矢吹を抜く事はないだろう。

 

「あぁぁあぁぁああぁ!!!!」

 

「勝てないからと言って目の前で叫ばないでくれ…」

 

(そんなにいうのなら少しは手加減してあげればいいのに…)

 

そう善逸が突っ込む、矢吹の方も一応手は抜いているのだがそれでも矢吹の方が早いのだ。とは言えあまり手を抜き過ぎると伊之助が切れるのでこのままにしているのだが訓練が終わった後のアドバイスを聞いて実行してくれないのだ。理由はただ伊之助の負けず嫌いが原因なのだが…

 

「今の所筋がいいのは善逸だけだぞ、もう少し頑張れ。」

 

「……ヘ」

 

「てんめぇぇ何だその顔はぁぁぁ!!」

 

「こら二人とも!」

 

「…褒めなきゃよかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次は善逸を見てやっているのだがこの子は矢吹と相性が良い、と言うのも善逸が使う技に居合が存在する事だ。本人曰くこの居合の練度を上げたくよく炭次郎たちがいない所で矢吹に聞いてくる事が多い。前に矢吹はそれ以外の技は無いのかと聞いた事があったのだが本人は気にしているのか不安そうに話してくれたが矢吹は別に気にはしなかった、と言うのもこれは恐らく矢吹に技を教えた人が同じ考えだっただけだが矢吹は師匠から『己が持つ技に究極の一をいれておけ』と教わり『技はその一を繋げるためのものである』と教わったからだ。矢吹にとっての究極の一が居合なのだ、そのため矢吹はその一を使用する場合はそれを繋げるために戦法を考えている。

 

(私とは違い移動しながらの抜刀だがそれでも雷の呼吸と相まって中々の速度だな。瞬発力は俺、純粋な速さならカナヲと善逸の二人が早いか。)

 

善逸のあの居合の速さならある程度の鬼なら何もできず切られた事すらわからないだろう、それほど早い事はいいことなのだが…唯一の欠点が以外過ぎて…

 

(まさか寝てから本領を発揮する何て…そこだけはどう教えればいいんだ?)

 

流石の矢吹も寝た人間の訓練などしたことがない、ある時善逸に多少厳しい訓練をさせた時に善逸が逃げ出した時頭を打って気絶した時があったのだがその時まるで別人のような人柄になった事があったのだ。その時に前とは違い色々積極的に聞いてきたのだが目が覚めた途端矢吹の姿を見た途端叫びながら逃げ始めた。それ以降少しやり過ぎたと思った矢吹が善逸にはあまり無理をさせないようにした。

 

(まあ起きていても別に教えられるし問題は無い…のか?)

 

「あの~どうかしました?」

 

「ああいやなんでもない、続けてくれ。」

 

とは言え三人とは話せるようになってきて中々見どころもあり教えがいがある。善逸の方も少し癖があるが理解力が高く多少難しく言ってもわかってくれるのもありがたい、矢吹の場合少し言葉で説明をする事がありそれには含みを持たせて言う事があるのでそちらかと言えば善逸の方が教えやすいのだ。別に寝ていてもいいのだがそれだと何故か怖くて教えずらいのだ。

 

「…にしても中々の練度だ、いい人に出会えたんだな。」

 

「は、はい本当に…いい人でした。」

 

顔を下げ見られないようにしている善逸を見て矢吹もそれ以上は掘り下げなかった、自分も離していない以上彼にそれ関係の話をするのは失策だった。

 

「すまん少し考え無しだった。」

 

「い、いえ気にしなくていいです。もう済んだ…話ですので」

 

「…私にも尊敬できる人がいた。呆れるほどのお人よしだったが厳しさも持ち合わせていた。周りのみんなからも信頼され私もあの人の事を尊敬していた。もう顔を見る事もないが…だがそれでも教えられた事は消えない。私たちに出来るのはその教えられた事を続けることだ。

 

だからお前は立派だ、その教えられた事をまるで宝のように大事にしている。胸を張りなさい。自信を持ちなさい。」

 

そう頭を撫でる、こうやって撫でるのはいつぶりだろうか。善逸の方は嬉しそうな顔を浮かべそのまま修行を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、今日が刀の受け取り日なのか。」

 

「はい、俺のと伊之助のは那谷蜘蛛山での戦いで折れてしまいましたから…」

 

訓練から少し経った後鴉が来たので何かと思えばどうやら二人の刀が今日来るそうだ。矢吹はその事を知らなかったが元気よく出て行く二人の姿を見て気になったのかついていったのだ。と言うのも刀村の住民が出る場合暗部が護衛着くのでそれの確認をしにきたのだ。

 

「あ。鋼鐵塚さ~ん。」

 

「そうか、となるともう一人は伊之助の…ん?」

 

炭次郎が元気よく声を出し呼びかけている。三人いるので矢吹にとって鋼鐵塚と言う人物が誰なのかわからないので判断はできないがその内の一人が何故か荷物を隣にいた人物に渡してこちらに突っ込んできた。よくみると手には包丁が握られておりひょっとこのお面でわかりにくいが何だか怒っている気がする。炭次郎はそれを見るとどんどん声が小さくなっていきその自分に向けられた突進を避けた。

 

「貴様ぁよくも折ったな、俺の刀を!!」

 

(あぁなるほど。)

 

どうやら自分の作品にかなり熱を入れる人物だと言う事が一目でわかった。その二人のじゃれあいは置いておいて矢吹はその荷物を持っていない三人目の人物に視線を向ける、刀里特有の傘をつけている。そしてその人物に近づき声を掛ける。

 

「金光塚さん、今回はどのような件で?」

 

「流石は夜船の坊主だ、一目でわかったか。」

 

そう傘を上げひょっとこのお面をさらす、彼は金光塚 一揆。矢吹の刀を作った人物だ。

 

「道中危険はありませんでしたか?」

 

「大丈夫だよそんな心配せんで、お前さんの隊士の事くらい信じてやれ。」

 

「念のための確認ですよ、あなた方が関わる場合あまり甘えた言葉は言えないので。」

 

そうちらりと近くにある木の上を確認する、そこには暗部の者が待機していた。今の所伊之助にも炭次郎にも気づかれていないので今の所言う事はなかった。取り敢えず軽い合図を送り屋敷の外に待機させ炭次郎たちと一緒に中に入る事にした。

 

「それで?今日は何をしに?」

 

「お前さんの刀がそろそろ刃こぼれする頃かと思ってな、磨きに来た。」

 

そう背中に背負っている籠に指を指す。矢吹は基本的に刀の手入れには手を抜かず仕事上使う事は一般の隊士より少ないが最近炭次郎の護衛に着く事になり使用が多かった、それを見越した金光塚がそろそろだろうと思い来たようだ。矢吹は炭次郎とは隣の部屋に移動しそこで少し話ながら磨いてもらう事にした。

 

「…最近何か良い事でもあったか?」

 

「何故そんな事を?」

 

「前のお前さんより顔が緩くなった。前は優しい笑みも浮かべん固い子だと思ったが今はまるで毎日が楽しそうに過ごす子供のようだ。」

 

「…えぇ、最近何だか楽しくって。」

 

「良い事だ、前のような氷のような冷たさが無くなっている。無駄な事はせず自分の身内以外には冷たかったお前が他人に関心を持っている。正直心配だったんだ、何だか無理をしている気がしてな。」

 

そう矢吹の刀を磨きながら呟く、矢吹はただその刀を見続けそれに耳を傾ける。

 

「私は刀しか良い所がないからあまり偉そうには言えないがお前さんはまだ若いんだ。他人に甘える事を覚えな。」

 

「はい。」

 

「いい返事だ、ほらできたぞ。」

 

そう磨き上げた刀を受け取りじっくり眺める、流石は刀鍛冶と言った所か自分が手入れをするよりも良い事が改めてわかる。それについて礼を言い炭次郎たちの所に行く。そこではまだ刀を受け取ったばかりの伊之助が縁側でじっくりと刀を見ていた。

 

「あの子か、お前が目につけている奴か?」

 

「目につけたと言うよりは頼まれただけですがね。」

 

「…心配する程でもなかったか。」

 

「何か言いましたか?」

 

「いや、何も…」

 

そう仮面の下で笑みを浮かべる、矢吹の方は頭を捻り視線を伊之助に戻した。伊之助の方は何故か庭にある池近くの石を探している。何故そんな事をするのかわからなかったがその目的の石を見つけた後の行動を見て思わず声が漏れてしまった。

 

「フン!!」

 

「え?」

 

「あ…」

 

その持ち上げた石を刀に向けて振り下ろした。案の定ぶつけた刃の部分が欠けてしまった。恐らく伊之助の刀を作ったであろう人物は声を上げ他の二人も同じように声を上げていた。そして刀を作ったであろう人物が伊之助に突っかかろうとするがそれを必死に炭次郎が止めている。そしてそこに伊之助の二本目の刀により追い打ちがかかる。

 

「…頼むからあんな使い方はするなよ。」

 

「…しませんよ。」

 

その光景を見てしまった矢吹は頭を抱えてしまう。取り敢えず伊之助には色々言う事になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、貰った直後に問題を起こしおってからに…」

 

もう薄暗い夜の中縁側でいつものように月を眺めていた矢吹がそうぼやいた。一応本人には悪意はないだろうが流石に作った本人の前であれはひど過ぎるので次に作ってもらう時はちゃんとどう作ってもらうかのお願いを言っておくことと言っておいた。前まではそんな事を言っても頑なに聞かなかったが最近になって矢吹の言う事は何故か聞くようになっていたので大丈夫だろう。

 

「さて炭次郎たちももう大丈夫そうだ、そろそろ暗部に戻る時か。」

 

産屋敷からの指示とは言え流石に空け過ぎた感じもする。とは言え中々楽しい日々でもあった。教えがいがある子だった上に三人とも特殊ではあるがいい人物だっちだった。知り合っておいてよかったとは思う。

 

「…!」

 

突然矢吹はその場から立ち上がり縁側の通路方面に膝をついた、頭を下げ見られないようにしておりその先には蟲柱の胡蝶しのぶがいた。お互い無言のまま時間が過ぎて行き夜風が頬を撫でる。胡蝶は矢吹を見ていると言うのに矢吹は胡蝶を見ようとは思わなかった。

 

「…お久しぶりですね。矢吹さん。」

 

「はい、最初の顔合わせてからなので、三年振りでしょうか。」

 

「…そうですね、もうそんなに経っちゃうんですね。」

 

「はい…それで胡蝶様、今回はどのような件で?」

 

「はい、私今から炭次郎君たちにある任務を推薦したいと思うんです。それにあなたも同行してはもらえないでしょうか?」

 

何処か緊張した声が矢吹の耳に入る。特に断る理由はないが自分は暗部を空け過ぎている、とは言え無限列車の方は暗部の鴉からの情報は得ていた。消息不明が続出する列車、その中には向かわせた隊士も入り確か炎柱が向かったと言うのも知っている。となるとその列車にいる鬼は鬼月か元鬼月の可能性が高い。となると炭次郎では手が足らないかもしれない。

 

「…承知しました。」

 

「…ありがとうございます。では、炭次郎君たちの事、お願いしますね。」

 

その言葉に頷き矢吹はその場から消えた、その様子を見届けたしのぶは顔を上げる。そこには屋根の天井とその端には綺麗に輝く月が顔を覗かせていた。




せっかくの再開なのに結局顔もあわせなかった矢吹。彼も彼で困った人です。
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